アルムナイとは?メリットや運用を成功させるコツをわかりやすく解説

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  • アルムナイは自社の退職者・元従業員を指し、多様な働き方に適した採用方法である
  • アルムナイの採用によって、即戦力になる人材の確保や採用コストの削減に繋がる
  • アルムナイの運用では、現役社員の理解を得ること・待遇が公平になるような考慮が重要

アルムナイは日本語で「卒業生」を意味し、企業を離職・退職した人を指して使われます。アルムナイ採用は退職者などを積極的に再雇用する仕組みであり、特に外資系企業で行われています。本記事では、アルムナイの語源や導入するメリット、成功させる運用のコツなどを解説します。

目次

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  1. アルムナイとは
  2. アルムナイを導入するメリット
  3. アルムナイを導入するデメリット
  4. アルムナイの運用を成功させるコツ
  5. アルムナイの導入における注意点
  6. まとめ

アルムナイとは

アルムナイとは、転職などを機に自社を退職した、元社員である人材を指します。雇用の流動性が高まってきた日本でも、一度退職した従業員の採用や交流の機会を持つ「アルムナイ採用」や「アルムナイ制度」が徐々に取り入れられるようになりました。

ネガティブなイメージが強い「退職」ですが、アルムナイ採用では、他社で得た知見を活かして自社で再び働くというポジティブな捉え方で採用されます。ここでは、アルムナイの意味やアルムナイが注目されている理由を解説します。

アルムナイの意味・語源

アルムナイの語源は英単語の「alumni」で、卒業生や同級生という意味です。企業やビジネスの場においては、自社の退職者や元従業員のことを指します。また、学校に関する同窓会のようなつながり方で、退職した企業との交流を続けることも意味します。

アルムナイとジョブリターン制度の違い

アルムナイとジョブリターンはよく似たイメージですが、自発的に退職したか否かで扱いが異なります。一般的にアルムナイは、転職や環境などを理由に退職を選んだ従業員の再雇用、ジョブリターンは出産や介護など、私生活の事情を理由に退職した従業員の採用です。

アルムナイ採用は、退職後に新たなキャリアを積んでいることが多く、再雇用によって社内に新たなスキルや知見を広めることになります。そのため、優秀な人材として活躍が期待される傾向にあります。

アルムナイ採用とは

アルムナイ採用は退職した元従業員を採用することにより、出戻り採用とも呼ばれます。海外や外資系企業では導入が進んでいましたが、近年では日本の大企業の多くがアルムナイ採用を始めています。

アルムナイが注目されている理由

アルムナイ採用が注目されるのは、人材の流動化によって優秀な人材の確保が困難になったことが大きな理由の1つとされています。従来までの日本では当たり前だった、終身雇用の概念が徐々に薄れ、転職や離職を選ぶ人が増えて企業に人材が定着しづらくなりました。

また、近年はフリーランスや副業など、多様な働き方が浸透しています。このように、新しい可能性に挑戦したいと思う人材が増えたことも、人材が流動しやすい理由の1つでしょう。

そして、流動の激しい環境に対応するため、企業は採用や人材育成戦略を求められ、アルムナイが施策の1つとして注目されるようになりました。自社の文化や雰囲気を理解していながら、他社でキャリアを積んだアルムナイは、企業にとって大きな価値のある存在です。

アルムナイを導入するメリット

アルムナイを導入することで組織が活性化し、自社に様々なメリットをもたらします。ここでは、アルムナイを導入するメリットを解説します。

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即戦力になる人材の採用ができる

アルムナイを導入することで、即戦力になる人材の採用ができるようになります。それは、自社での業務経験を持ちながら、他社でキャリアを積んで多くの知識や経験を得ているためです。他社経験のある、アルムナイならではの視点で業務に取り組めるでしょう。

また、アルムナイを採用する場合は、すでに人材が自社の文化や企業理念を理解している状態で再度入社を決めています。そのため、入社後のミスマッチによる離職が避けられることにより、即戦力として活躍しながら自社への定着が期待できます。

離職率の改善

アルムナイの退職理由を参考にすることで、離職率の改善ができるメリットがあります。具体的には、人材との交流などを通じ、退職面談時には把握しきれなかった退職者の本音を聞き出すことができます。

アルムナイの意見をもとに、職場環境の見直しや制度の改善などを行えば、在籍している従業員が同じ理由で退職することを防げる可能性があります。そして、離職率が改善されれば、従業員の自社へのエンゲージメントが高まり、組織力の向上にも期待できます

採用・育成コストの削減

アルムナイ採用を行う場合、採用や育成のコストが削減できるメリットがあります。例えば、採用にかかるコストとしては、広告費やイベント運営費、求人の掲載費などが挙げられます。

アルムナイは、自らの応募や多くの採用工程を省きながら採用に進むため、採用確定までのコストが大幅に抑えられます。また、自社について業務内容などをすでに把握しているアルムナイは、入社後のミスマッチも起こりにくいです。

また、自社や他社での業務経験を持つアルムナイは即戦力となるため、人材の教育・育成が必要最低限で済みます。退職前とアルムナイ採用後では業務のやり方が変わっている可能性もありますが、新入社員に必要とされる教育内容は省略しやすいでしょう。

教育・育成に関しては、コストだけでなく他の従業員の手間も削減することができます。これにより、従業員が業務に集中できる時間が増えるため、生産性の向上にも期待できます。

企業ブランディングの強化

アルムナイ採用やアルムナイ制度を取り入れている企業は、「退職した従業員が戻りたいと思える魅力的な会社」として、他社や求職者の目に映ります。そのため、企業ブランディングが強化できるのもメリットの1つです。

また、アルムナイが他社の業務で培ったスキルや知識、経験をもとに、新しいアイデアや改善を提案することもあるでしょう。そして、企業が従業員の声を反映して改善を続けることで、従業員の満足度の向上にもつながります。

従業員の満足度の向上は組織の活性化にもつながるため、自社ブランドに新たな価値が加わることも期待できます。

客観的なアドバイザーとして機能

アルムナイは業務を俯瞰し、従業員へのアドバイザーとして機能するメリットがあります。それは、他社での知見を活かして、第三者からの客観視ができるためです。仮に、自社でのやり方しか知らないと、より効率の良い方法に気がつけない場合もあるでしょう。

しかし、他社でのやり方を知っているからこそ、自社での課題や改善すべき点が見えるようになります。また、その際には、従業員の受け入れ態勢など、アルムナイがアドバイスしやすい環境を整えることも大切です。

社外の貴重な情報源になる

アルムナイと関係を維持しておくことで、社外の貴重な情報源になるメリットがあります。具体的には、アルムナイとして自社と交流を続けていれば、転職先や他業界の動向を知るきっかけになることがあります。

また、アルムナイが知人を求職者として紹介し、採用につながることも考えられます。このように、退職後も良好な関係を続けることで新しい出会いや情報共有ができるのは、双方へのメリットが大きいと言えるでしょう。

アルムナイを導入するデメリット

アルムナイを導入する際は、デメリットを理解しておくことが大切です。事前に対策を立てておくことで、制度の導入が上手く進むでしょう。ここでは、アルムナイを導入する際のメリットを解説します。

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現役従業員に不満が生じる可能性がある

退職にネガティブなイメージを持つ従業員は、アルムナイの採用に不満を抱える可能性があります。特に、アルムナイの認知度が浸透していない中で採用が行われた場合、他の現役従業員からの理解を得にくくなるでしょう。

また、アルムナイは業務経験や社内での活躍から、高待遇になる傾向にあり、アルムナイが既存の従業員よりも高待遇な場合も、従業員の不満が生じやすいです。

反対に、既存の従業員を気遣って低い待遇にしてしまうと、アルムナイのモチベーション低下に繋がってしまいます。そして、アルムナイが職場に居心地の悪さを感じます。アルムナイの導入を決めた際は、従業員の周知や社内教育を通して理解度を深めることが重要です。

情報漏洩のリスク

アルムナイは一歩間違えると、情報漏洩してしまうリスクを抱えています。それは、アルムナイ制度の導入に向けた交流会やアルムナイとのやり取りでは、元従業員という安心感から、社外秘の情報を話してしまう危険性があるためです。

アルムナイとはいえ、未だ採用されていない状態であれば社外の人材です。そのため、アルムナイとの接点を持つ従業員には、情報漏洩につながる行為をしないよう、徹底的に注意喚起をしておく必要があります。

関係維持にコストがかかる

アルムナイとは、関係の維持にコストがかかることも懸念されます。例えば、アルムナイとのつながりを保つための専用サイトの構築や、イベントの運営費など、関係の維持には時間とコストが必要です。それにより、導入がなかなか進まないこともあるでしょう。

ただし、ビジネス面での情報共有や即戦力となる人材の再雇用の可能性など、アルムナイがいることによるメリットも大きいです。そのため、アルムナイ制度で得られるメリットを十分に考慮し、計画的に導入することが大切です。

アルムナイの運用を成功させるコツ

アルムナイは、ただ退職者と交流したり採用したりすればいいものではありません。アルムナイの運用を成功させるには、事前の準備やコツを抑えて進めることが大切です。ここでは、アルムナイの運用を成功させるコツを解説します。

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アルムナイ制度を社内に周知させる

アルムナイ制度について従業員に周知し、浸透させることは必要不可欠です。未だ日本で一般的ではないアルムナイ制度は、正しい認識を持たないと、「一度退職したのに」という考えを持ちながら、アルムナイに接する従業員が発生する可能性があります。

そして、アルムナイ自身も一度退職したことに少なからず引け目を感じているため、厳しい態度を取られると働きづらく感じることもあります。よって、アルムナイ制度を有効活用するためには、制度の意義や自社が必要とする理由を含め、社内教育を徹底しましょう。

企業に復職するための条件の明確化

アルムナイ採用では、安易に離職したとしても、従業員が戻れるわけではないことを周知する必要があります。従業員に「誰でも復職できる」というイメージが浸透するのを防ぐためにも、アルムナイが復職する際の条件は明確化しなければなりません。

また、アルムナイにおいても、「よくできる人だったから」という理由で採用するのは避けましょう。過去の在籍時と現在では仕事環境も業務要領も変わっていることが多いため、現在の姿・能力から採用の可否を判断することが大切です。

給与や待遇への考慮

アルムナイ採用は高待遇になる傾向にありますが、給与や待遇は妥当性を重視する必要があります。例えば、他の従業員と比べて高すぎる設定では不満を与えやすくなり、かえって低すぎてもアルムナイのモチベーション低下につながります。

そのため、待遇を決める際は、中途採用時のような要領で経験やスキルにコミットすることが大切です。退職者である旨は考えず、その人自身の評価で決めれば、説明を求められた際にも論理的に理由を伝えられるでしょう。

多様な価値観を受け入れるための体制を整える

アルムナイ制度やアルムナイ採用を導入する際は、多様な価値観を受け入れる体制を整えることが大切です。具体的には、社員教育や日常業務で価値観を振り返る機会を用意し、従業員に受け入れられることによって、アルムナイ自身も働きやすくなります。

また、アルムナイに限らず、多様な価値観を受け入れられる企業は、柔軟な発想を持ち臨機応変な対応ができる企業であるという印象を与え、優秀な従業員が集まりやすくなります。

アルムナイの導入における注意点

アルムナイ制度を導入する際には、利用における効果を高めるために、いくつかの注意点も認識しておく必要があります。ここでは、以下のアルムナイの導入における注意点を解説します。

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企業価値を高めなければならない

アルムナイを採用する際には、優秀な人材を選定することが重要ですが、それよりも企業自体の価値を高めることの方が重要です。それは、アルムナイが今後も関わっていきたいと思える企業、キャリアアップなどにつながる企業であると感じる必要があるからです。

アルムナイが退職した理由は様々であり、それぞれに企業へ求める条件や働き方のビジョンが存在します。そのため、また働きたいと感じる企業の存在価値を高めることで、さらに優秀な人材の獲得や離職率の増加防止にも寄与します

大切な人材を雇用する意識を持つ

アルムナイだからといって特別な人材であるわけではなく、社内で業務を遂行するすべての従業員が大切な1人の人材です。つまり、新規採用と同じように、今後の企業に大きな利益をもたらす人材であることを想定しながら、大切な人材を雇用する意識を持ちましょう。

採用側の意識の変化によっても、企業が与えるイメージは変化します。よって、アルムナイだけを特別視するのではなく、一人ひとりを大切にする風土を保つことで、優秀な新規採用者の応募率増加にもつながるでしょう。

まとめ

アルムナイとは、一度退職した従業員を意味し、採用したり交流の機会を設けたりなど、退職後にも企業と関わりを持つことをアルムナイ制度といいます。近年の国内においても、即戦力採用につながるアルムナイ制度は、人材の流動化対策として期待されています。

アルムナイは、他社での経験を活かしたアドバイスやブランディングの強化につながるメリットがありますが、関係維持コストの懸念点もあり、導入が進まない企業が多いです。

また、アルムナイ制度を導入する際は、従業員にアルムナイの意義を浸透させたり、復職条件を明確にすることが大切です。そして、アルムナイを筆頭に、様々な価値観を受け入れられる従業員が増えれば、環境の変化に対応しやすい企業を目指すことができます。

人材不足による人材の確保や、離職率などの改善を行いたい企業は、アルムナイ制度を導入して組織力を向上させましょう。

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