ストレスチェックの義務化とは|実施メリットや対応のポイントも解説
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- ストレスチェックは、将来的にはすべての事業場で義務化される予定となっている
- ストレスチェックにより、従業員のメンタル面の不調を早期発見し、退職を防止できる
- 導入する際には、実施時期や高ストレス者の基準設定など、体制を整える必要がある
ストレスチェックは現在、従業員50人以上の事業場において義務化されていますが、将来的にはすべての事業場で義務化される予定となっています。この記事では、いつから従業員50人未満の事業場で義務化されるのか、また義務化に対応するためのポイントなどについて解説します。
ストレスチェックはすべての会社で義務化される

ストレスチェックは、従業員のメンタルヘルスの不調を早期に検知するために実施する調査です。現在は従業員数50名以上の事業所のみ義務づけられていますが、法改正により、最長で令和10年5月までに事業規模を問わずすべての事業所で義務化される予定です。
計画的に導入を進めるためにも、事業者は早めに準備をはじめましょう。本記事では、ストレスチェックの義務化に向けて事業者が行うべき対応について解説します。従業員のメンタルヘルスを守り、法令を遵守するためにも、ぜひ最後までご覧ください。
参考:労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律案の概要|厚生労働省
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ストレスチェック義務化について
ストレスチェック義務化が進んでいる背景
ストレスチェックの義務化が進む背景には、小規模事業場での実施率の低さと、精神障害による労災請求件数の増加という2つの要因があります。厚生労働省の発表によると、50人未満の事業所における令和5年のストレスチェックの実施率は34.6%と低い水準でした。
一方で、令和元年から令和5年にかけて精神障害による労災の請求件数は、2060件から3575件と急激な増加がみられます。この2つの調査結果は、メンタルヘルスによる不調の増加に対し、企業の対策が不十分であることを示唆しています。
このように、メンタルヘルスの不調を未然に防止することは事業規模にかかわらず急務となっています。その一環として、全ての事業所においてストレスチェックが義務化される運びとなりました。
参考:ストレスチェック制度 の実施状況(令和5年)|厚生労働省
ストレスチェック義務化に際しての課題
ストレスチェックの義務化の重要性が増す一方で、小規模事業場は導入に関して現実的な課題を抱えています。ストレスチェックの実施には、産業医・保健師から「実施者」という役職を立てる必要があり、さらには社内の運用担当者や予算の確保も必要です。
しかし、小規模事業場には産業医選任義務がないため、設置していないという企業も少なくありません。さらに、大規模企業に比べると人的・金銭的リソースも制限されており、結果としてストレスチェックの導入が困難になっています。
ストレスチェックの対象者
ストレスチェックの対象者は「常時使用される労働者」です。基本的には、1年以上の雇用契約期間があり、週の労働時間が同種正社員の4分の3以上を超える人は、契約社員・パート・アルバイトもストレスチェックの対象になりえます。
そのため、事業者はこれらの条件に合致する従業員全員に対し、ストレスチェックを実施しなければなりません。労働時間などから判断するのが難しい場合は、社会保険労務士や労働基準監督署などの専門機関に相談するとよいでしょう。
ストレスチェックを実施するメリット

ストレスチェックの実施は、突然の従業員の休職・離職の防止に加えて、労働上の課題を解決し企業のイメージアップにもつなげられます。ここでは、ストレスチェックを実施するメリットを解説します。
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ストレスチェックを実施するメリット
従業員の休職・退職を防止できる
ストレスチェックは、さまざまな設問を通じて自身のストレス度合いを客観視する取り組みです。従業員自身でいち早く不調を発見して対処でき、企業にとってもメンタルヘルスを理由とした従業員の休職・離職リスクの軽減を図れます。
特に小規模事業場においては、1人抜けただけでも業務や成果に大きな影響が出やすく、他の従業員の負担増大にもつながりかねません。
ストレスチェックの実施を通じて、従業員が自身の不調に気づく機会を増やすことで、休職・離職につながるほどの重症化を未然に防ぎやすくなります。
集団分析により改善点を見つけられる
集団分析は、部署・職種・担当業務などの集団単位でストレスチェックのデータを集計・分析する方法です。個人から集団に分析単位を広げることで、職場ごとの課題を特定しやすくなり、早期の改善も図れます。
例えば、特定の部門にだけ高ストレス者が集中している場合は、業務量の偏りや人間関係の問題、設備不備などの原因が考えられます。ストレスチェックは集団分析の点でも有用性があり、職場環境の効果的な改善を図れる点もメリットです。
企業イメージの向上に繋がる
ストレスチェックの実施は、従業員の健康を気遣う企業姿勢や責任感を社内外にアピールできます。その結果、従業員のエンゲージメントの向上とともに、取引先・顧客からの社会的な信頼獲得にもつながります。
また、「従業員に優しい」というイメージが定着すれば新卒・転職者からの心証もよくなり、採用活動の円滑化も見込めるでしょう。競合他社との競争優位性を保ちつつ、優秀な人材を確保しやすくなります。
ストレスチェックの義務化に対応するために

令和10年までのストレスチェックの義務化に対応するには、法令に遵守した運用体制の整備が求められます。また、予算に制限がある事業所では、団体経由産業保健活動推進助成金の活用など、コスト面での準備も必要です。
ここでは、ストレスチェックの義務化に対応するために事業者が行うべき対応を解説します。労働安全衛生法の遵守につなげるためにも、ぜひ参考にしてください。
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ストレスチェックの義務化に対応するために
自社で実施するか委託するかを決める
ストレスチェックは自社で実施する以外にも、専門の代行サービスに委託する方法もあります。ほとんどのサービスではテストの設計から実施、高ストレス者へのアフターフォローまで一貫して委託でき、社内における運用負荷の軽減を図れます。
特に従業員50人未満の事業所では、従業員同士の距離が近い傾向にあるため、プライバシー保護の観点からも外部事業者への委託が望ましいです。ストレスチェックに精通したプロに任せることで、効果の最大化にもつなげやすいでしょう。
なお、提供サービスや代行範囲はストレスチェックサービスごとに異なります。そのため、厚生労働省の「外部機関にストレスチェック及び面接指導の実施を委託する場合のチェックリスト例」などを参考に、適切な外部サービスを導入しましょう。

ストレスチェックの代行サービスとは?利用メリットや選び方も解説
ストレスチェックサービスとは、ストレスチェックを効率化するツールの提供や実施の代行、アフターフォローなどを依頼できるサービスです。この記事では、ストレスチェックサービスの利用メリットや選び方、おすすめのツールなどを解説します。
実施できる体制を整える
外部サービスを利用する場合でも実施の責任は事業者にあります。そのため、ストレスチェックの運用体制やルール作りを社内で進めなければなりません。
具体的には、タイミングや高ストレス者の基準設定、質問項目の検討など、具体的な実施内容を決めましょう。従業員に協力してもらうために、ストレスチェックの目的や実施方法についての周知も必要です。
なお、基本的にストレスチェックの結果は本人の同意なしに上司・人事部には共有されず、人事評価や配置転換、解雇などの根拠にすることも禁じられています。この点もしっかりと社内に周知させ、誰もが安心してチェックを受けられる体制作りを進めましょう。
職業性ストレス簡易調査票も活用しよう
ストレスチェックの質問項目を設定する際は、厚生労働省の「職業性ストレス簡易調査票」の活用もおすすめです。職場で簡単に使用できる厚生労働省推奨の調査票で、高ストレス者の抽出と基本的な集団分析に最適化されています。
ストレスチェックで把握すべき「仕事のストレス要因」「心身のストレス反応」「周囲のサポート」の3要素に沿った57の質問項目が列挙されており、最小限必要な質問はほぼ網羅できます。どのような質問項目を設けるべきか分からない場合には心強いでしょう。
また、「職業性ストレス簡易調査票」では、合計点にもとづく高ストレス者の抽出も一定程度マニュアル化されています。公的基準に沿って判断でき、初めてストレスチェックを導入する企業でも標準的な結果を得られるのもメリットです。
面接指導の準備をしておく
高ストレスと判断された従業員が希望した場合は、事業者は産業医による面接指導を受けさせる義務があります。面接指導では、産業医がストレスの原因を専門的に分析し、必要に応じて助言や業務上の配慮などを検討します。
希望者がいる場合に備え、ストレスチェックの実施に先駆けて、あらかじめ面接指導の準備を進めましょう。なお、産業医の設置が義務づけられていない小規模事業場では、産業医とスポット契約を結んで従業員を診てもらうケースが一般的です。
この場合は、地域産業保健センターや産業医紹介サービスなどに面接指導医を紹介してもらう方法があります。なお、ストレスチェックの義務化に伴い、今後は産業医を頼る機会も増えると考えられるため、嘱託産業医の選定を検討するのも選択肢の1つです。
情報の保護を徹底する
従業員同士の距離が近い小規模事業場では、プライバシーへの不安が募りやすい傾向にあります。まずは、従業員にストレスチェックの結果は原則として本人にしか知らされないことや、結果によってキャリアに悪影響が出ないことを伝えましょう。
そのうえで、個人のチェック結果が他人の目に触れないような情報保護・管理体制も整備しなければなりません。例えば、紙ベースで管理する場合は、施錠ができる場所でのテスト結果の保管が必須です。
データ化する場合は、システムの認証強化やアクセス制限などのセキュリティ対策を行いましょう。あるいは、外部事業者に実施から管理までを委託すると、テスト結果を社外に保管できるため、プライバシー保護の面で安心感を持てます。
しかし、この場合は、ストレスチェックの実施者と代行会社間におけるデータのやり取りについて明確なルール作りが必要です。例えば、「結果を上司・人事部に渡すには必ず本人に許可を取る」など、テスト結果が不正利用されないような仕組みを整えましょう。
厚生労働省のマニュアルを参考にする
厚生労働省は、従業員50人未満の事業所を対象にした「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」の作成を進めています。これは、ストレスチェックの実施手順をPDCAサイクルに沿ってまとめた実務手引書です。
具体的には、ストレスチェックにおける計画・実施・測定・改善の手順が具体的に記されており、初めて導入する企業でも何をすべきかが判断しやすいです。
さらに、外部サービス活用提案やプライバシー保護のための運用体制作り、コスト節約のポイントなどもまとめられています。小規模事業場ならではの課題や解決策が具体的に示されているため、運用体制を整備するうえで参考になるでしょう。
「何から始めればいいか分からない」という場合は、まずは「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」を参考にしてみるのもおすすめです。
参考:小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル(素案)|厚生労働省
団体経由産業保健活動推進助成金を活用する
「団体経由産業保健活動推進助成金」は、事業主団体などが傘下の中小企業に産業保健サービスを提供した場合に、上限500万円(一定の要件を満たした団体は1,000万円)以内で産業保健サービス・事務費用の総額90%を支給する制度です。
令和7年度より、対象の産業保健サービスにストレスチェックも含まれるようになりました。この助成金を上手く活用することで、ストレスチェックにかかる経済的負担を軽減でき、特に予算の少ない中小企業には安心材料になるでしょう。
なお、「団体経由産業保健活動推進助成金」の申請は、企業ごとではなく、商工会や同業組合など小規模事業場の活動を支援する事業主団体が行う点に留意が必要です。
また、令和7年度分の申請受付は終了しているため、次年度に関しては公式サイトなどで最新情報をチェックしましょう。
健康管理システムを活用する
ストレスチェックを効率的に運用するには、健康管理システムの活用もおすすめです。健康管理システムとは、従業員の健康情報を一元管理し、組織の健康経営を手助けするツールです。
ストレスチェックの実施に対応したものも多く、厚生労働省の推奨項目をカバーしたストレスチェックを効率的に行えます。また、健康診断結果や就労状況など複数のデータを掛け合わせた分析により、高ストレス者の抽出や不調兆候の素早い検知も可能です。
プライバシーに配慮したうえで、ストレスチェックの配布から集計まで大半の工程を自動化できるため、業務担当者の負担を軽減しながらストレスチェックを導入できるでしょう。メンタルヘルスが原因の休職・離職を防ぎつつ、健康面から従業員の満足度向上を図れます。

健康管理システムとは?機能とメリット・デメリット、選び方を解説
健康管理システムとは、従業員の健康に関するデータを一元管理できるシステムです。データを管理することで、担当者の負担軽減や離職率低下に繋がるメリットもあります。本記事では、健康管理システムの機能やメリット・デメリット、選び方を解説しています。
おすすめの健康管理システム10選
株式会社ヒューマネージ
HealthCore
ここがおすすめ!
- 【業界初】共通フォーマット変換機能で健康診断データを簡単に一元管理
- 多重リスク管理で不調者にいち早くフォローが可能
- ストレスチェック・エンゲージメントサーベイが標準搭載で機能が充実
ここが少し気になる…
- 詳細な料金やプランを確認するには問い合わせが必要
ここがおすすめ!
- 健康管理から検診予約代行サービス・産業医面談や記録まで一元管理できる
- 外部システムと連携することで「高リスク者」の抽出や再検査の推奨なども可能
- 1ヶ月間の無料トライアルが利用できる
ここが少し気になる…
- 外部連携システムが限られていて少ない
株式会社ベネフィット・ワン
ハピルス健診代行
ここがおすすめ!
- 健診期間は業界最大規模の「全国約3,000機関」から用意
- 「ベネワン・プラットフォーム機能」により無料でストレスチェックが受けられる
- 健診結果の見える化で健康状態の把握ができ、疾病予防にも効果的
ここが少し気になる…
- 報告書作成機能や産業医との面談管理については問い合わせで確認
株式会社マイクロウェーブ
newbie
ここがおすすめ!
- 「健診業務代行セット」プランの提供があり、大幅に業務時間を削減できる
- 健康データーはペーパーレスで丸ごとIT化され、リモートワーク社員の健康管理にも効果的
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- 最低利用期間は1年縛りで、特殊健診については個別カスタマイズ対応
株式会社Smart相談室
Smart相談室
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- 社員の悩みに寄り添った相談窓口を設けることにより企業の成長もサポート
- 「無料トライアル」の提供があり、事前に学習コンテンツやストレスチェックなど試せる
ここが少し気になる…
- 相談機能がメインでストレスチェックはオプション扱い
ヘルスケアテクノロジーズ株式会社
HELPO
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- 医師や看護師・薬剤師といった医療の専門チームに相談できる
- チャットで気軽に相談でき、24時間365日対応している
- 市販薬やサプリメントなどが購入できる「HELPOモール」機能を搭載
ここが少し気になる…
- 医療関係の相談に特化しているため、それ以外の相談窓口を設けたい企業には不向き
株式会社HRデータラボ
ストレスチェッカー
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- 官公庁や上場企業をはじめあらゆる施設や企業で利用されている
- ニーズにあわせたプランやカスタムが可能
- KDDI子会社の国内サーバーを使用し、セキュリティ面も安心
ここが少し気になる…
- ストレスチェックがメインになるため、その他の機能は少ない
株式会社バリューHR
バリューHR 健診予約システム
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- 「過重労働管理」「再検査受診勧奨」といった機能を備え、サポートも手厚い
- 健康診断の予約から精算代行まで一元管理
- 目的や用途に応じてサービスが選択・利用できる
ここが少し気になる…
- サービスが多く柔軟性がある一方で、詳細問い合わせの手間がかかる
株式会社ベネフィット・ワン
ベネワン・プラットフォーム
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- コスト削減はもちろん社員の健康維持・増進を効率よく行える
- 1ユーザーから使え、どのサービスも同IDが利用できるので管理も楽になる
- ワクチン接種の予約管理機能を搭載
ここが少し気になる…
- ベネフィット・ステーションに契約していないと無料で利用できない
株式会社インテージテクノスフィア
すこやかサポート21
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- 健康管理に必要なものが一通り揃っている
- 「特殊健診」に対応し、一般健診とあわせて管理可能
- 「運用サポート」や「データ化サポート」を利用でき、効率アップの手助けにも効果的
ここが少し気になる…
- 導入まで最短で約2ヶ月かかるためすぐには使えない
まとめ

現在は従業員数50名以上の事業場で義務付けられているストレスチェックですが、今後は令和10年5月をめどに、従業員50名未満の事業場でも義務化される予定です。計画的にストレスチェックを導入するためにも、事業者には早めの対応が求められます。
ストレスチェックの実施には、内製化と外部委託サービスの2パターンがあります。政府のマニュアルや補助金を上手く活用しながら、最適な運用体制の整備を進めましょう。
また、健康管理システムの中には、ストレスチェックの実施から分析、アフターフォローまでワンストップで対応できるものもあります。外注費用を抑えて効果的なストレスチェックを実施したい場合は、健康管理システムの導入を検討しましょう。