アプリケーション性能管理とは?APMツールの選び方も解説

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  • アプリケーション性能管理とは、アプリケーションの稼働状況を監視・管理すること
  • APMツールを使えば不具合がすぐ検知でき、ユーザーエクスペリエンス向上に繋がる
  • APMツールを選ぶ際は、監視できる範囲やコスト、サポート体制などを確認する

アプリケーション性能管理(APM)とは、アプリケーションの稼働状況を監視・管理することです。APMツールにより不具合を即検知でき、ユーザーエクスペリエンスを向上させられます。本記事では、アプリケーション性能管理の概要やAPMツールの選び方などを解説します。

目次

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  1. アプリケーション性能管理(APM)とは
  2. アプリケーション性能管理の重要性
  3. アプリケーション性能管理ツール(APMツール)とは
  4. アプリケーション性能管理ツールの基本機能
  5. アプリケーション性能管理ツールのメリット
  6. アプリケーション性能管理ツールのデメリット
  7. アプリケーション性能管理ツールの比較ポイント
  8. まとめ

アプリケーション性能管理(APM)とは

アプリケーション性能管理(APM)とは、企業に導入している基幹システムや業務上使用するアプリケーションなどを、管理・監視することを言います。APMは、英語の「Application Performance Management」の頭文字から名付けられています。

アプリケーション性能管理では、アプリケーション稼働状況やアプリケーションが搭載する機能の応答速度を調査・監視します。そして、アプリケーションを使用するユーザーの操作性の向上、トラブルが起こった際の迅速な対応・復旧を実現します

アプリケーション性能管理の重要性

現在では、基幹システムやアプリケーションを利用して業務を行う企業のデジタル化が進んでいます。それに伴いシステムの複雑化が進行し、アプリケーション性能管理を活用した全体像の把握が重要視されています。

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デジタル化に対応した管理体制の構築

デジタル化を推進する企業は、クラウドを活用したり企業内で複数のアプリケーションを稼働させたりと、効率良く業務を遂行できる環境を整えています

しかし、同時に複数のアプリケーションを動かすと処理が複雑になり、アプリケーション以外にもサーバーやデータベースに対する負荷も増加します。そして、通常のシステム監視だけでは気付けないパフォーマンスの低下や、不具合が発生するケースも多いです

アプリケーションのパフォーマンス低下や不具合により、業務の作業効率は悪化してしまいます。そのため、不具合・トラブル時にも柔軟な対応が行えるように、アプリケーション性能管理の体制を構築する必要があります。

機会損失や顧客満足度の低下を防ぐため

ECサイトやWeb上でソフトウェアを提供しているサービスの場合、アプリケーションのパフォーマンス低下や不具合は大きな機会損失を招きかねません。例えば、応答速度が遅くて使いにくいサイトやサービスでは、顧客が不便に感じて離れていきます。

その結果、顧客満足度が低下し、利用されないサイト・サービスとなってしまいます。このような、企業に不利益をもたらすアプリケーションのパフォーマンス低下や不具合を回避するために、アプリケーション性能管理(APM)の重要性が高まっています

アプリケーション性能管理ツール(APMツール)とは

企業が社内で運用するアプリケーションの性能管理のため、専用のアプリケーション性能管理ツール(APMツール)が開発されています。

アプリケーション性能管理ツールは、アプリケーションの稼働状況を一元管理し、全体の稼働状況や機能の応答速度を監視できるソフトウェアです

APMツールでは、アプリケーションを監視して応答速度や稼働状況といったデータを収集します。このデータを利用して、アプリケーションのパフォーマンス低下や不具合の箇所を究明し、パフォーマンスの最適化やトラブルの修復を行います。

アプリケーション性能管理ツールがおすすめな業界

アプリケーション性能管理ツールは、SaaSやECサイト、オンラインゲームなどWeb上でソフトウェアを提供している企業におすすめです。Web上でソフトウェアを提供している場合、アプリケーションのパフォーマンス低下は即座に顧客満足度の低下へとつながります。

例えば、アプリケーションのパフォーマンスが低下すると、会計システムなどのソフトウェアの応答速度が低下して業務効率が悪化します。また、ECサイトのページの読み込みは遅くなり、ゲームではキャラクターの動きや画面の切り替わり時に遅延を招きかねません。

その他にも、アプリケーション性能管理ツールは、アンケート収集やマーケティングを事業とする企業にも向いています

Web上でモニターからの意見を収集する際に、Webサイトやアプリケーションのパフォーマンスが最適化されていると、アンケートへの回答がスムーズに進行します。

アプリケーション性能管理ツールの基本機能

アプリケーション性能管理ツールには、ダッシュボードやアラート、アプリケーション追跡、トランザクションなどの基本機能が実装されています。ダッシュボードは、アプリケーションの応答時間や負荷などをグラフで可視化し、表示する管理画面のことです。

アラートは、アプリケーションの性能管理に役立つ機能です。アプリケーションのパフォーマンスが、事前に設定したベースラインを下回った場合やトラブルが発生した際に、メールやデスクトップ通知などで警告を発します

また、アプリケーション追跡は、クラウドやソフトウェア・ハードウェアに関わらず、すべてのアプリケーションを監視できる機能を言います。

トランザクションは、アプリケーションのすべての処理を可視化する機能です。アプリケーションのコードレベルまで解析を行い、問題箇所の発見や改善、機能の最適化を支援します。

機能内容
ダッシュボードシステムやアプリケーションのパフォーマンスをグラフなどで可視化し、監視する画面
アラートアプリケーションのパフォーマンスが事前に設定したベースラインを下回った場合やトラブル時に知らせる機能
アプリケーション追跡クラウド、ソフトウェアやハードウェアに関わらず、すべてのアプリケーションを監視できる機能
トランザクションアプリケーションのすべての処理を可視化する機能

アプリケーション性能管理ツールのメリット

企業が業務に利用する基幹システムや、アプリケーションの監視・調査ができるアプリケーション性能管理ツールの導入は、企業にいくつかのメリットをもたらします。ここでは、アプリケーション性能管理ツールを導入するメリットを解説します。

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トラブルにすばやく対処できる

アプリケーション性能管理ツールを導入すると、アプリケーションが起こすトラブルに素早く対応できます。アプリケーション性能管理ツールにはアラート機能が実装されており、不具合があった場合には瞬時にメールやデスクトップ通知で警告を発します。

そのため、アプリケーションの起こすトラブルにスピーディーに対応可能です。また、アプリケーション性能管理ツールは常時すべてのアプリケーションを監視しているため、パフォーマンス低下などの兆候から、不具合の発生前に検知することもできます

ユーザーエクスペリエンスを向上させる

アプリケーション性能管理ツールの導入で、ユーザーエクスペリエンス(UX)を向上させられます。企業の商品やサービスを使用して、ユーザーが得た印象や体験をユーザーエクスペリエンスと言いますが、ユーザーエクスペリエンスの向上は企業に大きな恩恵をもたらします。

アプリケーション性能管理ツールを利用して、WebサイトやECサイトの応答速度を最適化させると、ユーザーの途中離脱を防ぐことができ、ページの遷移がストレスなく行えるサイトはユーザーに好印象を与えられるでしょう

また、ユーザーエクスペリエンスの向上で、企業は売上の増加にも期待できます。使い勝手の良いWebサイトやECサイトは顧客ロイヤリティが高まり、ユーザーの愛着や信頼感を獲得できるため、再訪問率の向上や商品・サービスの購買欲増加にもつながります

人件費・作業工数の削減が可能

アプリケーション性能管理ツールを利用すると、アプリケーションの稼働状況や応答速度のデータを手作業で収集する必要はありません。よって、アプリケーション性能管理ツールの導入で、アプリケーションを監視する人員の人件費と作業工数の削減も可能です

アプリケーション性能管理ツールでは、アプリケーションの管理に必要なデータをツールが自動収集し、ダッシュボードの管理画面に結果として見やすく表示されます。そして、担当者はアプリケーションのパフォーマンス低下や不具合を特定し、解決につなげられます。

アプリケーション性能管理ツールのデメリット

アプリケーション性能管理ツールは、アプリケーションの監視・管理に非常に有用ですが、運用の際には気を付けたいポイントもあります。ここからは、アプリケーション性能管理ツールが持つデメリットを2点解説します。

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アプリケーション性能管理ツールのデメリット

  1. データの活用には知識が必要
  2. 導入・運用コストがかかる

データの活用には知識が必要

アプリケーション性能管理ツールを活用する際には、管理担当者に相応の知識とスキルが必要です。具体的には、監視するアプリケーションに対する知識、アプリケーション性能管理ツールのダッシュボードに表示されるデータを理解して分析する知識が求められます。

その他にも、アプリケーション性能管理ツールに実装される、さまざま機能を使いこなすスキルも必要になります。よって、自社内にアプリケーション性能管理ツールの使用経験者がいない場合には、サポート体制の充実した製品を選びましょう

導入・運用コストがかかる

導入・運用コストが発生する点も、アプリケーション性能管理ツールのデメリットです。特に、機械学習などを取り入れた高性能なアプリケーション性能管理ツールは、価格が高い傾向にあります。

そのため、なるべく初期費用やランニングコストを抑えたい場合は、最小限の機能を搭載した製品の選択がおすすめです。

アプリケーション性能管理ツールの比較ポイント

ここからは、アプリケーション性能管理ツールを導入する際に、確認したいポイントを解説します。比較ポイントを押さえて、自社のシステムやアプリケーションのパフォーマンスを最適化できるアプリケーション性能管理ツールを選びましょう。

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監視できる範囲をチェック

アプリケーション性能管理ツールには、アプリケーションを監視する製品をはじめとし、アプリケーション以外のサーバーやネットワークを監視できる製品もあります。そのため、アプリケーション性能管理ツールを選ぶ際には、監視できる範囲を確認しましょう

アプリケーション性能管理ツールによっては、サーバーやネットワークなどのアプリケーションを縦割りにして、1つにまとめて監視・管理することも可能で、その範囲はコストに比例します。自社の目的に合わせて、必要な範囲をカバーできるツールを選びましょう

使いやすさをチェック

アプリケーション性能管理ツールの使いやすさも、チェックしたいポイントです。アプリケーション性能管理ツールには最新の技術が実装され、さまざまな機能が使える製品が存在しますが、現場のスタッフが使いにくいツールでは導入の意味がありません。

よって、アプリケーションの管理に必要なデータを素早く確認でき、問題箇所を正確に把握可能な扱いやすいアプリケーション性能管理ツールを選びましょう。また、セットアップが簡単なツールであれば、スタッフにとって使いやすい製品と言えるでしょう。

サポートは充実しているか

ツール選択では、サポート体制が充実しているかどうかも確認しましょう。アプリケーション性能管理ツールに関するスキルを持つ経験者がいると運用はスムーズに進みますが、運用経験者がいない場合でも、サポート体制が万全なら不具合時にも迅速な対処が可能です

アプリケーション性能管理ツールの中には、コンサルティングを備えているものもあります。そのため、アプリケーション性能管理ツールの運用経験者がいない場合は、コンサルティングを受けられる製品の選択もおすすめです

コストは予算に見合っているか

アプリケーション性能管理ツールを選ぶ際には、コストに予算が見合っているかどうかを確認しましょう。アプリケーション性能管理ツールは、アプリケーションを常時監視して得たデータを、アプリケーションのパフォーマンス最適化や不具合の解決に役立てる製品です。

つまり、アプリケーション性能管理ツールは継続利用して効果を発揮するソフトウェアであるため、目的の機能を備えているのかはもちろんのこと、長期間継続して利用できるかどうかも確認することが大切です

まとめ

アプリケーション性能管理とは、企業が業務で使用するシステムやアプリケーションを監視・管理することです。現在では、アプリケーション稼働状況や応答速度などを常時監視できるアプリケーション性能管理ツールも開発されています。

企業のデジタル化が進み、業務上さまざまなアプリケーションが利用されるようになりました。しかし、業務で複数のアプリケーションを使用することで処理は複雑になり、計算処理の遅延や不具合で業務の混乱や停滞が起こるようにもなりました。

WebサイトやECサイトの運営においても、アプリケーションやシステムのパフォーマンス悪化は、顧客離れや損失を発生させかねません。これらの理由から、アプリケーション性能管理の重要性は高まっています。

アプリケーション性能管理ツール選びでは、監視できる範囲・使いやすさ・サポート体制を確認することが重要です。常にアプリケーションを最適な状態で使えるよう、継続して利用できる予算に見合ったツールを選びましょう

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