請求書発行システムの費用相場は?選ぶ際のポイントなども解説

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  • クラウド型の請求書発行システムの月額料金は、ユーザーごとに費用がかかる場合がある
  • 無料の請求書発行システムは、取引社数や請求書発行数が少ない個人事業主向けが多い
  • 請求書発行システムを選ぶ際は、自社が抱える課題から効率化できる業務範囲を確認する

請求書の作成や発行業務を効率化できる請求書発行システムですが、導入を検討する際は費用面について知っておきたい企業も多いでしょう。本記事では、請求書発行システムの費用相場やシステムを選ぶポイント、また無料の請求書発行システムについても解説しています。

目次

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  1. 請求書発行システムとは
  2. クラウド型の請求書発行システムのコスト・料金相場
  3. 無料で利用できる請求書発行システムはあるのか
  4. 請求書発行システムを選ぶ際のポイント
  5. 請求書発行システム導入時の注意点
  6. 請求書業務の代行サービスもある
  7. 気軽に利用できるのはクラウド型の請求書発行システム
  8. まとめ

請求書発行システムとは

請求書発行システムとは、請求書の作成や発行を行うシステムのことです。近年では作成だけでなく発行や送付などを一連で行えるシステムもあり、経理業務の効率化が期待されています。

請求書発行システムにはさまざまな種類があり、今まで手作業で行っていた請求書関連業務の多くをシステム上で行えるほか、請求データを利用したデータの分析や書類の作成なども可能です。

請求書発行システムの主な機能

請求書発行システムは商品によりさまざまな機能を備えています。多くのシステムに共通する代表的な機能は次の通りです。

  1. 請求書・納品書・支払明細書などの作成
  2. 請求書のメール送付・郵送
  3. 決算書の作成
  4. 書類の保存・管理
  5. 自動入金消込
  6. 他システムとの連携
  7. 法制度への対応

主な目的である請求書の作成や発行以外にも、関連書類の作成やデータの連携など多くの機能があります。請求書の発送方法も選択可能で、電子化したものをメール送付やクラウドへのアップロードで行うほか、郵送代行に対応しているものもあります。

請求書発行システムの導入メリット

請求書は、必須項目を満たしていれば手書きやExcelなどでも作成できます。一定以上の規模で取引がある場合、あまり手書きで作成されることはありませんが、Excelで自作またはテンプレートを活用して請求書の作成を行っている企業も少なくありません。

Excelを用いて請求書を発行する場合、送付の際は紙に印刷して郵送するか手作業でPDFに変換しメールで送付することが必要になります。また、入力は手で行う必要があり、他システムとの連携や決算データの作成などにも対応していません。

請求書発行システムを導入した場合、部分的な請求データを入力するだけで簡単に請求書を作成できます。また、発行以降の作業を自動化できるため、ヒューマンエラーを防ぎミスの削減につながります。

さらに、インボイス制度をはじめとする新たな法制度の改正にも対応可能なシステムが多くあります。請求書の電子化やペーパーレスが推進される中、請求書発行システムの導入によるメリットはますます大きなものとなっています。

クラウド型の請求書発行システムのコスト・料金相場

請求書発行システムにはいくつかの種類がありますが、現在はクラウド型のものが主流です。クラウド型の請求書発行システムの場合、導入にかかる初期費用に加え、毎月の月額使用料が発生します。

システムの機能性や使用する企業の環境や取引先の数によっても異なりますが、おおよその相場価格は次の通りです。

費用相場費用
初期費用20,000円〜300,000円程度
月額費用2,000円〜50,000円程度

クラウド型のシステムの場合、1事業所あたりの費用ではなくユーザー数やアカウントのライセンス数に応じた料金を選択できる場合もあります。

無料で利用できる請求書発行システムはあるのか

請求書発行システムの導入にかかる費用がネックになり、判断を迷ってしまう場合があります。無料で利用できる請求書発行システムも一部存在していますが、発行できる請求書や登録できる取引先の数に制限があるものが多いです。

中には無料で発行できる請求書の数が5通までというシステムもあり、個人事業主の利用を前提としたものが多いです。

請求書発行システムを選ぶ際のポイント

請求書発行システムを実際に導入する場合、多くのシステムの中から自社に適したものを選ぶ必要があります。ここでは特に重要と思われる選び方のポイントを解説していきます。

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効率化できる業務範囲を確認

請求書発行システムを選ぶ上で重要なポイントの1つは、自社の請求書発行業務をどこまで効率化させたいかを明確にしておくことです。請求書発行システムにはさまざまな機能がありますが、オーバースペックなものを導入してしまうと無駄なコストがかかってしまいます。

経理業務のどの部分を効率化したいか・決算業務を自社で行っているかなどの条件によっても、必要な機能は変わってきます。途中から機能を追加できるシステムもあるので、システムの仕組みや機能を十分に把握して検討してみてください。

操作性を確認

請求書発行システムは、実際に使用する担当者との相性も重要です。高い機能を備えていても、操作性が悪いと機能をうまく活用できません。操作方法の理解に時間がかかると、かえって業務の効率が低下してしまう場合もあります。

有料のシステムでも無料のトライアル版を使用できるものもあるので、実際に導入する前にいくつかのシステムを使用してみて、操作性を確認してから決めるのも一つの手です。

セキュリティを確認

請求書発行システムには、自社の情報はもちろん、請求書を発行する全ての取引先データと請求に係る情報が登録されます。商品の価格などの情報は機密事項に該当する場合もあるため、万全のセキュリティ対策が行われているシステムを選んでください。

システムのセキュリティ基準は一見わかりにくいですが、おおよその目安として、まず最低限通信データが暗号化されているかの確認が必要です。また、プライバシーマークの取得やデータサーバーの監視体制なども判断の要素になります。

改正電子帳簿保存法に対応しているか

電子帳簿保存法とは、請求書をはじめとする国税関係帳簿書類を電子データによって保存するための法律です。最初に施行されたのは1998年ですが、2022年1月の改正によって電子取引におけるデータ保存の義務化が要件として追加されました。

これにより、電子化されたデータで受け取った請求書は電子データのまま保存することが義務化されました。その際、電子帳簿等保存・スキャナ保存・電子取引データ保存の3種類の保存方法が認められています。

電子帳簿保存法では、タイムスタンプの付与や保存された電子書類の検索に係る要件などを満たす必要があります。これらに対応可能なシステムを選ぶことで、将来的な事務的負担を軽減させることができます。

参考:電子帳簿保存法が改正されました|国税庁

インボイス制度(適格請求書等保存方式)に対応しているか

インボイス制度とは、消費税率の明確化と仕入額税額控除を受けるために「適格請求書(以下:インボイス)」を導入する制度で、2023年10月に開始されました。インボイス制度では、これまで利用していた区分請求書が適格請求書に変更されます。

請求書発行システムを選ぶ際は、インボイス制度に対応しているかも確認しましょう。

参考:インボイス制度の概要|国税庁

インボイス制度とは?概要から影響まで簡単にわかりやすく解説

インボイス制度とは、複数税率に対応した消費税の仕入税額控除の方式のことで、取引の正確な消費税額と消費税率を把握するためのものです。本記事では、インボイス制度によって変わることや影響することの他、導入にあたって準備すること・個人事業主への影響について解説します。

請求書発行システム導入時の注意点

請求書を紙から電子データに切り替える際は、取引先が「紙保存」が基本になっている場合や、電子化そのものに対して否定的な場合を想定し、理解と合意を得られるよう、事前に取引先に説明を行いましょう。

また、社内においても適切な利用方法を理解してもらうことで、システムの運用が円滑に行われます。セキュリティ対策やデータ保護についての理解も合わせて、従業員への教育も大切になることを理解しておきましょう。

請求書業務の代行サービスもある

請求書発行システムを使って自社での発行業務を効率化する以外に、作成や発行そのものを代行サービスに依頼する方法もあります。請求代行サービスの概要や利用する場合の費用についてご紹介します。

請求代行サービスとは

請求代行サービスとは、請求書の作成から発送までの全ての作業を社外へのアウトソーシングによって行えるサービスです。請求書の発行だけでなく、必要に応じて与信管理や代金の回収・督促なども請け負ってもらえます。

請求代行サービスの費用相場

請求代行サービスは取り扱う内容が幅広く、依頼する内容や会社の規模などによって費用に幅があります。大抵の場合、初期システムの導入に加え、ランニングコストや郵送代などが発生します。

費用費用相場
初期費用無料〜数万円程度
月額費用数千円〜
手数料取引額の数%〜
その他の費用郵送による請求書発行費用など1通あたり100円〜200円程度

気軽に利用できるのはクラウド型の請求書発行システム

請求代行サービスはほぼ全ての請求業務を丸投げできるため、依頼する側の業務的な負担は大きく改善します。一方で、代行を依頼するために必要なデータの共有や、担当者との細かい擦り合わせなど別の対応が必要になる場合もあります。

また、今まで自社で請求書発行を行っていた場合、代行サービスを導入することは全く新しい業務フローを取り入れることになります。それに伴い、現場に混乱が発生し、教育や対応に多くの手間がかかってしまうことも予想されます。

請求に関わるデータは自社にとって非常に重要なものです。請求書発行システムなどの利用により、業務負荷を軽減させながら必要なデータを活用していくことが可能になります。

主流であるクラウド型の請求書発行システムなら、同じ担当者が同じ環境で経理業務に携わることができます。また、社内の状況に応じて移行のタイミングやサービスの内容を決められるため、代行サービスに比べて導入のハードルは低いと言えます。

まとめ

請求書発行システムの導入によって、請求書作成業務の効率化や人的コストの軽減が期待できます。また、適切なシステムを選ぶことで、法改正によるコンプライアンス対策や今後ますます導入が推進されるペーパーレス化などへの対応も可能です。

請求書発行システムの導入は労働環境を改善させるだけでなく、ミスのない正確な経理業務を実現させてくれます。自社が抱える課題や求める機能を洗い出し、効果的なシステムを導入してみてください。

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