人事労務代行にかかる費用とは?種類別の相場や契約時の注意点も解説

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  • 人事労務代行には総合型と専門型があり、それぞれ料金体系や費用相場が異なる
  • あとで業務を追加すると総額が高くなることもあるため、先に依頼内容を明確にしておく
  • サービスによっては、最低月額料金が設定されていることもあるため注意が必要

人事労務代行の活用によって業務効率化の効果が期待できますが、利用する際は費用がかかります。費用対効果を高めるには、自社の従業員数も考慮し、適切な料金のサービスを選ぶことが重要です。この記事では、人事労務代行にかかる費用の相場や契約時の注意点などを解説します。

目次

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  1. 人事労務代行を活用して業務効率化
  2. 人事労務アウトソーシングにかかる費用とは
  3. 人事労務代行の費用に関する注意点
  4. まとめ

人事労務代行を活用して業務効率化

人事労務代行とは、勤怠管理や給与計算、入退職手続きなどの人事・労務業務に関する外注サービスです。多岐にわたる人事労務業務の社内負荷を軽減しつつ、安定した業務品質を維持できるなど、さまざまなメリットがあります。

本記事では、人事労務代行の費用相場をサービスの種類別に紹介するとともに、費用に関する注意点についても解説します。まずは、人事労務代行に依頼できる業務や利用するメリット、種類についてみていきましょう。

人事労務代行とは?外注できる業務や利用メリット、選び方も解説

人事労務代行とは、企業の人事・労務業務をアウトソーシングできるサービスです。専門的なノウハウを持つプロが業務を代行してくれるため、法改正があった際も迅速に対応できます。この記事では、人事労務代行に依頼できる業務や利用メリット・デメリットなどを解説します。

人事労務代行に依頼できる業務

人事労務業務代行には、人事労務に関連する業務を依頼できます。依頼できる業務の例は以下の通りです。

  1. 給与計算
  2. 勤怠管理
  3. 社会保険・労働保険の関連業務
  4. 入退社手続き
  5. 海外赴任手続き
  6. 年末調整
  7. 労務関連書類の作成
  8. 労務相談

実際に依頼できる業務内容はサービスによって異なります。依頼したい業務が基本料金に含まれない場合は、サービスの費用対効果が下がりかねません。そのため、人事労務代行を選ぶ際は、自社が依頼したい業務に対応しているかを確認することが大切です。

人事労務代行を利用するメリット

人事労務代行は、採用・育成コストをかけずに人事労務の即戦力を確保でき、安定した業務遂行を見込める点が魅力です。利用には料金がかかりますが、コスト以上のメリットを得られる可能性は高いでしょう。

ここでは、人事労務代行を利用するメリットを解説します。

専門知識を持つプロのサポートが受けられる

人事労務代行では、業務に精通したスタッフのサポートを受けられるのがメリットです。人事労務は、勤怠管理や給与計算のほか、労務相談など「人」と直接関わる機会が多い業務です。

さらに、適切な業務遂行には法令や制度の理解が不可欠であり、担当者には広範な知識と高い対人スキルが求められます。人事労務代行を利用すればプロが業務をサポートするため、法令を遵守しつつ、従業員にとって満足度の高い労務サービスの提供を実現できます。

その結果、人事労務領域において安定した業務品質を維持しつつ、社内の業務負荷も軽減できます。また、人事労務を他業務と兼務している企業では、人手不足の解消も見込めます。

法改正にもスムーズに対応できる

人事労務業務には、労働基準法や社会保険制度のほか、社内規則や労働契約などさまざまなルール・制度が関わります。特に法令は、法改正の度に新たな対応が求められるため、担当者への再教育コストがかかるだけでなく、ミスによる法令違反のリスクもあります。

その点、人事労務代行を利用すれば、法改正への対応もプロに委ねられます。社内における法令対応の手間・費用が必要最小限で済み、人的ミスによる法令対応不備の心配もありません。

最新の法令を遵守した人事労務管理によって、健全な事業運営を実現できるのもメリットです。

人件費を削減できる

人事労務代行を利用すれば、新しい担当者を雇用するよりも大幅に人件費を削減できる可能性があります。例えば、採用・教育にかかるコストに加えて、社会保険料や交通費なども必要ありません。

一方で、プロを即戦力として雇用できるため、最短即日から業務効率の飛躍的な向上が見込めます。さらに、社内の業務担当者は他のコア業務への専念が可能になり、人事労務業務以外の生産性向上も見込めるでしょう。

このように人事労務は、人材雇用に関する固定費を抑えつつ業務効率を改善し、結果として企業の利益拡大まで手助けします。

人事労務代行の種類

人事労務代行には、大きく分けて「総合型」と「専門型」の2種類があります。総合型は人事労務業務を全般的に効率化したい場合におすすめです。対して専門型は、コストを抑えつつ特定分野の品質向上に期待できます。

ここでは、それぞれの特徴やメリット・デメリットについてみていきましょう。

総合型

総合型は、人事労務全般を一括で代行するサービスです。経理や総務までカバーするサービスもあり、社内のバックオフィス業務を横断的に効率化できます。また、多くのサービスは月額固定制のため、長期にわたってコスト管理がしやすいのもメリットです。

一方で、総合型は広範な業務を扱うだけに専門型と比べると、各分野の専門性が低い場合があります。代表的なのは独占業務への対応で、社労士が在籍していないサービスは社会保険の手続きに対応できません。

専門型

専門型は、「給与計算」「年末調整」など個別業務に特化したサービスです。社労士などの有資格者が在籍し、労働保険・社会保険といった独占業務に対応するサービスも多くあります。

人事労務の中でも特に専門性の高い業務をスポット的に委託できるため、知見の少ない企業でも安定した業務品質の維持につなげられます。しかし、総合型に比べると料金設定が高い傾向にあるため、依頼内容を絞るといった工夫が必要です。

人事労務アウトソーシングにかかる費用とは

人事労務代行の費用相場は、種類や依頼する業務内容によって違います。ここでは、人事労務代行の費用相場を種類別に解説します。

人事労務アウトソーシングにかかる費用とは

  1. 総合型の費用相場
  2. 専門型の費用相場
  3. その他のサービスの費用相場

総合型の費用相場

総合型の人事労務代行の多くは、月額固定制の料金体系を採用しています。費用相場は月額で100,000〜300,000円ですが、企業の規模や業務の専門性によっては、相場よりも高額になりやすい点に留意しましょう。

総合型の人事労務代行では、月額料金内で、月次業務に加えて年末調整や労働保険年度の更新といった年次業務まで委託できる場合もあります。ただし、料金内で提供されるサービス内容は人事労務代行によって異なるため、金額とあわせてチェックしましょう。

専門型の費用相場

専門型の人事労務代行の料金体系や費用相場は、依頼する業務内容によって大きな差があります。また、専門型は従業員数による従量課金制を採用していることが多く、企業規模によっても費用が変動します。

一般的には、定型業務は安価で設定されており、専門性が上がるほど依頼料も高額化します。ここでは、専門型の代表的なサービス別に依頼費用の相場をみていきましょう。

給与計算代行

給与計算代行には、毎月の勤怠の集計から給与の計算などのサービスが含まれます。料金体系は人事労務代行ごとに異なりますが、従業員1人あたりに料金が加算される従量課金制の場合が多いです。

つまり、給与計算代行の費用相場は、企業の規模によって異なります。一般的な目安は次の通りです。

【従業員1人当たりの費用相場】

  1. 小規模企業(10人以下):月額10,000~30,000円
  2. 中規模企業(10~50人程度): 月額30,000~50,000円
  3. 大規模企業(50人以上): 月額50,000円以上

なお、税理士や社労士といった資格者が対応するサービスでは、上記よりも費用が高額になる場合があります。

社会保険手続き代行

社会保険手続代行は、社会保険・労働保険の加入と更新手続きに加えて、保険関連書類の作成と提出、入退社手続き、助成金や就業規則に関する相談などを委託できるサービスが多いです。

社会保険手続代行の料金体系は従量課金制が多く、費用相場は企業規模に応じて次のように変動します。

【従業員1人当たりの費用相場】

  1. 小規模企業(10人以下):月額10,000~20,000円
  2. 中規模企業(10~50人程度):20,000~50,000円円
  3. 大規模企業(50人以上): 月額50,000円以上

社労士が対応するサービスでは、上記よりも費用相場が高額になるケースや、個別報酬が発生する場合もあります。想定外の出費を避けるために、料金体系とサービス範囲を確認しましょう。

年末調整代行

年末調整代行は、年末調整業務をまとめて委託できるサービスです。基本的には年末調整時期のみのスポット契約ですが、専門性が高く作業量も多いため、料金設定が高額な傾向があります。

他の専門業務代行と同じく、年末調整代行の料金体系は従業員1人当たりに加算される方式が一般的です。企業規模別の費用相場は次の通りです。

【従業員1人当たりの費用相場】

  1. 小規模企業(10人以下):月額10,000~30,000円
  2. 中規模企業(10~50人程度):20,000~100,000円
  3. 大規模企業(50人以上): 月額80,000円以上

上記に加えて、サービスの基本利用料10,000〜300,000円がかかることもあります。

その他のサービスの費用相場

代行会社によっては、人事・労務だけでなく、次のような業務サービスも提供しています。依頼する業務量が増える分費用も高額になりますが、広範な業務を一元的に効率化できるため、コスト以上の効果を得られる可能性があります。

ここでは、その他の主な代行サービスの概要と費用相場を解説します。

採用代行

採用代行は、求人掲載から応募者管理、選考、採用、内定後フォローといった企業の採用活動を請け負うサービスです。代行会社によって依頼できる工程が異なり、これに応じて費用にも違いが出ます。

採用代行サービスの料金体系は月額固定制が一般的で、費用相場は新卒採用で100,000〜700,000円、中途採用で200,000〜800,000円が目安です。

その他にも、依頼した業務量に応じた従量課金制や、応募者・採用数ごとに料金が発生する成果報酬型などの料金体系もあります。

研修代行

研修代行には、社内研修の企画・準備・実施・効果測定などを委託できます。 対面研修はもちろん、オンライン研修やeラーニングなどの研修に対応した代行サービスもあります。

研修代行サービスは、研修の回数または受講者数に応じて料金が発生する従量課金制が一般的です。具体的には、対面研修は1回につき100,000〜500,000円オンライン研修は受講者1人につき20,000〜50,000円が相場です。

一方、eラーニングは受講者ごとに受講回数や時間が異なることから、「初期費用+月額費用」の料金体系が多くみられます。費用相場は初期費用が200,000〜300,000円、月額費用30,000〜70,000円が目安です。

人事労務代行の費用に関する注意点

代行会社によっては、初期費用やオプション料金、最低月額料金を設定している場合があります。ここでは、人事労務代行の費用に関する注意点を2つ解説します。

初期費用・オプション料金も考慮する

人事労務代行サービスによっては、月額費用のほかに初期費用がかかる場合もあります。初期費用の相場は数万円〜数十万円と幅があるため、事前に確認しておきましょう。あわせて、料金内に含まれるサービスの内容も確認が必要です。

例えば、月次業務のみの対応で年末調整が含まれていないなどのケースが代表的です。あとから業務を追加する場合はオプション料金がかかるため、総合的なコストが高くなる恐れもあります。

予算内で効果的にサービスを運用するためにも、初期費用の有無やサービス提供範囲、業務別のオプション料金を確認することが大切です。

最低月額料金を確認しておく

「基本料金+従業員1人当たりの加算料金」を採用している人事労務代行サービスでは、最低月額料金が設定されていることがあります。特に小規模な企業は、従業員数に比べると最低月額料金が割高に感じられる場合があります。

自社の従業員数を考慮したうえで、費用対効果が高いサービスを検討しましょう。最初から1社に絞り込むのではなく、複数社から見積もりを取って比較することで、最も予算に合ったサービスを判断しやすくなります。

まとめ

人事労務代行は、企業における人事・労務関連業務を委託できるサービスです。人事労務に精通したプロに任せることで、法令対応を含めて精度の高い業務品質を維持できるだけでなく、新しい人材を雇う場合に比べて大幅にコストカットできる可能性もあります。

人事労務代行には「総合型」と「専門型」の2種類があり、総合型の費用相場は100,000〜300,000円です。専門型の費用は依頼する業務によって異なりますが、従業員1人につき10,000〜80,000円で利用できるケースが多いです。

なお、代行会社によっては、基本料金に加えて初期費用やオプション料金がかかる場合や、最低月額料金が設定されている場合もあります。料金体系とサービス内容のバランスをしっかりと比較したうえで、自社にとって費用対効果の高い代行会社を選びましょう。

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