ChatGPTのGPT-3.5とGPT-4の違いは?最新モデルについても解説

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- GPT-4はGPT-3.5の上位モデルで、より精度の高い情報提供が可能
- 現在はGPT-4から派生した「GPT-4o mini」が基本モデルになっている
- GPTシリーズ以外に、「OpenAI o」シリーズや「Sora」といったモデルもある
ChatGPTに使われているAIモデルには、「GPT-3.5」「GPT-4」などいくつかの種類があります。GPT-4はGPT-3.5の上位モデルですが、現在はさらに新しいモデルも登場しています。この記事では、GPT-3.5とGPT-4の違い、最新のモデルなどについて解説します。
目次
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ChatGPTの「GPT-3.5」や「GPT-4」とは

ChatGPTは、米国のOpenAIが開発したAIチャットツールで、自然言語の処理に長けた生成AIモデルによって自然な対話ができるのが大きな特徴です。そのChatGPTを支えているのが「GPT」と呼ばれる大規模言語モデルです。
GPTにはいくつかのバージョンがあり、2018年にGPT-1が登場して以来、GPT-2、GPT-3と開発が進み、2022年11月にGPT-3.5を搭載したChatGPTの提供が開始されました。そしてその後、GPT-4や他のモデルも搭載されています。
以下では、ChatGPTが提供されるにあたって基盤となった「GPT-3.5」と「GPT-4」についてより詳しく解説します。
参考:ChatGPT

ChatGPTとは、2022年11月に公開されたAIチャットサービスです。無料で利用でき、人間のような自然な受け答えができることから話題となりました。この記事ではChatGPTのメリット・デメリットや始め方、気になる危険性などについて解説します。
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GPT-3.5とは
2022年11月にGPT-3.5を搭載したChatGPTがリリースされ、公開と同時に世界中で注目を集めました。生成AIによるチャットサービスの先駆けとも言え、リリース後は2か月で1億人のユーザーを獲得するなど、非常に大きなブームを巻き起こしました。
最初のGPTモデルであるGPT-1から進化を遂げたGPT-3.5は、インターネット上の情報を中心に膨大なデータを学習しており、それをもとに文章の作成や要約、質問応答、翻訳などを人が行うような自然な言葉のやり取りを通して生成できます。
なお、OpenAIは生成AIモデルの開発を続けており、ChatGPTの最初の基本モデルであったGPT-3.5は、現在ではより新しいモデルに置き換えられています。
GPT-4とは
GPT-4は、GPT-3.5のバージョンアップとして2023年3月にリリースされた大規模言語モデルです。「マルチモーダルAI」であるため、ユーザーはテキストだけでなく画像も入力に含めることができます。
また、GPT-3.5と比較して日本語対応の精度が高くなっているため、日本でもより活用しやすくなりました。
GPT-4からさらに進化を遂げた「GPT-4.1」「GPT-4.5」「GPT-4o」といったモデルも登場しており、これらのモデルはChatGPT上で使うことができます。なお、API連携によって他ツール内でChatGPTのモデルを利用できる「OpenAI API」では、GPT-4も利用できます。
参考:GPT-4|OpenAI

ChatGPTのAPIとは?メリットやできること、料金について解説
ChatGPTのAPIは、WebアプリケーションやソフトウェアとChatGPTを連携させるためのインターフェースです。API連携により、自社のサービスの開発を効率化させることができます。本記事ではChatGPTのAPIでできることや利用料金などについて解説します。
GPT-3.5とGPT-4の違い

GPT-4は、GPT-3.5から飛躍的な進歩を遂げ、できることが増えてより活用しやすくなりました。GPT-4がGPT-3.5から進歩した主な点は下記の5点です。ここでは、これらの内容について詳しく解説します。
参考:GPT-4|OpenAI
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回答の精度
GPT-4はGPT-3.5と比べて、より複雑なデータのパターンや関係性を理解できる性能を持っています。そのため、誤字脱字の少ない精度の高い回答の生成が可能です。
たとえば、プロンプト(AIへの指示テキスト)に複数の指示を含めてもそれを的確に理解し、回答してくれます。また、各言語への対応力も上がっており、日本語を含めたさまざまな言語を使った精度の高い対話や翻訳ができます。
GPT-3.5とGPT-4では、学習データの期間(カットオフ)も異なります。それぞれの学習データの期間は、GPT-3.5シリーズが2022年初頭まで、GPT-4が2023年4月までです。なお、2024年5月に登場した「GPT-4o」は、2023年10月までとなっています。そのため、より広範囲の話題に対する高精度な回答を期待できます。
回答の整合性
GPT-3.5では、事実に基づかない情報を生成する現象である「ハルシネーション」が多く見られ、問題となっていました。GPT-4でも完全にハルシネーションの発生を防げるわけではないものの、GPT-3.5より発生率を19〜29%抑えられることがOpenAIから公表されています。
ハルシネーションが起こる原因はさまざまですが、学習データの期間の影響も大きいため、GPT-3.5よりも新しい情報を学習しているGPT-4に優位性があります。また、ユーザーが入力したプロンプトを正確に理解する能力も向上した点も影響していると言えるでしょう。
回答の創造性
GPT-3.5でもアイデア出しなどの創造的な回答の作成は可能でしたが、GPT-4モデルはさらに大きく進化し、詩や物語・脚本などの作成にも柔軟に対応できるようになりました。
また、GPT-3.5では言語の切り替えが難しかったため、詩などを生成させると言語が入り混じることがありました。一方、GPT-4では言語の切り替えがスムーズになり、プロンプトで使われている言語に基づいて、創造的な詩や文章の作成をしてくれます。
さらに、回答テキストのトーンやスタイルもカスタマイズできるため、よりニーズに合った回答を得ることが可能です。
長文への対応
ChatGPTで入力・出力できる文字数は、「トークン」と呼ばれる単位で表わされます。トークンとはAIが自然言語を処理する際の最小単位です。
GPTが対応可能なトークンは、GPT-3.5では4,096トークン(約3,000文字)であったのに対して、GPT-4は32,768トークン(約25,000文字)と大幅にアップしています。
文字数が増えたことにより、GPT-3.5では分割して要約や翻訳を生成させなくてはならなかった論文なども、GPT-4では一度で読み込むことができるようになりました。また、生成できる文章の文字数も大幅に多くなり、長文でのやり取りが可能です。
画像入力・画像生成
GPT-4では、GPT-3.5ではできなかった画像入力が可能になりました。画像データとその画像から知りたいことなどをプロンプトに入力すれば、テキストで返してくれます。たとえば、著名な遺跡や絵画の画像を入力して、それらの解説を生成させることができます。
また、GPT-4では新しく「DALL-E」と呼ばれる画像生成機能が使えるようになりました。DALL-Eは画像を生成するAIであり、プロンプトに作成したい画像のイメージを入力することで、それに応じた画像を生成してくれます。

ChatGPTでは画像生成も可能|メリットや活用例・注意点も解説
ChatGPTでは、DALL-Eという機能を使って画像生成をすることも可能です。広告のビジュアル作成やWebデザインなど、さまざまな業務に活用できます。この記事では、ChatGPTで画像を生成する手順やメリット・ビジネスでの活用例・注意点などを解説します。
現在は「GPT-4.1 mini」が基本モデル

ChatGPTのサービス開始当初から基盤となってきたGPT-3.5シリーズのモデルは、現在は通常のチャット上での提供が終了しています。その背景には、新しいGPT-4やそこから派生したモデルの登場があります。
そして現在は、GPT-4の派生モデルである「GPT-4.1 mini」がChatGPTの基本モデルとなっています(2025年8月執筆時点)。
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現在は「GPT-4o mini」が基本モデル
GPT-4.1 miniとは
GPT-4.1 miniはGPT-4.1のコンパクト版として、2025年4月にGPT-4.1およびGPT-4.1 nanoとともに発表されました。当初はOpenAI API上で提供されていましたが、その後ChatGPT上でも提供が開始されました。
GPT-4.1シリーズの学習データのカットオフは2024年6月で、高い指示理解力を持ち、長いコンテキスト(文脈)にもより適切に対応できるようになっています。また、GPTシリーズはコーディングなどもできますが、それらの性能も向上しているとされています。
GPT-4.1 miniは軽量モデルであるため、処理精度などはGPT-4.1と比べて劣る部分があるものの、処理速度が速いことが特徴です。
参考:Introducing GPT-4.1 in the API|OpenAI
これまでの基本モデルGPT-4o miniとの違い
GPT-4.1 miniが基本モデルとなるまでは、「GPT-4o mini」が基本モデルとして使われていました。GPT-4o miniは、GPT-4oのコンパクト版として2024年7月18日に発表されました。
GPT-4oはGPT-4のアップデート版として2024年5月に発表されたモデルで、GPT-4o、GPT-4o miniともに、テキストや音声、画像を任意に組み合わせて入力と出力を行えます。
GPT-4.1 miniを含めたGPT-4.1シリーズもこの点は同じですが、前述した指示理解力やロングコンテキストへの対応力をはじめ、全体的なパフォーマンスが大幅に向上しています。なお、プランによって制限がありますが、GPT-4oは引き続きChatGPT上で利用可能です。
参考:GPT-4o mini: advancing cost-efficient intelligence|OpenAI
GPT-4.1 miniの利用は全プランで無制限
GPT-4.1 miniは、無料プランを含む全プランで利用することができます(2025年8月執筆時点)。音声機能や画像生成機能、データ分析機能など細かな機能に関しては無料プランで制限があるものの、基本的なチャットに関しては制限のない利用が可能です。
ChatGPT初期のGPT-3.5などと比べると、軽量版であるGPT-4.1 miniでも大幅な性能の向上が認められます。個人的な利用からビジネス的な内容まで、さまざまな使い方に柔軟に対応できるモデルと言えるでしょう。

ChatGPTの使い方|GPTsやサイドメニューについても解説
近年、最も注目されているAIチャットサービス「ChatGPT」の機能は多岐にわたります。本記事では、ChatGPTの使い方がよくわからない方に向けて、ChatGPTの基本的な使い方、サイドメニューなどについて、無料版・有料版の違いも交えてわかりやすく解説します。
GPT-4.1は有料プランで利用可能
GPT-4.1に関しては無料プランでもトライアル的に一定回数利用することができますが、それ以上の利用には有料プランへの加入が必要です。
ChatGPTの有料プランには「Plus」「Pro」「Team」「Enterprise」の4つがあります。利用可能なモデルは複数ありますが、GPT-4.1の場合、Plusでは無料プランの5倍、Pro以上のプランでは無制限とされています。
また、有料プランではGPT-4.5 研究プレビュー版、OpenAI o3、OpenAI o4-mini-highといったモデルにもアクセスも可能です。

ChatGPT Plusとは?無料版との違いやメリットを解説
「ChatGPT Plus」は、AIチャットサービス「ChatGPT」をアップグレードした有料版です。無料版と比べ、より精度の高いスピーディーな回答が可能となっています。本記事では、双方の違いやChatGPT Plusでできること、おすすめの使い方などを詳しく解説します。
「OpenAI o」シリーズや「Sora」も新たに登場

ChatGPTはGPTシリーズのモデルが基盤を支えていますが、開発元であるOpenAIはGPTシリーズとは異なる系譜の「OpenAI o」シリーズや、動画生成モデルである「Sora」も新たに発表しています。
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「OpenAI o」シリーズや「Sora」も新たに登場
「OpenAI o」シリーズについて
2025年8月現在、「OpenAI o」シリーズとしては以下のようなモデルが登場しています。
- OpenAI o1
- OpenAI o1-mini
- OpenAI o1 pro mode
- OpenAI o3
- OpenAI o3-mini
- OpenAI o3-mini-high
- OpenAI o3-pro
- OpenAI o4-mini
- OpenAI o4-mini-high
OpenAI oシリーズの大きな特徴は「推論モデル」であることで、特に数学や科学の分野の処理に強みを持っています。OpenAI o4-miniは無料プランでも限定的に利用できますが、それ以外は有料プラン向け、もしくはAPI向けのモデルとなります。
参考:OpenAI o3 と o4-mini が登場|OpenAI
「Sora」について
「Sora」は、2024年12月に公開された動画生成モデルです。Soraはテキストをもとに動画を生成できるモデルで、Plus・Pro・Teamのプランで制限付きで利用することができます。
Soraとして提供されているのは「Sora Turbo」というバージョンで、動画だけでなく画像を生成することもできます。テキストや画像の生成に比べて動画の生成には時間がかかりますが、リアルでクオリティの高い動画生成が可能です。
参考:Sora
APIではより多くのモデルを選択可能

ここまで、ChatGPTに搭載されているモデルや各プランで利用可能なモデルについて解説してきましたが、OpenAIはこれらのプランとは別にAPIのサービスも提供しています。APIを使えば、OpenAI開発のモデルを他のアプリケーションなどに組み込むことが可能です。
APIは主に開発者向けに提供されているもので、通常のチャットサービスよりも選択できるモデルが多いのも特徴の1つです。
たとえば、通常のチャットでは使えなくなっているGPT3.5などについても、APIでは「GPT-3.5 Turbo」が安価な選択肢として提供されています。「GPT-4」「GPT-4 Turbo」といったモデルも選択可能です。
APIはChatGPTの有料プランとは別の料金体系が設定されており、利用には別途料金を支払う必要がありますが、特に企業の顧客向けサポートサービスなどにおいては有用です。
どのモデルを使用するうえでも気をつけたいこと

OpenAIがリリースしている生成AIモデルは非常に高性能で、特に新しいモデルは飛躍的に進歩しています。しかし、どのモデルもそれぞれに、または共通して対応が難しい領域もあり、万能ではありません。
そのため、各モデルの特徴や生成AIの弱点を理解しながら上手に活用することが重要です。たとえば、GPT-4は数学的要素の高い複雑な計算には向いていません。数学的なタスクを与える場合には、推論モデルである「OpenAI o」シリーズが向いているでしょう。
また、どのモデルに関しても、回答は必ずしも正しいものであるとは限りません。ChatGPTにはAIがWeb上を探索して情報を収集する機能もありますが、そもそもWeb上にある情報が間違っていたり、AIの学習データに誤情報が含まれていたりする可能性もあります。
さらに、人間の感情や道徳観・倫理観への理解が必要となるようなテーマに関しては、不適切な回答が生成される恐れもあります。このような注意点を理解した上で、生成された回答については人による最終チェックを行うのが最良の方法であると言えます。
参考:What is ChatGPT?|OpenAI Help Center
まとめ

AIチャットサービスであるChatGPTは「GPT-3.5」や「GPT-4」といった大規模言語モデルに支えられています。GPT3.5はChatGPT提供開始当初のモデルで、その後GPT-4をはじめ多くの上位モデルや異なる系譜のモデルが登場しています。
それぞれのモデルは異なる特徴を持っており、またChatGPTのプランによっても利用できるモデルが異なります。本記事を参考に、ChatGPTのモデルについて理解を深め、適切な方法で活用できるようにしましょう。
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