労務管理システムとは?メリット・デメリット、機能や選び方を解説

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  • 労働管理システムでは、従業員の労働時間や保険などの管理、労務手続きができる
  • 労働管理システムの導入で、書類作成・管理の効率化や役所に提出する手間削減に繋がる
  • 労働管理システム導入の際は、自社の業務や電子申請に対応しているか確認し検討する

労務管理システムとは、従業員の労働時間や社会保険・労働保険などの管理、労務手続きが行えるシステムです。本記事では、労働管理システムをよく知らない方・導入を検討している方のために、システムの機能や選び方、メリット・デメリットを解説しています。

目次

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  1. 労務管理システムとは
  2. 労務管理システムの機能
  3. 労務管理システムのメリット
  4. 労務管理システムのデメリット
  5. 労務管理システムの選び方
  6. まとめ

労務管理システムとは

労務管理とは、労働時間管理・社会保険加入管理・従業員の賃金の精算・福利厚生管理などの業務を指します。労務管理システムは、それら企業における労務管理の関係処理を効率化・ペーパーレス化させるシステムです。

労務管理システムを利用すれば、煩雑な管理をシステム上に入力するだけで、従業員の労力の軽減やミスの削減ができます。勤怠管理・給与計算などの日常業務や年末調整、扶養控除等申告書などの記入がシステム上で簡単に行えるのは大きなメリットです。

従来のように、紙で処理を行っていると従業員に用紙を配布・回収して、誤りや記入漏れがあった場合はひとつひとつ修正しなければなりません。さらに完成した書類を関係機関に持参したり、郵送する必要もあります。

それらの作業をシステム上ですべて解決できるのが、労務管理システムです。労務管理システムを導入することで、時間・コストの削減が容易にできます。

労務管理システムの導入がおすすめな理由

労務管理は、従業員の多い企業や従業員の入社・退職が頻繁にある企業にとっては、労務管理担当者の大きな負担となる作業です。勤怠管理を紙の書類で行っていると、気づかないうちに従業員を法定労働時間を超えて働かせてしまうケースがでてきます。

そのような場合には、労働基準監督署からのペナルティが課されることもあるので、労働時間の管理は給与の支払い、従業員の健康管理、法令遵守の観点などからも重要であり、万全の管理が必要です。

また、システムを導入することで業務の効率化やコストの削減が飛躍的に向上します。このような法律に関わる重大なミスを引き起こさず、効率的に作業を行うことが可能になります。

書類作成の効率化

システムの利用で得られるメリットの1つは、膨大な数の書類作成や処理を効率化できることです。システム上で書類の作成を行えるので、人為的ミスが大幅に減ります。書類作成の効率化ができれば、2019年に施行された働き方改革の推進にもつながります。

働き改革とは、多様な働き方の実現、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保、長時間労働の是正などを実現するための法律改正のことで、2019年4月に施行されました。有給休暇取得の義務化・時間外労働の上限化などが定められています。

労務管理システムがあれば、書類の手作業での転記が不要になり、従業員自身が直接システム上で入力作業を行えます。面倒な紙の事務処理がなくなり、労務管理事務の担当者の今までの大きな負担が軽減され、働き方改革が実現し、職場に良い影響を与えるでしょう。

従業員にとっては手書きやExcelを使った面倒な書類作成が減り、労務管理担当者にとっては記入ミスなどのチェックと修正が容易になります。

参考:働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(平成30年法律第71号)の概要|厚生労働省

役所への書類提出の手間が減る

労務関係の書類は、各関係機関に提出しなければなりません。紙の書類の場合は、完成した書類を郵送または持参する必要があります。システムの導入が行われれば、電子申請での提出が可能です。

もし、書類に間違いがあっても、システム上で容易に修正が可能なので早急に対応できます。労務管理システムの導入は、今まで行っていた煩雑な紙の書類処理がなくなり、労務管理担当者が手間をかけずに仕事をスムーズに遂行できます。

ただし、システムによっては電子申請不可の書類があるため、事前に確認しておきましょう。

書類の発行・手続きを素早く行える

労務管理システムを利用することで、従来のように、書類を印刷して従業員1人ずつに手渡す作業が不要となります。書類の発行や申請が全てシステム上で行えるので、書類の発行・申請が自動で行え、紙の書類の処理に比べ迅速に処理が行えます。

そのため、労務管理担当者の残業時間の大幅な削減が可能です。労務管理システムにはさまざまな種類があります。入社手続きや従業員管理を行いたいならシリーズ連携タイプを、人事労務全般を効率化させたいならサービス単体タイプを選定すると良いでしょう。

労務管理と勤怠管理の違い

労務管理と類似したものに勤怠管理があります。労務管理とは、求人・採用、従業員の給与や福利厚生の管理を行い、労働基準法に則って適切に働ける環境づくりを行うことです。具体的には、労働期間と時間・給与・業務内容など労働条件にまつわる管理のことです。

勤怠管理とは、労務管理の一部で、従業員の就業状況を管理することです。従業員の出退勤時間・出社日数・休憩時間を確認し、就業規則や法律を遵守しているかを管理します。労務管理と勤怠管理は分けて考えられることが多く、毎日の勤怠管理は重要性の高い業務です。

勤怠管理は、従業員の賃金に関わることで毎日行わなければなりません。そのため、手作業で行うと不正やミスが起こることもあり得ます。また、勤怠管理は従業員の健康管理にも役立ちます。適正な労働時間で働いているかを、企業側が把握できるからです。

勤怠管理を適正に行っていれば、近年問題となっている過労死問題も、事前に避けることができ、作業の生産性の向上も図れるでしょう。

法律を順守した従業員の適正な労働に対し、正当な賃金を支払い、正しい税金や保険料を計算するためにも、勤怠管理は重要です。従業員に働きやすい環境を与えるための労務管理は、万全に行う必要があります。

労務管理システムと人事労務管理システムの違い

労務管理システムと似たようなシステムに、人事労務管理システムがあります。一般的に、労務管理システムは、従業員の勤怠や福利厚生など労務業務の管理を行えます。

一方、人事労務管理システムは、労務業務に加えて、従業員の特性に合わせた人材配置や人事評価などの人事管理業務をサポートしてくれます。

それぞれのシステムの機能や強みを比較し、自社の業務や課題に適したシステムを選びましょう。

労務管理システムの提供形態

労務管理システムの提供形態には、オンプレミス型とクラウド型の2種類があります。以下にこの2つについて詳しく解説していきます。

オンプレミス型

オンプレミス型労務管理システムとは「自社運用」とも言われ、自社のサーバーに人事管理システムなどをインストールして運用するものです。また、ユーザー自身が所有するサーバーなどにシステムを構築します。

そのため、既に使用しているシステムと連携しやすく自社に適合した状態にカスタマイズできます。従業員が1000人以上の企業に向くシステムです。

メリットデメリット
セキュリティを維持しやすく高速なバックアップがしやすいサーバー設置などの初期費用が大きくかかる
カスタマイズしやすい障害対策は自社で行わなければならない
既存システムとの連携がしやすい本格稼働までに時間がかかる
ネットワークパフォーマンスが高い

クラウド型

クラウド型労務管理システムは、インターネットを介して提供されるシステムで、近年、企業への導入が増加しているシステムです。初期投資や運用コストが比較的安価で済み、自社サーバーなどを用意する必要はありません。

システム提供会社が用意したシステム上で、労務管理システムを基本的に定額払いで利用できます。法改正などの対応も、アップデートやメンテナンスは提供会社側が対応するので、運用負担なども大幅にカットできます。

また、クラウド型労務管理システムは、提供会社のデータセンターに置かれています。データセンターの建物は、通常のオフィスビルに比べ、災害にも強い構造になっているため、災害時などもデータの破損が少なく、リカバリーも早いのが大きなメリットです。

ただし、クラウド型労務管理システムは、セキュリティ面に不安が残ると指摘されています。最も不安視されているのが、サイバー攻撃や個人情報の漏洩です。

現状ではクラウド型サービスは指摘されるセキュリティ面に関する安全性や安定性が高くなっており、不安が解消されつつあります。クラウド型の労務管理システムは、日々進化し改善されています。

メリットデメリット
初期投資や運用コストが比較的安価オンプレミス型よりセキュリティ面にやや不安が残る
必要なシステムのみ利用可能大企業には向かない可能性がある
システムの増強が迅速にできる
災害時などリカバリーが早い

労務管理システムの機能

労務管理システムでできることは、大きく分けると従業員の入社と退社の手続き・従業員管理・年末調整手続き・雇用契約書の作成と締結・就業規則や福利厚生の管理・勤怠管理や給与計算などです。

労務管理システムには様々な機能があるため、自社に必要な機能を事前に確認しておきましょう。

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機能主な内容
入社・退社の手続き・雇用保険の資格取得喪失書類の作成
・提出扶養控除申告書の作成
・提出社会保険書類の作成と提出
従業員情報の管理・従業員リスト作成管理住所変更等の管理社員IDの管理
年末調整の手続き・源泉徴収票の作成
・提出給与支払い書の作成・
・提出所得税徴収高計算書の作成
・提出扶養控除等申告書の作成と提出
・保険料控除申告書の作成と提出
雇用契約書の作成・締結・雇用契約書の作成
・締結機密保持作成の作成と締結
就業規則や福利厚生の管理・就業規則の決定
・修正福利厚生管理の決定・追加
勤怠管理・給与計算・従業員の出社退社の管理給与明細のWeb上での管理従業員がWeb上で閲覧可能
マイナンバーの管理・必要情報を従業員から収集万全なセキュリティ管理のもとマイナンバーを管理閲覧履歴が残せる(不正閲覧防止)

入社・退社の手続き

従業員が入社すると、社会保険なら「健康保険・厚生年金被保険者資格取得届」、雇用保険なら「雇用保険被保険者資格取得届」や雇用契約書など、さまざまな書類の作成が必要です。転職者なら「給与所得者異動届出書」の作成も必要です。

保険書類関係以外にも「給与所得者の扶養控除等申告書」の作成も行わなければなりません。退職時には「源泉徴収票」の作成や住民税に関係する書類の交付も必要です。

これらの書類を作成し、関係機関へ提出を行わなければなりません。労務管理システムを導入すれば、こういった作業がシステム上で簡便に行えるようになります。

従業員情報の管理

従業員の管理には、個人情報はもちろん、マイナンバーの管理転居時の住所管理、扶養家族の追加と削除なども含まれます。労務管理システムを導入すれば、こういった作業が従来の紙の書類の処理ではなく、全てシステム上で行えます。

マイナンバーなどの個人情報は、紙の書類での処理ではセキュリティ面に不安が残ります。紛失したり、不正閲覧の可能性もゼロではありません。

労務管理システムが導入されれば、紙の書類を不正閲覧されることもなく、物理的な情報漏洩のリスクを軽減できます。

年末調整の手続き

労務管理システムを利用すれば、年末調整関連の紙の印刷・郵送・回収がオンライン上で完結します。また年末調整時に、「住宅ローン控除申告書」と「住宅ローン残高証明書(1年目は確定申告が必要)」の処理もシステム上で行えます。

年末調整は、1年に1度は必ず行わなければならない煩雑な作業です。年末調整には、以下の3種類の書類の提出が必要です。

  1. 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
  2. 給与所得者の保険料控除申告書
  3. 給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書

年末調整の手続きは仕分けも多く作業に時間を要しますが、労務管理システムを導入すれば、システム上で全ての処理が行えるため、紙の書類のやり取りがなく、多くの書類を処理できます。自社の労務管理担当者が最も使いやすいシステムを選ぶことをおすすめします。

雇用契約書の作成・締結

従業員の入社時に必要な雇用契約書の作成や締結が、ペーパーレスで労務管理システム上で行えます。他に機密保持契約書など重要書類もシステム上で完結します。

入社時に必要な書類の作成のほとんどがシステム上で行えるので、事務処理が迅速に行えるのが大きなメリットです。

労務管理システムの導入で、新入社員が数百人に昇るような企業なら、年度初めの毎年の煩雑な入社書類が電子申請で行え、手書きのサインや印鑑も不要です。

システム導入により、これらの雇用契約書の作成・締結がシステム上でできるようになり、担当者の負担が減るのがメリットです。その他、労働条件通知書などの入社手続き書類も同時にシステム上で行えます。

就業規則や福利厚生の管理

会社の就業規則や福利厚生の管理がシステム上で行えます。就業規則や福利厚生は、追加や修正などが発生した際には、従来の紙の処理なら、修正後プリントアウトしたり、訂正印を押印したり、用紙を差し替えたりなどの作業が必要でした。

しかし、労務管理システムを導入すれば、こういった作業が全てシステム上で行えます。修正後はすぐにメールなどで従業員に周知でき、従業員が働きやすい環境を作ることができます。

勤怠管理・給与計算

労務管理システムを使用すると、従業員の勤怠管理や給与計算がシステム上で行えます。労働基準法では、賃金は直接労働者に全額支払うことが定められ、労働時間は1分単位でカウントすることが原則ですよって、15分や30分で区切る「丸め処理」は違法となります。

法律に則って給与計算を手作業で行うのは、非常に手間がかかり、正確性の維持は困難です。また、従業員ごとに基本給が異なるため、残業時間の計算も複雑化します。システム上で計算を行えば、それぞれの従業員の給与にあてはめて残業代が正確に計算できます。

さらに、出勤時の打刻が正確に行われているか、規定残業時間をオーバーしていないかなどをシステム上で管理できるので、従業員が働きやすい環境を整え、法律の遵守にもつながります。

社会保険や厚生年金に関する計算もシステム上で問題なく行えます。システムによっては勤怠管理や給与計算が別々のシステムの場合もありますが、労務管理システムで一括でできる場合もあります。

システムによってできることが異なるため、自社に最も合ったシステムを選びましょう。労務管理システムを導入すれば、勤怠の不正なども行われず、正しい給与が全社員に支給される仕組みが確立できます。

参考:労働基準法第24条|e-Gov法令検索

マイナンバーの管理

マイナンバーの管理システムは、マイナンバー管理単独のシステムと労務管理システムにマイナンバー管理システムが既に組み込まれたものの2種類があります。

既にマイナンバーカード管理以外の労務管理システムを導入している企業であれば、マイナンバー管理のみのシステムをオプションで導入し、連携させることができます。

これから労務管理システムを導入する場合は、マイナンバー管理システムも組み込まれたものを導入すると、必要情報を従業員から収集し、万全なセキュリティ管理を行った上でマイナンバー管理が行えます。また閲覧履歴が残せるのもメリットです。

マイナンバー管理を手作業で行うのはリスクと手間が掛かります。マイナンバーの管理システムを使用できる社員を決めておけば、不正閲覧もできず、セキュリティ面でも安心です。

労務管理システムのメリット

労務管理システムは作業の効率化をはじめとして、多くのメリットがあります。以下に5つに分けて詳しく解説します。

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書類作成・管理の効率化

システムの導入で、書類作成時の手間や人為的ミスが軽減され、紙の書類の場合は管理の際に起こりうる書類紛失などのリスクを解消できます。さらに、同時に事務処理の効率化も図れます。

労務管理関係の書類を作成する場合、扶養家族や住所、電話番号、生年月日などさまざまな個人情報を収集しなければなりません。また、収集した情報の管理や検索も煩雑で時間がかかります。

しかし、労務管理システムがあれば、従業員本人に個人情報をシステム上で入力してもらえるので処理が迅速に進み、情報漏洩のリスクも軽減します。情報の管理や検索もシステム上で行えるので、大幅な効率化が図れます。

役所への申請を簡単に行える

労務管理システムを導入すると、業務担当者が役所へ赴いたり、郵送することなく電子申請が可能です。役所へ郵送する手間や送料も削減できます。社員数の多い大企業などは、書類を郵送する送料だけでもかなりの金額がかかります。

電子申請ができれば、そういった雑費を軽減できるのもメリットです。手作業での郵送は、送付先の記入ミスや委託先の誤配送など全くリスクがないわけではないので、労務管理システムの電子申請は、安全かつ担当者の負担も軽減されます。

書類を受理する厚生労働省も、電子申請を推進しており、特定の法人(資本金・出資金1億円以上の大企業)に対しては電子申請が義務化されています。

手続きの負担を軽減できる

従業員も入力可能な労務管理システムを導入すれば、従業員と業務担当者の間の書類の手渡しなどの負担がなくなります。ほとんどの労務管理システムが、パソコンやスマートフォン、タブレットなどからも入力が可能なマルチデバイスに対応しています。

そのため、従業員が空き時間に入力申請ができ、サテライトオフィス勤務などを含むリモートワークや出張中、在宅勤務でも入力処理が可能です。入力の手間や申請、ミスの修正なども簡単に行え、労務管理担当者の業務をさらに軽減できます。

情報を一元管理できる

労務管理システムの利用は、労務管理に関わる情報を一元管理できるので、情報の変更や抽出が簡単に行えます。例えば、労働基準法が改正される際、労務・勤怠管理の情報を見直す必要があります。

労務管理システムには検索機能が備わっているので、変更が必要な従業員の情報を抽出して一括で変更でき、入力ミスや漏れも防げます。さまざまな従業員の情報を一元管理できることは、労務管理の業務をより効率よく進めることができます。

他システムと連携できる

労務管理システムには、他システムと連携できる機能があります。例えば、労務管理システムの勤怠管理と従来使用していた会計管理システムが連携できれば、社員情報を一元管理でき、円滑に業務を行えます。退勤時間と残業時間、有給休暇など給与計算も自動的に行えます。

勤怠管理と給与計算が同時に自動計算できると、1つ1つ行っていた業務がまとめて行えるため、業務の簡略化が図れ、人為的ミスも削減されます。

同時に自動計算ができると労務管理の担当者の作業も減り、残業時間の削減が図れ、ワークライフバランスが取りやすくなります。

社外・複数拠点の労務管理が可能

クラウド型の労務管理システムの場合、インターネット回線が整っていれば、従業員は会社に戻らず打刻や申請が可能になります。そのため、出張や営業など社外で仕事を行う場合や、建設現場などの複数拠点を持っている場合も、容易に出退勤の管理ができます。
テレワークなどの多様化する働き方にも対応できるため、テレワークの促進にも繋げられます。

労務管理システムのデメリット

労務管理システムにはいくつかのデメリットもあります。どのシステムを選ぶかは自社の状況に合わせ最適なシステムを選ぶ必要があります。以下の通り、5つの点からデメリットを詳しく解説します。

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コスパが悪い場合がある

労務管理システムを導入すると、ある程度の費用がかかります。膨大な情報を簡便に処理するためのシステムなので、従業員が多い会社ほど効果が大きく現れるものです。労務管理システムは、多くの従業員の中からある1つの情報を抽出したい場合などにとても便利です。

そのため、従業員が少ないと従来の方法でも、労務管理にそれほど時間がかからない場合があり、効果の割に費用が高く感じられる可能性があります。従業員が数人の場合でも、処理は煩雑なので、まずは無料トライアルでシステムを試してみるのがおすすめです。

システムに慣れるまで時間がかかる

労務管理システムを操作するには、担当者にある程度パソコンの知識がないと新しいシステムに慣れるのに負担や時間がかかる可能性があります。従来のアナログな紙の書類で事務作業をしていた従業員は、新しいシステムや仕組みに慣れるまでに時間を要す場合もあります。

そのような新しい仕組みを導入して、制度が浸透するまでにかかる時間なども事前に検討することが必要です。作業を簡略化するために導入したシステムが、かえって作業に時間がかかってしまっては本末転倒です。

システムを導入することが決定したら、事前に担当者向けにガイドラインなどを作成し、教育を行うとスムーズにシステムを導入できます。

アクセス集中によりトラブルが起きる可能性がある

クラウド型労務管理システムは、大勢の社員が一斉にアクセスするとトラブルが起きる可能性があります。部署によってアクセス可能な時間を決めるなど対策が必要になります。それでもトラブルが起こってしまった場合を想定して、対策を講じる必要があります。

トラブルが発生したとき、販売元がどのようにサポートしてくれるかを確認しておく必要があります。トラブル発生時には早急に対応してもらえるかどうかはとても重要です。

アクセス集中などでトラブルが発生した場合には、社内の労務管理機能がストップしてしまうことになるので、サポート体制の確認はしっかり行っておきましょう。

電子申請不可の場合がある

どの労務管理システムも、全ての申請が電子申請できるわけではありません。電子申請が不可のものが何であるかを確認してから、自社に合ったシステムの導入を検討しましょう。

どの項目を電子申請したいか、事前に社内で確認してから、労務管理システムを提供する各社を比較しましょう。例えば、自社が入っている健康保険組合とシステムや電子申請が対応しているかなど、自社に適した機能があるシステムを選ぶのも重要です。

システムによって機能にばらつきがある

労務管理システムの種類によって、対応しているサービスや機能が異なります。自社に必要な機能をまず確認して、数多い労務管理システムの中から最適なものを選ぶのが大切です。

自社の従業員が使いやすく、自社にとって必要な機能が搭載されたシステムを選ぶと円滑に運用できます。システムの数は膨大にありますが、システムによって機能にばらつきがあるので、自社がほしい機能が全て搭載されているものを選ぶのは時間がかかります。

例えば、カタログや公式サイトなどで調べてもわかりにくい場合は、直接システムの提供会社へ問い合わせするのも良いでしょう。

労務管理システムの選び方

労務管理システムは、さまざまな種類のものがあるので、自社に合ったものを選ぶのが大切です。選び方のポイントは以下のとおり、8つありますので、1つずつ解説します。

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自社の業務に対応しているか

労務管理システムを選ぶときには、そのシステムが自社の業務に合致しているかを確認するのが大切です。システム化したい業務範囲や帳票に対応しているかを必ず確認しましょう。労務管理システムは、一部の機能がオプションになっていることがあるからです。

例をあげると、社会保険はデフォルトで含まれているが、マイナンバー管理はオプションになっているなどです。自社の業務のどの範囲まで、労務管理システムを組み入れるのかを精査し、システムを選ぶのが大切です。

初めて労務管理システムを導入する場合は、自社に必要な機能が、全て初めから組み込まれているシステムを選ぶと便利です。料金や使い勝手の良さを確認して選んだシステムに、必要な機能がついていないときには、オプションで付けましょう。

コストを確認

労務管理システムの導入には、ある程度のコストがかかります。会社の規模や業務体制とシステムの仕様が合っていないと、コストと効果のバランスが悪いと感じることもあるため、導入前にきちんと費用対効果を感じられるシステムを選ぶのが大切です。

どのくらい業務の効率化が見込めるのか、生産性が向上するのか、導入したコストがどのくらいで回収できるのかなどを計算してみるとよいでしょう。また無料で使えるシステムもありますが、機能が大きく制限されるので、オプション機能の有無を確認するべきです。

従業員情報の入力方法を確認

労務管理システムを導入する前に、どんな方法で個人情報の入力を行えるのか事前に公式サイトなどで確認しておくと良いでしょう。

確認事項を例えると、URLをメールなどで送ることで従業員に入力してもらえたり、写真を撮って読み込んで入力してもらったりなど、様々な入力方法が用意されている場合があります。

様々な入力方法が用意されていれば、労務管理の担当者が書類を収集したり転記したりする手間が省けて、業務効率化につながります。

他システムと連携できるか

導入を考えている労務管理システムが、勤怠管理や給与計算システムと連携できると効率化が図れます。まず労務管理システムを導入し、将来的に勤怠管理システムや給与計算システムを導入したいなら、それらのシステムと連携できる労務管理サービスを選びましょう。

他システムと連携できないと、労務関連の効率化はできても、その他のデータの転記やチェックなど周辺業務が残ってしまい、効果が感じられません。

電子申請に対応しているか

労務管理システムを選ぶ際には、電子申請に対応しているか確認しておきましょう。電子申請に対応していると、役所への提出や郵便対応の手間が大幅に削減されます。

電子申請に対応していない場合は、労務管理システムに入力した情報を印刷し、役所に書類を届けにいかなければなりません。

書類提出は郵送も可能ですが、郵便対応も手間のかかるものです。しかし、電子申請に対応している労務管理システムを導入すれば、郵便対応は不要になります。

ただ、全ての労務管理システムがどの書類も電子申請に対応しているわけではないので、導入するシステムが自社の目的に合っているかどうか、導入前に確認しましょう。

サポート・セキュリティを確認

システム導入時・導入後のサポートは、どこまで対応してくれるのか、従業員の個人情報管理のためのセキュリティ対策はしっかりしているのかを確認するのは重要なポイントです。導入前に以下の3点をしっかり確認しましょう。

  1. システム導入時・導入後のトラブルや疑問点にどれくらいサポートしてくれるのか
  2. サポート対応時間は何時までか
  3. 従業員の個人情報管理のためセキュリティは万全か

特に、初めて労務管理システムを利用する場合は、システムのサポート体制やヘルプセンターの機能がしっかりしていることを確認しましょう。サポートとセキュリティが万全であれば、業務の大幅な効率化も図れます。

使いやすさなどを無料トライアルで確認

労務管理システムや労務管理ソフトによっては、無料トライアル期間が用意されているシステムもあります。

無料トライアルは、自社の従業員が使いやすいと感じるか、自社が効率化を図るためにスムーズに処理できる機能がついているかを確認するためにおすすめのサービスです。

まとめ

労務管理は、入退社時の手続き、従業員管理、雇用契約書の作成や締結、年末調整の手続き、就業規則と福利厚生の管理、退勤管理、給与計算などが主な業務です。またそれらの手続き上の書類の受け渡しやチェック、ミスの修正なども手作業で行うのが通常業務でした。

この従来までのアナログな紙の書類のやり取りは、非常に手間のかかる事務処理作業で、労務管理の担当者には、大きな負担がかかる業務です。そんな担当者の負担を軽減するために、現在では「労務管理システム」の導入が多くの企業で進められています。

労務管理システムを導入すれば、これらの煩雑な事務処理がシステム上で行えます。必要な従業員の情報を抽出でき、一括で処理や修正が行えるので、担当者の負担が大きく軽減され、ミスも少なくなります。

労務管理システムには、様々な製品があり、機能も異なります。システム導入の際は、この記事を参考に、事前に自社に合ったシステムの選定を行い、業務効率化を図りましょう。

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