ファクタリングの二重譲渡とは?発覚する理由と防止策を解説

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  • 二重譲渡とは、同一の売掛債権を複数のファクタリング会社へ譲渡する行為のこと
  • ファクタリングで二重譲渡が発覚した場合、損害賠償や法的責任・信用低下などがある
  • ファクタリングで二重譲渡を防ぐためには、債権管理の徹底と契約内容の把握が重要

ファクタリングにおける二重譲渡は、資金繰りの悪化や法的責任につながる重大なリスクがあります。本記事では、二重譲渡の仕組みや発覚する場面、発覚後のリスクと防ぐためのポイントまでをわかりやすく解説します。

目次

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  1. ファクタリングにおける二重譲渡とは
  2. ファクタリングでの二重譲渡は犯罪にあたる
  3. 二重譲渡は「バレる」可能性が高い
  4. 二重譲渡が発覚した場合のリスク
  5. ファクタリングを安全に利用するためのポイント
  6. まとめ

ファクタリングにおける二重譲渡とは

ファクタリングにおける二重譲渡とは、同一の売掛債権を複数のファクタリング会社に売却して、資金を何度も獲得する行為です。

ファクタリングの二重譲渡はほぼ確実に発覚し、ファクタリング会社から契約違反に問われるだけでなく、犯罪行為と見なされる可能性もあります。損害賠償請求や法令違反を避けるためにも、債権の二重譲渡は止めましょう。

本記事では、ファクタリングの二重譲渡がバレるタイミングや発覚した場合のリスク、ファクタリングを安全に利用するためのポイントを解説します。

ファクタリングでの二重譲渡は犯罪にあたる

ファクタリング会社は、契約書で二重譲渡を禁止しています。そのため、ファクタリングの二重譲渡をすると契約違反に問われる可能性が高く、損害賠償を請求されるケースも少なくありません。

さらに、ファクタリングの二重譲渡は「詐欺罪」や「横領罪」と見なされる恐れもあります。詐欺罪は相手を騙して金品を騙し取る犯罪行為で、10年以下の懲役の罰則が設けられています。

一方、横領罪とは他人から預かったものを不正に占有して利益を得る罪です。ファクタリングの二重譲渡では、すでに売り渡した債権を別のファクタリング会社に売却することになるため、横領罪の形式が成り立つ可能性があります。横領罪の罰則は5年以下の拘禁刑です。

これらの罪に問われた場合は、刑事罰だけでなく、企業の信用低下といった社会的制裁を受ける場合も多いです。

参考:刑法(第三十七章 詐欺及び恐喝の罪、第三十八章 横領の罪)|e-GOV 法令検索

二重譲渡は「バレる」可能性が高い

ファクタリングの二重譲渡はほぼ確実にバレるため、安易な考えで手を染めるのは止めましょう。ここでは、ファクタリングの二重譲渡がバレないと誤解してしまう理由や、バレるタイミングについても解説します。

二重譲渡はバレないと考えてしまう理由

ファクタリングの二重譲渡がバレないと考えてしまう理由は、誰にも知られずに債権を現金化できるファクタリングの基本的な構造にあります。特に2者間ファクタリングは、依頼主とファクタリング会社の間だけで契約が完結し、取引先の承諾が必要ありません。

これに加えて、融資と異なり基本的に信用情報機関への照会は行わないため、債権がすでに他社に売り渡されていても気づきにくいのが実情です。

また、最初のファクタリング会社が債権譲渡登記をしていない場合は、他のファクタリング会社が登記簿から二重譲渡を検知するのは困難です。特に、個人・個人事業主は制度上、債権譲渡登記ができません。

そのため、これらのケースに該当する場合は、複数社に同時に債権を売り渡してもバレないのではないか、という誤解が生まれやすくなっています。しかし実際には、ファクタリングの二重譲渡は遅かれ早かれほぼ確実に発覚します。

二重譲渡がバレるタイミング

2者間ファクタリングの二重譲渡は発覚が遅れることもありますが、隠し通せるケースはほとんどありません。

巧妙に隠蔽したつもりでも「見積り」「契約・審査」「売掛債権の支払期日」または「従業員からの問い合わせ」のいずれかのタイミングでほぼ確実に露呈します。ここでは、2者間ファクタリングの二重譲渡がバレるタイミングと理由について解説します。

見積りを取るとき

2者間ファクタリングでは、まず見積りを取るのが一般的です。ファクタリング会社によっては、見積りを作成する際に債権譲渡登記を確認するため、登記簿から二重譲渡が発見されるケースは少なくありません。

また、「二重譲渡をしていないか」という質問やアンケートを通じて発覚する場合もあります。原則として、契約前の見積り段階であれば、二重譲渡が発覚しても法律違反に問われる可能性は低いです。

しかし、ファクタリング会社からの信用を失うため、その後の取引も中止になるケースがほとんどです。

審査・契約を行うとき

ファクタリングの審査・契約を行うときにも、債権譲渡登記の確認がなされることが多いです。そのため、債権譲渡登記を済ませている場合は、この段階で二重譲渡が発覚する可能性が高いです。

契約締結の段階まで話が進んでいても、二重譲渡が発覚すれば契約は即取り消しとなります。なお、すでに契約を結んでいる場合は、契約違反や法令違反と見なされる場合もあります。

売掛債権の支払期日がきたとき

ファクタリングの二重譲渡が発覚する可能性が高いのが売掛債権の支払期日です。債権譲渡登記をしておらず見積や契約時点で見落とされていた二重譲渡も、ほとんどがこのタイミングで露呈します。

支払期日とは、売掛先から回収した売掛金をファクタリング会社に支払う期日です。特に2社間ファクタリングでは、依頼主が売掛先から売掛金を受け取り、期日までにファクタリング会社に支払うという仕組みになっています。

しかし、依頼主が売掛先から回収できるのはあくまで1社分の代金です。他から資金を調達できれば発覚は免れ得ますが、二重譲渡するほど経済的に困窮しているなら実現は困難でしょう。

支払期日を過ぎても支払いがされなかったファクタリング会社が事実調査を進めた結果、二重譲渡が発覚するというケースは多くみられます。

従業員の問い合わせや内部告発があったとき

他のケースに比べると稀ですが、依頼主側の関係者からの告発で二重譲渡が発覚する場合もあります。例えば帳簿のチェック中に二重譲渡に気づいた経理担当者が、ファクタリング会社に確認・相談をして発覚するケースが代表的です。

ファクタリング会社ではなく、まず警察や行政機関に相談した結果、騒動がより深刻化しやすいのがこういったケースの特徴でもあります。法律違反だけでなく、社会的信頼の失墜にもつながりやすい点に十分に留意しましょう。

二重譲渡が発覚した場合のリスク

ファクタリングの二重譲渡が発覚した場合は、事業継続が困難になるほどの制裁を受ける可能性があります。ここでは、二重譲渡が発覚した場合のリスクを具体的に解説します。

損害賠償や法的責任が発生する

二重譲渡が発覚するとファクタリング会社から契約違反に問われ、損害賠償を請求される可能性があります。遅延損害金などを含めると、ファクタリングした金額以上の請求をされるケースも多く、経済的な困窮につながりかねません。

また、先にも触れたようにファクタリングの二重譲渡は詐欺罪や横領罪と見なされる可能性もあります。たとえ故意でなくても法的責任は免れず、それぞれの罪に応じた刑罰が科されるリスクもあります。

参考:刑法(第三十七章 詐欺及び恐喝の罪、第三十八章 横領の罪)|e-GOV 法令検索

資金繰りが悪化し支払い不能になる

二重譲渡が発覚した場合は、複数のファクタリング会社から返金を求められる可能性があります。依頼主にとっては想定外の支払いが発生するほか、手元に入るはずだったはずの資金も失うため、資金繰りが急激に悪化する恐れがあります。

資金の調達に失敗して支払不能に陥り、損害遅延金や賠償金がさらに嵩むという悪循環のケースもみられます。

信用を失い事業継続が困難になる

犯罪行為にあたるファクタリングの二重譲渡が発覚すると、取引先をはじめ周囲からの信用が低下するリスクは極めて高いです。新規契約が難しくなるだけでなく、長年の取引先から契約を次々に中止されるケースもあります。

特に金融機関から信用を失うと、今後の銀行融資や資金調達は見込めなくなります。さまざまな収入経路が断たれてしまい、事業の停止や倒産に追い込まれることも考えられます。

ファクタリングを安全に利用するためのポイント

ファクタリングの二重譲渡は、たとえ故意でなくても法的責任を問われる可能性が高いです。知らないうちに犯罪行為に手を染めないためには、ファクタリングの正しい利用方法を理解しておく必要があります。

ここでは、ファクタリングを安全に利用するためのポイントを解説します。

ファクタリングを安全に利用するためのポイント

  1. 二重譲渡になるケースを理解しておく
  2. 信頼できるファクタリング会社を選ぶ

二重譲渡になるケースを理解しておく

二重譲渡をしないためには、どのようなケースが二重譲渡に該当するのかを理解しておきましょう。これにより、初めてファクタリングを利用する場合でも知らないうちに二重譲渡の状態に陥る可能性を回避しやすくなります。

原則として、二重譲渡に当たるのは「同一の債権を複数のファクタリング会社に売却した場合」です。1枚の請求書を何回もコピーして別々のファクタリング会社に売るようなケースが該当します。

なお、複数のファクタリング会社に依頼する場合でも、次の2つのケースは二重譲渡にはあたりません。二重譲渡になるケースとならないケースを区別して理解しておく必要があります。

複数の売掛債権は別々のファクタリング会社へ譲渡できる

複数のファクタリング会社を利用する場合でも、売掛債権が別々であれば二重譲渡にはあたりません。例えば、A社から受領した請求書をファクタリング会社Xに売却し、B社の請求書をファクタリング会社Yに譲渡するケースが該当します。

ファクタリングでは事業者ごとに手数料の設定や入金サイクルが異なるため、売掛金の規模などに応じて複数のファクタリング会社を使い分けると、資金調達がさらに有利になる可能性があります。そのため、必要に応じて複数社の使い分けもおすすめです。

一方で、複数社を同時進行させる場合は、売掛債権の管理に細心の注意が必要です。例えば、メール添付ミスで同一の請求書を複数社に売却した場合は故意でなくても二重譲渡にあたるため、入念な管理が求められます。

見積りを取る段階であれば複数社でも問題ない

契約前の見積り段階であれば、同一の請求書で複数社に相談しても問題はありません。例えば、取引先A社の請求書について、ファクタリング会社X・Y・Zの3社に同時に見積りを依頼できます。

前述のように、手数料や入金スピードはファクタリング会社によって異なります。有利に資金調達を進めるには、複数社から見積りを取って最も条件の良いファクタリング会社を見極めることも大切です。

信頼できるファクタリング会社を選ぶ

意図しない二重譲渡を防ぐには、安全な取引に留意しているファクタリング会社を選ぶことも大切です。自身が二重譲渡に気づかなくても、ファクタリング会社の方から警告が届くため、最悪の事態を回避しやすいです。

また、ファクタリング会社の中には、ファクタリングを装った悪質業者も一定数存在します。二重譲渡以外のトラブルを防ぐ意味でも、信頼できるファクタリングを選ぶことが大切です。具体的には、次のようなポイントに注目してファクタリング会社を選びましょう。

トラブルを防ぐ仕組みがあるか

ファクタリング会社を選ぶ際は、二重譲渡を防ぐ仕組みがあるかに注目しましょう。トラブルを防ぐ仕組みを備えているファクタリング会社は、それ自体が信頼にもつながります。

例えば、3者間ファクタリングに特化しているファクタリング会社は、契約前に売掛先に確認を取るため、二重譲渡の心配はほとんどありません。

一方、2者間ファクタリングを利用する場合は、債権譲渡登記の有無に注目しましょう。必ず債権譲渡登記を行うファクタリング会社であれば、二重譲渡が発生する可能性は低いです。

手数料は相場と比べて妥当か

ファクタリングの手数料相場は、2者間で10〜20%、3者間で3~10%です。これらの相場基準よりも極端に手数料が高い・低い場合は注意しましょう。

例えば、手数料が安いファクタリング会社は、売却できる請求書が限られるケースが多いです。確実な回収が見込める大企業の請求書しか買い取らず、売掛先が小規模の場合は買取を断られる、というケースも少なくありません。

また、手数料が極端に安いもしくは高い事業者は悪質業者が疑われます。中にはファクタリング契約を装って融資契約を結ばせ、後から法外な利息の請求や、強引な返済を迫るといった事例も見られます。

ただし、ファクタリングの手数料には法的な基準がないため、相場と異なっていれば全て悪質業者とは限りません。手数料に疑問がある場合は、ファクタリング会社に根拠の提示や説明を求めましょう。

実績のあるファクタリング会社か

事業期間が長い・利用実績が豊富なファクタリング会社は、それだけ多くの利用者から信頼されていると判断できます。公式HPなどで運営実績を確認し、信頼に足るかを確認しましょう。

また、利用者の口コミなどをチェックし、リアルな契約内容や利用状況を確認するのも効果的です。「料金表と異なる手数料を請求された」「契約内容が不透明」など、気がかりな評価がなければ一定の信頼が置けるでしょう。

相見積りを取る

ファクタリング会社を選ぶ際は、複数社から相見積もりを取るのもおすすめです。最初から1社に限定すると、法外な手数料を請求されても気づかず、不利な契約を結ぶ可能性があります。

複数社で相見積もりを取れば、手数料相場の概要が掴みやすくなり、入金スピードや担当者の応対品質も比較しながら契約先を検討できます。前述のように、見積りだけであれば二重譲渡には当たらないため、積極的な相見積もりの活用をおすすめします。

【専門家監修】優良ファクタリングおすすめ14選を徹底比較!口コミや即日対応・個人事業主向けも【2026年最新】

企業の資金繰りをスピーディーに行いたい事業主にとって、数多くのファクタリング会社から1つの業者を選ぶのは大変です。本記事では、おすすめの優良ファクタリング会社を個人事業主向けや即日入金など目的別に紹介します。また日本FP協会の幹事を務めるファイナンシャルプランナー(CFP)の金子賢司さんに、取材協力をいただきました。

まとめ

ファクタリングの二重譲渡とは、同一の売掛債権を複数のファクタリング会社に売却する犯罪行為です。ファクタリングの二重譲渡は完全な隠蔽が難しく、売掛債権の支払期日までにほぼ確実に発覚します。

発覚すると、ファクタリング会社からの損害賠償請求のほか、刑事罰や社会的制裁などさまざまなリスクを免れ得ません。二重譲渡を避けるには、ファクタリングの仕組みを理解したうえで信頼できるファクタリング会社を選び、正しい方法で利用することが大切です。

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