ファクタリングとは|意味やメリットデメリットをわかりやすく解説

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  • ファクタリングでは、融資を断られた企業でも素早く資金調達ができる可能性がある
  • ファクタリングには悪徳業者が存在するため、会社を選ぶ際は十分な注意が必要
  • ファクタリングは、一時的な資金調達や短期的な資金調達に向いている

ファクタリングは「債権買取り」のことで、経済産業省が中小企業に向けて推奨している資金調達方法です。スピーディーに資金調達できる点が魅力です。本記事では、ファクタリングの仕組みや種類、メリット・デメリットの他、ファクタリングが役立つシーンなどについて解説します。

目次

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  1. ファクタリングとは
  2. ファクタリングの仕組み
  3. ファクタリングの種類
  4. ファクタリングのメリット
  5. ファクタリングのデメリット
  6. ファクタリングが役立つシーン
  7. ファクタリングの手数料の相場
  8. ファクタリングにかかる期間
  9. ファクタリングの利用に必要な書類と流れ
  10. ファクタリング会社を選ぶときのポイント・注意点
  11. まとめ

ファクタリングとは

ファクタリングとは、未回収の売掛債権をファクタリング会社に売却することで、取引先からの支払いを待たずに現金化できるサービスを指します。

ファクタリングの種類としては、自社が売掛金の回収をした後に、ファクタリング会社に支払う(2社間ファクタリング)と、ファクタリング会社が自社の売掛金を取引先から直接回収する(3社間ファクタリング)が一般的です。

そのほかにも、後述する医療ファクタリングやリバースファクタリングなどがあります。それぞれに特徴・メリット・デメリットがあり、企業によって重要視するポイントも異なります。これらを正しく見極めて、自社に合ったサービスを選択しましょう

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融資との違い

ファクタリングと融資の最も大きな違いは、審査の難易度の高さです。銀行融資の審査は申込者の信用力が重視されるため、難易度が高く申し込みから融資が行われるまで3週間から1カ月はかかります。

中小企業が融資を申し込む場合、不動産担保の設定や信用保証協会の保証を要求されることも多く、さらに時間を要します。一方のファクタリングは、2社間ファクタリングの場合は早ければ即日、遅くとも3営業日には入金されます。

健全な経営で財務状況も優良な売掛先の売掛金であれば、スムーズに審査が進み現金化までの時間は短いと言えます。赤字決算・債務超過など、自社の信用情報に不安がある中小企業でも心置きなく申し込みが可能です。

ただし、3社間ファクタリングは申し込みから現金化まで2週間程度かかることもあります。融資よりは短いですが、ファクタリングの種類によって必要な期間が異なる点に注意が必要です。

手形割引との違い

ファクタリングと手形割引の相違点は、ファクタリングが売掛債権の売買による資金調達方法であるのに対し、手形割引は融資として取り扱われる点にあります。

手形割引は、銀行や手形割引専門業者に受取手形の割り引きを依頼し、手形の決済期日前に現金化させる資金調達方法です。ファクタリングでは売掛金が対象ですが、手形割引では手形を用います。

手法はファクタリングと似ていますが、手形割引は手形が期日に決済されずに不渡りになったとき、利用者がその弁済負担を負う「償還請求権あり」の契約に相当します。そのため、融資として扱われる点がファクタリングとの違いと言えます。

ABL(売掛債権担保融資)との違い

ファクタリングとABL(売掛債権担保融資)は、どちらも売掛債権を対象にした資金調達方法です。しかし、ファクタリングが売掛債権の売却方法なのに対し、ABLは売掛債権を担保に設定して融資を受ける方法です。

また、ファクタリングは売掛債権を資金調達のために売却しますが、ABLは売掛債権だけでなく、在庫や原材料なども担保として使える場合があります。

どちらも売掛債権を対象にした方法ですが、ABLは利用者の信用力が審査で重要視され、ファクタリングよりも審査の難易度は高めです。

ファクタリングは違法ではない

結論から言えば、ファクタリングは適法です。ファクタリングとは、売掛債権をファクタリング会社に売却し、売掛金の入金期日より前に資金化する資金調達の方法です。そのため、ファクタリングは違法ではありません

しかし、ファクタリングに見せ掛け、貸金業登録を行っていない偽装ファクタリング業者が売掛債権を担保とした違法な貸付けを行っている事例があります。ファクタリングは貸金業の登録がなくても営業できますが、金銭の貸付が行われる場合は貸金業の登録が必要です。

違法業者の多くは金銭の貸付を貸金業の登録をせずに行っており、警視庁や金融庁が注意を喚起しています。また、個人の給与を債権として買い付ける「給与ファクタリング」も貸金業に該当するため、貸金業登録がなければ違法です。

参考:ファクタリングの利用に関する注意喚起|金融庁

ファクタリングの仕組み

ファクタリングを大きく区別すると、買取型と保証型の2種類に分けられます。また、それぞれの用途には違いがあるため、自社のニーズにマッチしたファクタリングを活用しましょう。

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ファクタリングの仕組み

  1. 買取型
  2. 保証型

買取型

買取型は、売掛債権をファクタリング会社に売却する方法を指します。保証型より資金調達までの期間が短いのが特徴で、急を要するときにも活用できる方法です。買取型は手数料がかかるため、売掛債権の額面金額よりも受領できる金額が少なくなる点に注意しましょう。

また、買取型には売掛先からの入金後、依頼主が回収した売掛金をファクタリング会社に支払う2者間ファクタリングと、売掛先企業が買掛金を直接ファクタリング会社に支払う3者間ファクタリングの2種類があります。

3者間ファクタリングのほうが手数料は低くなるのが一般的ですが、ファクタリング会社によっても手数料が異なるため前もって確認しておきましょう。

2社間のファクタリング

2社間ファクタリングは、自社とファクタリング会社だけの契約を指します。この仕組みは売掛先を介さないため、売掛先との信頼関係を維持したい場合やファクタリングの利用を隠したいといった際に利用されるケースが多いです。

売掛先が関わらないことにより合意を得る必要がなく、ファクタリングの利用事実も知られず、スピーディーに資金を調達できるメリットがあります。しかし、後述する3社間ファクタリングよりも手数料が高く、審査も通過しにくいのがデメリットです。

売掛先に知られずファクタリングを利用したい場合や、迅速な資金調達をしたい場合には、2社間ファクタリングがおすすめと言えます。

3社間のファクタリング

3社間ファクタリングは、売掛先に売掛債権の売却を通知し、自社・売掛先・ファクタリング会社の3社で合意をしたうえで契約が締結されます。債権譲渡通知や売掛金の支払先が2社間ファクタリングとは大きく異なります

3社間ファクタリングは、2社間ファクタリングよりも手数料が安く、審査が通過しやすいのがメリットです。また、3社間ファクタリングを提供する企業は主として大手企業であるため、安全性が高く、心置きなく利用できる点もメリットと言えます。

売掛先に知られたくない特別な事情がある場合を除き、基本的には3社間ファクタリングがおすすめです。ただし、3社間ファクタリングは2社間ファクタリングよりも手続きが煩雑であり、手間と時間を必要とされるのが難点です。

保証型

保証型のファクタリングは、取引先の倒産などで売掛金の回収が不能となった場合に効果がある保険に近い目的で利用されます。保証会社が回収不能分を支払ってくれるため、取引先の信用面で不安がある場合に有効です。

ただし、売掛金の回収が困難と判断されるまで保証金をもらえないものもあれば、売掛先の支払遅延により保証金を受け取れる場合もあるため、ファクタリングに申し込む前に条件をしっかりとチェックしましょう。

ファクタリングの種類

ファクタリングは、買取型と保証型の2種類に大きく分けられます。買取型とは、売掛金の早期における資金化を目的としたサービスです。

一方、保証型は売掛金の貸倒れリスクに備えた保証で、売掛先の倒産時でもファクタリング会社から売掛金の受け取りを可能とし、保証料を支払って万が一に備えておくシステムです。買取型のようにすぐに資金化する目的での利用ではないのが特徴です。

買取型のようにすぐに資金化する目的での利用ではないのが特徴です。ファクタリングは種類が多く、目的によってサービスが異なるため、それぞれのファクタリングの特徴について詳しく解説します。

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買取ファクタリング

買取型ファクタリングは、売掛金の入金前にファクタリング会社が売掛債権の買い取りをしてくれる方法を指します。メリットは、支払期日よりも前に現金化ができる、上述の2者間ファクタリングと3者間ファクタリングを選べる、などがあります。

一方で、売掛先との契約書に債権譲渡禁止事項が記載されていると、買取型ファクタリングを利用できない点がデメリットです。ただし、これは2020年3月31日までの取引までで、2020年4月1日以降は主張するための条件があれば可能です。

契約内容を確認したうえでの申し込みでなければならない点には注意しておきましょう。

医療ファクタリング

医療ファクタリングは、買取ファクタリングの一種で、医療債権(診療報酬債権・介護報酬債権など)を利用する取引を指します。日本では国民皆保険制度が導入されているため、医療費の一部は国・地方公共団体・組合などが負担しています。

言い換えれば、各医療機関や介護施設は支払機関に関して一定の請求権を保有しており、当該請求権を活用したものが医療ファクタリングです。

買取の手続きがやや特殊であることから、民間ファクタリング会社では取引を断られるケースがあります。そのため、事前に医療ファクタリング専門業者に相談しましょう。

一括ファクタリング

一括ファクタリングは、一般的に電子債権の現金化を指します。電子債権は、「でんさい」と称される決済手段で管理されており、現金化する・支払いに充当するなどが可能です。

一括ファクタリングの場合、金融機関・債権者・債務者(取引先)の3社が事前に契約をする必要があり、現金に換える際は改めて承諾を得る必要があります。

スムーズな現金化が図れる一方で、でんさい契約が必要・取引先もでんさいを利用しなければならない、などの制約がある点に注意が必要です。

国際ファクタリング

国際ファクタリングは、国内企業が海外企業に商品を販売する際に、売掛金の回収を確実に実行するために海外のファクタリング業者に売掛債権譲渡を行う方法を指します。

日本と海外では、支払いサイクルや売掛金に関する規定が異なることもあります。海外企業との取引では貸し倒れや延滞の事例もあるため、海外ファクタリング会社に依頼することで、債権回収がしやすくなります

また、契約方法は3者間のほかに、稀な4者間契約を行う場合もあります。4者間契約は、国内ファクタリング会社が買い取りした売掛債権を海外のファクタリング会社に再譲渡する方法です。

将来債権ファクタリング

将来債権ファクタリングは、文字通り未請求であるが、将来発生する可能性がある債権を利用したファクタリングを指します。

例えば、契約期間1年・毎月決まった金額を支払うといった内容の業務委託契約を特定の企業と交わしている場合、まだ債権そのものは発生していない状態ではあるものの、将来発生する可能性がある請求権を保有していると言えます。

そのため、まとまった金額の資金調達に合う買取ファクタリングに対し、将来債権ファクタリングでは3~6カ月に分けて無理なく財務の改善が図れます。なお、地代・家賃なども将来債権に相当しますが、賃借人が個人の場合は原則として利用できません。

保証ファクタリング

保証ファクタリングは取引先の代金支払いをファクタリング会社に保証してもらう方法で、売掛金の未回収リスクを避けられます。ファクタリング会社へ保証料を支払えば、万一売掛先が倒産してもファクタリング会社が売掛金の支払いを肩代わりしてくれます。

売掛金の保険といった形で捉えれば、分かりやすいです。メリットとしては、倒産などによる未回収リスクの回避、倒産後の債権関連手続きに伴う負担軽減などが挙げられます。

ただし、保証料の発生や売掛先の信用度次第では利用できないといったデメリットがあります。また、契約中に売掛先の信用力が低下すると、契約の解除も想定されます。

リバースファクタリング

リバースファクタリングは、保有している買掛金をファクタリング会社が肩代わりして支払う取引を指します。売掛金を保有する企業(債権者)ではなく、買掛金を保有する企業(債務者)が利用するといった点で通常のファクタリングとは大きく異なると言えます。

一般的に、ファクタリングは売掛金を保有する企業が利用するサービスですが、リバースファクタリングは買掛金を利用することから、反転を意味するリバースといった用語が使われています。

リバースファクタリングを活用することで、買掛金の支払いに関して余裕ができます。そのため、買掛金が多額で支払いに難航するとき・資金繰りに余裕を持たせたいときに利用価値があります。

給与ファクタリング

給与ファクタリングは、企業の資金調達手段として普及したファクタリングを個人の資金調達に応用したサービスです。ファクタリング手法そのものは、既存の債権譲渡による資金調達方法であるため、借金とは異なります。

その一方で、給与ファクタリングと呼ばれる手法の多くは、ファクタリングに見せ掛けているだけで、実質は借金と何ら変わらないケースが多いことに注意する必要があると言えます。

最近では、闇金の新しい手口として給与ファクタリングの手法が用いられることも多く、悪徳業者による被害の注意喚起が行われています。

参考:ファクタリングに関する注意喚起|金融庁

ファクタリングのメリット

ファクタリングは比較的新しい金融サービスですが、利用者数は年々増えつつあります。何故かと言うと、ファクタリングには融資・ビジネスローンでは得られない数多くのメリットを受けられるためです。ここでは、8つのメリットについて解説します。

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負債を増やさないで資金調達ができる

債権の売却によって資金調達を行うファクタリングは、調達した資金が負債として取り扱われることはありません。負債を増やさずに資金調達が可能なため、債務超過のリスクが発生するなどの不安もなくなります。

負債が多額の場合は企業評価が低下し、新たに借入による資金調達も困難になります。負債の増加は将来の資金調達への道を狭めると言っても過言ではなく、長期的な資金繰りの計画を立てる必要があります。

一方で、ファクタリングは負債を抱えない資金調達が可能です。長期的な返済計画を立てる必要もなく、心置きなく資金調達ができる点もファクタリングのメリットです。

最短即日で資金調達できる

銀行などに融資の申し込みを行うと、一定の審査を受けなければならないため、実際に現金を受け取れるまでにはかなりの日数を要します。資金繰りに余裕がある間は支障はありませんが、急な出費の必要がある場合は不向きです。

ファクタリングでも売掛先の業績や信用力などをベースとした審査を受ける必要がありますが、銀行融資より申し込みから現金化までの日数が短く、急な出費にも迅速に対応できます。

特に2社間ファクタリングの場合は最短即日で資金調達可能のサービスもあり、すぐに現金が必要といったニーズにも対応しています。

信用情報に影響を及ぼさない

銀行などの融資を受けると、日本信用情報機構(JICC)や全国銀行協会(JBA)などの信用情報機関において、取引履歴・事故情報などの信用情報が登録される形態になっています。

返済が遅滞なく終了したとしても、借入れ事実は記録として保存されるため、それ以降の融資審査に影響する可能性があります

ファクタリングの場合、すでに保有している売掛債権の譲渡によって資金を調達するため、一般的な融資には当たらず、信用情報機関に記録が残る心配もないため心置きなく利用できます。

売掛先が倒産しても資金の返還義務がない

売掛先が倒産した場合に備えられるのも、ファクタリングのメリットです。売掛先が倒産した場合は売掛金の回収が不能となり、大きな損失が出て、企業存続に影響を及ぼします。

しかし、買取りファクタリング契約をしておけば、売掛債権である売掛金の回収ができなかったとしても、受取り代金をファクタリング会社へ返還する必要がありません

ただし、償還請求権がある契約は利用者の費用負担が発生します。そもそも償還請求権がある契約は買取型のファクタリングに該当せず、悪徳業者である可能性もあるため、償還請求権の有無の確認が必要です。

融資では不利となる要素があっても利用できる

ファクタリングは、自社に赤字・債務超過・税金滞納の事実があっても利用ができます。ファクタリングの審査では、売掛先の信頼度のほうが重要視されるため、自社の業績内容が悪くても審査において大きな影響は及ぼしません。

例えば、ビジネスローンを断られた会社でも、ファクタリングなら問題なく利用できるケースもあります。 ただし、健全な経営が確立されていないと判断されると、手数料が高くなる、審査の通過率が低くなるなどの問題が発生しやすくなります。

担保や保証人を必要としない

ファクタリングは企業間の取引で発生する売掛債権を売却して現金を受け取る方法であり、すぐに資金を入手したい場合に、売掛金の回収日前に資金を調達できる方法として重要視されています。

銀行融資とファクタリングは間違われやすいですが、資金の調達方法が大きく異なります。ファクタリングが銀行融資と異なる点は、保証人や担保設定を必要としません。経済産業省が中小企業や個人事業主に向けて、ファクタリングでの資金調達を推奨しています。

参考:売掛債権の利用促進について|中小企業庁

個人事業主でも利用できる

請求書などがあれば、個人事業主でもファクタリングの利用が可能です。しかし、ファクタリング会社によっては会社法人に特定している場合もあるため、事前に調べたり電話などで問い合わせたりしましょう。

ファクタリングで用意しなければならない書類は、決算報告書・請求書・見積書・印鑑・印鑑証明書などが挙げられます。それぞれのファクタリング会社によって違いがあるため、ファクタリングを利用する前に確認することが大切です。

取引先の倒産リスクに備えられる

ファクタリングの利用で、売掛先の倒産リスクを避けられます。仮に売掛先が倒産した場合、売掛金の回収は非常に厳しいのが実態です。本来、売掛金を払えるだけの資金を保有していれば、倒産は発生しません。

しかし、 ファクタリングの利用を契約することで、売掛先が倒産する前に売掛金の現金化ができます。万が一、売掛先の倒産が発生した場合でも、利用者がファクタリング会社に払う必要はありません

しかし、契約の種類によっては、売掛先が倒産した場合、利用者がファクタリング会社への支払い義務が発生することがあるため、注意が必要です。

ファクタリングのデメリット

ファクタリングには、最短即日で売掛金を現金化できる、利用者の資金状況が審査に影響しない、負債を抱えずに資金調達ができるなどのメリットがあります。銀行融資を断られても資金調達できる可能性が高く、多くの事業主から重宝されています

しかし、メリットが多い中で、注意が必要なデメリットが存在するのも事実です。デメリットを考慮しないで利用すると、納得できる資金の調達ができないかもしれません。ここでは、ファクタリングを利用する前に知っておきたい4つのデメリットを解説します。

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審査に通らないと利用できない

ファクタリングは融資ではないものの、利用には審査が必要です。ファクタリングの審査は売掛先の支払い能力が重要視されるため、自社の信用力に不安があっても審査が通る可能性は十分あります。

しかし、売掛先の支払い能力が低いと判断された場合、自社の信用力が十分であっても審査に落ちてしまいます。売掛先の支払い能力は自社で対応できる範囲ではないため、審査に通ることを前提にした事業運営は避けましょう

手数料がかかる

ファクタリングの主なデメリットと言えるのは、契約の種類により手数料が高くなる場合がある点です。3社間ファクタリングでは、売掛先がファクタリング会社への支払いを承諾することで未回収のリスクが抑えられ、手数料に関しても安く設定されています。

また、2社間ファクタリングでは売掛先を仲介しないメリットがありますが、手数料はやや高めに設定されています。手数料はファクタリング会社によって異なりますが、最高で20%程度のため融資よりも高いと理解しておきましょう。

手数料が高いことで、企業の収益力に悪影響を及ぼす可能性があります。特に、長期に及ぶファクタリングを利用する場合は、手数料の割高感がよりはっきりと露呈される点に注意しましょう。

資金調達は売掛金の金額内でのみ

ファクタリングは、売掛債権をファクタリング会社への売却により事業資金の入手が可能です。買取額に下限・上限を設定していないファクタリング会社も少なからず存在しますが、基本的に売掛債権の額面範囲内でしか資金を調達できない点に注意しましょう。

例えば、保有している500万円の売掛債権を売却した場合、基本的に500万円以内でしかファクタリングができません。500万円以上の事業資金が必要な場合は、銀行融資や消費者金融などからの借入を検討しなければならないのがデメリットです。

悪徳事業者・違法業者が存在する

現在多くのファクタリング会社がありますが、違法な手数料を強要する悪徳業者や、事実上暴利の貸付を行う違法業者が存在します。いまだに認知度も低く、比較的新しい資金調達方法のファクタリングは、法律で細かいルールを規定しているわけではありません。

金融庁によると、貸金業登録をしていない違法業者がファクタリング会社に見せ掛けて債権を担保として貸付を行うケースも発覚しているため、十分な注意を払いましょう。

ファクタリングが役立つシーン

目的に合ったファクタリングを利用することで、売掛債権を早期に現金化することが可能です。急いで資金を調達しなければならないときでも、スピーディーに資金を調達することができます。

また、審査も通過しやすいため、銀行融資を受けられず資金繰りに難航している企業や個人事業主にもおすすめです。ここでは、ファクタリングの利用に役立つビジネスシーンとその理由を解説します。

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一時的な要因で資金状況が悪化している

ファクタリングは、受注の急増により支払いが先行し一時的な資金が必要なときに役立ちます。例えば、製造業において、受注が急増し生産体制の増強が必要な場合が少なくありません。それにより、材料費や人件費といった費用も通常より多くかかります。

資金が少ない中で急な支払いに対応するために、審査に1~2カ月かかる融資をあてにするのは現実性に欠けます。この場合、最短即日で資金調達ができるファクタリングの活用がおすすめです。

銀行では担保や保証人を用意できなかったり、返済能力が不安視されたりすると、融資が断られます。こういった場合は、金融機関ほど審査が厳しくないファクタリングを利用しましょう。

短期的な資金調達が必要になった

少額の事業資金を、銀行から頻繁に借り入れをするのは回避するべきです。そういった借り入れは審査を通過しにくいだけではなく、銀行評価の悪化にも結びつきます。そのため、こうした場合はファクタリングを利用しましょう。

ただし、ファクタリングは即効性の高い資金調達方法ですが、利用期間中は手数料分だけ収益が減り続けることになります。そのため、1〜2カ月の短期利用で、できる限りつなぎ資金としての利用がおすすめです。慢性的な資金不足にはおすすめしません。

ファクタリングの手数料の相場

ファクタリングの利用手数料の相場は、2社間が5〜15%、3社間が1〜10%程度です。しかし、実質の手数料は業者や契約内容によって異なり、15%以上になる場合もあります。また、融資ではないため利息制限法は適用されず、手数料の上限はありません。

2社間は、利用者と業者の2社間契約で、売掛先に気付かれずにファクタリングを利用できます。売掛債権を売却後、最短即日で入金されるため、急な資金調達にも対応が可能です。一方で、手数料は3社間よりも高く設定されています。

3社間は、利用者・業者・売掛先の3社間契約です。ファクタリングの利用事実が売掛先に知られてしまいますが、手数料は2社間より安いのがメリットです。

ファクタリングにかかる期間

ファクタリングにおいて資金の調達に要する日数は、契約方式によってそれぞれ異なります。2者間の場合は、最短即日から数日以内、最も早い場合だと数時間で資金調達が可能なサービスもあります。

一方、3者間の場合は、売掛先に対しての通達または承諾が必要なため、最短で翌日〜数週間かかります。そのため、急な資金調達の場合は、2者間のほうを利用しましょう。

また、クラウドサインなどの電子契約を導入しているファクタリング業者であれば、契約に関する手続きがインターネット上で完了するため、個人情報保護などのセキュリティの観点からも安心して利用できます。

ファクタリングの利用に必要な書類と流れ

ファクタリングの利用申し込みには、主に以下のような書類の提出を求められるのが一般的です。

  1. 登記簿謄本(法人の場合)
  2. 本人確認書類
  3. 印鑑証明
  4. 決算書や確定申告
  5. 入出金明細書
  6. 売掛債権を証明できるもの

1つでも必要書類が欠けている場合には、利用ができません。また、書類によっては準備に1週間程度かかる場合もあるため、できるだけ早目に準備する必要があります。

一般的な契約の流れは、最初に、利用可否を知るために相談を行いましょう。事前相談により最適なファクタリング会社を発見したら、申し込みを行います。申し込み方法には、インターネット・電話・窓口・郵送があります。

申し込みが終了したら、必要な書類の提出を行います。その後提出書類をもとに、ファクタリング会社の審査が行われます。審査完了後、契約内容・条件に合意できたら契約の締結を行いましょう。

ファクタリング会社を選ぶときのポイント・注意点

ファクタリング会社は、独自の手数料や利用条件が設定されているため、簡単に比較できないのが難点です。また、新たなファクタリング会社も増加しているため、選択肢が多すぎて自社に適したものを選ぶのは困難です。

そこで、ここからは、目的のファクタリング会社が信用できるかどうかを見極めるための7つのポイントについて解説します。

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希望の条件を満たしているか

まず、ファクタリング会社が自社の希望条件を満たしているかどうかを確認しましょう。例えば、売掛金の満額買取りが可能か・個人事業主でも利用可能か・希望の契約方法を満たしているかなどが挙げられます。

希望金額が多額の場合、ファクタリング会社によっては契約できないことがあります。その場合は、多額の金額買取りにも対応している業者を選びましょう。また、個人事業主が利用できるファクタリング会社は少ないため、注意が必要です。

さらに、希望の契約方法に対応しているかも重要です。例えば、当日中の資金調達をしたい場合は、2者間ファクタリングの利用がおすすめです。

手数料の妥当性はどうか

金融庁の公式サイト内の「ファクタリングに関する注意喚起」において、高額な手数料を強要する悪質業者の危険性が記述されています。

ファクタリングに関して、手数料の上限を規制する法律はありません。しかし、手数料の相場は3社間ファクタリングで10%〜30%、2社間ファクタリングで1%〜10%と言われています。

売掛先の信頼度・債権の決済日までの残り日数・金額にも左右されるため、一概に相場内で取引されるわけではありません。しかし、妥当な額だと納得できなければ売却は踏みとどまるべきかもしれません。

参考:ファクタリングに関する注意喚起|金融庁

会社の信頼性はどうか

ファクタリング会社を選ぶうえでの重要ポイントとして、信頼度の高さがあります。ファクタリング会社においては貸金業登録制度もなく、異業種からも参入しやすいハードルの低さが特徴です。

違法な手数料を強要する悪徳業者なども参入しやすい環境であるため、信頼できるファクタリング会社かどうかの見極めが重要です。ファクタリング会社のホームページや口コミなどを確認し、心置きなく契約できる優良ファクタリング会社を選びましょう。

担当者の印象はよいか

担当者の説明が分かりやすいかどうかも重要です。多額の金額が扱われる取引であるため、分かりやすい説明だったり、熱心に対応してくれたりする会社を選ぶことが大切です。また、電話やメールの情報交換からも、対応の良し悪しはある程度見極められます

どれほど契約条件が良かったとしても、乱暴な言葉遣いがあったり、質問を適当にあしらわれたりなどの違和感があれば、そのファクタリング会社との契約は避けるべきです。

償還請求権のない契約になっているかどうか

償還請求権とは、売掛先の倒産など売掛金が回収できなくなった場合に、未回収の売掛金をファクタリング会社から債権者に請求できる権利です。

本来、債権譲渡であるべきファクタリングで償還請求権があるのは、実質上、融資ではないかといった議論も裁判所などで発生しています。

そのため、現在はファクタリングのほとんどが償還請求権のない契約になっており、償還請求権のない契約になっているか必ず確認しておきましょう。

契約書を再確認する

ファクタリング会社との契約書に記載されている支払い条件(手数料・支払期日・登記の有無など)を確認したら、それと同じ内容の控えを受け取りましょう

通常、2通作成して1通ずつ保管といった方法を取るファクタリング会社がほとんどですが、悪徳業者や違法業者だと渡してもらえないことがあります。その場合は、契約書の内容に違法性があると考えられます。

今後のトラブル発生を防止するためにも、契約自体を白紙に戻すことをおすすめします。

悪徳業者を見抜く

複数のファクタリング会社からの見積もりを比較することで、手数料の相場を含む一般的なファクタリングに関する契約内容の把握ができます。明らかに手数料が高すぎる場合には、悪徳業者である可能性が出てくるため注意が必要です。

ファクタリング会社に見せ掛けて、貸付を行う悪徳業者の存在に関する注意喚起は金融庁でも行われています。悪徳業者と分からずに利用してしまうと、高額な手数料の支払いを強要され、支払われる金額が債権額よりも大幅に少なくなるため注意が必要です

下記を見極めポイントとして、不明な点があればすぐに問い合わせしましょう。

  1. 契約書で「債権譲渡契約(売買契約)」と定められていない
  2. 契約書がない、または詳細な説明をしたがらない
  3. 手数料が著しく高い
  4. 債権額に比べて明らかに低額な買取代金である

まとめ

ファクタリングとは、売掛金の支払期日前に現金を得る資金調達方法であり、経済産業省が中小企業を中心に利用を奨励しています。

負債を増やさない資金調達・最短即日の資金調達・信用情報に悪影響がない・売掛先の倒産でも資金の返還義務がない・不利な要素があっても利用できる・担保や保証人が不要・個人事業主でも利用可能・売掛先の倒産リスクに備えられるなど、メリットの多さが特徴です。

メリットがあるファクタリングの利用において、希望条件への適合性・手数料の妥当性・業者の信頼性・担当者の印象・償還請求権がないか・契約書の再確認・悪徳業者の判別など、いくつかの注意点があります。企業や個人事業主の方は、ぜひ利用を検討しましょう。

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