ワークフローシステムの導入手順|導入時に失敗しないポイントも解説

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  • ワークフローシステムを導入することで、コンプライアンス強化やコスト削減ができる
  • 導入に失敗しないためには、自社の承認フローへの適合性やサポート体制を確認する
  • ワークフローシステムは、必要な機能の有無や拡張性、導入形態なども確認して選ぶ

ワークフローシステムは、社内稟議における申請から承認までの一連の業務を電子化できるツールです。ペーパーレス化や働き方改革を進めるにあたり、多くの企業で導入されています。この記事では、ワークフローシステムの導入手順や失敗しないポイントを解説します。

目次

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  1. ワークフローシステムの導入手順
  2. ワークフローシステムの導入メリット
  3. ワークフローシステム導入のデメリット
  4. ワークフローシステム導入で失敗しないためのポイント
  5. ワークフローシステムの選定ポイント
  6. まとめ

ワークフローシステムの導入手順

ワークフローシステムとは、申請から承認までの一連の業務を電子化するツールのことです。ワークフローシステムでは、申請者は指定のフォームに入力するだけで申請が完了し、承認者はシステム上で承認・却下が行えます。

この記事ではワークフローシステムの導入手順やメリット、選定ポイントを解説します。

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導入目的を明確にする

システムを導入する際は、導入目的を明確にしておかなければなりません。そのためには、現状のワークフローを正確に把握し、課題や問題点を洗い出す必要があります。

その上で、問題を改善するにはどのような機能が必要であるか検討し、自社に必要な機能を備えたシステムを選定するようにしましょう。

ワークフローとは

ワークフローとは、企業内の業務における、一連の手続き・流れのことです。例えば、経費精算のワークフローは、申請書の作成→上司の承認→決裁→経理の精算の流れで進みます。

ワークフローは、経費精算のほかにも、稟議書・物品購入申請書・見積依頼書・休暇届など、申請と承認が必要な業務に対して発生します。

ワークフローは内容の重要度により、申請から承認まで並列に進む場合と、条件分岐して進む場合があります。

担当者を選定する

システムの導入にあたっては、申請者・承認者・管理者・システムエンジニアの中からそれぞれ1〜2名の担当者を選定しましょう。異なる立場の従業員からヒアリングすることで、自社に必要な機能を洗い出すことができます。

導入後のメンテナンス・トラブル対応はベンダーに一任することもできますが、ユーザーとベンダーの間に連絡係が必要です。

担当者は、システム導入後も定期的なヒアリングを開催し、常に適切な運用ができるよう注意しなければなりません。

申請・承認フローを整備する

システムを導入する前に、まずは現状の申請・承認フローを確認しましょう。現状のフローに問題や改善点がないかをヒアリングし、使用頻度が低いフローは廃止、似ているフローは集約し、申請・承認フローの整備を行いましょう。

現状のフローを整備するだけで、業務効率が改善されることも珍しくありません。システムは規模・機能によって費用が異なるため、現状のフローを的確に把握し、整備しておかなければなりません。

システムへ移行する申請・承認フローを決める

全てのフローを一度にシステムへ移行するのは、混乱を招く可能性があります。使用頻度が高く、重要度の高いフローから移行する方が費用対効果が得やすいため、事前に優先順位をつけておきましょう。

一般的に、システムは規模が大きく、多機能なほど高額になります。そのため、システムのおよその利用者数を把握し、規模・機能を絞り込めれば、コストダウンに繋がります。

ワークフローシステムを選定する

ワークフローシステムを選定する際は、自社の導入目的を明確にし、以下の項目を確認しておきましょう。

  1. 使いやすさ
  2. 柔軟性の有無
  3. セキュリティ対策
  4. 既存システムとの連携

システムは直観的操作ができ、誰でも使いやすいものがおすすめです。どんなに優れたシステムでも、利用者が使いづらいと感じたら、メリットを十分に実感することはできません。

申請・承認フローが並列で進まない場合、自社に合わせたフローの設定が必要になります。柔軟性が低いシステムでは、決まった選択肢の中でしか設定できません。複雑なフローが想定される場合は、システムの柔軟性も確認しておきましょう。

また、ワークフローシステムは個人情報や監査に必要な書類を扱うため、セキュリティ対策の確認が必要です。既存のシステムとの連携が必要な場合は、互換性や相性も確認しておきましょう。

ワークフローシステムの設定を行う

ワークフローシステムの選定の次は、システムの設定を行います。設定する項目は、主に以下の3つです。

  1. 申請画面の作成
  2. 申請・承認ルートの作成
  3. ユーザーの権限設定

申請画面の作成とは、申請に必要な入力項目を作成することです。選択肢を使った方が利便性が高い場合、プルダウン・チェックボックスの機能を利用しましょう。

申請・承認ルートの作成とは、申請書ごとに必要なルートを作成することです。申請内容によっては、複数の承認者を経由したり、経理担当者をルートに加える場合もあります。

ユーザーの権限設定とは、申請・承認・閲覧・代理承認を行う人を設定することです。ユーザーごとに必要な権限を付与することができ、適宜変更が可能です。

テスト導入する

システムの設定が完了したら、テスト導入に移ります。テスト導入は、全社で一斉に行うのではなく、一部の部門で試験的に行う方がいいでしょう。

実際にシステムを使ってみると、不便な点や足りない機能が見えてきます。テスト導入で課題が見つかれば、システムの見直しを行い、自社に適したシステムにブラッシュアップしていきましょう。

トラブルやシステム障害が発生した際は、速やかにベンダーに連絡し、原因究明と問題解決を依頼しましょう。

導入前に研修を行う

ワークフローシステムの導入にあたっては、事前に従業員への研修・教育が必要です。研修は申請者・承認者ごとに行い、利用者全体にITリテラシー教育を実施しておくことも必要です。

システム導入後も定期的にヒアリングを行い、利用者の意見をもとに、より良い運用体制を構築していきましょう。

ワークフローシステムの導入メリット

ここまではワークフローシステムの導入手順を解説しましたが、ここからは、ワークフローシステムの主なメリットを解説していきます。

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コンプライアンスの強化

ワークフローを紙ベースで管理する場合、内容を改ざんされたり、無許可のまま物品を購入されたりなど、不正が起こる可能性があります。

しかし、ワークフローシステムでは、システム上の操作が全て保存されるため、データの編集・追加・削除といった不正防止に繋がります。

また、システムでワークフローの閲覧を制限しておけば、業務に関係のない従業員がデータを閲覧することもできなくなります。

閲覧権限のある人が不正を行った場合でも、誰が・どのような操作をしたかが確認できるため、早期に不正を発見することができます。

内部統制の強化

ワークフローシステムには、以下のような機能があります。

  1. 承認プロセスの可視化・記録
  2. 承認経路の設定
  3. 閲覧メンバーの設定
  4. 決裁完了後のデータを編集不可にする
  5. 承認履歴・申請書類のデータ保存

ワークフローシステムの導入により、承認プロセスが可視化されれば、承認から決裁までのデータの更新・操作ログの履歴を保存することができます。

また、承認経路を事前に設定しておけば、社内ルールで定めたフローに沿って業務を進めることができ、内部統制の強化に繋がります

さらに、承認プロセスを可視化し、承認履歴や申請書類をデータ保存することは、監査へのスムーズな対応に役立ちます。

ワークフローのスピードアップ

ワークフローを紙ベースで管理する場合、担当者が申請書を作成・印刷・提出し、上司が承認を行い、経理・総務に回付します。そのため、上司が忙しい時や不在の際は、ワークフローが停滞してしまいます。

ワークフローシステムを導入すれば、申請から承認までを全てシステム上で行えるため、承認フローが大幅にスピードアップします。あらかじめ代理承認者を設定しておけば、承認者不在時のフローもスムーズです。

また、拠点を跨ぐ承認フローの場合、時間だけでなく、郵送費の削減もできます。クラウド型システムであれば、スマホやタブレットを使ってどこからでも申請・承認が行えるため、意思決定の迅速化にも繋がるでしょう。

コスト削減・業務効率化

ワークフローの電子化により、承認・申請業務のペーパーレス化が実現できますそして、ペーパーレス化により、書類作成のための用紙・インク・印刷代、保管のためのキャビネット代、書類管理のための人件費といったコストを削減することができます。

また、承認プロセスはシステム上に保存されるため、書類の紛失やデータ流出のリスクを軽減することができ、電子帳簿保存法にもスムーズに対応できます。

申請書の作成から承認までをシステムで一括管理できれば、申請・承認業務の工数を大幅に削減することができるため、業務の効率化に繋がります。その結果、他の業務に従事する時間ができ、会社全体の生産性向上にも役立ちます。

働き方改革の推奨

働き方改革の推進により、リモートワーク・テレワークを導入する企業が急増し、従業員の働き方も多様化しています。

多様な働き方に対応するためには、業務のDX化が不可欠です。従来の出社を前提とするワークフローでは、多様な働き方に対応できず、業務効率向上の妨げになります。

クラウド型のワークフローシステムを導入すれば、出社せずに承認プロセスを進めることができるため、勤務形態に関係なく、業務の効率化が実現できます。遠隔地に住む従業員の勤務も可能になり、人手不足の解消にも繋がります。

ワークフローシステム導入のデメリット

ワークフローシステム導入によって、業務効率化をはじめとする様々なメリットが得られますが、適切に運用しなければ逆効果になるリスクもあります。ここでは、ワークフローシステムを導入する際に知っておきたいデメリット・注意点を解説します。

ワークフローシステム導入のデメリット

  1. 業務フローの見直しが必要になる
  2. セキュリティリスクがある

業務フローの見直しが必要になる

ワークフローシステム導入時は、業務フローの見直しが必要になることがあります。自社の業務フローとシステムが合わない場合、システムに業務フローを合わせなければならず、浸透までに時間がかかってしまうでしょう。

また、業務フローを変えることで、かえって業務効率が落ちてしまうリスクもあります。システム導入時は、自社のフローに合わせてできるだけ柔軟にカスタマイズできるものを選ぶことが重要です。

セキュリティリスクがある

ワークフローシステムでは企業の機密情報や顧客の個人情報も扱うことになりますが、利用時には一定のセキュリティリスクがあります。特にクラウド型のシステムはインターネットを利用するため、情報漏洩が起こる可能性があることは留意しておくべきです。

安全に利用するためには、二段階認証やアクセスログの記録など、導入するワークフローシステムのセキュリティ対策機能を事前に確認しておきましょう。外部からの攻撃だけでなく、社内の誰がどのような操作をしたかが把握できると安心です。

ワークフローシステム導入で失敗しないためのポイント

ワークフローシステムの導入には多くのメリットがありますが、導入に失敗しないためのポイントを事前に確認しておきましょう。

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コストや使い勝手に問題はないか

システム導入に失敗する一番の原因は、費用対効果が見合わないことです。システム導入を失敗させないためには、導入前にランニングコストを含めた予算を作成し、予算内に収まるように万全の運用体制を整えましょう。

また、システムを選定する際は、使い勝手も重要なポイントです。導入前に使い勝手を確認するには、無料トライアルの利用がおすすめです。

無料トライアル中に、「直観的な操作ができるか」「UIが複雑すぎないか」「動作は重くないか」といった内容を確認しておくといいでしょう。

加えて、ベンダーのサポート体制も確認します。電話・メール・チャットで気軽に問い合わせができれば、初心者でも安心してシステムを利用することができます。

自社の申請・承認フローに対応しているか

独自のルールなどを設けているような大手の企業の場合には、申請・承認フローが長期化・複雑化しても対応できるワークフローシステムを選ぶ必要があります。中小規模の企業の場合でも、自社の規模や申請・承認フローに合っているものを選びましょう。

ベンダーのサポート体制を確認する

どのようなシステムであっても、システム障害やトラブルの発生を完全に回避することはできません。そのため、システムを導入する際は、ベンダーのサポート体制の手厚さを確認しておく必要があります。

システムの運用中にトラブルや疑問点が発生した場合、どこまでサポートしてくれるか、電話・メール・チャットの問い合わせ先や、対応時間も確認しておきましょう。

導入前に、ベンダーから使い方のレクチャーがあれば、スムーズに使用を開始できます。システムの導入にあたっては、レクチャーやマニュアルの有無を確認し、なるべくサポートが充実したベンダーを選ぶようにしましょう。

運用体制を構築し研修やサポートを徹底する

システムを適切に運用するためには、社内の体制を整え、従業員に使い方を周知徹底しておかなければなりません。

使い方が分からない・不具合が発生したといった場合に備えて、ヘルプデスクの設置をおすすめします。従業員の疑問点や不満を放置しておくと、システムの活用が進まず、思ったような効果が得られない可能性があります。

システムの積極的な利用を推進するには、従業員のITリテラシーに合わせた研修・サポートを徹底し、システムのメリットを説明しておきましょう。

ワークフローシステムの選定ポイント

ワークフローシステム導入に失敗しないためには、自社に合った製品を選ぶことが重要です。ここでは、ワークフローシステムの選定ポイントを解説します。

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機能や拡張性は十分か

ワークフローシステムを選ぶ際は、機能や拡張性を確認しましょう。導入前には想定していなかった機能が必要になる場合や、ワークフローが変化する可能性もあるため、適宜追加できるものが望ましいです。

例えば、ワークフローシステムには、文書管理機能を搭載したものもあります。文書管理機能が搭載されていれば、ワークフローシステムで書類を一元管理することができます。

また、他システムと連携することで機能を拡張できる場合も多いです。会計ソフトや電子契約システムなど、既存システムとの連携可否も確認しておきましょう。

事業規模が拡大した場合に備えて、機能や拡張性が十分かを確認し、必要に応じてワークフローの見直しができるシステムを選ぶのがおすすめです。

自社環境に導入形態が合っているか

システムの導入形態には、大きく分けて「クラウド型」と「オンプレミス型」の2種類があります。導入形態は、コストや手軽さだけで選ぶのではなく、自社の環境に合わせて選ぶ必要があります。

クラウド型

クラウド型とは、インターネットを介して提供されるサービスを利用する形態です。自社内にサーバーを構築する必要がなく、システムの管理・運用はベンダーが行います。そのため、初期費用が安価で、導入までに時間がかからない点がメリットと言えます。

一方で、ベンダーが提供する一律のサービスを利用するため、カスタマイズ性が低く、セキュリティ対策はベンダーに依存する点はデメリットです。ただし費用面と運用の手軽さから、近年では利便性の高いクラウド型が主流になってきています。

オンプレミス型

オンプレミス型とは、サーバーやソフトウェアなどを自社で管理・運用する形態のことです。自社のニーズに合わせてシステムをゼロから開発できるため、カスタマイズ性の高さが魅力です。

また、オンプレミス型は、社内ネットワークのみでシステムの運用が完結するため、情報漏洩のリスクが低く、強固なセキュリティを構築できる点がメリットと言えます。

一方、サーバーの構築・システム開発にかかる初期費用が高額となり、システムを運用するランニングコストも発生します。オンプレミス型は、システムの導入までに時間とコストがかかるため、費用対効果を十分に検討してから導入しましょう。

企業規模に見合ったシステムか

ワークフローシステムを導入する際は、企業規模に見合ったシステムを選ぶ必要があります。企業規模は、事業内容・資本金・従業員数により分類されますが、ここでは、従業員1,000人以上の企業を大企業、それ以外を中小企業として解説していきます。

中小企業の場合

中小企業の場合、システムを利用する従業員の数は、多くても20名以下と想定されます。例外もありますが、申請・承認フローは並列に進むことが多いため、機能は基本的なもので十分でしょう。

オーバースペックなシステムは、コスト面・使い勝手ともにデメリットになり兼ねません。そのため、中小企業がシステムを選定する際は、「シンプルな機能」「コストの安さ」がポイントになります。

初期費用・ランニングコストともに割安で、スモールスタートが可能なシステムが費用対効果を得やすいと考えられます。

大企業の場合

事業規模が大きくなるほど、システムの利用者数が増え、承認プロセスが複雑になります。複数の部署・担当者による合議が必要な場合、申請・承認フローが条件分岐して進む場合もあります。

事業規模が大きくなると、申請・承認に関わる周辺業務の効率化も必要とされます。そのため、大企業がシステムを選ぶ際は、「複雑なワークフローに柔軟に対応できるか」「既存システムとの連携・API連携が可能か」「文書管理機能が使えるか」がポイントとなります。

大企業の場合、システムの規模が大きくなることも考えられるため、コスト面でクラウド型が絶対的に有利になるとは限りません。クラウド型とオンプレミス型の比較検討を十分に行い、自社の環境に見合ったシステムを選定しましょう。

まとめ

ワークフローシステムとは、申請から承認までの一連の業務を電子化するツールのことです。ワークフローシステムの導入により、コンプライアンスや内部統制の強化だけでなく、申請・承認までのスピードアップやコスト削減が期待できます。

ワークフローシステムの導入を成功させるには、万全の運用体制を構築し、従業員への研修・サポートを徹底する必要があります。導入後のトラブルに備えて、ベンダーのサポート体制も確認しておくのがおすすめです。

また、ワークフローシステムを選定する際は、「機能や拡張性は十分か」「コストや使い勝手に問題がないか」などを確認し、企業規模に見合ったものを導入する必要があります。本記事を参考に自社に適したシステムを導入し、業務効率化を図りましょう。

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