コストセンターとは?プロフィットセンターとの違いをわかりやすく解説

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  • コストセンターとは、直接利益を生み出さずコスト管理を行う「間接部門」のことを指す
  • プロフィットセンターとは、営業部などの利益を直接生み出す「直接部門」のことを指す
  • プロフィットセンターへの転換で、企業全体の収益性改善や競争力を持つことができる

コストセンターとは、直接売上を上げずにコストを発生させる部門のことです。反対語として、企業の利益を生み出す部門をプロフィットセンターと言います。本記事では、コストセンターとプロフィットセンターの違いやプロフィットセンターに転換するメリットなどを解説しています。

目次

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  1. コストセンターとは
  2. コストセンター・プロフィットセンターの例
  3. コストセンターは必要なのか
  4. コストセンターからプロフィットセンターへ移行するメリット
  5. コストセンターからプロフィットセンターへ転換する手順
  6. プロフィットセンターへ転換する際の注意点
  7. まとめ

コストセンターとは

コストセンターとは企業の組織において、直接的に売上を上げることなく間接的に売上に貢献する部門のことです。代表的なコストセンターには、「人事・総務部」「研究開発施設」などが挙げられます。

コストセンターは、人件費・設備費・材料費などの費用を発生させますが、それらの費用は直接的に売上には計上されません。コストセンターの目的は、これらの費用を最小限に抑え、企業全体の利益を最大化することにあります。

コストセンターとプロフィットセンターの違い

コストセンターの反対語として、プロフィットセンターがあります。プロフィットには「利益」「収益」などの意味があり、プロフィットセンターは利益を生み出す部門のことです。代表的なものとしては、「営業部」「製造部」「販売部」などがあります。

コストセンターとプロフィットセンターの違いは、売上高と利益の計上方法にあります。コストセンターは直接的に売上を上げることなく、間接的に売上に貢献する部門であり、その費用は直接的に売上には計上されません。

一方、プロフィットセンターは直接的に売上を上げ、その売上から利益を計上する部門です。コストセンターとプロフィットセンターは、それぞれが異なる役割を果たしていますが、両者は密接に関係しています。また、どちらも企業には欠かせないものです。

各部門の分類は企業によって異なる

コストセンターはコストのかかる部門、プロフィットセンターは利益を生み出す部門を指しますが、各部門をどちらに分類するかは企業によって異なります。

例えば、製造業では営業部・製造部・品質管理部・生産管理部・物流部などの部門はプロフィットセンターに分類されることが多いです。一方、サービス業では営業部・マーケティング部・人事部・経理部・総務部などの部門はコストセンターになることが多いでしょう。

製造業において営業部は売上に直結するものであり、営業が取引先と交渉しなければ商品は売れません。しかし、同じ営業部でもサービス業になるとコストセンターに分類されます。サービス業では提案をするだけのケースが多く、売上には直結しません。

コストセンター・プロフィットセンターの例

ここでは、コストセンターとプロフィットセンターの違いを解説します。各部門の捉え方によって、その部門の事業への取り組み方が変わるため、以下を参考にしながら自社の部門の分類を検討しましょう。

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コストセンター・プロフィットセンターの例

  1. コールセンター
  2. 工場

コールセンター

コールセンターは、捉え方によってコストセンターにもプロフィットセンターにもなります。コールセンターは、顧客からの問い合わせやクレームに対応する部門です。

コールセンターでは、オペレーターの対応次第で顧客満足度を向上させることができますが、直接売上には関係しません。そのため、コールセンターはコストセンターとして捉えることも可能です。

しかし、コールセンターは顧客からのフィードバックを収集し、製品やサービスの改善に役立てることもできます。また、コールセンターは、新規顧客の獲得や既存顧客のリピーター獲得にも役立つでしょう。

よって、コールセンターはプロフィットセンターとして捉えられることもあります。どちらに分類するかは、企業の戦略やコールセンターの運営方法によって異なります。

工場

工場もコールセンターと同様、捉え方によってコストセンターにもプロフィットセンターにもなります。工場は、製品を製造する部門です。製品を製造することで間接的に売上に貢献しますが、直接的に売上を上げることはありません。

そのため、工場はコストセンターとして捉えられることもあるでしょう。一方、工場製品の品質を向上させてコストを削減することで、企業の利益を向上させられます。このようなことから、プロフィットセンターに分類することも可能です。

コストセンターは必要なのか

コストセンターは企業の運営に必要な機能を提供することで、プロフィットセンターが利益を上げるための基盤を支えています。そのため、企業にとっては必要なものです。直接売上に関係ないとしても、売上を支えていることに変わりはありません。

近年では、コストセンターをプロフィットセンターに置き換える動きもあるため、自社の経営方針にあわせて分類することが大切です。置き換えることで、利益の向上や経営の効率化、競争力の強化などのメリットが得られます。

また、コストセンターをプロフィットセンターに置き換えるためには、コストの削減が必要です。必要のないコストを削減し、コストセンターの機能を集約しながら利益を上げるための仕組みを構築する必要があります。

コストセンターからプロフィットセンターへ移行するメリット

コストセンターからプロフィットセンターへ移行すると、さまざまなメリットが得られます。ここでは、主なメリットを4つ紹介します。

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コストセンターからプロフィットセンターへ移行するメリット

  1. 企業全体の競争力向上
  2. 収益性の改善
  3. 各部署の価値増加
  4. 顧客満足度の向上

企業全体の競争力向上

1つ目のメリットは、企業全体の競争力向上です。企業はコストを削減し、収益を最大化することで競争力を向上させます。コストセンターは売上に直接関係のない部署のため、企業の利益に貢献するためにはコストを削減するしかないでしょう。

しかし、コストを削減するには人件費の削減や部品の見直しなどが必要になり、業務を妨げる可能性もあります。そのため、コストを削減することに注力するのではなく、プロフィットセンターに移行するのがおすすめです。

プロフィットセンターに移行すれば収益最大化の目標が生まれ、競争力を高めながら大きな利益を生み出せる可能性が高まります。

収益性の改善

コストセンターからプロフィットセンターへ移行すれば、コストセンターが直接的に売上を上げられるようになり、利益の向上に繋がります。また、コストセンターの機能をプロフィットセンターに集約することで、経営の効率化を図れるでしょう。

今までコストを生み出すだけだったコストセンターがプロフィットセンターに転換すれば、これまでとは違った利益を生み出してくれる可能性もあります。その結果、企業の収益性を改善できるでしょう。

各部署の価値増加

コストセンターであるとされていた部署が、プロフィットセンターへと移行する際、「この部署が収益を生み出すにはどうすればいいか」といった、企業の利益に対する考えが生まれます。

この考えは、結果的にその部署自体の価値増加へとつながります。企業利益だけなく、企業発展への取り組み・顧客対応の改善といった、企業成長にもつながるメリットがあります。部署ごとの意識を変革していくのも、これからの生産性を高めるために重要です。

顧客満足度の向上

コストセンターを移行させる過程では、収益化に向けた業務の見直しが必要です。これにより、顧客に対して今まで以上に価値の高い提供を実現できます。コストセンターに分類されるカスタマーサービスが良い例です。

カスタマーサービスを有料にすることでプロフィットセンターに移行すれば、質の高いサービスを提供できるようになり、顧客満足度の向上を狙えます。例えば、顧客対応をするチャットボットなどのシステムを導入すれば、業務の効率化も図れるでしょう。

コストセンターからプロフィットセンターへ転換する手順

ここでは、コストセンターからプロフィットセンターへ転換する手順を解説します。今後、プロフィットセンターへの転換を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

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コストセンターからプロフィットセンターへ転換する手順

  1. 目標の明確化
  2. 責任の明確化
  3. 適切な人材配置
  4. 部門連携の強化

目標の明確化

まずは、プロフィットセンターに移行する目標を明確にしましょう。目標を設定する際には、企業全体の事業戦略から逆算してみてください。つまり、「何のためにプロフィットセンター化するのか」を明確にすることが大切です。

目標が明確になっていなければ、プロフィットセンターへの移行は成功しません。どのような業務を担当し、どのように利益を生み出すのかを詳しく考えましょう。目標を設定することで、転換までの道のりが明確になります。

責任の明確化

次に、責任の明確化を行います。責任の明確化では、業務に携わる従業員がどのような責任を持つのか、どのような指標によって評価されるのかなどを明確にしましょう。なぜなら、プロフィットセンターに転換することで、今までとは目的も業務内容も異なるからです。

責任を明確化おかないと、各部門が上手く機能せず、プロフィットセンターへの転換はスムーズに進みません。コストセンターのときとの違いなどもチェックしつつ、各従業員や責任者の責任を明確化しましょう。

適切な人材配置

コストセンターからプロフィットセンターへと転換する場合、業務の内容がガラリと変わる可能性があります。従業員は今までと違った新しい業務を担当しなければならないケースもあるため、適切な人材配置を行うことも大切なポイントです。

プロフィットセンター化した際、スムーズに業務を遂行できるような人員配置を考えましょう。個々のキャリアを考え、新しい業務に適した人材を配置し、スキルアップの機会を提供することも重要です。従業員のスキルに合わせて人材配置を行いましょう。

部門連携の強化

コストセンターをプロフィットセンターへ転換させるためには、各部門との連携も重要です。効率よく利益を生み出すためには、他部門との連携が欠かせないため、部門連携の強化をあわせて行いましょう。

プロフィットセンター化の目的を共有し、円滑なコミュニケーションを取りながらプロジェクト進行の可視化を行います。効果的に連携するためには、プロジェクト管理ツールの導入などもおすすめです。各部門で認識の相違がないように、しっかり共有しましょう。

プロフィットセンターへ転換する際の注意点

コストセンターをプロフィットセンターへ転換させると多くのメリットが得られますが、転換の際には注意点がいくつかあります。ここでは、プロフィットセンターへ転換する際のコツ・注意点を5つ紹介します。

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従業員の意識改革

コストセンターをプロフィットセンターへ転換する際、従業員の意識改革に注目する必要があります。なぜなら、実際に企業の利益を増幅させるために働くのは、従業員一人ひとりだからです。

従業員は、それぞれが「どうしたら企業の利益につながるのか」を思考し、実現に向けての答えを出してから実行しなければなりません。また、企業の目指す事業戦略についても、従業員が理解・把握していることで、プロフィットセンターへの転換が容易になります。

企業の事業戦略との連動

企業全体の事業戦略と連携させることで、プロフィットセンター化への意識変革が行えます。また、事業戦略と連携させながらプロフィットセンターへの転換を進めることにより、企業全体の利益向上にも繋げやすくなるでしょう。

企業の事業戦略が明確であれば、プロフィットセンターは事業戦略を達成するために必要な収益と費用を管理することができます。

情報管理システムの構築

各部門との連携を行うためにも、情報管理システムの構築を行うのがおすすめです。プロフィットセンターへの転換を行う場合には、他部署との連携が欠かせないため、スムーズな情報共有を行うために情報管理システムが役立ちます。

例えば、ワークフロー管理システムを活用すれば、プロフィットセンター化までのプロセスを可視化できるでしょう。業務の効率化を図るためにも、導入を検討しましょう。

経営者のような大きな視点を持つ

コストセンターをプロフィットセンターへ転換する場合には、経営者のような大きな視点を持つことも大切です。企業全体を捉え、プロフィットセンターに転換する意味や目的をしっかりと考えましょう。

コストセンターが考えがちな、コストの削減や業務の効率化を突き詰めるだけでは、返って仕事の質や品質を低下させてしまう恐れがあります。そのため、経営者のような大きな視点を持つことで、コストに合わせた収益とのバランスを考えることができるようになります。
このように、コストセンターからプロフィットセンターへの転換がスムーズに行われると、企業全体の利益を最大化するために、最適な意思決定をすることができます。

アウトソーシングの検討

専門的な知識・技術を活用し、コスト削減をすることができます。

企業が行う主な業務に集中するため、直接収益に関係のない業務をアウトソーシング・デジタル化することで、利益の最大化に向けた業務の効率化を図れるでしょう。

まとめ

コストセンターとはコストのかかる部門を指す言葉で、コストセンターとは、企業におけるコストのかかる部門を指す言葉で、反対語はプロフィットセンターです。近年では、積極的にコストセンターからプロフィットセンターへと転換する流れができてきています。プロフィットセンターへ転換すると、収益性の改善や競争力の向上などのメリットが得られるでしょう。

コストセンターがプロフィットセンターへと転換すると、収益性の改善や競争力・顧客満足度の向上、各部署の価値増加などのメリットが得られるでしょう。


ただし、コストセンターをプロフィットセンターに転換する場合には、さまざまな点に注意しなければなりません。利益を最大化させるためにも、本記事の内容を参考に転換までの流れなどをしっかり把握しながら、失敗のないように転換を進めましょう。

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