営業部門のDX化にCRMが必要な理由|メリットや注意点などを解説

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- 営業部門のDX化とは、CRMなどのデジタル技術を用いて営業活動を変革することである
- 営業のDX化で、営業効率の向上、災害時や市場変化への柔軟な対応などが実現できる
- 営業部門のCRM導入により、業務効率化や顧客満足度の向上などのメリットが得られる
営業部門のDX化とは、デジタル技術を用いて従来の営業活動から、客観的で効率的な営業活動へ変革させることです。営業部門のDX化には、CRMツールの導入がおすすめです。本記事では、営業部門のDX化にCRMが必要な理由やメリット、DX化推進の注意点を解説しています。
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DX(デジタルトランスフォーメーション)とは

DX(デジタルトランスフォーメーション)は、デジタル技術を活用して企業の事業モデルや組織文化、業務プロセスを根本的に変革し、新たな価値を創造することです。
単なるIT化やデジタル化とは異なり、顧客体験の向上や競争優位性の確保を目的とした企業全体の変革を指します。
データ分析・人工知能・クラウドコンピューティングなどのテクノロジーを活用し、変革と成長を遂げるための戦略的なアプローチとしてDXが注目されています。
日本のDX推進の現状
日本のDX推進は、近年着実に進展しているものの、その成果は限定的です。多くの企業は業務効率化やコスト削減を主な目的とする傾向が強く、新規ビジネス創出やビジネスモデル変革といった本質的な変革には至っていません。
経営層・IT部門・事業部門間の連携が弱いことも課題です。一方、米国やドイツでは売上・利益増加といった目標を掲げ、企業全体をDX化する取り組みが主流で、企業価値の向上や新たな顧客価値の創出に成功しています。
今後の日本企業には、効率化だけでなく、価値創造を重視したDX推進が求められています。
営業部門のDX化とは

営業部門のDX化は、デジタル技術の活用により、営業プロセスの効率化と顧客体験の向上を図る取り組みです。
DX化の推進により、営業担当者は効率的に営業活動を行え、顧客との関係を強化することができます。また、リアルタイムなデータ分析に基づいた戦略的な意思決定が可能となり、売上の増加や顧客満足度の向上につながります。
営業DXにCRMが必要な理由
営業DXを促進するためには、CRM(顧客関係管理)の導入が必要です。なぜなら、CRMは顧客データの一元管理を可能にし、データに基づいた営業活動を実現する基盤となるためです。
CRMの導入で、顧客との接点から得られるさまざまな情報を蓄積・分析できるようになり、商談の進捗管理、顧客ニーズの把握、最適なアプローチのタイミング特定など、効率的で効果的な営業活動が可能となります。
CRMとは
CRM(Customer Relationship Management)とは、顧客との関係を管理・最適化するための戦略的なアプローチと、それを支えるシステムのことです。
顧客情報、購買履歴、コミュニケーション記録、営業活動履歴などを一元的に管理し、顧客との長期的で良好な関係構築を目指します。
また、データ分析により顧客ニーズを正確に把握し、顧客一人ひとりに合わせたサービス提供や、適切なタイミングでの商品提案を可能にします。CRMは、顧客中心のビジネスを実現するための重要なツールと言えるでしょう。
営業効率を高めるにはDX化に伴う「インサイドセールス」が重要
インサイドセールスは、電話やメール、オンラインミーティングなどのデジタルツールを活用して、社内から営業活動を行う手法です。
従来の訪問型営業(フィールドセールス)と比べて、移動時間の削減や多数の顧客への同時アプローチが可能となり、営業効率を大幅に向上させることができます。
さらに、CRMなどのシステムと連携することで、顧客データに基づいた効率的なアプローチが可能になります。特に初期の商談や既存顧客のフォローアップに効果を発揮し、フィールドセールスと組み合わせることで、より効率的な営業活動が実現できるでしょう。
営業部門がDX化を進めるべき理由

現代のビジネス環境では、競争が激化し、顧客のニーズや行動パターンも急速に変化しています。それらに対応するため、営業部門もDX化を進める必要があります。ここでは、営業部門がDX化を進めるべき理由について解説します。
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営業部門がDX化を進めるべき理由
生産性向上につながる
営業部門のDX化は生産性向上につながります。デジタルツールや自動化プロセスにより、煩雑な業務や、繰り返し作業を効率化できます。
また、情報の共有やタスク管理がスムーズになり、営業担当者は、より多くの時間を顧客接触や戦略的な活動に割くことができます。
BCP(事業継続計画)の充実化
BCP(事業継続計画)は、災害や緊急事態が発生した際に、事業活動を持続させるための計画です。営業部門のDX化は、自然災害やパンデミックなどの緊急事態発生時においても、事業活動を継続するための重要な要素となります。
顧客データや商談情報をデジタル化・クラウド化することで、災害時のデータ消失を防ぎ、どのような状況下でも営業活動を継続できる体制を整えることができます。場所や時間に縛られない営業活動が可能となり、リモートワークへの迅速な移行も可能です。
こうした体制を整えることで、事業の安定性が確保され、顧客との関係も維持できます。
市場変化に対応できる
現代のビジネス環境は急速に変化しており、競争が激化しています。DX化により、営業部門は迅速かつ柔軟に市場変化に対応できます。たとえば、データ分析や顧客情報の活用により、市場ニーズやトレンドをリアルタイムで把握し、適切な戦略を立てることが可能です。
また、顧客の行動データや商談履歴の分析から、需要の変化を予測し、先手を打った提案が可能となります。DX化は、変化の兆候をいち早く捉え、迅速な意思決定と対応を実現するためにも重要な取り組みと言えるでしょう。
顧客への理解が深まる
従来の営業活動では、顧客情報は担当者個人の記憶やメモ、散在するExcelファイルなどに頼ることが多く、全体像の把握が困難でした。
しかし、DX化によりCRMなどのデジタルツールを活用することで、顧客との接点から得られるデータを体系的に収集・分析できるようになります。
購買履歴、問い合わせ内容、Web行動など、多角的なデータを統合することで、顧客のニーズや行動パターンをより深く理解することが可能です。そのため、最適なタイミングで最適な提案を行えるようになり、結果として顧客満足度の向上と売上増加につながるでしょう。
営業の属人化を防げる
DX化により営業活動の進捗状況・顧客情報・商談履歴・成功事例などがシステム上で共有されます。これまで個人の経験や勘に依存していた営業ノウハウが組織の資産として蓄積され、誰でもアクセス可能になります。
その結果、ベテラン営業担当者の退職や異動による顧客関係の断絶や売上減少のリスクを回避でき、新人営業担当者も短期間で一定レベルの営業力を身につけることができるでしょう。
また、チーム全体で営業戦略を共有し、組織的な営業活動を展開することで、安定した業績向上を実現できます。
営業部門にCRMを導入するメリット

営業部門にCRMを導入することには、多くのメリットがあります。営業活動の追跡や分析により、効果的な営業戦略や販売チャンスの特定が可能となります。ここでは、営業部門にCRMを導入するメリットについて解説します。
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営業部門にCRMを導入するメリット
顧客情報管理の一元化・効率化
CRMの導入により、これまで個々の営業担当者が管理していた顧客情報や商談履歴を一つのプラットフォームで一元管理できるようになるため、情報の重複や紛失を防ぎ、必要な情報に誰でも素早くアクセスすることが可能になります。
また、顧客とのやり取りや商談の進捗状況をリアルタイムで共有できるため、チーム間の連携も円滑になり、効率的な営業活動を実現できます。
顧客データ活用によるビジネスの利益最大化
CRMに蓄積された顧客データを分析することで、購買パターンや嗜好性を把握し、最適なタイミングで効果的な提案を行うことが可能になります。その結果、成約率を高められるでしょう。
特に既存顧客に対して、クロスセル(関連製品の提案・販売)・アップセル(上位製品への移行)の機会を増やし、ビジネスの利益を最大化することができます。
他システムとの連携による業務効率化
CRMはMA・SFA・ERP・会計システムなど、他のシステムとの連携によって、更なる業務効率化を実現できます。
たとえば、営業部門のCRMと会計システムの連携により、受注や売上データの自動連携が可能となり、請求書の作成や売上分析が効率化されます。システムの連携により、部門間の情報共有がスムーズになり、企業全体の生産性向上にも大きく貢献するでしょう。
DX化に必要なCRMの重要な要素

DX化において、CRMには顧客の育成・活性化が求められます。顧客の育成・活性化とは、見込み顧客から既存顧客に、さらにリピーターにまで育成し、顧客の購買意欲を活性化させる戦略です。
CRMによる顧客の育成・活性化のポイントとして「定点観測」「効果測定」「顧客理解」があります。ここでは、3つのポイントについて解説します。
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定点観測
定点観測とは、顧客の行動や傾向を定期的に観察し把握することです。売上指標の動きや利用回数、購買金額などを追跡し、顧客の変化や需要のトレンドを把握することができます。
定点観測に基づいて得られるデータや情報を適切に分析することで、顧客のニーズや要望を理解でき、効果的な育成・活性化施策の実施が可能になります。
効果測定
実施した施策やキャンペーンの成果の効果測定をし、その効果を客観的に把握することも重要です。具体的な指標やKPI(重要業績評価指標)を用いて、施策が顧客にどのような影響を与えたかを評価します。
これにより、成功した施策の再利用や、改善が必要な施策の見極めが可能です。効果測定によって得られるデータは次回の施策に活かされ、より効果的な顧客育成・活性化を促進することが可能となります。
顧客理解
顧客のニーズや行動パターンを深く分析し、顧客理解を促進することで、個別の顧客に合わせたマーケティングやサービス提供を行えます。CRMの活用により蓄積された顧客データや履歴情報を分析し、顧客の嗜好や購買パターンを把握できます。
また、顧客とのコミュニケーションを通じて、顧客の声や要望を収集し反映させます。これにより、顧客に対して的確なアプローチや、個別化されたサービスを提供することができます。顧客理解を基にした施策は顧客の関心を引き、育成・活性化につながります。
営業部門のDX化にCRMを活用して変わること

営業部門のDX化にCRMを活用することで、従来の営業手法とは異なる効果的な変化がもたらされます。ここでは、営業部門のDX化にCRMを活用して変わることを解説します。
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営業部門のDX化にCRMを活用して変わること
リード獲得方法
従来のリード獲得方法では、主に営業担当者が展示会やセミナーなどのイベントに参加し、名刺交換や直接のアプローチを通じてリードを獲得していました。しかし、CRMを活用することで、リードのデータを一元的に管理し、複数のチャネルからの情報を収集できます。
CRMは、Webフォームやランディングページからのリード生成を自動化し、リード情報を即座に取得・管理できる機能を持っています。リードの自動収集と管理により、効率的なリード獲得が実現され、顧客との関係を強化し、成約率の向上につなげることができます。
リード育成方法
CRMの活用によりリード育成方法は、追跡とフォローアップが容易化し、個別化されたアプローチの実現、データ分析に基づく戦略が行えます。
従来のリード育成方法では、営業担当者がリストやデータベースから手動でリードを特定し、個別にアプローチを行っていました。CRMを導入することで、リードのデータや活動履歴がCRMに蓄積されるため、営業担当者は状況を把握しやすくなります。
リード情報の分析方法
CRMでのリード情報の分析は、リアルタイムに詳細な分析を簡易的に行え、予測分析も可能となります。従来のリード情報の分析方法では、手動でエクセルやデータベースにリード情報をまとめる必要があり、分析には時間がかかっていました。
CRMでは、リード情報が一元的管理され、リードのデータを自動的に収集し、タグ付けやカテゴリ分類などの整理も自動化できます。これにより、営業部門は、より効果的な戦略を立て、リード情報の質を上げ、成約率を向上させることができます。
営業部門のDX化の進め方

DX化を無理に進めると社内で混乱が起き、業務に支障が出る可能性もあるため、順序立てて進める必要があります。以下の順番でDX化を進めるのが理想です。
- DX化推進チームを結成する
- DX化に必要なツールを選定する
- ツール導入後の業務プロセスを再構築する
- 社内にツール導入の周知を行う
- ツールを導入する
- 運用を開始する
導入前に周知することにより、実際に使用する社員の意見を取り入れたツール選定が行えるメリットがあります。DX化推進チームが選んだツールが、実際の使用者にとっても使いやすいものとは限りません。
そのため、導入後の周知は社内トラブルに発展しやすいため、必ず事前に周知しましょう。また、無料トライアルがあるツールの場合は、導入前にトライアルで試験的に使用するのがおすすめです。この場合も、混乱が起きないよう事前の説明が必要です。
営業部門のDX化を進める際の注意点

営業部門のDX化を進める際には、いくつかの注意点に留意する必要があります。ここでは、以下の注意すべきポイントについて解説します。
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営業部門のDX化を進める際の注意点
DX化を進める目的の明確化
DX化は単なる技術の導入ではなく、具体的な目標を持って進める必要があります。目的が明確であれば、目標設定や戦略立案、具体的な施策の選択がしやすくなります。
目的の明確化により、DX化の方向性が定まり、組織全体が一丸となって目標達成に向けて取り組むことができます。
営業プロセスを見直す
従来ながらの営業プロセスは、効率や顧客体験の面で改善する必要があります。DX化を進めるには、現行の営業プロセスを見直し、効率化や顧客志向の改善を図らなければなりません。
営業プロセスの見直しにより、業務の効率化や顧客満足度の向上、迅速な意思決定などが実現できます。営業プロセスの見直しはDX化の基盤となり、効果的な変革を促す重要なポイントです。
DX人材の確保や育成を行う
DX化を推進するためには、デジタル技術やデータ分析の知識が必要であり、組織はDX人材を確保する必要があります。
DX人材の確保や育成には、採用戦略の見直しや研修プログラムの導入、外部の専門知識の活用が有効です。適切なDX人材の確保・育成により、営業部門のDX化をスムーズに進めることができます。
自社に合ったCRMの導入
CRMを導入する際は、自社の業種や業態、営業プロセスに合わせた機能やカスタマイズ性のあるシステムを選ぶことが重要です。
また、ユーザビリティやシステムの安定性、セキュリティなども考慮して適切なCRMを選びましょう。自社に合ったCRMを導入することで、効率的な営業活動や顧客管理が実現できます。
自社の課題を解決できる他システムの導入
営業部門のDX化を推進するにはCRMの導入が効果的ですが、必要に応じて他システムも導入しましょう。CRMの導入によって得られるメリットは多いですが、DX化の観点から見るとCRMのみでは不十分です。
営業部門のDX化を推進するシステムはSFAやMAなど複数あるため、自社が抱える課題を解決できるシステムをプラスで導入することも検討し、DX化を進めましょう。
まとめ

営業部門のDX化には、CRMの導入が有効です。CRMによって顧客情報が一元管理されることで、営業担当者は顧客の詳細情報をリアルタイムで把握でき、個々の顧客に合わせた効率的な対応が可能になります。
また、業務の自動化やタスク管理の効率化により、時間とリソースの大幅な削減が期待できます。このように、DX化により効果的なアプローチと業務効率の向上を実現させるためには、明確な目的設定やDX人材の確保・育成、適切なCRMの選定などが重要です。
自社に適したCRMを導入し、営業部門の競争力強化と持続的な事業成長を実現していきましょう。
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