CRMとカスタマーサクセスの関係性

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  • CRMは、顧客のデータ分析ができる他、他のシステムと連携して業務を効率化できる
  • カスタマーサクセスでは、CRMに蓄積されたデータを活用する際にも役立つ
  • カスタマーサクセスを手動で管理するには限界があり、CRMとの併用が効率的である

CRMでは顧客情報のデータ化・業務の効率化が、カスタマーサクセスでは顧客1人ひとりのニーズへの対応がそれぞれできます。本記事では、CRMとカスタマーサクセス、それぞれの目的やできることの他、両者の関係性と併用する有益性について、解説します。

目次

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  1. CRMとは
  2. CRMでできること
  3. カスタマーサクセスとは
  4. カスタマーサクセスでできること
  5. CRMとカスタマーサクセスの関係性
  6. 効率的なカスタマーサクセスにCRMが有用な理由
  7. まとめ

CRMとは

CRMは「Customer Relationship Management」の略で、顧客関係管理とも呼ばれている経営手法です。CRMでは、購買履歴や利用頻度などの顧客情報を分析し、顧客との関係性の維持を目的としています。

CRMは本来経営手法や経営戦略を指しますが、現在ではCRMを効率よく的確に実行するためのシステムのことをCRMと呼ぶことが一般的です。

CRMは、1991年から始まったバブル崩壊による人の購買意識が変化し、既存顧客の重要性が増したことから1990年代後半にシステム化されました。そして、インターネットなどの進化により、各部署のデータを一元管理するCRMへと進化してきています。

CRMの必要性

人口の増加が止まり少子高齢化の進んだ日本社会では、市場規模の拡大に大きな期待は持てません。しかも、誰もがスマートフォンを持ち、消費者は手軽に商品やサービスの情報が得られる時代になりました。それにしたがって、新規顧客の獲得が難しくなってきています

そこで、新規顧客の獲得よりも、コストが少なくて済む既存顧客の維持に重点を置くようになり、しっかりとした顧客管理ができるCRMの必要性が高まってきました。新規顧客の獲得は、既存顧客維持の5倍コストがかかるという「1:5の法則」があります。

また、 顧客全体の2割の優良顧客が売上げの8割を占めるという「2:8の法則」もあり、顧客のリピーターを増やし、優良顧客を増やすことも重要です。CRMを利用すれば、顧客管理だけでなく、優良顧客の維持や拡大も効率的に目指せます

CRMでできること

ほとんどのCRMで顧客情報と対応履歴の管理はできます。ここでは、カスタマーサクセスと関連性を持たせる場合にあるといい機能についていくつか解説します。

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顧客データの分析

RCMには、顧客の氏名・年齢・性別・居住地・メールアドレス以外にも、各種問合せ・商談・購入(契約)の記録などの情報が蓄積されています。それらの情報を分析して、顧客ニーズや顧客インサイトを把握すれば、顧客に寄り添った提案が可能です。

RCMには、RFM分析・デシル分析・ LTV分析・行動トレンド分析など、数多くの分析方法が搭載されています。ただし、導入するRCMによって、分析方法の種類が異なるので、導入前に自社に必要な分析ができるかの確認が必要です。

マーケティングの支援

顧客情報の分析で、自社の商品やサービスに対する顧客の要求がわかれば、それを商品開発や施策に生かし、顧客満足度が上げられます。顧客満足度の向上は、リピート顧客の獲得につながり、LVT(顧客生涯価値)を高めるのに重要です。

RCMには、メール送信機能もあり、顧客のニーズ別送信も可能です。ニーズ別の送信では、該当ニーズに即した、より購買意欲が高まる記事の送信ができます。また、送信したメールの開封状況の記録が取れれば、新たな情報として活用できます。

カスタマーサポートの支援

RCMの機能の一つに、過去の問合せを管理する、問合せ管理機能があります。問合せの日時・問合せ者とその内容・対応状況・対応者などの情報が管理され、同じ人からの問合せでは、過去の問合せ事項も瞬時に確認できます。

顧客とのやりとりは企業としては大切な情報です。問合せ管理を自動化して業務の効率化を図るとともに、担当者間で共有して丁寧な対応をすれば顧客満足度を高められます。また、顧客の質問や意見は、品質の向上にもつなげられます。

他のシステムとの連携

CRMシステム単体では、すべての業務を網羅することはできません。企業によって強化を図りたい分野が異なります。CRMが得意とする顧客管理以外の分野も強化した場合は、その部分を担うシステムとCRMとのデータ連携も可能です。

よく連携されているツールには、SFA(営業支援ツール)・MA(マーケティングツール)・CMS(コンテンツ管理ツール)・ERP(基幹システム)などがあります。

カスタマーサクセスとは

カスタマーサクセスとは、商品やサービスを購入した顧客に、能動的に働きかけて成功体験につなげていく施策のことをいいます。その目的は、顧客ロイヤルティを高め、チャーンレート(解約率)の引き下げ、LTV(顧客生涯価値)の最大化を図ることです。

すなわち、カスタマーサクセスは、顧客の継続利用をすすめ、アップセルやクロスセルを実現することです。そしてカスタマーサクセスの実践には、顧客情報を集め、顧客のニーズの適確な把握が必要になります。

カスタマーサクセスが注目される理由

カスタマーサクセスが注目される理由の一つに、売り切り型営業から、サブスクリプション型営業への変化が、SaaS業界を中心に進んだことにあります。すなわち販売(契約)で終了していたビジネスから、販売(契約)から始まる継続的なビジネスへの変化です。

特にサブスクリプション型営業では顧客の長期的な継続契約が収益に直結します。そのため、顧客満足度を高める戦略が必要です。

また、インターネットの普及もカスタマーサクセスが注目される要因です。スマートフォンの普及で、誰もが簡単に商品やサービスの情報が得られるようになりました。消費者にとっては選択肢が多くなり便利ですが、企業側にとっては顧客離れの起こりやすい状況です。

そこで、顧客離れを防ぐために、顧客に使い続けてもらうための施策が重要となってきています。それを効果的に実現できるのがカスタマーサクセスです。

カスタマーサポートとの違い

カスタマーサクセスもカスタマーサポートも顧客に寄り添った活動という点では同じです。しかし、カスタマーサクセスは企業が能動的に働きかけるのに対して、カスタマーサポートは企業が顧客に対して受動的な対応という違いがあります。

カスタマーサポートは、顧客からの指摘から始まり、指摘された問題の解消のためのサポートで、顧客満足度を上げるのを目的としていて、直接的な収益はありません。代表的なのがお客様相談やクレーム対応です。

カスタマーサクセスは、顧客が商品やサービスを購入した時点から始まり、継続的に顧客の成功体験を実現することで、顧客満足度を上げ、LTV(顧客生涯価値)を最大化するのが目的です。

カスタマーサクセスでできること

自社にカスタマーサクセスを取り入れることで、さまざまなことができるようになります。ここでは、その中でも重要な部分を解説します。

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LTVの増大

カスタマーサクセスを取り入れる最終目的は、LTV(顧客生涯価値)の増大です。LTVとは、顧客一人がその企業にもたらした利益の総額のことで、売り切り型なら高額商品のリピートが増えるほど、サブスクリプション型であれば契約が長期に渡るほど高くなります。

カスタマーサクセスの実施では、顧客の成功体験を導き、顧客との良い関係を維持することが可能になります。それにより、顧客の購買意欲を引き出し、LTVの増大が期待できます。現代の課題は、既存顧客の中でLTVをいかに増大させるかです。

契約継続率の維持や改善

サブスクリプション型事業モデルを実施している企業や、これから始めようとしている企業にとって、契約継続率の維持や改善は、直接企業の収益にかかわる大変重要な課題です。カスタマーサクセスは、その課題を解決する有効なマーケティング手法です。

カスタマーサクセスは、顧客が商品やサービスを購入(契約)すると同時に始まり、顧客の状況を把握し、顧客理解を進めることで顧客に対する適切なアプローチを行います。その結果として、顧客満足度が高まり、契約継続率の維持・改善が期待できます。

CRMツールに蓄積されたデータを活用できる

カスタマーサクセスでは、顧客の状況把握のためのデータが必要です。カスタマーサクセスで必要な情報の多くは、CRMツールで蓄積され管理されています。CRMツールに蓄積された情報を利用してできるカスタマーサクセスの取り組みは多くあります

CRMとカスタマーサクセスの関係性

カスタマーサクセスの実施には、顧客を把握するためのデータが必須です。CRMには問合せ履歴・商談履歴・購買(契約)履歴が蓄積され、カスタマーサクセスの実施に重要なデータが管理されています。

たとえば、それらのデータの分析でできる、顧客にアプローチする際のアクセス方法やタイミングの決定は、適切なカスタマーサクセスの実施に欠かせません。また、CRMによる属性ごとの特徴の分は、カスタマーサクセスにとって重要な資料となります。

しかし、CRMだけでは、カスタマーサクセスに必要な分析のすべてができるわけではありません。カスタマーサクセスツールとCRMを組み合わせることで、さらに幅広いカスタマーサクセスが可能になります。

効率的なカスタマーサクセスにCRMが有用な理由

顧客数があまり多くない企業では手作業でカスタマーサクセスを行っているところもあります。しかし、顧客数が多くなると、実施までに時間がかかり、カスタマーサクセスで大切な顧客アプローチのタイミングを逃してしまう場合もあります。

したがって、データ入力からカスタマーサクセスまでを、効率的に行う必要があります。その点、CRMは作業の効率化も考えられた設計で、カスタマーサクセスの有用なツールの一つとなります。中には、カスタマーサクセスに強みを持ったCRMもあります。

まとめ

CRMは蓄積された顧客データを分析できるシステムです。そして、その蓄積されたデータや分析結果は、カスタマーサクセスで活用すれば、顧客満足度を高めることで優良顧客を増やせ、その結果が企業の収益アップにつながります。

しかし、カスタマーサクセスの手動管理には限界があり、顧客が増えれば、効率化が大きな課題となります。CRMは他のシステムとの連携も可能なので、カスタマーサクセスツールと連携させて併用すれば、効率化と同時に綿密なカスタマーサクセスが可能となります。

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