データ連携ツールとは?メリット・デメリット、機能などを解説
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- データ連携ツールは、システム間のデータをリアルタイムで連携させるツールである
- データ連携ツールの導入で手作業の業務を効率化し、生産性の向上などにもつながる
- データ連携ツールを選ぶ際は、目的の明確化やIT知識に合っているかなどを確認する
データ連携ツールとは、異なるシステム間のデータを収集・加工して、リアルタイムで連携できるツールのことを指します。データ連携ツールの導入で、手作業で行なっていた業務を自動化できます。本記事では、データ連携ツールの機能やメリット・デメリット、選び方を解説します。
データ連携ツールとは
データ連携ツールとは、複数間の社内業務システムのデータをリアルタイムで連携させるためのツールを指します。例えば、顧客情報・受発注情報・請求情報などを連携させる際、システム単位で入出力のデータ処理形式が異なるため、各データの変換が必要です。
連携させるシステムが限定されていれば、連携用のプログラミングによる対応が可能です。しかし、連携させる業務システムが複数ある場合や、変換・入出力処理が複雑である場合には、個別のプログラミングは効率的とは言えません。
そのため、連携したいシステムが複数あるケースで業務の効率化を推進するためには、システム間のデータをノーコード・ローコードで連携できるデータ連携ツールの導入が不可欠です。
データ連携とは
データ連携とは、システムやアプリケーションが保有しているデータの共有を行い、有効活用することを指します。
購買データ・顧客データ・在庫データなど、企業が取り扱うデータは複数のシステムで保有されている場合が多く、データを組み合わせて活用するためにはシステム同士でのデータ連携を行わなければなりません。
そこで、データ連携基盤やデータ連携ツールと呼ばれるシステムが注目されています。データ連携基盤上におけるデータのやり取りで、データを収集・加工するためのプログラムをシステムごとに作成する必要がないことから、より効率的なデータ連携が可能です。
データ連携ツールの種類
データ連携の課題を解決するために活用されるのが、EAIツールとETLツールです。データ連携の基盤構築には、スクラッチ開発・ハイブリッド開発といった手法も考えられますが、コストやスキルが必要なためツールの利用がおすすめです。
ここでは、EAIツールとETLツールにおけるそれぞれの相違点について解説します。
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EAIツール
EAIは英語の「Enterprise Application Integration」の略で、日本語で「企業アプリケーションの統合」という意味があります。各部門や各業務に分散しているデータを、リアルタイムで連携させるシステムです。
EAIは、社内の異なるシステム同士でのデータ共有を目的としています。また、異なる企業間で情報を共有するために用いられるAPIとは、企業が社外のシステムやサードパーティーのアプリケーションと通信するためのインターフェースを指します。
EAIツールはETLツールより扱えるデータ量は劣りますが、リアルタイムでスピーディーな処理ができるため、正確かつ高い信頼性のデータ連携が可能です。また、ノーコードで利用できるツールもあり、開発部門が存在しない企業などで多用されています。
ETLツール
ETLは、Extract(抽出)・Transform(変換)・Load(出力)の頭文字をつなげた略語です。各部門におけるシステムやサービス内に分散しているデータを抽出し、用途やシステムごとに利用するために、変換・加工を施して出力するシステムです。
EAIツールと比較すると、リアルタイムでの処理は不得意ですが、膨大なデータ量やビッグデータの処理を得意としています。
また、ノーコードで利用ができ、GUI(グラフィカルユーザインターフェース)を搭載しているツールが多いため、開発部門がない企業やシステムに関するスキルを保有していない企業などで多用されています。
データ連携ツールの機能
データ連携ツールには、データの提供場所からデータを収集し、統合するための機能が搭載されており、データ統合・データ変換・データ品質管理・データマッピング・データセキュリティ設定などが行えます。ここでは、主な機能と詳細を一覧で解説します。
機能 | 詳細 |
---|---|
データ取得・統合機能 | ・顧客データを1カ所で統合管理する ・スプレッドシート・チャットツール・メールサービスなどのデータを1カ所で統合管理する |
データ変換・加工機能 | ・取得データの文字列置換・日付フォーマットの変換をする 取得データの誤入力を修正して正確性を高める ・取得データを分類する ・取得データを集計する |
自動同期機能 | ・別のデータベースに受注情報を転送する ・オンラインストレージの保存ファイルを、他のオンラインストレージに自動で同期する |
バックアップ・復元機能 | ・データを定期的にバックアップする ・メールデータの定期的なバックアップ・復元を行う |
セキュリティ機能 | ・取得データを暗号化する ・APIの認証でアクセス制御する |
データ可視化・レポート作成機能 | ・グラフやチャートでデータを可視化する ・取得データからレポートを作成する |
データ連携ツールを導入するメリット
複数のシステム同士でデータを連携する際には、ツールの活用が効果的です。データ連携ツールの導入で、システム更新の都度プログラムを開発する作業負担を軽減できます。ここでは、データ連携ツールの利用で得られるメリットについて解説します。
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データ連携ツールを導入するメリット
専門知識に乏しくても利用できる
データ連携ツールには、ノーコード・ローコードで連携を図れるツールがあります。また、豊富なテンプレートやドキュメントも用意されているため、初心者でもわかりやすく、プログラミングの専門知識に乏しくても業務の自動化に利用できます。
また、導入方法がわからない場合も、専門のベンダーに設計・構築の依頼が可能です。運用面でトラブルが発生した際にも、技術サポートなどを活用してツールを提供するベンダーの専門家に相談できるため、心置きなく導入・運用が行えます。
手作業の業務を効率化できる
データ連携ツールの導入で、手動でデータを収集したり転送したりする手間がなくなり、業務にかかる時間や手間の大幅な削減ができます。また、自動化によりデータの移動や加工の高速処理ができるため、大量のデータでも迅速・正確に処理できます。
手作業による業務の場合、ヒューマンエラーによるミスが起こる可能性がありますが、データ連携ツールではプロセスの自動化によりミスが起こりにくいです。そのため、業務効率化はもちろん、品質向上などの効果にも期待が持てます。
生産性の向上につながる
データ連携ツールの利用により、データ連携処理を自動化し、単純作業の時間を軽減することで、仕事の生産性の向上が図れます。慣習化した単純作業の自動化により、各従業員の負担が軽減されるため、残業の大幅な削減や出社の軽減も可能です。
また、部署ごとの独自ルールや担当者の属人化も防げることから、統一したシステム運用が可能になり、会社全体のパフォーマンスも向上します。
事業成長の拡大に対応可能
社内で利用している既存のシステムが少ない場合でも、事前にデータ連携ツールを導入しておくことで、新たなシステムを導入した際にスムーズな運用が実現します。また、近年の情報化社会では、さまざまな業務効率化につながるシステムが提供され続けています。
よって、事業成長の拡大とともに必要となるシステムが増えることが想定されます。今後の状況変化に柔軟な対応を行えるようにしておくことで、機会損失の防止や競合他社と比べた際の優位性の確保にも寄与します。
信頼性の高いデータを利用可能
名刺管理システムから顧客管理システムへの登録など、1つのシステムから別のシステムへの手作業による転記は、更新頻度やヒューマンエラーといった問題が発生しがちです。
そこで、データ連携ツールを利用することによって、ヒューマンエラーのないタイムリーなデータの利用ができます。また、信頼性の高いデータを基に詳細な経営分析が行えるだけでなく、営業活動など日々の情報更新が必要な業務の効率化にも貢献するでしょう。
データ連携ツールのデメリット
自社で実施したいデータ連携処理にマッチしないツールには注意が必要です。マッチしないツールを選ぶと、ツールの導入費用とプログラムの作成費用の両方が発生する恐れがあります。データ連携ツールは、デメリットを周知した上で選択しましょう。
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データ連携ツールのデメリット
連携できるシステムやアプリに限りがある
データ連携ツールで連携ができるシステムやアプリには限りがあります。例えば、顧客管理システムと連携したい場合、一方のツールでは標準で対応していても、もう一方のツールではプランの選択でしか対応できない場合などがあります。
つまり、すでに利用しているシステムやアプリとの連携を考える際は、プランの変更が必要なのか、そもそも社内で利用しているシステムやアプリが連携に対応しているかどうかなどを、導入する前にしっかりと確認しなければなりません。
連携による業務効率化がイメージしづらい
データ連携ツールにおいては、どのシステムやアプリと連携すれば、どのような業務効率化につながるのかがイメージしづらいでしょう。特に、従業員のITスキルが低いほど具体的な想像がしづらいです。
そのため、ツール活用のサポートや実例の提供など、導入後の運用サポートが手厚いベンダーのデータ連携ツールを選択することがおすすめです。
将来の事業展開を想定しておく必要がある
現在の社内で利用しているシステムが少ない場合や、今後新たなシステムを導入しようと考えている場合は、できる限り将来の事業展開を想定しておくことをおすすめします。それは、ツールによって連携できるシステムなどには違いがあるからです。
仮に、事業展開に合わせて新たなシステムを導入したいと考えた場合、データ連携ツールが対応してないと一から手動で連携作業を行わなければいけません。
よって、今後どのようなシステムを導入したいのか、可能な限りリストアップしてから対応したツール選びをすることが重要です。
データ連携ツールの選び方
データ連携ツールの一つひとつで、機能・操作性などのスペックが異なります。自社にマッチしたデータ連携ツールの導入を図るためにも、選ぶ際に気を付けたいポイントを把握しておきましょう。ここでは、データ連携ツールの選び方について解説します。
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データ連携ツールの選び方
目的や導入したいツールを明確にする
データ連携ツールには、大別してEAIとETLの2種類があるため、自社の目的にマッチしたツールを選択しましょう。
また、チャットツール・労務管理システム・会計管理システムなど、データ連携が可能なアプリの種類が豊富なツールから、特定のシステムのデータ連携に特化したものまで存在します。
そのため、自社で頻繁に使用するツール・アプリと連携が可能なツールの選択がベストです。
担当者のIT知識レベルに合った操作性か
データ連携ツールにはノーコードツールが多いと言っても、使いこなすには最低限の知識が必要です。したがって、担当者の操作能力やIT知識レベルを踏まえた上で、問題なく利用できるかを考慮した選択を行いましょう。
最低限の機能だけで良いと考えるなら、ビギナーでも扱いやすい簡素なツールの選択が無難です。また、多機能のツールを使用したい場合には、オプション機能が充実したツールなど、操作性と機能性の適度なバランスが求められます。
なお、エラーが発生したときの対応など、実際の運用で初めて感じる操作性はスペックだけでは把握できません。よって、体験版・トライアル期間が提供されているツールなら、何日間かお試しで使用して操作性を確かめるのも1つの方法です。
オプション費用など料金プランを確認
データ連携ツールには、基本料金のみの料金プランと新たなシステムの追加ごとにオプション料金が発生するプランがあるため、選択する際に注意する必要があります。
複数プランの中から選択できる場合は、基本料金や追加オプションの設定がどうなっているのかをチェックしましょう。必要なオプションを追加したり、多機能なプランを選択したりと、ニーズに合わせた選択で料金がどのように変化するかもポイントです。
利用するシステムや、アプリケーションの種類によって選ぶプランは異なるため、自社の状況にマッチしたサービスをしっかりと精査しましょう。会社の規模によっては、スタート時から多機能なツールよりも、課金タイプのほうが効果的なケースがあります。
カスタマイズ性が高いツールであるか
社内へデータ連携ツールを導入する場合には、高いカスタマイズ性を持つツール選択が重要です。カスタマイズ性の高いツール選択によって、自社にマッチした設定や処理が可能になるため、より効率的なデータ連携が図れます。
また、カスタマイズ性の高いデータ連携ツールであれば、今後のシステム変更やアップグレードにも柔軟な対応が可能です。
セキュリティ対策が組み込まれているか
一般的なセキュリティ対策として挙げられるのは、アクセス制御・データの暗号化・二要素認証・データのバックアップなどです。これらの対策がツールに組み込まれているかどうかを確認しましょう。
一般的なセキュリティ規格の種類には、ISO/IEC 27001・SOC2があります。規格の認証取得を許可されたデータ連携ツールは、セキュリティ対策に注力していることが多いため、安心して利用できます。
なお、セキュリティ対策は進化し続けるものであるため、定期的な監査を行い、セキュリティレベルが維持されているかどうかを確認することも重要です。
参考:ISO/IEC 27001(情報セキュリティ) | ISO認証
参考:SOC 2® – SOC for Service Organizations: Trust Services Criteria|AICPA
まとめ
データ連携ツールの導入で、自動でリアルタイムなデータ連携が可能になり、手作業の時間とコストを抑えることができます。さらに、データ連携作業の自動化で人的ミスが減少するため、業務効率化に加えてデータ分析精度が上がるといった恩恵が受けられます。
しかし、システム同士の規格が異なる場合や、導入に必要な技術的知識・将来的な事業展開にも注意する必要があるため、導入にあたっては複数のポイントの確認が重要です。
データ連携ツールの導入で、これまで手入力してきた定型業務を簡単に自動化でき、社内に散在するさまざまなデータのスムーズな活用が実現します。本記事の内容を参考に、データ連携ツールの導入を検討しましょう。