離職防止ツールとは?機能やメリット・デメリット、選び方を解説

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- 離職防止ツールとは、従業員のモチベーションや心境を把握するシステムである
- 離職防止ツール導入で、従業員へのフォローや自社の課題の改善に繋がる
- 離職防止ツール導入の際は、自社の従業員規模やフォロー内容が充実しているか確認する
離職防止ツールとは、従業員のモチベーションや心境をアンケートへの回答などによって把握できるシステムです。離職予兆を把握することで、フォローや労働環境の改善に繋がる効果があります。本記事では、離職防止ツールのメリット・デメリット、選び方などを解説しています。
離職防止ツールとは

離職防止ツールは、従業員の早期退職を防ぎ、企業の離職率を改善するためのツールです。簡単なアンケートを通して、従業員の労働意欲・職場への満足度・離職意志の有無などを客観的に把握できます。
従業員の定着率の向上は企業にとって重要な課題です。離職防止ツールの導入によって、最小限のコストで大切な人材の早期離職を防ぎやすくなります。
離職防止ツールが注目される理由
離職防止ツールが注目されている背景には、日本の離職率の高さがあります。厚生労働省による平成31年3月卒業者の離職状況調査では、大卒・新卒入社の従業員の31.5%が3年以内に離職しているという結果が得られました。
年齢が下がるほど新卒者の離職率は高くなり、たとえば高卒・短大卒の新卒社員の3年以内の離職率は約35〜40%にものぼります。従業員の早期離職は、企業に次のようなデメリットをもたらし、財務的な損失や競争力の低下などのリスクも招きます。
- 企業の安定的な成長・存続が危うくなる
- 採用・育成にかかったコストが失われる
- 新しい人材の確保にさらなるコストがかかる
- 職場全体のモチベーションが下がる
上記のようなデメリットの回避のためにも、従業員の離職防止対策は必須です。そこで注目されているのが、離職防止に効果を発揮するツールです。
参考:新規学卒就職者の離職状況(平成31年3月卒業者)|厚生労働省
離職に繋がる主な要因
従業員の早期離職を防ぐには、まずその原因を知らなければなりません。従業員の早期離職の主な原因としては、人間関係・不適切な労働条件やフォロー体制・適切でない人事評価が挙げられます。
いずれも従業員の心身に大きな負担をかけ、早期離職を加速させる要因です。以下でそれぞれ詳しく解説します。
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離職に繋がる主な要因
人間関係
離職の代表的な原因の1つが、職場の人間関係です。人間関係による問題は複雑なケースが多いですが、主に次のようなものがみられます。
- 職場でのパワハラ・いじめ
- 従業員同士が非協力的
- 職場の風通しが悪く、相談できる上司や同僚がいない
- 他の従業員の仕事を不当に押しつけられる
- 1人の従業員の独自ルールに振り回される(いわゆる「お局様」など)
人間関係による心理的ストレスが蓄積すると、仕事へのモチベーションが低下し、早期離職につながりやすくなります。中には、人間関係の悩みから心身の調子を崩し、やむなく離職するケースもあるため、早急な改善が求められます。
労働条件・フォロー体制
不適切な労働条件も早期離職の主な原因の1つです。働きにくい職場によく見られる労働条件を、以下にまとめました。
- 長時間労働
- 有給休暇が取得できない
- 無給の残業
体調を崩すほどの長時間労働や休暇の取得状況はもちろん、不十分なフォロー体制から退職に踏み切るケースも多くみられます。
また、従業員の教育体制・育成環境が整っていない職場は、スキルアップしにくい傾向があります。不十分な教育体制は、キャリアアップや昇給などにも繋がりにくいため、より良い職場環境を求めて離職する従業員は少なくありません。
給与など適切な評価がされていない
不適切な人事評価は従業員にとって不満を感じやすく、離職の大きな原因です。次のようなケースが該当します。
- 働きぶりに応じた昇給がない
- 上司の評価が不当に低い
- 同じ仕事をしているのに性別・学歴などで評価を差別されている
人事評価は、従業員の働きぶりや成果を正当に評価し、それに見合った処遇を決めるために重要なものです。しかし、働きに応じた人事評価がない場合、労働へのモチベーションは大きく低下し、やがて離職につながるおそれがあります。
離職防止ツールの導入目的
離職防止ツールの導入には、エンゲージメントの可視化・仕事へのモチベーション向上が期待できます。ツールの使い方によっては、従業員間のコミュニケーションの活性化を図ることも可能です。離職防止ツール導入の具体的な意義を解説します。
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離職防止ツールの導入目的
エンゲージメントを可視化
エンゲージメントとは、簡単に説明すると従業員の労働意欲を指し、企業組織・仕事に貢献意欲を持って取り組んでいるかの指標となります。エンゲージメントが高い従業員ほど仕事への満足度が高いため、離職の可能性は低いといえます。
エンゲージメントを可視化する離職防止ツールとしては、アンケート調査が代表的です。簡単な質疑応答から、仕事に対する各従業員の労働意欲の変化を客観的に分析します。
また、日頃の何気ない言動から隠れた本音を分析するツールや、企業システムへのアクセス数から働きぶり=労働意欲を数値化するツールもあり、自社のニーズや分析した指標に合わせて選ぶのがおすすめです。
エンゲージメントを可視化できれば、労働意欲が下がっている従業員を一目で把握しやすくなるでしょう。早期に適切なケアをすることで、従業員の離職を回避しやすくなります。
仕事へのモチベーション向上
離職防止ツールの中には、従業員同士でボーナス・メッセージを贈り合えるものもあります。代表的なのはピアボーナスという制度で、従業員同士で感謝・賞賛を示したいときの利用が一般的です。
ピアボーナスは、上司や評価担当者から一方的に評価されるのではなく、従業員同士で自発的に評価できるのが特徴です。そのため、現場での公平な評価につながり、従業員のモチベーション向上に期待が持てます。
ピアボーナスの多くは、ポイントとして付与されることが多いです。ポイントは給与に加算できるほか、ギフト券などへの商品交換も可能なため、福利厚生の拡充にも役立ちます。
コミュニケーションの活発化
離職防止ツールには、従業員同士のコミュニケーションの活発化も期待できます。例えば、エンゲージメントの可視化によって、労働意欲の低下を把握できると、ヒアリングなどの個別コミュニケーションの機会が生まれます。
ピアボーナスの導入は「褒められたい」という承認欲求の喚起に役立つため、自然と従業員同士の交流が生まれやすくなるでしょう。コミュニケーションの活発化は、職場の風通しの良さにもつながります。
離職防止ツールのタイプ
離職防止ツールは、大きく分けると次の2タイプがあります。それぞれ得意分野が異なるため、自社の状況にあわせて使い分けましょう。各タイプの特徴・メリットなどを紹介します。
- コンディションケア重視タイプ
- モチベーション向上重視タイプ
それぞれ得意分野が異なるため、自社の状況にあわせて使い分けましょう。各タイプの特徴・メリットなどをご紹介します。
コンディションケアに重点を置いたタイプ
従業員のコンディションのケアに重点を置いたタイプは、過剰労働による疲労・体調不良や、人間関係にもとづく心理的ストレスの軽減に役立ちます。
離職の原因の多くは不適切な労働条件や人間関係のストレスですが、従業員によってはそういった本音をはっきり言えない場合もあります。
コンディションケアに重点を置いた離職防止ツールは、従業員のストレス・心身の健康度合いをチェックできます。隠された本音を把握できるため、労働意欲の減退・疲労度を迅速に発見でき、早期に適切なケアを行いやすくなるでしょう。
コンディションケア重視タイプのツールの中には、離職従業員のデータの蓄積・分析ができるものもあります。膨大なデータを参照することで、将来的に離職を選択しやすい「離職予備軍」の洗い出しも可能になります。
モチベーション向上に重点を置いたタイプ
モチベーション向上タイプは、従業員のモチベーション向上に役立つ機能が充実しているのが特徴です。各従業員のモチベーションを細かく分析することで、個別に適切なフォロー体制を敷きやすくなります。
代表的なのはピアボーナス・掲示板・チャットなどの機能で、これらは従業員同士のコミュニケーションの活発化に役立ちます。従業員同士がお互いに励ましあう環境を作ることで、組織や仕事への愛着心を持ったり、誰かに相談しやすい環境を整えられます。
また、目標の設定や進捗状況・成果を測る機能を搭載したツールも有効です。従業員の働きぶりやノルマ達成率を可視化できるため、従業員同士の切磋琢磨を期待できます。
他にもフィードバック機能を備えたツールの場合、たとえ今回は失敗しても「次はこうしよう」という明確な道筋を立てやすくなるため、モチベーションの向上に期待できるでしょう。
離職防止ツールの機能

離職防止ツールには、採用時のミスマッチ防止・コンディションケア機能など、さまざまな機能が搭載されています。搭載機能はツールによって異なるため、自社にはどの機能が必要か吟味しましょう。
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機能 | 主な内容 |
---|---|
採用のミスマッチ防止機能 | 入社後すぐに離職しそうな従業員のチェック |
コンディションケア機能 | 各従業員の心身の不調チェック |
エンゲージメント調査 | 企業・組織への愛着や貢献意欲のチェック |
モチベーション向上機能 | 各従業員の労働意欲の向上 |
分析・データ蓄積 | 離職者のデータの蓄積・分析 |
採用のミスマッチ防止機能
採用ミスマッチ防止機能では、入社後すぐに離職する可能性が高い従業員を洗い出せます。求職者と企業がマッチするかどうかは、採用の段階では正確に判断しにくいのが実情です。
求職者と起業のマッチの可否は、企業風土・上司や同僚との相性によって決まりますが、実際に働いてみなければ分からない点も多いです。そこで、ミスマッチ防止機能を使うことで、面接ではわからないような求職者の隠れた人となりを把握しやすくなります。
たとえば、ストレスを感じやすい環境・相性が良い上司や同僚のタイプをキャッチすれば、自社に適した人材かどうかを見極められます。ハキハキ意見を述べることを好む企業風土の場合、控えめな性格の求職者はチームに馴染めず、積極的に発言できない恐れがあります。
また、1人でどんどん仕事を進めたい場合、チームプレーを求める上司・同僚が多い職場は向いていない可能性もあるでしょう。入社後の定着率を高めるためにも、ミスマッチ防止機能を利用して、自社に適した人材・入社後に活躍できそうな人材を選ぶ必要があります。
コンディションケア機能
コンディションケア機能では、従業員の疲労・メンタルヘルスの把握や個別フォローが可能です。特に規模が大きな職場では、各従業員のコンディションのフォローまで管理者だけでは行き届かず、悩みを抱えている側も自分の状況を伝えにくい場合も少なくありません。
コンディションケア機能には、チャットが備わっているツールも多いです。そのため、気軽に上司・同僚に連絡できる環境が整い、心身のコンディションが悪化した場合でも、いち早く誰かに相談しやすいでしょう。
それでも1人で悩みを抱えてしまう従業員は、一定数存在します。ツールによっては、従業員のストレス・疲労度を定期的にチェックできるものもあるため、コンディションの悪化を相談できずにいる従業員を管理職側からフォローすることもできます。
エンゲージメント調査
エンゲージメント調査機能では、各従業員の企業・組織への貢献意欲を可視化できます。従業員のエンゲージメントが低下すると、指示待ちが増えたり、意見の発信やチームとの関わりが減るなど、仕事に対して受け身になり貢献意欲が低くなる傾向にあります。
貢献意欲の減退は、仕事への消極化や離職につながります。離職防止ツールのエンゲージメント調査によって、定量的なデータとして従業員の貢献意欲や満足度を把握できるため、早期離職を防ぐためにも定期的な調査がおすすめです。
モチベーション向上機能
モチベーション向上機能では、従業員の労働意欲の向上を図れます。たとえば目標設定だけでなく、目標に至る過程や最終的な成果も細かく記録・分析できます。
自分の働きぶりを振り返ることは、今後の成長やモチベーションの向上に重要です。細かな働きぶりを管理職がチェックできるため、公平で適切な評価・フィードバックが可能になる点もメリットです。
「誰かが見てくれる・評価してくれる」という実感は、仕事へのモチベーションアップにつながるでしょう。
分析・データ蓄積
離職防止ツールの多くには、離職者のデータの蓄積・分析機能が搭載されています。離職理由を対面で引き出すのは難しく、正確な退職理由を伝えずに離職するケースは多いです。
しかし、離職防止ツールには、ストレス要因・不満の傾向を分析する機能が備わっています。また、離職者の声を匿名で収集できる仕組みがあるツールもあるため、離職者のデータから離職原因を把握でき、職場環境や労働条件の改善に役立ちます。
さらに、現従業員と過去の離職者の傾向を比較することによって、今後離職する恐れのある従業員の把握・早期フォローが可能になるでしょう。
離職防止ツールのメリット

離職防止ツールには、従業員の内面の可視化・離職者のデータ蓄積・従業員の満足度の向上など、さまざまなメリットが期待できます。使い方によっては、企業の収益や成長につながります。
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離職防止ツールのメリット
従業員の内面を可視化できる
離職防止ツールは、従業員の隠れた内面を可視化できます。離職はとても繊細な問題であり、離職に追い込まれるほどの心身の不調を抱えていても、上司や周囲に相談しにくいケースも多いです。
本人が本音を隠そうとしている以上、周囲の従業員が離職の予兆に気づきにくく、その結果として、突然の離職が起こります。
離職防止ツールを導入することで、ストレス度や疲労度・モチベーションなど、各従業員の内面の些細な変化を把握しやすくなります。離職の予兆を素早くキャッチできるため、早期の離職防止対策も講じられるでしょう。
離職者のデータから要因を分析できる
離職防止ツールでは、離職者のデータ収集も可能です。過去の離職者のデータ分析は、離職要因の明確化につながるため、現従業員に対して早期に対策を取りやすくなります。
たとえば、離職の原因が管理職のマネジメントスキル不足・職場環境・労働条件と判断できれば、配置換え・仕事量の見直し・休職といった対策を考えられます。また、過去の離職者の傾向や、行動パターンを分析できる点も大きなメリットです。
離職者に目立つ性格を把握しておけば、採用の段階であらかじめミスマッチを低減できます。従業員の態度・行動の変化が離職者の行動パターンと合致する場合は、離職の予兆ありと判断して対策を取りましょう。
従業員満足度の向上
離職防止ツールの導入には、従業員の満足度の向上効果も見込めます。離職防止ツールの活用により、離職しにくい職場環境、すなわち多くの従業員が快適に働ける職場環境が整うためです。
職場環境が改善されると、単純に働きやすくなるだけでなく、従業員が「この会社は自分を大切にしてくれている」という思いを抱きやすくなります。企業や組織への愛着・貢献意欲がわきやすくなるため、従業員が定着しやすくなるでしょう。
従業員の満足度の向上は、仕事へのモチベーション向上につながります。個別の生産性がアップすれば、企業全体の収益アップや成長も期待できます。
人手不足の解消
離職防止ツールの利用で従業員の定着率が上昇することで、人手不足を解消できます。新たに採用した従業員が定着すれば、人員の補充が完了したことになり、人手不足が解消されます。
採用をしても離職率が高ければ人手不足問題を解決することはできないため、離職防止ツール導入による定着率の向上は大きなメリットと言えます。
採用・新人教育コストの削減
離職率が低下することで、採用業務や新人教育にかかるコストを削減できます。新入社員の採用には、募集に対するコストが発生し、採用した後も教育のための人件費がかかります。
従業員が安定して定着している職場は、年に複数回採用を繰り返す必要がなく、コストの安定にもなります。そのため、離職防止ツールによって、企業の離職率改善を図ることで、大幅なコスト削減になります。
人事担当者の負担軽減
離職防止ツールは、人事担当者の負担を軽減できるというメリットもあります。従来のやり方では人事担当者は従業員それぞれと面談などで向き合い、離職の兆候の有無を探らなくてはなりませんでした。
離職を考えている従業員に対しては有効ですが、全く離職を考えていない従業者に時間・手間を割くのは、人事担当者にとって大きな負担になります。特に従業員規模が多い企業では、それぞれと面談する時間も短く、個別に柔軟なフォローが行き届きにくくなります。
細心の注意を払っていても、対応漏れによって離職者を出してしまうこともあるでしょう。しかし、離職防止ツールなら、離職の傾向がある従業員をピックアップし、人事担当者が注力すべき範囲を絞れるため、時間や手間の削減に繋がります。
コンディションケアタイプの離職防止ツールでは、離職の可能性がある従業員に対して一定のフォローも行えます。最終的に人事担当者の出番になることもありますが、作業の一部をツールに業務を任せられるため、結果として大きな効率化を図れます。
企業の社会的イメージアップ
離職防止ツールによって離職率を改善できると、企業の社会的イメージがアップしやすくなります。離職者が少ない企業はクリーンなイメージを持たれやすいため、取引先や顧客からの評価も上がります。これは、ビジネスチャンスを広げるうえでも大きなメリットです。
離職率が下がって優良企業と認知されれば、求職者の増加も見込めます。求職者が増えるほど優秀な人材も獲得しやすくなるため、企業の成長・安定を期待できるでしょう。
離職防止ツールのデメリット

離職防止ツールにはデメリットも存在します。離職防止ツールを使いこなして離職率を下げるには、あらかじめデメリットを把握して対応策を講じておく必要があります。
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離職防止ツールのデメリット
効果が分かりづらい可能性がある
離職防止ツールを導入する際は、効果が分かりづらいことがある点に留意しましょう。離職防止ツールは、離職者のデータ分析・従業員の内面の可視化などによって離職を防止します。
いずれも一定量のデータが必要になるため、導入効果を実感できるまである程度の時間がかかるのです。離職防止ツールの効果を図るには、時間がかかることを念頭に置いたうえで、一定期間続けることが大切です。
即効性がないからといってすぐに利用を中止すると、正確な効果がわからないまま終わってしまいます。導入効果を得るためには、少なくとも1年間など利用期間を設定し、結果を焦らずに使い続けましょう。
スパンの間に定期的な振り返りを行うことも大切です。もしツールが機能していないと感じる場合は、利用方法の見直しや従業員への周知を行いましょう。
コストがかかる
離職防止ツールの導入の際は、初期費用や利用料などの運用コストが発生します。月額利用料の場合、月あたり数百円〜数万円と幅が広く、それぞれ搭載機能・利用制限人数が異なります。
ランニングコストを計算せずにツールを導入すると、想定外の支出につながることもあります。コスト面での失敗を防ぐには、自社の使用ニーズを明確にし、自社が必要とする機能が備わったツールを選ぶことが重要です。
たとえば、従業員の疲労・ストレス軽減を重視する場合は、コンディションケアに特化したツールが適しています。一方で企業全体の士気向上を目指すなら、モチベーション向上タイプのツールがおすすめです。
また、導入にかかる費用と期待できる効果を比較検討することもコストを無駄にしないためのポイントです。十分にメリットを得られそうであれば、費用対効果も高くなり、離職防止ツールの導入に失敗するリスクを防げます。
離職防止ツールの選び方

離職防止ツールは、利用方法を誤ると思った効果を得られなかったり、予想外の出費につながったりするおそれがあります。ここからは、失敗しないための離職防止ツールの選び方についてご紹介していきます。
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離職防止ツールの選び方
カバーできる人事業務の範囲を確認
離職防止ツールを導入する際は、カバーできる人事業務の範囲を確認しておきましょう。ツールによっては、タレントマネジメントや人材採用、人材配置の最適化といった幅広い業務に対応した機能も備わっており、人事担当者の負担軽減に繋がります。
より広範囲の業務をカバーしたい場合や、人事業務全体のシステム化を進めたい企業には、このような離職防止ツールが適しています。一方でカバーできる業務が広いツールは、コストも高額になりやすいため、事前に必要な機能や自社の課題を洗い出すことが重要です。
コストを確認
離職防止ツールには、初期費用や月額費用、従業員数に応じた課金など、さまざまな費用が発生し、ある程度のランニングコストがかかります。また、効果をすぐに実感しづらいため、時間的なコストも視野に入れなければなりません。
コストを抑える方法として、自社の現状から必要な機能は何かを確認し、優先順位をつけるのがおすすめです。絶対に必要な機能、あれば嬉しい機能、無くても十分な機能といったように分類することで、コストが高額になることを防げます。
また、コスト面での失敗を防ぐには、導入前に費用対効果の計算・検討も重要です。費用対効果を考慮することで、コストの割に効果を得られないといった失敗を回避でき、システムの導入し直しといったリスクも防げます。
自社の従業員数に合っているか
離職防止ツールは、従業員数によって利用できる機能やサービスが異なったり、利用できる人数に制限が設けられているものも多くあります。また、企業規模によって向いているツールも異なるため、従業員数を考慮して選ぶのがおすすめです。
例えば大企業の場合、従業員数が多いことで一人ひとりのコンディション把握が難しいため、定期的なパルスサーベイの実施が望まれます。一方で小規模企業は、従業員同士の距離感が近いことも多く、簡易的なコンディションチェックでも十分なケースもあります。
効果の最大化を図るには、ツールごとの適切な利用対象者数を把握し、自社の規模に合ったツールを選ぶことが大切です。
使いやすさを確認
管理職・一般社員の双方にとって使いやすいかどうかも、離職防止ツール選定に重要なポイントです。具体的なチェック項目は次の通りです。
- 操作性:誰にでも使いやすいツールや入力方法か
- デザイン:性別・年代を問わずに受け入れやすいデザインか
- コンサルティング機能:実効性のある施策の提示があるか
実際にツールをテスト運用してみることで、導入後の費用対効果を具体的に想定しやすくなります。また、公式サイトや資料を見て自社に適していると感じても、トライアルによって思いがけない問題点が見つかることも少なくありません。
離職防止ツールに限らず、システムは実際に利用してみないとわからないことも多いため、無料トライアルがある場合は、積極的に活用しましょう。
フォロー研修などのサービスが充実しているか
離職防止ツールは、あくまで離職の予兆がある従業員を発見するためのツールです。その後の具体的な離職防止策は企業に委ねられます。離職防止の施策まで任せたい場合は、フォロー代行制度やコンサルティングなどのサービスを提供するツールがおすすめです。
ツールによっては、フォロースキルを磨くための研修を提供している場合もあります。自社のフォロー状況と照らし合わせながら、導入を検討しましょう。
他社の導入事例をチェック
離職防止ツール導入の失敗を防ぐには、他社の導入事例をチェックするのも有効な方法です。自社と同じような悩みを抱える企業の事例を確認することで、運用イメージが湧きやすくなります。
また、どの程度の成果を見込めるか、どのようなデメリット回避対策を取るべきかを参考にできるケースもあり、初めて離職防止ツールを導入する企業や、どのように活用すれば良いかわからないといった場合にもおすすめです。
セキュリティ対策が万全か
離職防止ツールでは、従業員の個人情報や自社の機密情報を取り扱うことも多いです。そのため、どれだけ自社で情報の扱いに関する対策が強固でも、ツール自体のセキュリティ対策が不十分だと、第三者の不正アクセスや情報漏洩が発生する可能性があります。
情報が外部に流出すると、自社の従業員だけでなく取引先からの信頼性を損なう恐れがあるため、ベンダーのセキュリティ対策もチェックしておきたいポイントです。例えば、データの暗号化や第三者機関からの認証などを確認しておくことがおすすめです。
まとめ

離職防止ツールは従業員の内面の可視化・離職者のデータ分析によって、早期離職の防止や離職率の改善に繋がります。早期離職が多い場合、人材の定着が難しく一年に何度も採用を行ったり、他の従業員のモチベーションにも影響を与えます。
離職防止ツールによって担当者の負担を軽減しながら、離職兆候のある従業員を適切にフォローでき、人手不足の解消も図れます。一方で、離職防止ツールの利用にはある程度の時間・費用コストが発生する点に留意しなければなりません。
デメリットを抑えるには、あらかじめ有効な対策を講じることが大切です。離職者を減らし、職場の定着率を向上させることは、企業の成長や社会的イメージアップにもつながります。本記事の内容を参考に離職防止ツールを導入して、早期離職者の低減に努めましょう。
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