医療業界でSaaSを導入するメリットとは?選び方や注意点も解説
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- 医療業界でSaaSを導入することで、情報共有の円滑化やコスト削減が図れる
- 医療業界がSaaSを選ぶ際は、必要な機能の有無やセキュリティ対策などを確認する
- 医療業界向けのSaaSには、電子カルテシステムやオンライン診療システムなどがある
SaaSとはインターネットを経由して利用できるクラウドサービスであり、医療業界においても導入が推奨されます。SaaSを活用し、現場の業務効率化やコスト削減を図りましょう。この記事では、医療業界でSaaSを導入するメリットや選び方などを解説します。
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SaaSを活用して医療現場の業務を効率化

SaaSとは、インターネットを通じてソフトウェアをクラウド型サービスとして利用できる仕組みです。SaaSでは、ソフトウェアを自社でインストール・管理する必要がない点が特徴です。
SaaSは医療現場の業務効率化やコスト削減をする有効な手段として、医療業界でも導入が進められています。
電子カルテや予約管理、勤怠管理、経費精算など、これまで紙やオンプレミス型システムで行っていた業務をSaaSに置き換えることで、業務負担の軽減や情報共有の円滑化が期待できます。また、法改正や制度変更にも柔軟に対応しやすい点も医療現場に適しています。
本記事では、医療業界におけるSaaS導入のメリットや、導入時の選び方について分かりやすく解説していきます。
医療業界でSaaSを導入するメリット

医療業界においてSaaSを導入することは、業務効率化と医療サービスの質向上の両立につながります。SaaSは人手不足や業務負担が課題となりやすい医療現場を支える有効な仕組みです。
紙やオンプレミス型システムに依存していた業務をデジタル化することで、情報共有や管理がしやすくなり、現場の負担軽減が期待できます。ここでは、医療業界でSaaSを導入する主なメリットについて解説します。
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医療業界でSaaSを導入するメリット
情報共有がスピーディーになる
SaaSを導入するメリットの一つは、場所を問わず情報を確認できることで、情報共有がスピーディーになる点です。クラウド上で情報を一元管理できるため、医療現場全体の連携が大きく向上します。
従来は紙の書類や院内の端末に依存していたことから、情報を確認するために資料を探したり、担当者に確認する必要がありました。しかしSaaSによって、診察室やナースステーション、事務部門など、異なる場所にいるスタッフが欲しい情報を迅速に確認できます。
また、急な情報変更があった場合でも即座に共有できるため、対応の遅れを防げます。情報共有の迅速化は業務効率の向上だけでなく、患者への迅速な対応にもつながる重要なポイントです。
カルテの管理が楽になる
SaaSを活用することで、カルテ管理が格段に楽になります。紙カルテの場合、保管場所の確保や必要な書類を探すのに時間がかかり、業務の負担になりがちです。しかし、SaaSにより、患者データの整理や検索が簡単になり、診療業務全体を進められるようになります。
例えば、患者名や診療日などで情報をすぐに検索できるほか、必要なデータを瞬時に確認できます。過去の診療履歴や検査結果、処方内容なども一元管理されるため、医師や看護師、事務スタッフが同じ情報を共有しやすくなります。
待ち時間の短縮や説明の正確さにもつながり、患者満足度の向上が期待できる点も大きなメリットです。
コスト削減に繋がる
SaaSの導入によって、ペーパーレス化の促進やIT運用における負担を軽減でき、さまざまな費用を抑えられます。例えば、紙のカルテや帳票をデジタル化することで、印刷代や用紙代が不要になり、書類を保管するためのスペースや管理にかかる手間も減らせます。
さらに、SaaSはクラウド型のサービスであるため、オンプレミス型システムのようにサーバーを設置したり、定期的なメンテナンスを行ったりする必要がありません。そのため、高額な設備投資や保守費用を抑えられます。
また、専門的なIT人材を院内で常時確保する必要もなく、限られた人員で効率的にシステムを運用できます。
常に最新の機能を利用できる
SaaSを導入するメリットは、常に最新の機能を利用できる点です。システムのバージョンアップや保守管理を自社で行う必要がなく、運用負担を大きく軽減できます。
ベンダー側が自動でアップデートを実施するため、新機能の追加や不具合修正、セキュリティ強化が継続的に行われます。法改正や制度変更は頻繁に行われることもありますが、SaaSであればそれらにも迅速に対応でき、常に最新の環境でシステムを利用できます。
院内で更新作業の計画や対応を行う必要がないため、IT管理の負担が減り、医師やスタッフは本来の医療業務に集中できます。安心して長期的に利用できる点は、医療現場にとって大きなメリットです。
他システムと連携できる
多くのSaaSは他システムと連携できる設計になっております。システム同士を連携させることで情報転記の手間が削減され、医療現場の負担を大幅に軽減できます。
例えば、電子カルテと会計システム、予約管理システムなどを連携させれば、患者情報や診療内容を何度も入力する必要がなくなります。
これまで人が手作業で行っていた転記作業が不要になるため、作業時間の短縮だけでなく、入力ミスや確認漏れの防止にもつながります。また、データが自動で共有されることで、部署間で情報のズレが起きにくくなり、確認や問い合わせの手間も減ります。
災害時に備えられる
SaaSは、災害時に備えるという点でも大きなメリットがあります。データをクラウド上に保存しておくことで、地震や台風、水害などの災害が発生した場合でも情報の消失防止を図れます。
紙のカルテや書類は、火災や浸水によって一度失われると復旧は困難です。しかし、SaaSで管理するデータは、遠隔地のデータセンターに保管されているため、院内が被災しても安全性が高い点が特徴です。
また、インターネット環境が確保できれば、別の場所からでも必要な情報を確認でき、診療や患者対応を継続しやすくなります。非常時でも医療提供を止めない体制を整えられることは、患者の命を守るうえで重要です。
医療業界がSaaSを選ぶ際のポイント

医療業界でSaaSを導入する際は、一般企業以上に慎重な検討が必要です。医療現場では業務の正確性や安全性が強く求められるため、便利そうだからという理由だけでSaaSを選ぶのは適切ではありません。
ここでは、医療業界がSaaSを選定する際に特に重視すべきポイントについて、分かりやすく解説します。
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医療業界がSaaSを選ぶ際のポイント
必要な機能があるか
SaaSを選定する上で重要なのは、自社の業務フローに合った機能が備わっているかを確認することです。現場の業務内容と合っていないSaaSを導入しても、業務効率化やDX推進の効果は期待できません。
医療機関によって診療科や業務の流れは異なるため、受付や診療、会計、事務処理など、どの業務をどのように改善したいのかを事前に整理する必要があります。そのうえで、その課題解決に必要な機能が過不足なく備わっているかを確認することが重要です。
また、医療機関は将来的に、診療体制の拡大や制度変更が発生する可能性もあるため、必要に応じて機能を追加できるかもチェックしましょう。現在の業務だけでなく、将来も見据えて長く使い続けられるSaaSかどうかを確認することが大切です。
セキュリティ対策は万全か
医療業界でSaaSを選ぶ際、セキュリティ対策は最優先で確認すべきポイントです。患者の個人情報や診療データを扱う以上、情報漏えいのリスクを最小限に抑える必要があります。
データの暗号化やアクセス制限、ログ管理、バックアップ体制などが整っているかを確認しましょう。また、第三者認証やガイドラインへの対応状況も重要です。
セキュリティ対策が不十分なSaaSを選んでしまうと、信頼の低下や重大なトラブルにつながる可能性があるため、慎重な確認が欠かせません。
簡単に操作できるか
SaaSを選ぶ際は、現場のスタッフが簡単に操作できるかどうかを重視する必要があります。操作が難しいシステムは現場に定着せず、DX推進の妨げになってしまいます。
医療現場では、必ずしも全員がITに詳しいわけではないため、複雑な操作や専門知識を必要とするSaaSは使われなくなる可能性があります。その結果、従来の手作業が残り、業務効率化につながらないケースも少なくありません。
導入前には、画面構成が分かりやすく操作できるか、短時間で基本的な使い方を覚えられるかを確認することが大切です。誰でも迷わず使えるSaaSを選ぶことで、現場への定着が進み、業務効率化やDXの効果を最大限に引き出すことができます。
利用料金は適正か
SaaSを導入する際は、利用料金が予算に見合っているかを慎重に確認する必要があります。多くのSaaSは月額や年額の利用料金が継続的に発生するため、長期的な視点で費用を把握することが重要です。
安さだけで選んでしまうと、必要な機能や十分なサポートが受けられず、結果的に業務効率化につながらない場合もあります。そのため、機能内容やサポート体制を含めた費用対効果を総合的に考えることが大切です。
また、現行のカルテや検査結果などのデータをクラウド環境へ移行する際に、データ移行費用や設定費用が別途かかるケースもあります。初期費用だけでなく、運用開始後に発生するランニングコストも含めて確認することで、導入後の想定外の負担を防げます。
サポート体制は充実しているか
多忙な医療現場では、SaaSの導入や運用時に発生するトラブルや操作の不明点に、院内だけで対応するのは難しい場合が多くあります。サポート体制が充実しているSaaSを選ぶことが、安心して長く運用するための重要なポイントです。
診療や患者対応を優先する必要がある医療現場では、システム対応に多くの時間を割くことができません。そのため、困ったときにすぐ相談できる体制が整っているかを事前に確認することが大切です。
具体的には、問い合わせへの対応時間や連絡手段、導入時の初期設定支援、運用開始後のフォロー体制などを確認しましょう。丁寧なサポートが受けられるSaaSであれば、現場の不安を軽減できます。
医療業界がSaaSを導入する際の注意点

医療業界でSaaSを導入する際は、一般的な業務システム以上に慎重な判断が求められます。医療現場では患者の生命や個人情報を扱うため、利便性だけでなく安全性や運用体制まで含めて検討する必要があります。
SaaSは、準備不足のまま導入すると、現場の混乱やコスト増加、セキュリティリスクにつながる可能性もあります。ここでは、医療業界がSaaSを導入する際に特に注意すべきポイントを解説します。
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医療業界がSaaSを導入する際の注意点
現状の課題を明確にする
SaaSを導入する際に重要なのは、導入前に現状の業務課題を明確にすることです。課題が整理されていない状態でSaaSを導入しても、DXの効果は十分に発揮されません。
医療現場では、受付対応に時間がかかっている、カルテの検索に手間がかかる、部署間で情報共有がうまくいっていないなど、さまざまな課題が存在します。まずは日常業務を振り返り、どの業務に無駄や負担が生じているのかを具体的に洗い出すことが大切です。
そのうえで、それらの課題解決につながる機能を備えたSaaSを選定すれば、業務効率化の効果を実感しやすくなります。課題と導入目的が明確であれば、現場の理解も得やすく、SaaSの定着にもつながります。
ランニングコストが膨らむ可能性がある
SaaSは初期費用を抑えて導入できる点が魅力ですが、結論としてランニングコストが膨らむ可能性がある点には注意が必要です。多くのSaaSはユーザー数や利用機能、利用規模に応じて月額・年額料金が設定されております。
特に医療機関では、医師や看護師、事務スタッフなど多くの職員が利用するケースが多く、想定以上の費用になることも少なくありません。また、業務拡大に伴って機能追加や上位プランへの変更が必要になる場合もあり、その分コストが上がる可能性があります。
導入時には現在の費用だけで判断せず、将来的な利用人数や運用規模を見据えたうえで、費用対効果を慎重に検討することが重要です。長期的な視点で無理のない運用ができるかを確認することが、SaaSを有効活用するポイントといえます。
スタッフへの周知を徹底する
SaaS導入を成功させるためには、スタッフへの周知を徹底することが非常に重要です。導入の目的やメリット、具体的な使い方を十分に共有しなければ、SaaSは現場に定着しません。
なぜこのSaaSを導入するのか、導入によって業務がどのように改善されるのかを丁寧に説明することで、スタッフの不安や「今までのやり方で十分」という抵抗感を和らげることができます。
また、操作方法についても事前に説明や研修を行い、誰でも安心して使える環境を整えることが大切です。さらに、医療現場では患者の個人情報を扱うため、セキュリティ教育も欠かせません。
IDやパスワードの管理方法、不正アクセスを防ぐためのルールなどを周知し、正しい使い方を徹底することで、安全かつ効果的なSaaS運用につながります。
医療情報システムの安全管理に関するガイドラインも確認
医療業界でSaaSを導入する際は、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」を必ず遵守する必要があります。このガイドラインは患者の個人情報や医療情報を安全に守るための基本的なルールを定めた指針です。
内容としては、誰がどの情報にアクセスできるかを管理するアクセス制御、データの保存・管理方法、システム運用体制の整備、情報漏えいや事故が起きた場合の対応手順などが示されています。
SaaSを導入する場合でも例外ではなく、ガイドラインに沿ったセキュリティ対策や運用が求められます。そのため、導入を検討するSaaSがガイドラインを踏まえた設計・運用になっているかを事前に確認することが重要です。
ガイドラインを意識して選定することで、医療現場でも安心してSaaSを活用できる環境を整えられます。
参考:医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第6.0版|厚生労働省
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まとめ

SaaSとは、インターネットを経由して利用できるクラウドサービスであり、医療業界においても業務効率化や医療サービスの質向上を目的に導入が進められています。
SaaSを活用することで、情報共有の迅速化やカルテ管理の効率化、コスト削減、災害対策など、医療現場が抱えるさまざまな課題の解決が期待できます。
一方で、導入にあたっては自院の課題を明確にし、機能やセキュリティ、費用、サポート体制を十分に確認することが重要です。また、ガイドラインを遵守し、スタッフへの周知や教育を行うことも欠かせません。
本記事を参考に、医療現場に適したSaaSの導入を検討してみましょう。
