ストレスチェックの高ストレス者とは?判定基準や対応方法も解説
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- ストレスチェックにおける高ストレス者には、医師による面接指導が推奨される
- 面接指導を拒否する従業員もいるため、日頃からメリットを周知するなどの対策が必要
- 高ストレス者を放置すると、安全配慮義務違反として労働紛争に発展するリスクがある
ストレスチェックでは、特にストレス度合いが高い従業員を「高ストレス者」として判定します。高ストレス者には、医師による面接指導や適切なフォローが必要です。この記事では、ストレスチェックにおける高ストレス者への対応方法や、放置した場合のリスクなどを解説します。
目次
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ストレスチェックにおける高ストレス者とは

ストレスチェックとは、労働安全衛生法に基づき、従業員の心理的な負担の程度を把握するために実施する検査です。
仕事量や職場の人間関係、心身の状態などについて質問し、従業員自身がストレスの状況を認識するとともに、企業が職場環境の改善につなげることを目的としています。
このストレスチェックの結果、特にストレス度合いが高いと判定された従業員を「高ストレス者」と呼びます。この記事では、ストレスチェックにおける高ストレス者への対応方法や、放置した場合のリスクなどを解説します。
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ストレスチェックにおける高ストレス者とは
高ストレス者の判定基準
高ストレス者の判定方法には、大きく分けて事業者が独自に基準を定める場合と、厚生労働省の基準に基づいて判定する場合の2種類があります。事業者が独自に決める場合は、自社の業務内容や職場環境、従業員構成などを踏まえて判定基準を設定します。
一方で厚生労働省の基準に基づく方法では、職業性ストレス簡易調査票を用い、設問ごとに点数を算出して高ストレス者を判定します。
具体的には、心理的な負担の強さや心身のストレス反応などの合計点数が一定以上の場合や、複数の領域の合計点が基準値を超える場合などに、高ストレス者と判断されます。国が示した基準を用いることで、判定の客観性や公平性を保ちやすい点が特徴です。
参考:数値基準に基づいて「高ストレス者」を選定する方法|厚生労働省
高ストレス者の割合
厚生労働省の調査によると、高ストレス者の割合は多くの事業場で全体の5〜20%程度とされています。一定数の従業員が高いストレスを抱えていることが分かり、決して少ない割合ではありません。
一方で高ストレス者と判定された従業員のうち、医師による面接指導を実際に申し出る割合は5%未満と少ない割合です。その背景には、「上司や会社に知られたくない」「評価や配置に影響するのではないかという不安」といった心理的・実務的なハードルがあります。
このような状況から、企業側には制度の正しい理解を促し、不利益が生じないことの周知や相談しやすい体制づくりを進めることが求められています。また、高ストレス者の割合だけでなく、面接指導につながっているかどうかも重要なポイントです。
参考:ストレスチェック制度の効果的な実施と活用に向けて|厚生労働省
高ストレス者への対応方法

高ストレス者が確認された場合、事業者には適切な対応が求められます。高ストレス者に対するフォローを怠ってしまうと、心身の不調が悪化してしまい、休職や離職、労災リスクにつながるおそれがあります。
そのため、医師による面接指導を中心に、従業員が安心して相談・支援を受けられる体制を整えることが重要です。ここからは、高ストレス者への対応方法について解説していきます。
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高ストレス者への対応方法
医師による面接指導を受けてもらう
高ストレス者と判定された従業員には、医師による面接指導を受けてもらうことが重要です。面接指導は、医師が本人の心身の状態やストレスの要因を専門的に確認し、必要に応じて助言や就業上の配慮を検討するための制度です。
実施にあたっては、本人の意思による申し出が前提となるため、制度の目的や流れ、受けるメリットを丁寧に説明する必要があります。事業者は面接指導の案内を確実に行い、安心して受診できる環境を整えたうえで、適切な対応につなげていくことが求められます。
参考:長時間労働者、高ストレス者の面接指導について|厚生労働省
申し出しやすい体制を整えておく
医師による面接指導は、原則として従業員本人からの申し出が必要となるため、申し出しやすい体制づくりが大切です。まずは、面接指導の目的やメリットを日頃から分かりやすく周知しましょう。
心身の不調を早期に把握し、無理なく働き続けるための制度であると理解してもらうことで、利用への抵抗感を減らせます。あわせて、面接指導を申し出たことを理由に、評価の低下や退職勧奨などの不当な扱いを受けない点を明確に伝えることも重要です。
こうした不安が残っていると、従業員は制度の利用をためらったり、心身に悪性強を与えるリスクがあります。そのため、あらかじめ安心して声を上げられる環境を整えておきましょう。
担当医に情報共有しておく
面接指導を行う際は、事業者が適切な就業上の措置を検討するためにも、医師が十分な判断材料を得られるよう、事前の情報共有が求められます。
具体的には、従業員の年齢や役職、担当している業務内容に加え、直近の労働時間や時間外労働の状況などを伝えておくことで、医師はより具体的な背景を踏まえた判断ができます。
特に管理職と一般職によって責任の重さやストレス要因は異なり、長時間労働の有無も心身への影響を見極めるために大切です。必要な情報を整理したうえで適切に共有することで、面接指導の質が高まり、従業員にとっても実情に即した助言や支援につながります。
面接指導・助言を行う
面接指導・助言では、医師が高ストレス者と判定された従業員と直接面談し、現在抱えているストレスの原因や業務内容、心身への影響などを総合的に確認します。あわせて、睡眠状況や体調の変化、仕事への負担感なども丁寧にヒアリングされます。
その結果を踏まえ、医師は事業者に対して、労働時間の短縮や業務量の調整、配置転換など、就業上の措置を講じる必要があるかどうかについて意見書を提出します。
また、従業員本人に対しても、生活習慣の見直しや受診の勧奨などの助言が行われます。事業者は医師の意見を尊重し、適切な対応を検討・実施することが重要です。
適切なフォローを行う
高ストレス者と判定されても、本人が医師による面接指導を希望しないケースもあります。しかし、その場合でも事業者は何も対応しなくてよいわけではありません。
例えば、社外の相談窓口やEAP(従業員支援プログラム)、産業保健総合支援センターなど、匿名で相談できる外部機関を案内するなど、別の形でのフォローが必要です。
本人の意思を尊重しつつ、相談先があることを伝えることで、孤立を防ぎ、早期の不調悪化を防ぐことにつながります。
定期的にミーティングをする
労働時間の短縮や業務内容の見直し、休職などの措置を講じた後も継続的なフォローが求められます。高ストレス状態は一時的に改善しても、環境や業務の変化によって再び悪化する可能性があるため、定期的なミーティングを行いましょう。
ミーティングを通じて体調や業務負担、心理面の変化などを確認しながら経過を観察することが重要です。ミーティングでは無理なく話せる雰囲気をつくり、困りごとや不安を早期に把握することが求められます。
上司や人事担当者が継続して関わることで、従業員は「見守られている」という安心感を持ちやすくなり、問題の再発防止や早期対応につながります。
集団分析も検討する
高ストレス者が発生している部署では、その本人だけでなく、周囲の従業員も同様に強いストレスを感じている可能性があります。その場合、個人への対応だけでは根本的な解決に至らないケースも多いため、組織全体の課題として捉える視点が重要です。
組織全体の改善を図るには、部署やチーム単位で行う集団分析がおすすめです。集団分析によって、業務量の偏りや人員配置の問題、コミュニケーション不足、職場環境の課題など、個人では見えにくいストレスの要因を把握できます。
分析結果をもとに業務フローの見直しや体制改善を進めることで、職場全体のストレス軽減につながります。
高ストレス者を放置する場合のリスク

高ストレス者と判定された従業員に対して、適切な対応やフォローを行わずに放置してしまうと、個人だけでなく組織全体に大きなリスクをもたらします。心身の不調による業務への影響だけでなく、企業としての責任が問われる可能性もあります。
ここでは、高ストレス者を放置した場合に起こり得る主なリスクについて解説します。
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高ストレス者を放置する場合のリスク
従業員の体調に影響が出る
高ストレス状態が続くと精神的な不調に加え、集中力の低下や身体的な症状が現れる可能性が高まります。こうした不調を放置すると、症状が悪化し、休職や長期離脱に至るケースも少なくありません。
その結果、本人の業務パフォーマンスの低下や負担の増加だけでなく、業務の停滞や周囲の従業員への負荷増大などを招き、組織全体の生産性低下にもつながります。
安全配慮義務違反になる可能性がある
企業には労働契約法に基づいて、従業員が安全で健康に働けるよう配慮する「安全配慮義務」が義務付けられています。高ストレス者の存在を把握していながら、必要な対応を行わなかった場合、この義務を果たしていないと判断される可能性があります。
その結果、従業員の心身の不調が悪化した場合には、労働紛争や損害賠償請求に発展することも考えられます。こうしたリスクを避けるためにも、ストレスチェック制度を形だけで終わらせず、面接指導や就業上の配慮など適切な対応を行うことが重要です。
ストレスチェックには健康管理システムを活用しよう

健康管理システムとは、従業員の健康情報を一元的に管理し、健康診断結果やストレスチェック、面談履歴などを効率よく運用できるシステムです。
近年では、ストレスチェック機能を備えた健康管理システムも増えています。例えば、実施から結果集計、高ストレス者の抽出までをスムーズに行えるため、手作業での管理に比べてミスや負担を減らせる点が大きなメリットです。
また、高ストレス者への面接指導の管理やフォロー状況の記録にも活用できるため、適切な対応を継続しやすくなります。ストレスチェックを形骸化させず、従業員の健康管理を実効性のあるものにするためにも、健康管理システムの活用は有効な選択肢といえるでしょう。

健康管理システムとは?機能とメリット・デメリット、選び方を解説
健康管理システムとは、従業員の健康に関するデータを一元管理できるシステムです。データを管理することで、担当者の負担軽減や離職率低下に繋がるメリットもあります。本記事では、健康管理システムの機能やメリット・デメリット、選び方を解説しています。
おすすめの健康管理システム10選
株式会社ヒューマネージ
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ここがおすすめ!
- 【業界初】共通フォーマット変換機能で健康診断データを簡単に一元管理
- 多重リスク管理で不調者にいち早くフォローが可能
- ストレスチェック・エンゲージメントサーベイが標準搭載で機能が充実
ここが少し気になる…
- 詳細な料金やプランを確認するには問い合わせが必要
ここがおすすめ!
- 健康管理から検診予約代行サービス・産業医面談や記録まで一元管理できる
- 外部システムと連携することで「高リスク者」の抽出や再検査の推奨なども可能
- 1ヶ月間の無料トライアルが利用できる
ここが少し気になる…
- 外部連携システムが限られていて少ない
株式会社ベネフィット・ワン
ハピルス健診代行
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- 健診期間は業界最大規模の「全国約3,000機関」から用意
- 「ベネワン・プラットフォーム機能」により無料でストレスチェックが受けられる
- 健診結果の見える化で健康状態の把握ができ、疾病予防にも効果的
ここが少し気になる…
- 報告書作成機能や産業医との面談管理については問い合わせで確認
株式会社マイクロウェーブ
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- 「健診業務代行セット」プランの提供があり、大幅に業務時間を削減できる
- 健康データーはペーパーレスで丸ごとIT化され、リモートワーク社員の健康管理にも効果的
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- 最低利用期間は1年縛りで、特殊健診については個別カスタマイズ対応
株式会社Smart相談室
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- 社員の悩みに寄り添った相談窓口を設けることにより企業の成長もサポート
- 「無料トライアル」の提供があり、事前に学習コンテンツやストレスチェックなど試せる
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- 相談機能がメインでストレスチェックはオプション扱い
ヘルスケアテクノロジーズ株式会社
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- 医療関係の相談に特化しているため、それ以外の相談窓口を設けたい企業には不向き
株式会社HRデータラボ
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- ニーズにあわせたプランやカスタムが可能
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- ストレスチェックがメインになるため、その他の機能は少ない
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- サービスが多く柔軟性がある一方で、詳細問い合わせの手間がかかる
株式会社ベネフィット・ワン
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株式会社インテージテクノスフィア
すこやかサポート21
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- 導入まで最短で約2ヶ月かかるためすぐには使えない
まとめ

280ストレスチェックでは、心身への負担が大きい従業員を「高ストレス者」として把握し、適切に対応することが重要です。高ストレス者には、医師による面接指導をはじめ、本人の状況に応じたフォローや職場環境の改善が求められます。
対応を怠ると、従業員の健康悪化や生産性低下、安全配慮義務違反といったリスクにもつながります。健康管理システムなども活用しながら、ストレスチェックを継続的な職場改善に活かしていきましょう。本記事を参考に、自社に合った体制づくりを進めてみてください。