請求書発行の方法とタイミング|発行日の決め方や書き方を解説

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  • 請求書の発行に法的な義務はないが、発行することでトラブルを回避することができる
  • 請求書を作成する際には、フォーマットや印鑑を用意しておく必要がある
  • 請求書を発行するタイミングは、都度方式と掛売方式によって異なる

請求書発行は法律で義務付けられているものではありませんが、発行することで、取引先との支払いに関するトラブルを防ぎやすくなります。本記事では、請求書を発行するタイミングや、発行のタイミング・発行日の決め方などの他、請求書の送り方や保存期間についても解説します。

目次

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  1. 請求書発行の必要性
  2. 請求書を作成する際に準備するもの
  3. 請求書を発行するタイミング
  4. 納品前に請求書を発行できるか
  5. 請求書の支払期日の決め方
  6. 請求書の送り方
  7. 発行した請求書の保存期間
  8. インボイス制度導入後の請求書発行はどう変わるのか
  9. 請求書の作成には請求書発行システムがおすすめ
  10. まとめ

請求書発行の必要性

請求書の発行は法令で義務付けられたものではなく、請求書を発行しないことは違法ではありません。しかし、商習慣上、請求書を発行することが一般的です。

請求に関わるトラブルでは、支払したかどうかや金額の過不足に関することが多く、請求書を発行しておくことで、トラブル防止にもつながります。

請求書には取引内容や日付、金額等を記載することが一般的で、債務者に対して請求した事実を残す証拠となります。実際に請求トラブルが発生した際、請求書をベースに支払いが行われたかの事実確認をすることもあり、トラブル時に適切な処理をする上でも重要です。

請求書を作成する際に準備するもの

請求書の作成にあたっては事前準備が必要で、請求書のフォーマットと印鑑を用意しておく必要があります。

請求書に記載する項目やフォーマットの準備をしておくとスムーズに作成することができるでしょう。この章では、請求書の作成時に必要な準備項目を紹介していきます。

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請求書を作成する際に準備するもの

  1. 請求書のフォーマット
  2. 印鑑

請求書のフォーマット

請求書発行において、フォーマットを事前に作成しておくことをおすすめします。請求書には記載すべき項目がいくつかあるため、フォーマットを作成しておくことで、効率的に請求書を作成することが可能になります。

エクセル等でフォーマットを揃えておくことで、取引が発生した際にスムーズに請求書を作成することができるでしょう。

請求書に決められたフォーマットはありませんが、記載が必要な項目があります。請求書のフォーマットを作成する上で重要なポイントを以下に紹介します。

タイトル

請求書の上段中央部に、「御請求書」と記載するのが一般的です。単発ではなく継続的に取引がある場合、「○月分御請求書」と記載する場合もあります。

請求元

請求元は、支払いを受けることになる自社名と担当者名を記入しておきましょう。請求元には、自社名・担当者の所属部署・担当者名を記載するのが一般的です。また、担当者の連絡先を記載し、請求に関して不明点があった際の連絡窓口を提示しておくと良いでしょう。

請求先

請求先の法人格を誤りなく記載しましょう。宛先には社名・担当者の所属部署・担当者名を記載することが多いです。

よくある間違いとして、宛名に記載する取引先の社名について株式会社○○か○○株式会社かといった後株か前株を間違えるケースが多く、よく確認しておく必要があります。

社名誤り以外にも、宛先の記載漏れもよくある間違いです。基本的には請求先として会社宛に請求することが多いですが、部署や支社宛に請求することもあるため、請求先が会社宛なのか部署宛なのかを事前に確認しておきましょう。

取引内容

取引内容には、サービス名等を記載することが多いです。取引の内容については、請求元だけでなく請求先にも確認した上で記載することをおすすめします。請求先で処理する際に確認が必要になることもあり、請求先の都合で取引内容を記載するケースもあるためです。

請求金額

消費税を含む合計金額を請求書の上部に記載し、明細を下部に記載することが一般的です。書式は様々ですが、サービス名・単価・数量・金額を入れます。サービスが複数ある場合、行を分けてそれぞれ記載します。軽減税率を含むサービスの場合は、注意が必要です。

小売業のサービスを含む場合、税率が8%となります。軽減税率を含むサービスがある場合、通常税率のサービスと別小計する必要があるため、注意しましょう。

発行日

請求書を発行する日の日付を記入するのが基本です。念の為、発行日のルールを請求先と確認しておくと良いでしょう。

振込先

振込先欄には、振り込み方法を記載します。銀行振込の場合、口座名を記載しておきましょう。

振込期日

支払期限を下段に記載します。月末締めの翌月末払いか翌々月末払いが一般的です。支払い遅延を防ぐため、事前に請求先と認識を合わせておくと良いでしょう。

振込手数料

振込手数料については、基本的に振込側が負担することが多いです。トラブル防止のため、どちらが振込手数料を負担するのか事前に確認しておきましょう。

管理番号

管理番号は、請求書の管理を行うために表記することが一般的です。管理番号は、発行した請求書に固有の番号を付けることで、効率的に請求書を管理するための番号です。

管理番号を記載しておくことで、社内での売上請求に関する管理や取引先からの請求書に関する問い合わせへの対応時に有効です。そのため、管理番号の記載は必須ではありませんが、記載することをおすすめします。

印鑑

請求書に印鑑を押すことは法的に義務付けられているわけではありませんが、請求書に印鑑を押すことは一般的です。

印鑑を押すことは、請求書が請求元の会社から発行されたことを証明する証拠になります。押印された請求書は偽造することが困難なため、不正防止として有効です。

法人が使用する印鑑には、実印・銀行印・角印の3種類があります。請求書に押印する際は、角印が使用されることが多いです。

請求書を発行するタイミング

請求書はいつまでに送るものなのか、迷ったこともあるのではないでしょうか。基本的に請求書を発行するタイミングは、商品の納品やサービスを提供した時が一般的です。請求書の発行タイミングについての決まりがあるわけではありませんが、取引量に応じて「掛売方式」か「都度方式」で発行します。

この章では、それぞれの発行方式について解説していきます。

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請求書を発行するタイミング

  1. 都度方式の場合
  2. 掛売方式の場合

都度方式の場合

都度方式は、商品やサービスの納品が完了する度に請求書を発行する方式です。掛売方式で請求書を発行するケースが多いですが、都度方式を希望する会社もいます。

取引の都度に請求書を発行することになるため、請求元・請求先のそれぞれに負担がかかる点は認識しておきましょう。継続的に取引を行わず単発で取引が終わる場合や取引を始めたばかりの会社が希望することが多いです。

掛売方式の場合

掛売方式は、一般的な商取引で使用されることが多い方式です。掛売方式は継続的に取引を行う場合や、月に数回の取引を行う企業が採用することが多いです。

毎月発生した取引を月末や20日に締めた後に一括請求するといったイメージです。まとめて請求するため、お互いの負担を減らすことができます。

納品前に請求書を発行できるか

前述の通り、商品の納品やサービスを提供した後が一般的ですが、イレギュラーなケースもあります。例えば新規で契約を結ぶ場合、新規顧客の信用を確認するために、納品前に請求書を発行し、入金を確認してから納品することがあります。

請求書のタイミングは決まりがあるものではないため、納品前に請求書が発行されても双方で同意が得られていれば問題はありません。

支払いの遅延や架空請求といったリスクやトラブルを回避するためにも、納品前に請求書を発行する際は、双方の契約やルールを確認し、双方の同意と理解のもとに行いましょう。

請求書の発行日について

請求書を再発行する場合の発行日は、以前作成した請求書と同じ発行日にします。請求先が請求書を紛失した場合や、発行された請求書に記載誤りがあった場合に再発行が必要になります。

また、請求書を再発行する際、管理番号を連番にしたり再発行印を付けることで、再発行した請求書であることが分かるようにしておくと良いでしょう。

請求書の支払期日の決め方

請求書の支払期日の決め方としては、月末締目の翌月末払いか月末締めの翌々月末払いを設定することがほとんどです。一般的には上記の支払期日に設定することが多いですが、取引先によっては月末締めの翌月10日払い等、支払期日が早い場合もあります。

未払いや支払い遅延のトラブルを防ぐためにも、取引前の段階で支払期日を確認しましょう。

請求書の送り方

請求書の送り方はいくつかありますが、ペーパーレス化やDXが進んでいることもあり、請求書をPDFやシステム経由で送付することが増えています。

請求書送付を電子化することで、送付にかかるコストを削減したり、リモートワークに対応できるというメリットがあります。業務効率化やコスト削減をサポートする請求書発行システムの導入企業も増えており、送付対応まで可能な請求書発行システムも多いです。

しかし、取引先によっては、郵送やFAXでの送付を希望する場合もあります。この章では、請求書送付時のポイントや注意点を解説していきます。

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郵送する

請求書を郵送で送る場合、封筒の種類・記載事項・封筒への入れ方を抑えておくと良いでしょう。封筒については、長形3号か角形2号のサイズを使用します。封筒の色は決められているわけではありませんが、白・薄い青色・茶色などの封筒を使用するのが一般的です。

封筒の表面には、住所・請求先の宛名・添え書きを記載します。「請求書在中」と添え書きをしますが、ゴム印を使用する会社が多いです。裏面には、差出人・送付日・封じ目を記載します。

封筒に請求書を入れる際は、ビジネスマナー上、三つ折りにするのが一般的です。また、請求書は信書に該当するため、宅急便ではなく普通郵便で送付する必要があります。宅急便で送ることはコンプライアンス的に問題となるため、注意しましょう。

FAXで送る

請求書をFAXで送る場合、取引先が請求書を紛失しやすい点に注意が必要です。FAXで請求書を送付する場合、FAX送付することは問題ないかを事前に取引先に確認しておくようにしましょう。

また、FAX送付する場合、送付状と合わせて送ることが一般的で、送付後に確認の電話を入れると丁寧です。

メールで送る

請求書をメールで送付する場合も事前に了承を取っておくようにしましょう。取引先企業によっては郵送などのメール以外の送付方法を希望する企業もいます。

また、請求書をメールで送付する場合、メール文面・宛先・請求書のファイル形式の確認が必要です。

宛先については、関連部署をCCに入れてほしいといった希望がある場合もあるため、請求書送付先のメールアドレスは確認しておきましょう。また、メールは見逃す可能性があるため、送付後に確認の連絡をすると丁寧です。

発行した請求書の保存期間

請求書を発行した場合、発行側の企業は原本の控えを保存しておくことが義務付けられており、法人と個人事業主で保存期間は異なります。

法人の場合、原則7年の保管が必要です。欠損金の繰越控除を受ける場合は10年になります。個人事業主の場合、原則5年の保管が必要になり、消費税課税事業者の場合は7年になります。

参考:国税庁「帳簿書類等の保存期間」

インボイス制度導入後の請求書発行はどう変わるのか

2023年10月から導入されたインボイス制度に伴い、仕入税額控除の適用を受けるには適格請求書(インボイス)の発行・保存が必須となりました。

従来の請求書はどの事業者でも発行することができ、必要項目が記載されていればすべて仕入れ税額控除の対象でした。しかし、適格請求書は認定された事業者しか発行できません。

また、適格請求書では適格請求書を発行する事業者の名称と登録番号の記載が必要になります。請求書発行担当者は、インボイス制度についての理解を深めておきましょう。

参考:インボイス制度の概要 | 国税庁

インボイス制度とは?概要から影響まで簡単にわかりやすく解説

インボイス制度とは、複数税率に対応した消費税の仕入税額控除の方式のことで、取引の正確な消費税額と消費税率を把握するためのものです。本記事では、インボイス制度によって変わることや影響することの他、導入にあたって準備すること・個人事業主への影響について解説します。

請求書の作成には請求書発行システムがおすすめ

請求書の作成から送付・保存・再発行には、請求書発行システムを活用することをおすすめします。請求書発行システムには、請求書関連の一連の業務を効率的に行うために、便利な機能が数多く搭載されています。

請求書のテンプレートも用意されており、請求書発行システムに必要事項を入力するだけで簡単に請求書を作成することができます。作成した請求書はシステム上で管理することができ、ペーパーレスで送付することも可能です。

会計システムと連携できる請求書発行システムも多く、データの自動取り込みなど、周辺業務の効率化にも期待ができます。

おすすめの請求書発行システム10選|選び方や導入時の注意点を解説

請求書発行システムとは、請求書の作成や発行などの業務を自動化できるシステムのことを言います。システムで自動化できる業務範囲はそれぞれ異なるため、どれを選べば良いか迷う企業もあるでしょう。本記事では、おすすめの請求書発行システムや選び方を解説しています。

まとめ

請求書の発行は、支払いに関して取引先とのトラブルを防ぐために重要です。商品の納品やサービス提供から支払いまでの取引をスムーズにするための助けとなります。

万が一、取引先の未払いや支払い遅延が発生した場合でも、債務が発生している証拠として請求書が重要になります。請求書には、記載項目・発行するタイミング・送付方法など、いくつかポイントがあるため、要点を抑えておきましょう。

請求書は発行して終わりではなく、発行した請求書の管理や取引発生から代金回収までの状況を管理しておく必要があるため、請求書関連の業務を効率化したい場合は、請求書発行システムの導入がおすすめです。

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