暴力団排除条例において企業が対応すべきこと|禁止事項や罰則を解説

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  • 暴力団排除条例では、暴力団に対する利益供与の禁止が定められている
  • 企業は、反社との関係を速やかに解消できる仕組みを整備することが重要
  • 反社会的勢力排除条項の作成や反社チェック体制の整備が求められる

暴力団排除条例は、暴力団の活動を抑制し、市民生活の安全を守ることを目的とした条例です。企業においても、違反すると罰則対象となるため、適切な対応体制の整備が必要です。本記事では、暴力団排除条例において企業が対応すべきことについて、わかりやすく解説します。

目次

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  1. 暴力団排除条例とは
  2. 暴力団排除条例で企業が注意すべき内容
  3. 暴力団排除条例において企業が対応すべきこと
  4. 反社チェックには反社チェックツールが有効
  5. まとめ

暴力団排除条例とは

暴力団排除条例とは、社会全体から暴力団を排除するために、自治体ごとに定められる条例です。各自治体において、企業や住民を暴力団の不当な介入から守り、安全で健全な社会経済活動の維持につなげる目的があります。

特に企業に対しては、暴力団に対する利益供与の禁止といったさまざまな規定が設けられます。違反した場合は企業名の公表や罰金といった罰則が課されるため、意図しない接触も含めて、暴力団との関わりを慎重に断たなければなりません。

本記事では、暴力団排除条例に関して企業が行うべきことや、違反しないための方法を解説します。

参考:東京都暴力団排除条例の概要|警視庁

暴力団排除条例で企業が注意すべき内容

暴力団排除条例の内容は各自治体によって異なりますが、ほとんどの自治体に共通するのが企業から暴力団に対する利益供与の禁止です。ここでは、暴力団排除条例で企業が注意すべき内容である利益供与の禁止について解説します。

暴力団排除条例で企業が注意すべき内容

  1. 暴力団に対する利益供与の禁止
  2. 契約時における措置

暴力団に対する利益供与の禁止

暴力団に対する利益供与の禁止とは、企業が暴力団やその関係者に対して、暴力団の活動を助長するような行為を禁止するものです。例えば、金銭の支払や便宜の提供などが利益供与と見なされます。

原則として利益供与の禁止の規制対象となるのは、暴力団員および暴力団員と変わらない者です。例えば、準構成員や極めて暴力団員に近い者、非暴力団員になってから3年未満の者が該当します。なお、具体的な規制対象は、自治体によって異なる場合があります。

利益供与違反になるケース

利益供与違反になるのは、暴力団や暴力団関係の活動であると知りながら、暴力団にとって有利になるような行為をした場合です。サービス業を営む事業者が、「みかじめ料」や「用心棒代」として金銭を支払うケースが代表的です。

また、暴力団の会合や行事のためと知りながらホテル・ゴルフ場・飲食店などがサービスを提供したり、暴力団事務所用に不動産会社が不動産を売却・賃貸する場合も多くみられます。

利益供与違反に対する制裁措置

上述のようなケースで利益供与違反が発覚した場合、企業には「勧告」「公表」「防止命令」「罰則」などの制裁措置が課されます。制裁措置は、上記の順番で段階的に行われることが多いです。

最初の段階である「勧告」では、違反をした警察などが勧告書を交付し、違反した事業者に是正を求めます。その後、1年以内に再度の違反が認められた場合は、企業名を世間に公表する「公表」の措置が取られます。

それから1年以内に再度の違反があった場合は、「防止命令」が出されます。これは、暴力団の活動を助長する行為を禁止する命令です。防止命令に違反した場合は、「罰則」として1年以下の懲役または50万円以下の罰則が課されることがあります。

契約時における措置

前述のように、利益供与に違反した企業にはさまざまな罰則が課されます。これらの回避のためにも、企業は暴力団との関わりを断つ努力が求められます。その一助となるのが、契約時の措置です。

取引の際は相手が暴力団関係者でないことを確認した上で、契約書に相手が暴力団関係者と発覚した場合に予告なしで即刻契約解除できる条項を盛り込むことが望ましいです。

これによって、取引途中に相手が暴力団と発覚しても、損外賠償などを恐れずに即座の契約破棄が可能です。企業として条例を遵守しつつ、取引を続けた場合に起こりうる暴力団からの不当な要求も回避できます。

暴力団排除条例において企業が対応すべきこと

暴力団排除条例を守るために、企業には反社会的勢力排除条項の整備や反社との関係を速やかに断つための体制作り、反社チェックといったさまざまな努力が求められます。ここでは、暴力団排除条例において企業が対応すべきことを解説します。

反社会的勢力排除条項の整備

「反社会的勢力排除条項」は「暴力団排除条項」とも呼ばれており、事業取引において、自社・取引先の双方が反社との関係を断つ旨を明文化した条項です。あわせて、契約違反が発覚した場合は、告知なしで即刻契約解除できる旨を定める旨を定めることが一般的です。

反社会的勢力排除条項は暴力団排除条例における努力義務とされていますが、実際には必ず整備すべきものと位置づけられています。その理由は、企業として社会的責任を果たすと共に、暴力団関係者と関係を持つことによるリスクを回避するためです。

反社会的勢力排除条項が必要な契約書は、「売買契約書」「賃貸借契約書」「業務委託契約書」「雇用契約書」など多岐に渡ります。

反社との関係を速やかに解消できる仕組みづくり

取引先に反社会的勢力の疑いが生じた際は、早い段階で距離を取ることが大切です。できる限り穏便に関係を解消できるように、契約を交わす段階で、将来的な関係解消に必要な措置をできる限り多く講じておきましょう。

例えば、自動継続や長期契約は契約解消のタイミングを逃しやすいため、なるべく避けることが望ましいです。また、契約書に解除・解約事由を多く設定すれば、合理的に契約を解消できる可能性が高まります。

例えば、「自社の見込み利益に達しない」「契約の品質基準に達していない」といった、契約相手に不利益にならない範囲の解約・解除事由の設定が望ましいです。

これらの事由を根拠にして契約解消を請求することで、必要以上に相手を刺激せずに距離を取れる可能性があります。

反社チェック体制の整備

暴力団排除条例違反による行政処分や罰則を避けるには、確実に条例に対応する必要があります。その一環として、社内における反社チェック体制の整備が重要です。

反社チェックとは、新聞・官報・インターネットニュースなどのデータをもとに、取引先企業やその関係者に反社会的勢力との関係がないかを調べる業務です。

契約前に反社チェックを行うことで、暴力団関係者の疑いがある取引先との契約締結を回避しやすくなります。特に営業部門や人事部門など、新しい関係者との接点を持つことが多い部署では、契約前の反社チェックを制度化するべきでしょう。

反社チェックには反社チェックツールが有効

さまざまなリスクが伴う反社会的勢力との取引を回避するには、反社チェックツールの利用が有効です。反社チェックツールとは、インターネット上の情報やメディアニュースなどの情報と自動照合し、その人物に反社会的勢力の疑いがないかを調査するツールです。

反社チェックにかかる時間を大幅に短縮しつつ、情報の見落としといった人的ミスの削減にもつなげられます。効率的かつ精度の高い結果に期待でき、条例の遵守や自社における社会的信頼の維持にもつなげられます。

反社チェックツールとは?メリット・デメリット、選び方も解説

反社チェックツールとは、個人や法人が反社会的勢力に関わっていないか、過去に不祥事はないかをチェックするツールです。反社チェックを行うことは、会社の信用を守ることや安全なビジネス運営に繋がります。本記事では、反社チェックツールのメリットや選び方を解説します。

まとめ

暴力団排除条例とは、暴力団の不当な介入から地域の企業・住民を守るために、自治体ごとに制定された条例です。特に企業に対する暴力団への利益供与禁止は、ほぼ全ての自治体での共通条項であり、違反した企業には罰則が課されます。

暴力団排除条例を遵守し、企業としての社会的信頼を維持するためにも、なんらかの契約を締結する前には入念な反社チェックが求められます。反社チェックツールを上手く活用しながら、入念な反社チェックを行い、暴力団関連のリスクから自社を守りましょう。

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