セールスイネーブルメントツールとは|機能とメリットデメリットは?

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  • セールスイネーブルメントツールは、求められるスキルの変化に対応するために必要
  • セールスイネーブルメントツールを導入することで、人材不足や属人化の解消が可能
  • セールスイネーブルメントツールはツールごとに強みが異なるため、選定の際に確認する

セールスイネーブルメントツールを使うことで、営業の業務効率を上げ、組織全体の営業力を強化・最適化することができます。本記事では、セールスイネーブルメントが求められる背景と、導入するメリット・デメリットの他、セールスイネーブルメントツールの選び方も解説します。

目次

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  1. セールスイネーブルメントとは
  2. セールスイネーブルメントツールが求められる背景
  3. セールスイネーブルメントツールを導入するメリット
  4. セールスイネーブルメントツールを導入するデメリット
  5. セールスイネーブルメントツールの選び方
  6. まとめ

セールスイネーブルメントとは

セールスイネーブルメントとは、自社の営業力の強化や営業成果を高めるための取り組みのことです。営業組織全体の成長を目的とした取り組みであることから個々の成長にも期待ができ、この営業活動全体の最適化を支援するのがセールスイネーブルメントツールです。

営業活動の一部ではなく全体の改善を図るツールのため、セールスイネーブルメントツールは多機能であることが多いです。

主に、タスクやプロセスの効率化と自動化・情報とコンテンツの一元管理・プロスペクトの追跡・営業成果の詳細分析といったことが可能であり、営業メンバーのスキル向上も支援します。

セールスイネーブルメントは企業の営業力を底上げする重要な取り組みではあるものの、対象範囲が広いため、ツールを使用して効率的に行う必要があります。

CRMとの違い

セールスイネーブルメントツールとCRMは、どちらも営業活動を支援するツールですが、メインとなる機能や焦点が異なります。セールスイネーブルメントツールは営業活動全体の改善を支援するため、コンテンツ管理やプロスペクトトラッキングなどを提供します。

それに対し、CRMは「顧客管理システム」とも呼ばれるように、顧客情報の収集・管理・分析に焦点を当て、企業全体の顧客関係をカスタマイズしたアプローチで構築するためのツールです。

セールスイネーブルメントツールは営業チームに対して直接的なサポートを提供し、CRMは顧客情報を中心とした営業活動を支援します。2つのツールを活用して営業戦略を強化し、効果的な顧客対応を実現するのが理想です。

SFAとの違い

セールスイネーブルメントツールは、前述の通り営業活動全体の改善を支援するのに対し、SFAは商談の進捗状況や営業担当者の行動を可視化し、営業活動そのものを管理します。また、SFAは営業プロセスを自動化することもでき、効率的な営業活動が実現します。

SFAによって営業プロセスの非効率な部分などが明確になるため、SFAは活用の仕方によって営業活動の改善が見込めます。しかし、SFAはあくまでも営業活動を支援するシステムであり、改善や最適化を図ることを目的としていません。

導入によって得られる効果に共通する点はありますが、セールスイネーブルメントツールとSFAは導入する目的が大きく異なります。

セールスイネーブルメントツールが求められる背景

競争が激化している近年のビジネス環境では、営業チームの強化と顧客との関係性の構築が重要です。この2つを実現するために必要なのがセールスイネーブルメントであり、それに伴ってツールの重要性もますます高まっています。

セールスイネーブルメントツールは営業活動をサポートし、効果的な営業プロセスを構築するための革新的なソリューションを提供します。顧客とのコミュニケーションを強化し、成約率を向上させるために、企業はこのツールの導入に注目しています。

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求められるスキルの変化

インターネットの普及により顧客は自ら情報を収集し、製品やサービスについて自身で比較できるようになりました。そのため、顧客はすでに自社に必要なものが明確になっていることが多く、現代の営業では専門的なコンサルティングが求められています

また、労働人口の減少が進んでいることから人数で業務をカバーすることができず、効率的な営業活動を行わなければならないといった問題もあります。そこで、効率的な営業活動を実現するためにセールスイネーブルメントツールが注目されています。

セールスイネーブメントツールは営業チームの業務を効率化・自動化し、限られた人員リソースを最大限に活用する手段として企業に求められ、効果的な営業戦略の実現に貢献しています。

マーケティングソリューションの発達

マーケティングソリューションの普及により、企業は広告や情報を効果的に配信できるようになりました。しかし、広告や情報を顧客に届けるには興味関心を集める必要があり、多くの企業がこれを大きな課題として捉えていました。

また、営業活動ではマーケティング活動によって関心を持った顧客に対してベストなタイミングで適切な情報を提供し、個別のニーズに合わせてカスタマイズされたアプローチを行う必要があります。

セールスイネーブルメントツールには、顧客との関係を強化するための機能が多く備わっているため、上記のような理想的な営業活動を実現できます。

顧客との関係を深めるのは容易ではないため、関係を構築する手段の1つとしてセールスイネーブルメントツールの需要が高まっています。

属人化の加速

セールスイネーブルメントツールは、営業活動の属人化を解消できるツールとして注目されています。営業活動はスキルだけでなく慣れも必要であり、多くの商談を経験したベテラン社員に依存しやすく、属人化が進みやすい分野といえます。

前述の通りインターネットの普及により顧客はすでにある程度の知識を持っているケースが多く、営業担当者はこれまで以上のスキルが必要です。しかし、営業活動は経験の多さが結果に直結しやすく、経験豊富なベテラン社員を中心に属人化が進みがちです。

そのため、組織が定めたベストプラクティスに基づいた営業活動が行えるセールスイネーブルメントツールの活用が広まっています。

セールスイネーブルメントツールを導入するメリット

セールスイネーブルメントツールを導入することには、営業活動の効率化と顧客との関係強化に対する多くのメリットがあります。以下にそのメリットを解説します。

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属人化を防げる

セールスイネーブルメントツールにより、チーム全体の営業スキルの底上げが可能です。組織が定めたベストプラクティスに基づいて活動できるため、経験豊富なベテランから新人まで、全ての営業担当者が統一されたアプローチで活動できます。

これにより属人化が解消され、組織全体の営業成果が安定化します。セールスイネーブルメントツールの導入は組織全体の営業戦略の強化につながり、持続的な営業力を構築できます。

人手不足に対応できる

セールスイネーブルメントツールは、人手が不足している営業チームの支援策としても有効です。ツールによって営業活動が効率化し、従来よりも短時間で業務を進めることができます。

また、セールスイネーブルメントツールにはトレーニングを強化する機能もあるため、一人ひとりの営業スキルが向上し、これまでと同じ人数で従来以上の業績を挙げられるようになります。

現代の日本は少子高齢化という大きな問題を抱えており、それに伴って労働人口の減少があらゆる業界・業種・企業で人手不足が起きています。そのため、限られたリソースを最大限に活用できるツールは非常に需要が高いといえます。

営業力が向上する

セールスイネーブルメントツールには営業活動量を増やす機能が多く備わっており、営業力の向上が見込めます。営業メールやマーケティングメールを自動で送信でき、業務負担を増やすことなく商談の機会を増やすことができます。

手作業のタスクの自動化により商談に向けた準備などに注力することができ、より効果的な営業活動を可能にします。効果的な営業活動は顧客との関係強化にもつながり、長期的な関係構築も図れます。

デジタル化を促進できる

情報社会を迎えた現代における競争力はデジタル化が大きく影響しており、セールスイネーブルメントツールはこのデジタル化を促進するツールの1つです。最近の営業活動は製品自体の魅力だけでなく、パーソナライズされたアプローチが重要視されています。

セールスイネーブルメントツールは、効果的な営業戦略の策定や顧客満足度の向上をデータに基づいて行えるよう支援するため、デジタル化の促進と営業活動の最適化の2つを同時に実現できます。

働き方改革に適応できる

セールスイネーブルメントツールの導入により在宅勤務や外回りといった様々な勤務体系に適応でき、働き方改革を推進できます。

ツールのオンラインコミュニケーションとタスク管理機能を活用することで、オフィス外で活動する時間が長い営業担当者でも効率的に業務に当たれます。また、自宅から直接取引先に訪問することも可能になり、無駄な移動を減らせます。

営業担当者の業務効率が向上することでワークライフバランスの実現が促進され、働き手の満足度が高まります。組織としては、生産性の向上や働き手のモチベーション維持に寄与し、働き方改革と営業活動の効率化を同時に実現する重要なツールとなります。

セールスイネーブルメントツールを導入するデメリット

セールスイネーブルメントツールの導入には、いくつかのデメリットも考慮する必要があります。以下にその主な点を解説します。

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経営陣の理解が必要になる

セールスイネーブルメントツールを導入する際は、企業の経営陣の理解が必要です。セールスイネーブルメントツールは導入してすぐに効果を得られるツールではないため、導入コストに見合った効果が得られるか長期的な視点で判断しなければなりません。

また、ただ導入するだけではメリットを十分に引き出すことはできず、導入に失敗する可能性があります。そのため、導入するツールを選定する経営陣は自社の現状に対する理解を深め、ツールの活用をサポートしましょう。

ツールを活用できるまで時間がかかる

セールスイネーブルメントツールは営業活動全体を最適化するためのツールであることから、多くの機能が搭載されています。そのため、ツールを十分に活用できるようになるまで時間を要します。

コンテンツや顧客情報、商談の進捗などの営業に関わるすべてのプロセスにセールスイネーブルメントツールが関わるため、すべての機能を使いこなすのは容易ではありません。

また、ツールの導入によってこれまでの業務フローを変更しなければならず、新たな業務フローに慣れるのにも時間がかかります

セキュリティリスクが増える

セールスイネーブルメントツールの導入によって、セキュリティリスクが増加する可能性があります。顧客情報や営業データの取り扱いが増えるため、データ漏えいやマルウェア感染、ソーシャルエンジニアリング攻撃などの脅威が懸念されます。

これらの対策として、データの暗号化やアクセス制御、強固なパスワードポリシーの導入など、データセキュリティの強化が求められます。他にも、マルウェア対策ソフトウェアの導入や不審なリンクや添付ファイルに対する注意喚起も必要です。

また、ソーシャルエンジニアリング攻撃に対する教育とトレーニングを実施し、従業員のセキュリティ意識を高めることも重要です。組織全体でセキュリティ意識を高めるためには、従業員の協力と意識向上が不可欠です。

セールスイネーブルメントツールの選び方

セールスイネーブルメントツールを選ぶ際のポイントは、多岐にわたります。ここでは、セールスイネーブルメントツールを選定する際に確認すべき3つのポイントを解説します。

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ツールの強みを確認する

セールスイネーブルメントツールはツールごとに特化している分野が異なるため、自社が抱えている課題とマッチするかどうか確認しましょう。顧客情報の管理や営業プロセスの効率化が必要な場合は、CRM機能に特化したツールが適しています。

また、特定の業界や業種に特化したツールを導入することで、より自社の営業活動に活用できます。実際の操作性についてはトライアル期間を利用してツールを試用し、操作性や効果を確認するのがおすすめです。

ツールの特化分野や強みと自社の課題とのマッチングが導入成功への鍵であり、慎重な比較検討を行い、最適なセールスイネーブルメントツールを選択することが重要です。

導入実績を確認する

セールスイネーブルメントツールを選ぶ際は、同業種・同業界での導入実績が多いかどうか確認しましょう。同業他社が既にツールを導入している場合、その業界や業種に適した機能や効果がある可能性が高く、自社のニーズにもマッチする可能性が高まります。

導入実績を確認する方法には、ベンダーの公式Webサイトや資料、ユーザーレビュー、ネットワーキングイベントやセミナーなどが挙げられます。

ただし、自社のニーズや要件とのマッチングも重要であり、導入実績だけでなくツールの機能やカスタマイズ性、セキュリティなどを総合的に考慮することが大切です。

他システムと連携できるか

セールスイネーブルメントツールを選ぶ際の重要なポイントは、既存のシステムとの連携がスムーズに行えるかどうかです。

セールスイネーブルメントツール以外のシステムを既に導入している企業の場合、導入済みの他システムと連携できることでデータの一元管理や業務効率化、リアルタイムな情報共有などのメリットを享受できます。

また、連携によって入力作業の重複をなくし、データの断片化も防げます。反対に、連携ができなければ二重での入力作業が発生し、かえって業務の効率を落とします。

まとめ

セールスイネーブルメントツールの導入は、競争が激化するビジネス環境で効率的な営業活動やチームの底上げを実現します。インターネットの普及により顧客が情報収集できるようになったことから営業担当者のスキル向上が求められ、セールスイネーブルメントツールの需要が高まっています。

営業活動全体の効率化や最適化を実現するツールであることから、CRMやSFAとは異なる目的で導入されています。ツールの選定時は同業他社での導入実績を参考にしつつ、自社のニーズに適したものを選びましょう。

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