マイナンバー管理システムとは?メリット・デメリット、選び方を解説

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  • マイナンバー管理システムは、マイナンバーの収集から廃棄までを一元管理できる
  • マイナンバー管理システムの導入で、効率的な収集や安全管理措置の適切な対策ができる
  • マイナンバー管理システム導入の際は、収集方法や自社の規模を確認して検討する

マイナンバー管理システムとは、従業員のマイナンバーの収集から廃棄までを一元管理できるシステムです。本記事では、マイナンバー管理システムをよく知らない方や導入を検討している方のために、マイナンバー管理システムのメリット・デメリットや機能、導入する際の選び方を解説しています。

目次

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  1. マイナンバー管理システムとは
  2. マイナンバー管理システムの機能
  3. マイナンバー管理システムのメリット
  4. マイナンバー管理システムのデメリット
  5. マイナンバー管理システムの選び方
  6. まとめ

マイナンバー管理システムとは

マイナンバー管理システム(マイナンバー管理ソフト)とは、企業が従業員のマイナンバーを管理するシステムです。収集や保管、利用、破棄などマイナンバー管理に必要な作業を、クラウド上で一括管理できます。

マイナンバーは重要な個人情報であるため、厳重な安全管理措置を講じることが求められます。そのため、管理担当者の負担が大きくなりがちです。マイナンバーをシステム上で管理することで、手間が省けるだけではなく、紛失や情報漏洩を防ぎやすくなります。

マイナンバーをExcelで管理する課題

マイナンバーをExcel(エクセル)で管理すると、PCが壊れた時にファイルが消失する可能性があります。バックアップをとっておかないと、再び収集が必要になるでしょう。また、PCのセキュリティ対策によっては、マイナンバー情報が外部に流出することも問題です。

さらに、ExcelはPC上で保管されており、パスワードを設定しないと担当者以外でも閲覧・操作ができてしまうため、悪用されるリスクもあります。Excel上でのマイナンバー管理は、データの安全面で課題が多いです。

マイナンバー管理における国のガイドライン

企業でマイナンバーを管理する場合、法律で定められた4つのルールの遵守が求められます。管理する際はルールを把握しておかないと、知らぬ間に法令違反になる可能性もあるでしょう。ここでは、マイナンバー管理における国のガイドラインを解説します。

参考:特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン|個人情報保護委員会

取得・利用・提供

マイナンバーの取得は、「個人番号関係事務を処理するために必要がある場合に限って、本人などに対して個人番号の提供を求めることができます。」と、個人番号の提供の要求のルールが明記されています。

また、利用に関しては「事業者が個人番号を利用するのは、主として、社会保障及び税に関する手続き書類に従業員等の個人番号を記載して行政機関等及び健康保険組合等に提出する場合」となります。

企業側が、所得税法に基づいて給与所得の源泉徴収票や支払調書、健康保険、厚生年金保険被保険者資格取得届などの書類に記載し、行政機関や健康保険組合などに提出する場合は、利用が認められるということになります。

参考:特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン|個人情報保護委員会

保管・廃棄

マイナンバーの特定個人情報は、番号法で限定的に明記された事務を行う必要な場合に限り、保管の継続が認められています。個人番号が記載された書類のうち、所管法令によって一定期間の保存が義務付けられているものは、その期間保管することとなります。

企業で言えば、継続的な雇用関係にある限り、従業員から提供を受けた個人番号を、給与の源泉徴収や健康保険、厚生年金保険などの事務処理のために継続して保管できるということです。

従業員の退職など、事務処理の必要がなくなった場合には、対象の個人番号を速やかに廃棄しなければなりません。削除・廃棄したことは記録し、委託した場合は確実に削除したかどうかを証明書などで確認する必要があります。

参考:特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン|個人情報保護委員会

委託

個人番号関係の事務処理を一部、または全部委託する場合は、委託先において番号法に基づいた安全管理措置が講じられるよう、監督することが求められます。委託先の設備、技術水準、従業員への教育状況などを事前に確認しなければなりません。

また、委託者は委託先だけではなく、再委託先や再々委託先まで間接的に監督する義務があります。

参考:特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン|個人情報保護委員会

安全管理措置

マイナンバーを取り扱う場合は、個人番号および特定個人情報の漏洩や滅失、または毀損の防止、その他適切に管理するため、安全管理措置を講じることが義務付けられています。また、従業員の監督も必要です。

マイナンバーカードに含まれる特定個人情報などの取り扱いの確保について、組織として取り組む必要があります。そのため、取り扱いの基本方針を策定し、従業員に徹底周知をすることが重要です。

参考:特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン|個人情報保護委員会

マイナンバー管理システムの機能

マイナンバー管理システムには、マイナンバーを適切に取り扱うための機能が搭載されています。ここでは、マイナンバー管理システムの機能を解説します。

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機能主な内容
マイナンバーの取得・習得・スマホ撮影による本人確認・ワンタイムパスワードによる収集
マイナンバーの利用・提供・マイナンバーの記載が必要な書類の適切な提供
・利用履歴の管理
マイナンバーの保管・廃棄・クラウド上でのマイナンバーの保管・保管期限のアラート機能
・適切な廃棄

マイナンバーの取得・習得

マイナンバーの取得に際し、スマホ撮影による本人確認ができるため、ペーパーレスで完結します。やり取りを簡略化できるため、手間がかからず速やかに手続きを進められます。

また、マイナンバーの収集はワンタイムパスワード形式のため、安全かつ効率的な習得が可能です。

マイナンバーの利用・提供

マイナンバー管理システムには、官公庁へ提出する書類などにマイナンバーの記載が必要な際、適切に利用・提供できる機能があります。

また、管理者はマイナンバーを利用した履歴を確認できます。履歴のデータの保存機能を搭載したシステムもあり、トラブルがあった際に対応しやすくなります。

マイナンバーの保管・廃棄

マイナンバー管理システムでは、マイナンバーを適切に保管・破棄する機能が備わっています。収集したマイナンバー情報は、クラウド上のサーバーで安全な保管が可能です。また、保管期限の過ぎたデータやマイナンバー情報を通知する、アラート機能もついています。

従業員の退職等によりマイナンバーの廃棄が必要になったときには、データが残らないよう適切かつ完全な廃棄が可能です。

マイナンバー管理システムのメリット

マイナンバー管理システムは、厳重な管理が求められるマイナンバー情報を少ない作業で安全に管理できるため、さまざまなメリットがあります。ここでは、マイナンバー管理システムのメリットを解説します。

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マイナンバーを収集・利用・廃棄まで一元管理できる

マイナンバー管理システムでは、マイナンバー情報を収集・利用・廃棄まで一元管理できることが大きなメリットです。システム上で従業員からマイナンバーカードを収集し、退職者の情報は破棄できます。

紙での管理では、どこに保管しているか忘れたり、書類を紛失したりなどのリスクがあります。また、マイナンバーに関する作業は、記録を残す必要があるため、記入漏れなどの人為的ミスが発生することも懸念点です。

システム上で一括管理することで、正確なデータの取り扱いが可能になります。

マイナンバーの収集を効率化できる

マイナンバー管理システムには、マイナンバーの収集を効率化できるメリットがあります。マイナンバーを従業員から収集するためには、何に利用するかの通知や書類の郵送が必要となるため、手間やコストが掛かります。

また、重要な個人情報のため取り扱いに注意が必要で、効率が悪くなりがちです。システムの導入により、リクエストメールの送信や情報のアップロードなど、オンライン上でのやり取りになるため、安全かつ効率的な収集が可能です。

マイナンバーの入力が必要な帳簿を簡単に発行できる

マイナンバー管理システムを労務管理や給与管理システムなどと連携できると、帳簿を簡単に発行できるメリットがあります。源泉徴収のようにマイナンバーカードの情報が必要な書類は、自動的に情報が反映されるため、転記・記入の必要がありません。

データのやり取りがクラウド上で行えるため安全性が高く、記入漏れや転記ミスも防げて、従業員の負担も減るでしょう。

安全管理措置へ適切に対策できる

マイナンバー管理システムを導入することで、国のガイドラインに則った安全管理措置対策を講じることができます。万が一、ガイドラインを守らず情報漏洩などのトラブルがあった際は、損害賠償など重い処罰を受けることもあります。

セキュリティシステムが厳重なクラウド上では、マイナンバー情報を安全に取り扱うことが可能です。また、システムは自社でアップデートする必要がないため、法の改正にもタイムリーかつ容易に対応できるメリットがあります。

マイナンバー管理システムのデメリット

マイナンバー管理システムには、作業の効率化や正確な情報の取り扱いなど様々なメリットがありますが、コスト面や安全面でのデメリットもあります。ここでは、マイナンバー管理システムのデメリットを解説します。

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マイナンバー管理システムのデメリット

  1. コストがかかる
  2. クラウド上での管理は情報漏洩の恐れがある

コストがかかる

マイナンバー管理システムは、導入にコストがかかる点がデメリットです。そのため、搭載機能が自社のニーズに合致していないと、無駄な出費に終わってしまうこともあります。なぜシステムが必要かを明確にしてから導入を検討する必要があります。

また、人数が多くなるほどコストがかかるため、自社の規模によってあらかじめ予算に目安を立てておくと良いでしょう。

コストがかかるとはいえ、システムを導入することで作業や人件費がカットされて生産性が上がり、結果的にコストパフォーマンスが良くなるということもあります。そのため、慎重な計画が必要です。

クラウド上での管理は情報漏洩の恐れがある

マイナンバーのクラウド管理は、紙書類での管理に比べて安全ですが、ウイルスやハッキングによる情報漏洩のリスクはゼロではありません。そのため、マイナンバー管理システムを選ぶ際は、セキュリティ対策が万全かどうかも重要な確認ポイントです。

マイナンバー管理システムの選び方

マイナンバー管理システムにはさまざまな種類があり、自社のニーズに合った機能を持つシステムを選ぶことで、より高い効果が出てコストパフォーマンスも上がります。ここでは、マイナンバー管理システムを選ぶポイントを解説します。

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マイナンバーの管理に特化したタイプか労務管理の一部か

マイナンバーの管理ができるシステムは、マイナンバー管理に特化したタイプと労務管理の一部として導入するタイプがあります。勤怠管理や給与計算などの労務管理も効率化したい場合は、労務管理の一部としての導入がおすすめです。

自社の労務管理を引き続き使う場合は、マイナンバー管理に特化したタイプを選ぶと良いでしょう。自社の要件や課題に照らし合わせて導入を検討することが必要です。

マイナンバーの収集方法を確認

マイナンバーの収集方法には、主に「画面入力型」「ID・パスワード方式」「ワンタイムURL方式」の3つがあります。どの方式が自社に合うか分からない場合は、無料トライアルで操作性を確認してもいいでしょう。それぞれの収集方式を解説します。

画面入力型

画面入力型は、対象者にリクエストメールを送信し、情報を入力する方式です。システムの管理画面から、マイナンバー管理システムの担当者が提供を依頼するという方法です。

ID・パスワード方式

ID・パスワード方式は、対象者にIDとパスワードを付与し、各自がマイナンバー管理システムにログインします。マイナンバー情報と本人確認書類を、システム上でアップロードします。

ワンタイムURL方式

ワンタイムURL方式では、対象者にワンタイムURLを共有し、URLから提出する方式です。ワンタイムURLは、一度または限られた時間や回数のみアクセスできるURLです。提出が終わるとURLは無効とされるため、セキュリティの面で安心できます。

帳票への反映方法を確認

マイナンバー管理システムを選ぶ際は、帳票への反映方法を確認しましょう。システムを導入すると、マイナンバーの入力が必要な書類に自動反映できる機能があるものは、導入から運用までのプロセスが少ないため便利です。

反映方法は自動でデータが連携できるAPI連携と、手動でデータをアップロードできるCSV連携があるため、運用方針に合わせて使いやすい方法を選ぶと良いでしょう。

自社の規模・コストを確認

マイナンバー管理システムを導入する際は、自社の規模を把握し、かかりそうなコストの確認が必要です。システムは、機能数やユーザー数、管理できるマイナンバーの数によって、値段が異なります。

複数の拠点を持つ企業であれば、一つのシステムで拠点ごとの利用が可能なものを選ぶと便利です。従業員が少なければ、「⚪️人まで無料」といったシステムを利用してみてもいいでしょう。

「コストをかけて購入したのに必要ない機能ばかりだった」「従業員が少ないからコンパクトなシステムにすればよかった」などと後悔のないよう、自社のニーズに合ったシステムの特徴を把握することが大切です。

自社の抱える課題や将来的なビジョンを洗い出し、予算を決めておくなど、事前に計画の組み立てをしておきましょう。

既存システムと連携できるか

既存システムとマイナンバー管理システムが連携できるかどうかも、システムを導入する際の大切な確認ポイントです。既に労務管理や勤怠管理システムがある場合、連携できれば利便性が高く円滑に業務を行えます。

サポート内容・セキュリティ対策を確認

マイナンバー管理システムを導入する際は、サポート内容やセキュリティ対策の確認が必要です。アクセス不良などのトラブルや疑問点が生じた際を想定して、サポート体制やサポート内容、対応時間を確認しましょう。

自社の管理担当が解決できるレベルより上のサポート内容であるかも大切ですし、稼働時間がサポートの対応と合う時間帯であれば、速やかなサポートを受けられます。

また、重要な個人情報を取り扱うため、セキュリティ対策は最も重要と言っても過言ではありません。マイナンバー情報が漏洩した場合、重大な罰則を受けることになります。従業員の個人情報が漏れるだけでなく、会社の信頼を失うことにもつながります。

システムがデータの暗号化に対応しているか、管理者権はレベル分けで設定できるか、作業履歴の確認や作業者の特定はできるか、どのようにウイルス対策されているかなど、さまざまな角度で確認することが必要です。

自社に必要な機能が備わっているか

マイナンバー管理システムを選定する際には、自社に必要な機能が備わっているかも重要なポイントです。マイナンバーの収集方法や管理方法、利用方法など、選定するシステムによって対応範囲が異なります。

マイナンバー管理業務をどの範囲まで一元化したいかに合わせて、適切な機能を備えたシステムを選定しましょう。基本的に、機能性が豊富なほどコストが高くなる傾向にあるため、必要な機能を絞り込み、予算管理を行うことも重要です。

操作しやすいUIか

実際にマイナンバー管理システムを使用する社員にとって、操作しやすいUIかも考慮して選定する必要があります。導入後、社内にスムーズに浸透させるためには、画面設計がシンプルで直感的に操作できるシステムがベストです。

また、企業によっては社員間のIT知識に大きな差がある場合もあるため、IT知識の有無にかかわらず、全ての社員にとって操作しやすいシステムかを考慮して選定することをおすすめします。

まとめ

マイナンバー管理システムは、マイナンバーの取り扱いに関わる作業をクラウド上で一括管理でき、従業員のマイナンバー情報の収集が効率的に行えるシステムです。クラウド上で管理できることで、人為的なミスを防げるなど多くのメリットがあります。

一方で、コスト面の心配や、サーバーへの不正アクセスなどセキュリティ上の懸念点もあります。特にセキュリティ面では、安全管理措置対策が国より義務付けられており厳重な管理が必須です。

システムを効果的に運用するには、導入前に自社のニーズや予算を洗い出し、セキュリティ対策をしっかりと確認した上で慎重に決定しましょう。

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