CRMを営業活動に活用する方法は?活用するための注意点も解説

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  • CRM導入で、営業やカスタマーサポートなどに分散していた顧客情報を一元管理できる
  • CRMは、既存顧客の購買履歴・目的などニーズ分析からアップセル・クロスセルを行える
  • 営業担当者にCRMに入力してもらえるように、ツールの利用方法の周知を徹底する

CRMとは、顧客と良好な関係を築くためのツールです。CRMツールの導入を検討している企業の中には、営業に活用できるか・SFAとどう違うのか知りたい方もいるでしょう。本記事では、SFAとの違い、CRMを営業活動に活用する方法や活用する際の注意点を解説しています。

目次

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  1. CRMとは
  2. 営業活動におけるCRMの必要性
  3. CRMの主な機能
  4. CRMを導入するメリット
  5. CRMを営業活動に活用する方法
  6. 営業活動にCRMを活用するためのポイント
  7. まとめ

CRMとは

CRMとは「Customer Relationship Management」の略称で、企業と顧客との関係性を管理し、良好な関係を築くことにより、会社に対して最大の売上・利益を目指すことを目的としています。従来は、営業担当が顧客に対して適切な対応や、サービスを届けていました。

現在の業界動向として技術革新やビジネス環境の変化などにより、営業担当者がカバーできる項目も変化し範囲も広がっていく傾向にあります。このような状況に適切に対処できるのがCRMであり、現在、多くの企業が注目し導入を検討しています。

本記事では、営業活動におけるCRMの必要性や主な機能、CRMを導入するメリット、活用する方法や活用するためのポイントなどを解説します。

CRMとSFA・MAの違い

CRMとよく比較されるのが、SFAとMAです。重複する機能を持つ3つのツールですが、それぞれ異なった役割があります。業務の流れに沿って解説すると3つの明確な違いが見えてきます。

  1. 商談に繋がる見込み客を獲得するのが「MA」
  2. 獲得した見込み客に営業・商談し、顧客へ昇格させるのが「SFA」
  3. 顧客の満足度向上しリピート化を図るのが「CRM」

SFAは、「Sales Force Automation」の略で、顧客との取引やプロジェクトなどの案件化されたビジネスの状況を通して、担当営業と顧客の関係性を集約し、管理します。

MA(Marketing Automation)ツールは、購入意欲のある顧客を見いだし、商談へと進めていくのが主な目的です。MAツールを使うことにより、自社の資料をダウンロードしてくれた見込み客などの情報を管理し、後の営業につなげていくアクションに結びつきます。

CRMは、顧客の情報を網羅して管理し、SFAは、顧客とのビジネスの動向や流れを管理し営業活動を円滑にするための支援ツールです。CRMとMAは、それぞれ目的が異なり、営業活動のさまざまな局面に対応して、どちらか一方、もしくは併用するという形で取り入れられます。

CRMとSFA、どちらが営業活動に適しているのか

CRM・SFA・MAとそれぞれの役割を解説しましたが、営業活動に一番効果的なのはSFAだと言えます。機能性で重複する部分はありますが、「Sales Force Automationという名前の通り、営業改革を推進させる役割をSFAが担っています。

ですが、企業成果という広い視野で見た場合、商談後の顧客管理の品質も度外視できるものではありません。顧客のリピート率向上は、新規で成果を上げることよりも利益に直結するからです。

あくまでも自社の課題・弱みを把握した上で、適切なツール選びをすることを心掛けましょう。また、最近では2つのツールを明確に分けることが難しく、「CRM/SFA」としてパッケージ化されているものもあるので、ぜひトライアルしてみてください。

営業活動におけるCRMの必要性

現在は、一昔前と比べると、商品に対する価値観やインターネットやスマートフォンなどの普及でマーケットの状況も多様化し、大きく変化しています。既存顧客を維持し、また、新規顧客の獲得ために、顧客情報を正確かつ効率的に把握することが求められています。

自社の商品が、いつ、どこで、誰に、どうして求められているかの情報を正確に把握しないと、次の新規商品などの開発し販売するケースが難しくなっています。こうした悩みを解決するツールとして、CRMが注目され、多くの企業での導入が増えています。

顧客情報を一元管理して、リアルタイムで共有できるCRMツールがあれば、顧客に対して、担当者と共にチームでの対応が可能となります。また、インサイドセールスの部隊がCRMツールを使い、オンラインでの優良顧客獲得の局面でも効果が期待できます。

CRMの主な機能

ここからは、CRMの主な機能として、顧客管理や顧客分析・マーケティング支援、プロモーション管理などの内容について解説します。

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機能主な内容
顧客管理顧客の属性情報を一元管理し、顧客の実態を客観的に眺めて、より効果的な営業活動を支援する
顧客分析・マーケティング支援過去の成功したマーケティング施策などを分析し、次の有効な営業施策立案に役立てる
プロモーション管理顧客情報を種々の条件で検索して最適な顧客を選び、プロモーションとして、イベント案内やメルマガ、優待券などを送付する

顧客管理

CRMツールでは、顧客の会社名や部署、担当者名、年齢、性別、電話番号、メールアドレスなどの基本情報に加えて、購買日や購買金額・購買頻度などの購買履歴、問い合わせ対応やクレーム対応などのコンタクト情報の一元管理を行います。

顧客情報を一元管理することにより、商談や過去の取引履歴など、複雑な営業活動の実態に関係する情報を個々に関連付けることができます。これにより、顧客情報を探す手間が大幅に削減され、顧客に対する網羅的な情報の把握や分析ができるようになります。

さらに、データを基に営業活動を客観的に見ることができ、顧客に対するより効果的なアプローチができるようになります。これまでの、勘や経験だけではなく、実際の数値を基にした判断を行うことで、営業活動をより効果的な方向へと導く判断材料になるといえます。

顧客分析・マーケティング支援

CRMツールでは、一元管理された顧客情報をもとに、顧客の購買傾向や顧客ニーズの

把握が可能になるなど、多角的な分析ができます。その結果、PDCA(Plan-Do-Check-

Action)サイクルを通してマーケティングの精度を高めていくことができます。

また、経営者やマネージャー層は、分析データをリアルタイムに活用して、迅速かつ、適切な判断が下せるようになります。さらに、成功事例なども登録・蓄積しておけば、成功事例

集として、営業担当者のスキルアップ向上にも役立ちます。

そして、どのマーケティング施策が案件化して売上・利益の向上に繋がったのかという分

析を行うことも可能となり、次の有効な施策の立案に役立ちます。また、データの共有により担当営業が不在でも、チームによる連携がスムーズにできるようになります。

プロモーション管理

CRMでは、顧客の過去の購買金額や購買頻度、直近の購買日など、さまざまな条件をキーにして検索し、該当データを抽出できます。その後、プロモーションとして、最適な顧客へのメルマガ・DMの配信や、優良顧客にクーポンや優待券などの送信が可能となります。

さらに、CRMツールにはプロモーション用のデータとして、アンケートフォームによる満足度調査やセミナー・イベント管理、ポイントカードなどのカード管理の情報も登録されています。

CRMを導入するメリット

ここからは、CRM導入のメリットとして、顧客情報の一元管理が可能になることや、顧客満足度向上に繋がる、業務効率化できるなどの3つのメリットを解説します。

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顧客情報の一元管理が可能

CRMツールを導入して、顧客情報を一元管理することにより、情報が可視化できるようになります。これまで、営業担当やカスタマーサポート担当などに個々に分散していた顧客の情報を一元的に管理・共有することで、顧客ごとの状況をひと目で表示し把握ができます。

また、優良顧客や既存顧客、解約予備顧客、見込顧客などに、階層分けして、個々に把握することも容易にできます。これにより、優良顧客や既存顧客はプロモーションに繋げたり、解約予備顧客に対しては、関係改善のために特別な対処を行うことが可能となります。

顧客満足度向上に繋がる

CRMツールの導入により、顧客の嗜好やニーズにマッチした商品やサービスを個々に提供する「One to Oneマーケティング」が実施できます。その結果、顧客の満足度や信頼度向上につながり、優良顧客や自社にロイヤリティを持つ顧客を増やすことができます。

顧客の視点からすると、自分にとって関心のある有益な情報だけを受け取ることができたり、自分のニーズや嗜好に合った的確な提案やサービスが受けられます。また、担当営業のみでなく、その企業全体からサービスをしてもらえるというメリットがあります。

業務効率化

CRMにより、顧客情報を一元管理することにより、データの可視化が可能となり、部門を越えて必要な情報を即座に入手しやすくなります。その結果、営業部門や関連部門の連携が強化され、業務効率化も期待できます。

営業部門とカスタマーサポート部門が、顧客情報を共有することにより、最適な対応を迅速に実現でき、より良質なサービスの提供が可能となります。営業担当が持つ顧客に関する知識を、社内で共有し有効活用できる点も、CRMの大きなメリットといえます。

CRMを営業活動に活用する方法

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CRMを営業活動に活用する2つの方法

  1. アップセル・クロスセルを行う
  2. 営業戦略に役立てる

アップセル・クロスセルを行う

CRMでは情報として、顧客のこれまでの購買履歴や購買目的、購入頻度、志向やニーズなどのデータを集約し一元管理することができます。これらのデータを元にして分析し、商品Aを購入する顧客は商品Bも買う傾向にあるなどのデータが把握しやすくなります。

また、期末ごとの契約が多い顧客に対しては、その時期の購入に関して、より高額な商品を提供するアップセルや、他の商品と組み合わせてすすめるクロスセルがしやすくなり、売上の向上につなげることが可能となります。

営業戦略に役立てる

CRMツールの強みの一つとして、顧客情報の一元化があります。新規企業に、提案するようなケースでは、既存の顧客情報から、提案企業と同業企業の情報をまとめて、分析し、提案書を作成できることも、営業戦略面でのCRM活用の大きなポイントになります。

BtoB(企業対企業)のビジネスでは、大きな予算が動くため、提案される企業側も、同業他社に採用事例があるような製品やサービスに関心があり、契約に結びつくケースも少なくありません。

そのため、複数の企業の顧客情報を整理・分析して、新規ユーザーのニーズに基づいたより戦略的な提案をして、契約に結びつける営業戦略に役立てることもCRMの強力な利用方法になります。

営業活動にCRMを活用するためのポイント

ここからは、CRMを実際に営業活動に活用するためのポイントとして、CRMツールへのデータ入力の確実性や、分析に必要なデータの収集、部署を超えた情報の共有、万全なサポート体制などの4点について解説します。

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CRMツールへのデータ入力を確実に行う

CRMの大きな強みである、顧客情報の一元管理とリアルタイムでのアクセスを活用するには、最新の顧客データを迅速かつ正確に入力することが重要になります。データを入手してから、すぐに入力し、社内で共有することにより、CRMの利点を充分に享受できます。

素早く確実なデータ入力を徹底するためには、営業メンバーに対して、CRMを利用することで、どのようなメリットがあるのか、自分たちの業務にどのように役立つのかを継続的にしっかりと説明し、理解を得て習慣化することが大事になります。

データの入力に関して、最初は負担と感じる営業メンバーがいるかもしれませんが、享受できるメリットを実感することにより、負担と感じなくなり、迅速な入力が徐々に浸透していくようになります。

分析に必要なデータを収集する

CRMでは、従来まで個々の営業担当が保持して分散していた顧客情報を収集・蓄積し、一元管理を行い、共有できるようになります。ただし、収集した情報を有効活用するためには、分析が必要です。分析手法としては、セグメント分析やCTB分析などがあります。

セグメント分析は、顧客のニーズや属性などの要素により分類することです。住所や性別・年齢などの基本情報ごとに顧客属性を分類し、購入履歴や購入金額・購入方法などに着目し、どの顧客属性がよく商品を購入するかなどを分析します。

CTB分析では、C(Category)として、商品を大・中・小分類などに分類します。T(Taste)では、商品をデザインやサイズ、色、模様などで分類します。B(Brand)ではブランドやキャラクターなどで分類します。この3つの要素で売上が大きい商品の特徴を分析します。

これらの分析の結果により、次の商品開発やプロモーションのヒントになる情報が得られます。また、他の分析と組み合わせ、売上額が大きい顧客が、どのような商品を好むのかという傾向を把握することで、効果的な販売戦略の立案が可能となります。

部署を超えて情報を共有できるようにする

CRMにより、顧客データを蓄積し一元管理することにより、営業部門やカスタマーサポート部門など、社内で部署を超えて共有ができるようになります。従来、営業個人が保有していたデータや、見落とされていたデータなどが、売上向上へ有効活用ができます。

ただし、データを単に登録・蓄積するだけでは、売上向上には結び付かず、データを分析し、営業活動に活かす必要があります。CRMにより、既存顧客の購買傾向の把握や営業活動の最適化が可能となり、さらに部署間で連携して、戦略的な営業活動が行えます。

サポート体制を万全にする

CRMを導入した直後は、従来までの営業活動や手法とのギャップから多くの疑問やトラブルが発生することも考えられます。導入前の説明会や講習を行ったとしても、実際に使ってみると細かな質問や確認したい項目が多数出てきます。

そのために、サポート体制の確立が重要になります。多くの質問に対応したり、Q&A集の作成など、CRMをスムーズに運用できるサポートが必要になります。また、導入から現場がなじむまでの間をしっかりサポートしてくれるベンダー選びも大事になります。

中小企業や個人事業主におすすめのCRMツール8選|メリットも解説

IT・デジタルツールの導入率が上昇傾向の中、大手企業のみならず、人手不足の悩みを抱える中小企業においても、CRM導入のニーズが高まってきています。本記事では、中小企業や個人事業主向けのおすすめのCRMツールやメリット、選び方を解説しています。

まとめ

CRMは、90年代後半に生まれましたが、ビジネス環境の大きな変化や多様化を経て、現在、さらに注目を集めています。近年のネットワーク普及により、クラウド型CRMの低価格化も進み、大企業のみならず中・小企業においても導入の気運が高まっています。

CRMツールでは、顧客情報を一元管理して、企業と顧客の間で、適切かつ良好な関係を築くことにより、企業に対して最大の売上・利益を目指す点が強みとなっています。今後、CRMの機能をチェックされて、導入を検討してください。

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