マイナンバー管理システムとは?メリット・デメリット、選び方を解説
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- マイナンバー管理システムでは、マイナンバーの収集から廃棄までを一元管理できる
- マイナンバー管理システムの導入で、効率的な管理や適切な安全管理措置が実現する
- マイナンバー管理システムを選ぶ際は、ナンバーの収集方法や対象規模を確認する
マイナンバー管理システムとは、従業員のマイナンバーの収集から廃棄までを一元管理できるシステムです。本記事では、マイナンバー管理システムをよく知らない方や導入を検討している方のために、マイナンバー管理システムの機能やメリット・デメリット、導入する際の選び方を解説しています。
目次
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マイナンバー管理システムとは

マイナンバー管理システム(マイナンバー管理ソフト)とは、企業が従業員のマイナンバーを管理するためのシステムです。収集や保管、利用、破棄などマイナンバー管理に必要な作業を、クラウド上で行うことができます。
マイナンバーは重要な個人情報であるため、厳重な安全管理措置を講じることが求められます。そのため、管理担当者の負担が大きくなりがちです。マイナンバーをシステム上で管理することで、手間が省けるだけではなく、紛失や情報漏洩を防ぎやすくなります。
マイナンバー管理に関する国のガイドライン
企業でマイナンバーを管理する場合、法律で定められた4つのルールの遵守が求められます。ルールを把握しておかないと、知らぬ間に法令違反になる可能性もあるでしょう。国のガイドラインをもとに、その内容を解説します。
参考:特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン|個人情報保護委員会
取得・利用・提供
マイナンバーの取得については、「個人番号関係事務を処理するために必要がある場合に限って、本人などに対して個人番号の提供を求めることができます。」と、個人番号の提供を求める際のルールが明記されています。
また、利用に関しては「事業者が個人番号を利用するのは、主として、社会保障及び税に関する手続き書類に従業員等の個人番号を記載して行政機関等及び健康保険組合等に提出する場合」となっています。
つまり、企業が源泉徴収票や支払調書、健康保険、厚生年金保険被保険者資格取得届などの書類にマイナンバーを記載し、行政機関や健康保険組合などに提出する場合は、収集・利用が認められるということになります。
参考:特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン|個人情報保護委員会
保管・廃棄
マイナンバーは、番号法に明記された特定の事務を行う必要な場合に限り、保管の継続が認められています。また、個人番号が記載された書類のうち、所管法令によって一定期間の保存が義務付けられているものは、その期間保管することとなります。
企業で言えば、継続的な雇用関係にある限り、従業員から提供を受けた個人番号を給与の源泉徴収や健康保険、厚生年金保険などの事務処理のために継続して保管することが可能です。
従業員の退職など、事務処理の必要がなくなった場合には、対象の個人番号を速やかに廃棄しなければなりません。削除・廃棄したことは記録し、委託した場合は確実に削除したかどうかを証明書などで確認する必要があります。
参考:特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン|個人情報保護委員会
委託
個人番号関係の事務処理を一部、または全て委託する場合は、委託先において番号法に基づいた安全管理措置が講じられるよう、監督することが求められます。委託先の設備、技術水準、従業員への教育状況などを事前に確認しなければなりません。
また、委託者には委託先だけではなく、再委託先や再々委託先まで間接的に監督する義務があります。
参考:特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン|個人情報保護委員会
安全管理措置
マイナンバーを取り扱う場合は、個人番号および特定個人情報の漏洩や滅失、または毀損の防止、その他適切な管理をするために、安全管理措置を講じることが義務付けられています。また、従業員の監督も必要です。
そのため、マイナンバーカードに含まれる特定個人情報などの取り扱いの確保について、組織として取り組む必要があります。取り扱いの基本方針を策定し、従業員に徹底周知をすることが重要です。
参考:特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン|個人情報保護委員会
マイナンバーをExcelで管理する問題
企業でデータ管理のためによく使われるExcel(エクセル)ですが、収集・管理の手間やリスクが大きいマイナンバーをExcelで管理することはおすすめできません。
例えば、PCが壊れた時にはExcelファイルが消失する可能性があります。バックアップをとっておかないと、再び収集が必要になるでしょう。
また、PCのセキュリティ対策によっては、マイナンバー情報が外部に流出することも問題です。ExcelファイルはPC上で保管されており、パスワードを設定しないと担当者以外でも閲覧・操作ができてしまうため、悪用されるリスクもあります。
マイナンバー管理システムの機能

マイナンバー管理システムには、マイナンバーを適切に取り扱うための機能が搭載されています。これらの機能によって、マイナンバーを効率的かつ安全に管理することができます。
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| 機能 | 主な内容 |
|---|---|
| マイナンバーの取得・収集 | ・オンラインでのマイナンバー収集 ・スマホ撮影やパスワードによる安全対策 |
| マイナンバーの利用・提供 | ・書類フォーマットへの自動記載 ・利用履歴の管理 |
| マイナンバーの保管・廃棄 | ・クラウド上でのマイナンバーの保管 ・保管期限の管理 ・完全な廃棄 |
マイナンバーの取得・収集
オンラインで従業員から直接マイナンバーを収集できます。ペーパーレスで完結し、やり取りを簡略化できるため、手間をかけず速やかに手続きを進めることが可能です。
マイナンバーの取得に際しては、スマホ撮影による本人確認やワンタイムパスワードによって安全対策が講じられるため、不正やミスのリスクも抑えられます。
マイナンバーの利用・提供
官公庁へ提出する書類などにマイナンバーの記載が必要な際には、労務管理システムや給与計算ソフトなどとの連携によって書類フォーマットへ自動記載ができます。
また、管理者はマイナンバーを利用した履歴を確認することが可能です。いつ、何のために情報を利用したのかがわかることで、万が一トラブルがあった際にも早急に対応しやすくなります。
マイナンバーの保管・廃棄
システムで収集したマイナンバー情報は、クラウド上のサーバーで安全に保管されます。暗号化などのセキュリティ対策が施され、外部への情報流出をはじめとするリスクを防いでいます。
また、アラート機能によって保管期限の過ぎたデータについては管理者に通知され、管理期限切れや従業員の退職等によりマイナンバーの廃棄が必要になったときには、データが残らないよう適切かつ完全な廃棄が可能です。
マイナンバー管理システムのメリット

マイナンバー管理システムを活用すれば、マイナンバーの管理・利用体制を構築しやすいです。具体的なメリットについて解説していきます。
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マイナンバー管理システムのメリット
マイナンバーの収集から廃棄まで一元管理できる
マイナンバー管理システムでは、マイナンバー情報の収集・利用・廃棄を一元管理できることが大きなメリットです。
例えば紙での管理では、収集に労力がかかるうえ、どこに保管しているか忘れたり、書類を紛失したりするリスクがあります。また、マイナンバーを利用する際は、記入に手間がかかるほか、記入漏れや記入間違いなどの人為的ミスが発生することも懸念点です。
システム上で一括管理することで、マイナンバーに関する作業はすべて1か所で行えるようになり、効率化・自動化が進みます。
マイナンバーの収集を効率化できる
マイナンバー管理システムでは、マイナンバー提供のリクエストメールの送信や情報のアップロードなど、オンライン上でのやり取りになるため、安全かつ効率的な収集が可能です。
アナログなやり方でマイナンバーを従業員から収集するためには、何に利用するかの通知や書類の郵送・受け取り、収集した情報の整理などが必要となるため、従業員・管理者ともに手間やコストが掛かります。また、重要な個人情報のため取り扱いに注意が必要で、効率が悪くなりがちです。
システムの導入により、マイナンバーを提供する側も収集する側も、作業が楽になるでしょう。
関連する帳簿を簡単に発行できる
マイナンバー管理システムを労務管理システムや給与計算ソフトなどと連携すると、帳簿を簡単に発行できるメリットがあります。源泉徴収のようにマイナンバーカードの情報が必要な書類には、自動的に情報が反映されるため、手動での転記・記入の必要がありません。
Excelファイルからのデータ受け渡しと違ってクラウド上でデータのやり取りが行えるため、より効率的で安全性が高く、記入漏れや転記ミスも防げて、従業員の負担も減るでしょう。
安全管理措置を適切に実施できる
マイナンバー管理システムを導入することで、国のガイドラインに則った安全管理措置対策を講じることができます。ベンダーによってクラウド上での厳重なセキュリティ対策が施されているため、マイナンバー情報を安全に取り扱うことが可能です。
また、システムは自社でアップデートする必要がないため、法の改正にもタイムリーかつ容易に対応できるメリットがあります。
万が一、マイナンバーの漏洩や不正利用といったトラブルがあった際は、損害賠償など重い処罰を受けることもあるため、システムを使ってセキュリティを強化することが有効です。
マイナンバー管理システムのデメリット

マイナンバー管理システムには上記のようにさまざまなメリットがありますが、コスト面や安全面でのデメリットもあります。こうしたデメリットも把握したうえで、導入を検討しましょう。
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マイナンバー管理システムのデメリット
コストがかかる
マイナンバー管理システムは、導入にコストがかかる点がデメリットです。特に、搭載機能が自社のニーズに合致していないなど、十分な費用対効果が得られないと、コスト面でのデメリットが大きくなります。
人数が多くなるほど、そしてシステムの機能性が高くなるほどコストがかかるため、自社の規模やニーズに合わせてあらかじめ予算に目安を立てておくと良いでしょう。
ただし、コストがかかるとはいえ、システムを導入することで作業や人件費がカットされて生産性が上がり、結果的にコストパフォーマンスが良くなることが期待できます。そのため、費用対効果を試算してコストをかける価値を確認しておきましょう。
セキュリティリスクはゼロにはならない
マイナンバーのクラウド管理は、紙書類での管理に比べて安全ですが、ウイルスやハッキングによる情報漏洩のリスクはゼロではありません。
また、適切な権限設定がされていなかった、従業員による悪意ある不正があったなど、内部の問題によるセキュリティリスクも考えられます。システムに頼り切るのではなく、少しでもリスクを減らすために自社内で対策を検討することも重要です。
マイナンバー管理システムの選び方

マイナンバー管理システムにはさまざまな種類があるため、自社の要件やニーズに合ったシステムを選ぶことが大切です。ここでは、マイナンバー管理システムを選ぶポイントを解説します。
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マイナンバー管理システムの選び方
機能の範囲はニーズに合っているか
マイナンバーの管理ができるシステムには、マイナンバー管理に特化したタイプのほか、労務管理システムとして提供されているタイプもあります。機能範囲が大きく異なるため、どちらのタイプを導入すべきか、慎重に検討しましょう。
マイナンバー管理に特化したタイプ
すでに労務管理に関連するシステムを利用しており、引き続き使いたい場合は、マイナンバー管理に特化したタイプを選ぶと良いでしょう。機能がコンパクトなため、導入準備の手間や導入ためのコストも比較的少なく済みます。
既存のシステムがクラウド型の場合、同じシリーズでマイナンバー管理システムが提供されている場合もあります。同じベンダーのシステムであれば、導入もより簡単でしょう。
労務管理システムとして提供されるタイプ
勤怠管理や給与計算などの労務管理もシステム導入によって効率化したい、この機会に労務管理システムも見直したいという場合は、労務管理システムの一部としてマイナンバー管理機能があるシステムの導入がおすすめです。
マイナンバー管理だけでなく、そのほかの人事労務管理も一元化できるため、大規模な業務効率化を目指すのに適しています。
マイナンバーの収集方法を確認
マイナンバーの収集方法には、主に「画面入力型」「ID・パスワード方式」「ワンタイムURL方式」の3つがあります。どの方式が自社に合うかを検討しましょう。
画面入力型
画面入力型は、対象者にリクエストメールを送信し、情報を入力してもらう方式です。システムの管理画面から担当者が提供を依頼し、対象者はメールの案内に沿って情報を入力して担当者に送信します。
ID・パスワード方式
ID・パスワード方式は、対象者にIDとパスワードを付与し、各自がマイナンバー管理システムにログインします。マイナンバー情報と本人確認書類を、対象者が直接システム上でアップロードする方法です。
ワンタイムURL方式
ワンタイムURL方式では、対象者にワンタイムURLを共有し、そのURLから提出する方式です。ワンタイムURLは、一度または限られた時間や回数のみアクセスできるURLです。提出が終わるとURLは無効とされるため、セキュリティの面で安心できます。
既存システムと連携できるか
労務管理システムなども既存システムを引き続き利用したい場合、マイナンバー管理システムが連携できるかどうかも大切な確認ポイントです。
また、その場合は帳票への反映方法も確認しましょう。自動でデータが連携できるAPI連携と、手動でデータをアップロードできるCSV連携があるため、運用方針に合わせて使いやすい方法を選ぶと良いでしょう。
対象規模・コストを確認
マイナンバー管理システムは、機能数やユーザー数、管理できるマイナンバーの数によって、かかる費用が異なります。
複数の拠点を持つ企業であれば、一つのシステムで拠点ごとの利用が可能なものを選ぶと便利です。従業員が少なければ、「○人まで無料」といったシステムを利用してみてもいいでしょう。
自社の抱える課題や将来的なビジョンを洗い出し、予算を決めておくなど、事前にコスト面での計画の組み立てをしておきましょう。
操作しやすいUIか
実際にマイナンバー管理システムを使用する社員にとって、操作しやすいUIかも考慮して選定する必要があります。導入後、社内にスムーズに浸透させるためには、画面設計がシンプルで直感的に操作できるシステムがベストです。
また、企業によっては社員間のIT知識に大きな差がある場合もあるため、IT知識の有無にかかわらず、全ての社員にとって操作しやすいシステムかを考慮して選定することをおすすめします。
サポート内容・セキュリティ対策を確認
導入時の設定や研修などのために、またアクセス不良などのトラブルや疑問点が生じた際を想定して、サポート体制やサポート内容、対応時間を確認しましょう。
また、重要な個人情報を取り扱うため、セキュリティ対策は最も重要と言っても過言ではありません。データの暗号化はもちろん、権限はレベル分けで設定できるか、作業履歴の確認や作業者の特定はできるか、どのようにウイルス対策されているかなど、さまざまな角度で確認することが必要です。
マイナンバー管理システム導入時の注意点

マイナンバー管理システム導入時は、適切な運用体制を整えておくことが重要です。以下で、具体的な注意点を解説します。
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マイナンバー管理システム導入時の注意点
担当者を限定する
マイナンバーを取り扱う担当者は限定し、必要最小限の人員とすることが望ましいです。アクセス権限を適切に設定し、担当者以外がマイナンバー情報にアクセスできないように厳重な管理体制を構築することが重要です。
また、担当者任せにするのではなく、企業全体で厳重な管理体制を構築しましょう。具体的には、アクセスログの定期的なチェックや、担当者の異動時における権限の見直しなども必要となります。
社内規程を整備・遵守する
マイナンバー管理システムの導入にあたっては、社内規程の整備も必要です。規程には、マイナンバーの取得、利用、保管、廃棄に関する具体的な手順やセキュリティ対策、事故発生時の対応手順などを明確に定める必要があります。
また、定期的な研修やマニュアルの更新を通じて、全従業員に規程の内容を周知徹底することが重要です。規程の遵守状況については、定期的な内部監査を実施し、必要に応じて改善を図ることで、より安全で確実なマイナンバー管理体制を維持することができます。
まとめ

マイナンバー管理システムは、マイナンバーの取り扱いに関わる作業をクラウド上で一括管理でき、従業員のマイナンバー情報の収集・利用が効率的に行えるシステムです。クラウド上で管理できることで、人為的なミスを防げるなど多くのメリットがあります。
マイナンバー管理システムはさまざまなベンダーから提供されているため、効果的に運用するには、導入前に自社のニーズや予算を洗い出し、セキュリティ対策をしっかりと確認した上で慎重に決定することが重要です。本記事を参考に、システムを活用しながらマイナンバーの管理体制を整えましょう。
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