アクセラレータープログラムとは?メリット・デメリットを解説

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- アクセラレータープログラムとは、スタートアップの成長を加速させる支援プログラム
- アクセラレータープログラムは新しいビジネスの創出や会社の変革、事業成長に役立つ
- 支援する側・される側が対等な立場で協力することが成功のポイント
アクセラレータープログラムとは、スタートアップ企業や起業家に対し、大企業や自治体などが支援を行うことによって成長を支援するプログラムです。本記事では、新しいビジネス創出や事業成長に役立つとして注目されるアクセラレータープログラムについて、詳しく解説します。
目次
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アクセラレータープログラムとは

アクセラレータープログラムとは、スタートアップ企業の成長を加速させるための短期集中型の支援プログラムのことです。
プログラムでは、メンターの指導、設備・技術の提供、資金調達、ビジネスネットワーク構築の機会などを通して、事業の成長と成功を後押しします。
これらのプログラムは、地域の特性やニーズに合わせて設計され、多様な産業や技術分野に対応しています。参加企業は短期間で多くの知識やネットワークを得ることができ、事業の急成長が期待できます。
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アクセラレータープログラムとは
アクセラレーターとは
アクセラレーターとは、スタートアップ企業や起業家の成長を支援する事業者、つまりプログラムの主催者を指します。アクセラレーター(英:Accelerator)は「加速させるもの」という意味のある言葉で、まさに「成長を加速させる」役割を持ちます。
アクセラレーターは大手企業のほか、自治体や大学の研究機関などの場合もあります。特に自治体や大学がプログラムを実施する場合、地域のスタートアップ支援環境(エコシステム)を整備し、地域経済の活性化につなげることができます。
アクセラレーターは、資金やノウハウをはじめ、さまざまなビジネスリソースをスタートアップに提供します。
アクセラレーターとインキュベーターの違い
アクセラレーターと似た存在に、インキュベーターがあります。両者は、ともにスタートアップ企業を支援する立場にありますが、そのアプローチや目的に違いがあります。
インキュベーターは、アイデア段階あるいは事業開始前のスタートアップを対象に、事業の創造・実現を支援します。一方でアクセラレーターは、既に事業を開始したスタートアップの成長を支援します。
インキュベーター(英:Incubator)は日本語に直訳すると「保育器」といった意味を持ち、文字通り保育器のように、時間をかけてじっくりと育てます。そのため、アクセラレーターに比べて支援内容が手厚く、期間も長くなります。
支援対象の違い
スタートアップの成長段階は、主に以下の4つに分かれています。
- シード:事業計画が策定され、起業に向けた準備段階
- アーリー:事業を開始したが、収益化には至っていない段階
- ミドル:収益が生まれ始め、事業の成長性が見えてきた段階
- レイター:事業が安定し、さらなる規模拡大を目指す段階
アクセラレーターは、起業後、サービスを準備中の段階であるシード以降のスタートアップを支援対象とします。一方、インキュベーターは、起業前で、事業アイデアを練っている段階(シード未満)から支援を行います。
支援期間の違い
アクセラレーターとインキュベーターは、支援期間にも大きな違いがあります。
アクセラレーターは通常、数週間~数か月間の短期集中型のプログラムを提供し、事業の急成長を目指します。一方、インキュベーターは1〜3年程度の長期的な支援を行い、事業の基盤づくりをサポートします。
この違いは、アクセラレーターが既に事業の方向性が定まった企業の成長加速を目的とするのに対し、インキュベーターはアイデア段階からの丁寧な育成を重視しているためです。
アクセラレータープログラムの種類

アクセラレータープログラムには、さまざまな種類があり、業界やテーマ、そして参加スタートアップのニーズに合わせた支援を提供しています。ここからは、代表的なアクセラレータープログラムの種類とそれぞれの特徴を解説します。
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アクセラレータープログラムの種類
コーポレート型
コーポレート型は、「自社実験型」とも呼ばれ、大手企業などが主催し、公募から支援、運営まで一貫して行うプログラムです。
大手企業側は、自社の事業強化を目的として、スタートアップのアイデアや技術を活用します。スタートアップ側は、大企業のリソースやネットワーク、販路などを活用して成長を目指します。
このように、大手企業とスタートアップの協力により、新しいビジネスやイノベーションが生まれやすい環境が作られます。
コンソーシアム型
コンソーシアム型は、1つの企業だけでなく地方の自治体や金融機関なども集まって、複数で主催するプログラムです。複数の企業がそれぞれの強みを持ち寄り、スタートアップを強力に支援します。
さまざまな業界や専門分野の知見やネットワークが集結するため、スタートアップは多角的なサポートを受けられます。また、参加企業の顧客や提携先にもアクセスできるため、事業拡大のチャンスが広がります。
多くの企業が関わることで、お互いの知見や発想を活かした、革新的な技術やサービスが生まれやすくなります。
ビジネスマッチング型
ビジネスマッチング型は、主催者がスタートアップ企業と事業会社を結びつけるプログラムです。参加者のビジネスニーズや関心に合わせて相互のマッチングを行い、有益なビジネス関係を築くことを重視します。
企業や顧客とのマッチングにより、スタートアップは製品・サービスの販路拡大や事業成長を期待できます。また、効率的なネットワーキング機会の提供により、多くのビジネスパートナーと出会い、事業展開に必要な人脈をスピーディーに築けます。
このプログラムは、企業間の Win-Win な関係づくりを重視しているのが特徴です。
併走型
併走型は、豊富な支援経験を持つアクセラレーターが、スタートアップ企業の内部に入り込んで継続的にサポートを行う支援形式です。
アクセラレーターはスタートアップと同じ目線に立ち、事業戦略の策定から人材育成、組織づくりまで、幅広い支援を提供します。通常のプログラムよりも密接な関係性を築き、より深い理解のもとで事業の成長をサポートすることが特徴です。
アクセラレータープログラムのメリット

アクセラレータープログラムは、プログラムを提供する側と受ける側の両方に多くのメリットをもたらします。ここからは、アクセラレーターとスタートアップ企業のそれぞれのメリットを解説します。
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アクセラレータープログラムのメリット
プログラム提供側のメリット
アクセラレーターは、プログラムを通じてスタートアップ企業と協力することで、新しいアイデアや技術を自社の事業に取り入れることができます。
また、スタートアップ企業のビジネスモデルや市場展望を研究することで、将来の市場動向を把握し、新たなビジネスチャンスを見出すことができます。
さらに、これらの知見を活かして新規事業の展開や既存サービスの拡充を図り、自社の競争力を高められるでしょう。
プログラムを受ける側のメリット
スタートアップ企業がプログラムを受けるメリットとして、資金調達が可能になることや企業の成長につながることなどが挙げられます。以下で、プログラムを受ける主なメリットについて解説します。
資金調達の機会を得られる
アクセラレータープログラムは、スタートアップにとって資金調達という大きなハードルを乗り越えるための、強力なサポートとなります。
プログラムを通して多くの投資家と出会えるため、革新的な技術やアイデアの実現に必要な資金を獲得しやすくなります。資金不足によってビジネスチャンスを逃してしまうリスクを軽減し、事業成長や市場開拓を加速できます。
ビジネスノウハウを学べる
スタートアップにとって不足しがちなマーケティングや経営ノウハウを、大企業などから学ぶことができます。顧客ニーズへの対応、市場への浸透、効果的な情報発信といった課題に対し、アクセラレーターの豊富な経験に基づいた解決策を得られます。
新たな企業や起業家とのつながりが持てる
プログラムには、大企業の担当者、業界専門家、成功した起業家などがメンターとして参加しており、貴重な人脈を築くことができます。市場へのアクセス拡大、新たなパートナーや顧客との関係構築にもつながり、事業拡大の大きなチャンスとなります。
プログラム終了後の成果発表会などでは、メディアや投資家へのアピールも可能で、アクセラレーターの協力によって社会的な信用度も高まります。
アクセラレータープログラムのデメリット

アクセラレータープログラムではプログラムの成功は保証されておらず、成果は参加企業の事業戦略や市場状況に左右されます。また、プログラム提供側とスタートアップの方向性のズレも大きな課題です。
プログラム提供側とスタートアップの目指す方向性が一致しないと、スタートアップの自由な事業展開や経営を阻害する可能性があります。
また、アクセラレーターは既存事業と並行してプログラムを運営するため、スタートアップへの支援がおろそかになる可能性があります。これは、プロジェクトの進捗遅延やスタートアップからの評価低下につながるリスクがあります。
アクセラレータープログラムの流れ

アクセラレータープログラムは、スタートアップ企業の成長を加速させるために設計された特別なプログラムです。以下では、それぞれの立場にも焦点を当てながら、アクセラレータープログラムの流れを詳しく説明していきます。
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アクセラレータープログラムの流れ
プログラムの募集・応募
アクセラレータープログラムの募集・応募プロセスでは、プログラム提供側は募集告知を主催者や大手企業を通じて行います。オンラインメディアやイベント、SNSなどを活用して、プログラムの詳細情報や応募条件を公表することが効果的です。
一方でスタートアップ企業は応募書類を提出し、ビジネスモデルや成長戦略、チームの紹介などを記載します。主催者は提出された応募書類を審査し、選考プロセスを進めます。
提供側/受ける側 | 内容 |
---|---|
プログラム提供側 | インターネット上でパートナーを募集 |
プログラムを受ける側 | 応募書類の提出 |
選考
アクセラレータープログラムの選考プロセスは、スタートアップ企業のプログラム参加を決定する重要な選定段階です。まず、応募書類審査において、ビジネスモデル、事業計画、チームの実力などが総合的に評価されます。
一次選考では面接やプレゼンテーションが行われ、参加意義や成長戦略をアピールをすることが一般的であり、最終選考では、より詳細なプレゼンテーションや実証実験が行われます。
このようなプロセスを通じて、プログラム提供側は企業の成長可能性や事業の持続性を慎重に判断し、イノベーションを生み出せる優れたスタートアップを選定していきます。
提供側/受ける側 | 内容 |
---|---|
プログラム提供側 | 選考やメンターとのマッチング |
プログラムを受ける側 | 書類選考、面接を受ける |
出資・支援
選考を通過すれば、いよいよ出資や支援のフェーズに入ります。プログラム提供側は、各スタートアップの事業内容やニーズに合わせた適切な支援を行い、成長に必要なリソースの提供やビジネス戦略の強化をサポートします。
プログラム提供側とスタートアップ企業が密接に連携することで、革新的なビジネスの創出や事業の成功につながり、アクセラレータープログラムは新しい価値を生み出す重要な役割を果たしています。
提供側/受ける側 | 内容 |
---|---|
プログラム提供側 | アドバイスやリソースの提供 |
プログラムを受ける側 | 不足しているリソースやノウハウの享受 |
成果発表(DemoDay)・フォローアップ
アクセラレータープログラムの支援期間が終わると、「デモデイ」と呼ばれる成果発表が行われます。ここでスタートアップ企業は、社内外の関係者に向けてプログラムでの成果をプレゼンテーションします。
一部のプラグラムでは、デモデイ終了後も継続したフォローアップが行われます。投資家との関係維持をサポートし、資金調達の機会を提供するほか、メンターや専門家による事業戦略のアドバイスやビジネスプランの改善支援も行われます。
また、ネットワーキングイベントを通じて、新たなビジネスパートナーとの出会いの場が設けられる場合もあります。
提供側/受ける側 | 内容 |
---|---|
プログラム提供側 | 成長を促進する継続的な支援と協力を提供 |
スタートアップ企業側 | 成果をアピールし、さらなる成長の機会を追求する |
アクセラレータープログラムを成功させるポイント

アクセラレータープログラムの成功には、プログラム提供側とプログラムを受ける側の協力と努力が欠かせません。成功させるためには、両者が共通の目標に向かい、密なコミュニケーションを図ることが重要です。
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アクセラレータープログラムを成功させるポイント
変化していく課題に対応する
アクセラレータープログラムを成功させるには、刻々と変化する社会や市場の動向を的確に把握することが重要です。
プログラム提供側は、常に最新の市場動向や競合情勢を把握し、スタートアップ企業に対して適切な情報提供を行う必要があります。また、スタートアップ企業も変化に柔軟に対応し、学び続ける姿勢が求められます。
両者が密接にコミュニケーションを取り、課題解決に向けて協力することで、プログラムは成功に近づいていきます。
共に働きかける姿勢を持つ
アクセラレータープログラムを成功させるには、アクセラレーターとスタートアップがパートナーとして同じ目線を持つことが大切です。
アクセラレータとスタートアップは、それぞれがお互いにないアイデアや強みを持っており、単なる支援する側・される側という関係を超えて、お互いの強みを活かし合うことが重要です。
お互いがもつ強みを共に活用していこうとする姿勢を持ち、目標を共有してプロジェクトを進めていくことがより良い結果をもたらします。
まとめ

アクセラレータープログラムは、スタートアップ企業の成長を加速させるためのプログラムであり、数か月にわたる集中的な支援を提供します。
アクセラレータープログラムによって、支援する側は新たなアイデアに触れられたり、市場の動向を把握できたりといったメリットがあります。また、スタートアップ企業にとっても業界の専門家などからフィードバックを得られ、企業の成長につなげられます。
スタートアップ企業の成長とビジネスの革新を実現するために、アクセラレータープログラムは有益な手段となるでしょう。
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