反社チェックに引っかかるとは?引っかからないための対策も解説

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  • 犯罪組織との関わりや法令違反などによって、反社チェックに引っかかることがある
  • 反社チェックに引っかかると、取引を停止されたり法的な制裁を受けたりすることがある
  • 反社チェックに引っかからないためには、コンプライアンス教育やリスク管理を徹底する

多数の企業や個人と取引していると、相手が反社チェックに引っかかることもあるでしょう。万が一引っかかった場合、適切に対処してトラブルを避けなければなりません。この記事では、反社チェックに引っかかる事例や引っかかった場合の対処法などを解説します。

目次

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  1. 反社チェックに引っかかるとは
  2. 反社チェックに引っかかる事例
  3. 自社が反社チェックに引っかかるとどうなるか
  4. 取引相手が反社チェックに引っかかった場合の対処
  5. 反社チェックに引っかからないための対策
  6. 反社チェックの効率化には専用ツールがおすすめ
  7. まとめ

反社チェックに引っかかるとは

反社チェックは、取引を行う前に、取引先や関係者に反社会的勢力との関わりがないかを調べる作業です。反社チェックに引っかかるとは、反社チェックの結果に懸念がある状態を指します。

近年は反社会的勢力を排除する機運が高まっており、反社チェックに引っかかった場合には適切な対応を取らなければなりません。

本記事では、反社チェックの重要性とともに、反社チェックに引っかかる事例や取引相手が反社チェックに引っかかった場合の対応方法などを解説します。

反社チェックの必要性

反社チェックは、自社が反社会的勢力と関わりを持つのを防止するために重要です。反社会的勢力が関わる相手と取引を行うと、反社会的勢力に助力したと見なされ、自社の社会的信用が失われる恐れがあります。

また、反社会的勢力と一度でも関わりを持つことで、繰り返し不当な要求をされるケースも少なくありません。例えば、反社会的勢力との関わりを伏せておく代わりに謝礼を要求する事例や、取引停止を理由に高額な損害賠償を求めるケースがみられます。

特に新規の取引先と取引を結ぶ場合は、このようなリスクを避けるためにも事前に入念な反社チェックが必要です。

反社チェックに引っかかる事例

反社チェックに引っかかるのは、犯罪組織との関与「取引相手が反社会的勢力であるパターン」と、「取引先が反社会的勢力と関与しているパターン」の2種類に大別できます。ここでは、反社チェックに引っかかる事例について、具体的に解説します。

犯罪組織と関わっている

反社チェックに引っかかる代表的な事例は、取引先が反社会的勢力と取引をしているケースです。また、直接的な取引はしていなくても、子会社や第三者を介して間接的に関与しているケースも少なくありません。

いずれにしても、企業取引という形で反社会的に経済的・物理的な助力をしているため、反社チェックに引っかかります。

法令違反の記録が残っている

法令違反の記録が残っている場合も、反社チェックに引っかかることが多いです。法令違反には「刑法違反」「民法違反」「行政法違反」の3種類があり、具体的には次のような違反が反社チェックの対象になります。

  1. 税務関連(脱税・不正な帳簿の作成・助成金の不正請求など)
  2. 労働関連(賃金の未払い・規定以上の長時間労働・不適切な労働条件など)
  3. 犯罪行為(傷害事件・薬物事件・詐欺など)

過去に法令違反をした企業との取引は、自社のイメージダウンにつながることもあります。そのため、反社チェックで厳しく精査することが重要です。

不正な金融取引をしている

本来、金融取引は法律や規則に従って行われますが、中には自社利益などを目的に不正な金融取引を行う企業も存在します。例えば、次のようなケースが不正な金融取引に該当します。

  1. マネーロンダリング
  2. インサイダー取引
  3. 仮名・借名取引
  4. 詐欺
  5. 不正送金

このような不正な金融取引歴がある企業も、反社チェックの対象となります。

詐欺や不正行為の疑いがある

詐欺・不正行為が疑われる場合も、反社チェックで引っかかることが多いです。これは、企業・個人の信頼性を低下させ、健全で持続性のある取引に悪い影響を与えるためです。

また、過去に詐欺・不正行為を行った企業は、自社との取引においても同様の手口を繰り返す恐れがあります。そのため、反社チェックで詐欺・不正行為が発覚した場合は、慎重な判断が求められます。

虚偽報告を行っている

反社チェックで虚偽報告が発覚した場合は、「懸念あり」の結果になります。取引先の提供する情報の信頼性や真実性が損われ、自社との健全な取引が難しくなるためです。

虚偽報告には、例えば次のようなものが含まれます。

  1. 架空取引
  2. 経費の水増し請求
  3. 在庫隠し
  4. 現実と異なる資産評価
  5. 勤怠記録や安全点検記録など内部報告の偽造・改ざん

特に多いのが財務状況の悪化を隠蔽するケースや、反対に税法上の優遇を目的として現実よりも悪い財務状況を装うケースです。

自社が反社チェックに引っかかるとどうなるか

新規取引の際は、双方が相手方に対して反社チェックを行うのが一般的です。つまり、自社が反社チェックに引っかかる可能性もゼロではありません。この場合は、自社の大きな損失につながるため、日頃からクリーンな運営を行うことが重要です。

ここでは、自社が反社チェックに引っかかるとどうなるのかについて、具体的に解説します。

自社が反社チェックに引っかかるとどうなるか

  1. 取引の停止・利益の減少
  2. 金融取引が制限される
  3. 法的な制裁を受ける

取引の停止・利益の減少

自社が反社チェックに引っかかった場合は、取引相手から取引中止や契約解除を言い渡されるケースがほとんどです。特に厳格なコンプライアンスを敷く大手企業・官公庁が取引相手の場合は、即時で取引停止・契約解除になる可能性が高いです。

その取引や契約で得るはずだった収入が断たれてしまうため、自社は経済的に痛手を受けることになります。また、自社の噂が出回って他の取引先からも次々に契約を切られるような事態になれば、事業の継続が難しくなります。

金融取引が制限される

銀行や金融機関は、一般企業と比べても厳格な反社チェックを実施する傾向が高いです。銀行・金融機関からの反社チェックに引っかかると、その後の金融取引に大きな悪影響を及ぼす可能性が高いです。

例えば、融資が制限されたり、取引口座を閉鎖されたりするケースが代表的です。その結果、自社の資金繰りが深刻化し、事業の存続に支障を来す恐れもあります。

法的な制裁を受ける

反社チェックで自社の不正行為が発覚した場合は、法的な制裁を受ける可能性が高いです。例えば、脱税の発覚による追徴課税や、詐欺などの犯罪行為発覚による逮捕・起訴といったケースが代表的です。

さらに、自社の不正行為がメディアなどで報道された場合には、社会的制裁のリスクも高まります。社会的評価や自社のイメージ低下による取引停止・契約解除に加えて、関係者外からの非難のリスクもあります。その結果、倒産にも繋がり得るでしょう。

取引相手が反社チェックに引っかかった場合の対処

取引相手が反社チェックに引っかかった場合は、自社の利益損失回避のために慎重な対応が求められます。反社チェックの結果が誤っている可能性も視野に入れながら、次のようなことを行って対処しましょう。

ここからは、取引相手が反社チェックに引っかかった場合の対処法について解説します。

上司への報告・情報共有を行う

まずは、上司へ報告と情報共有を行って判断を仰ぎましょう。担当者の自己判断だけで取引の中止・継続を決定すると、後に社内トラブルに発展する恐れがあります。

上司への報告と並行して行うべきことが2つあります。1つ目は、社内全体にも反社チェックの結果を共有しておくことです。これにより、別の部署や担当者が取引相手に接触するのを防ぎつつ、自社の対応を社内で統一化できます。

2つ目は、社内チェックの結果や参照元のデータを保存することです。反社チェックではニュースサイトやネットの新聞記事も参考にされますが、インターネット上の情報は突然削除されたり、閲覧できなくなったりする可能性があります。

そのため、証拠を残すためにも必要な情報は必ずバックアップを取っておきましょう。

追加の調査を行う

より詳細な情報を得るために、追加で反社チェックの調査を行いましょう。特に中小企業や個人の場合は、反社情報がさまざまなソースに細かく分散していることが多く、簡易的な反社チェックでは見極めきれない可能性があります。

取引相手の実体を見定めるためにも、より詳細な情報収集が求められます。具体的には、警察や暴力追放センターへの相談・情報照会がおすすめです。また、取引額が大きい・リスクレベルが高いといった場合は、専門の調査会社への依頼も検討しましょう。

警察や弁護士に相談する

取引相手が反社会的勢力であると判明した場合は、早めに警察や弁護士へ相談しましょう。反社チェックに引っかかれば、速やかに取引を中止する方向で動くことが求められますが、その際に取引相手から不当な強迫や損害賠償を受ける恐れがあります。

そのため、あらかじめ警察や弁護士に協力を打診しておくことで、緊急を要するときでも迅速に公的・法的なサポートを受けられるでしょう。また、弁護士に取引相手への対応を一任するのも有効な方法です。

取引を断る

取引相手に反社会的勢力の懸念がある場合は、取引を断りましょう。前述の通り、懸念のある取引相手と取引を続けると、自社の社会的信頼が低下する恐れや、取引相手から不当な要求を受ける可能性があります。

また、取引中止の理由を尋ねられても、反社チェックの結果を伝える必要はありません。正直に答えてしまうと、かえって取引相手を怒らせてしまい、名誉毀損や損害賠償請求といったトラブルに発展しかねないためです。

基本的に契約締結前であれば、一方的な取引解消が可能です。取引を断る際は、「予算に合わない」「決済が下りなかった」など、当たり障りのない理由を伝えるとよいでしょう。

なお、契約締結後は、正当な理由無しの契約解除は認められません。ただし、「納品物の品質が自社の基準に達しない」「納期に問題がある」といった契約違反がある場合は、それを理由に取引を中止できる可能性があります。

こういったリスクに備えるためにも、契約書には細かな契約条項を盛り込んでおく必要があります。さらに「言った言わない問題」を避けるために、取引解消の伝達は口頭ではなく書面で行いましょう。

反社チェックに引っかからないための対策

ほとんどの企業は反社チェックを実施しており、取引相手が引っかかった場合は厳格な対応を取っています。そのため、自社においても反社チェックに引っかからないよう注意しなければなりません。

ここでは、自社が反社チェックに引っかからないための対策をみていきましょう。

コンプライアンス教育を徹底する

企業に求められるコンプライアンスには、社内規定に加えて、法令や倫理的・社会的ルールの遵守も含まれます。現在はコンプライアンス意識が高まり、企業だけでなく従業員それぞれにも規律ある行動が求められています。

1人の従業員が起こした不祥事が反社チェックに引っかかるケースもあるため、社内におけるコンプライアンス教育を徹底しましょう。企業全体の倫理意識を高めることで、法令違反や犯罪行為のリスクを最小限に抑えられます。

ビジネスの透明性を確保する

社内での不正行為を疑われないためには、ビジネスの透明性を確保することが重要です。特に近年は税務関連の不正が増加していることから、 財務データや業績評価指標といった経営情報の適切な開示が重視されています。

また、第三者機関による監査体制を整えるのも効果的です。あわせて、社内における風通しの良さにも配慮しましょう。経営陣と従業員が率直に意見を交換できる風土が整えば、課題がある場合にも迅速に判断を仰ぐことができ、結果として不正行為の抑止につながります。

リスク管理を強化する

企業には、大きく分けて「投機的リスク」「経営リスク」「純粋リスク」の3種類のリスクがあります。「投機的」とは事業活動に伴うリスクで、損失と利益の両方が生じます。これには、運営上の戦略ミスや経営陣の判断の誤りなどが含まれます。

「経営リスク」は社内からの情報漏洩や従業員の犯罪行為であり、「純粋リスク」とは、自然災害や事故に伴う損失のみのリスクを指します。いずれも企業に損失を与える恐れがあり、これらの回避のために従業員が法令違反や犯罪行為をする事例も少なくありません。

そのため、反社チェックに引っかかるのを防ぐには、経営陣が企業におけるリスク管理を徹底することが大切です。

問題の早期発見に努める

不正行為を防止するだけでなく、発生した不正行為に迅速に対応できる体制を整えることも重要です。自社の活動や取引状況を定期的にチェックし、社内ルールが守られているかや、不審な動きがないかを厳しく監視しましょう。

また、取引相手の反社チェックに引っかからないためには、自社と反社会的勢力と関わりを断つような努力も求められます。社内向けの反社チェックも定期的に行い、従業員だけでなく、その家族や関係者に反社会的勢力がいないかを確認しましょう。

反社チェックの効率化には専用ツールがおすすめ

反社チェックを効率化するには、反社チェック専用ツールの利用がおすすめです。反社チェックツールとは、専用のデータベースをスクリーニングし、取引相手の反社会的勢力との関わりを自動でチェックするツールです。

反社チェックによっては、継続的に取引相手をモニタリングし、リスクが発生した際に自動でアラートを出す機能を備えています。そのため、反社チェックにかかる作業数を大幅に削減でき、情報の見落としといった人的リスクの防止にもつなげられます。

反社チェックの重要性が高まっている現在において、効率的にスクリーニングできる反社チェックツールは、企業のリスク対策に欠かせないツールといえます。

反社チェックツールとは?メリット・デメリット、選び方も解説

反社チェックツールとは、個人や法人が反社会的勢力に関わっていないか、過去に不祥事はないかをチェックするツールです。反社チェックを行うことは、会社の信用を守ることや安全なビジネス運営に繋がります。本記事では、反社チェックツールのメリットや選び方を解説します。

まとめ

反社チェックとは、自社が反社会的勢力と関わらないために、取引相手に社会的な懸念がないかをチェックする作業です。犯罪組織との関わりや法令違反、不正行為、虚偽申告などの履歴がある企業は、反社チェックに引っかかる可能性が高いです。

反社チェックに引っかかった取引相手と取引を続けた場合は、即時の取引停止や社会的信頼の低下、法的制裁など、事業活動にさまざまな制限が課されます。
企業におけるリスクを避けるためにも、反社チェックツールを活用した定期的なスクリーニングがおすすめです。

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