eラーニング導入の前に検討すること|検討内容・導入手順を解説

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  • eラーニングシステムを導入すると、コストを削減でき、研修内容を均一に保てる
  • eラーニングシステムを導入する際は、モチベーション維持のための工夫が必要になる
  • eラーニングシステムを導入する際は、事前に情報収集と準備を行う必要がある

社員研修や人材育成にeラーニングを活用する企業が増えています。eラーニングの導入を成功させるためには、利用ユーザーに適したコンテンツ選びが重要です。本記事では、eラーニングシステムのメリット・デメリットや、導入する前に検討しておく内容と導入手順を解説します。

目次

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  1. そもそもeラーニングとは
  2. eラーニング導入のメリット
  3. eラーニング導入のデメリット
  4. eラーニング導入前に検討・確認しておくべきこと
  5. eラーニングの導入手順
  6. eラーニングシステムを導入する際の選定ポイント
  7. まとめ

そもそもeラーニングとは

eラーニングとは、パソコンやタブレット・スマートフォンを活用して、インターネット上で学習するシステムです。eラーニングは、モバイル端末を用いてオンライン上でアクセスできるため、業務の空き時間や自宅で手軽に学習できます。

最近ではさまざまな企業や学校でeラーニングの導入が進んでいますが、自分で学習するシステムのため、学習者にとって継続しやすいシステムを選定することが非常に重要なポイントとなります。

そこで、本記事ではeラーニング導入の前に検討すべきことについて詳しく解説していきます。

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eラーニングとは|基本機能やメリット、最新トレンドに合わせた選び方も解説

eラーニングとは、パソコンやタブレット、スマートフォンを使ってインターネットを利用して学ぶ学習形態です。均一な教育が可能であり、動画を活用したわかりやすい研修が行えます。本記事では、eラーニングのメリットやeラーニングシステムの機能、選び方を解説しています。

eラーニング導入のメリット

eラーニングの導入には、多くのメリットをもたらします。従業員へ効果的な学習環境が提供可能となり、人材育成が促進されることで今後の企業成長が期待できるでしょう。

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コストを削減できる

eラーニングを導入すると、さまざまなコストを削減できるのがメリットです。eラーニングによって学習工程が電子化することにより、研修にかかる費用などが削減できます。

  1. 研修資料の用紙代やインク代
  2. 講義室などの会場の費用
  3. 講師への依頼料
  4. 研修や講習の日程管理にかかる人的コスト

eラーニングの導入には、ある程度の導入コストも必要になりますが、長い目でみると上記のコストを大幅に削減できるため費用対効果は高いです。

特に資料作成や会場確保・日程調整などは、経費以外にも労働コストがかかる作業です。そのため、人件費削減や業務効率化にも効果的です。このようにeラーニング導入によって、さまざまなコストが削減できます。

研修の質を均一化できる

eラーニングによって、研修の質を均一化できるのもメリットです。理由としては、eラーニングでは同じ講師の授業を全員が同じコンテンツで受けることになるため、不均衡が生じないためです。

例えば同じ研修内容でも、その回ごとの講師の話し方の違いや講義会場の座る位置などによっても、学習の理解度が変わります。eラーニングであれば事前に研修内容の動画を確認することができるため、理解しやすい内容であるかどうか品質を判断できます。

そのため、分かりにくい講義の内容であれば、事前に改善できるのも大きなメリットでしょう。

人材育成が促進される

eラーニングは、人材育成の促進にも効果的です。なぜならeラーニングを人事評価システムなどと連携させることによって、その人に合ったコンテンツの提案や人事の一元管理などができるようになるためです。

例えば、システムによっては各従業員の人事状況・昇格・資格などの情報をもとに、最適な受講コンテンツの提案をしてくれる機能があります。また、システム上で受講状況が確認できるため、進捗度によって人事評価に役立てることも可能です。

さらに、社員一人ひとりの進捗状況も可視化できるため、研修が進んでいない社員を把握し、受講を促すこともできます。このように、eラーニングは人材育成の促進に役立ちます。

eラーニング導入のデメリット

eラーニングはメリットがある一方で、デメリットも存在します。自発的に学習するシステムなので、集中力が続きにくいなどモチベーション維持が難しいことも共通の課題としてあげられます。以下で詳しく解説します。

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モチベーションの維持が難しい

eラーニングはモチベーションの維持が難しいのが課題です。インターネット上で手軽に学習できる一方で、自主的に行動しなければならないためモチベーションを維持しにくいと言えます。

研修内容を視聴しても内容や進め方が受け身となり、学んだ内容が定着しない可能性もあります。研修後にテストで理解度を深めたりeラーニング受講前に事前学習を行ったりするなど、モチベーション維持に繋がる対策を考えましょう。

近年ではコンテンツの種類も多様になり、ランキング・アバターなどゲーム的要素を採用した「ゲーミフィケーション」やアニメーション型教材も登場しています。スキル獲得をバッジなどで視覚的に表示したり、人事評価へ適切に反映させることも学習効果を後押しします。

実技学習には不向き

eラーニングは実技学習には不向きなのがデメリットです。eラーニングの研修は、パソコンやスマホなどのデバイスを通じて、動画や資料を見る形の講義となるため、プログラミングなどの分野を除いて実践的な学習ができません

例えば、製造業の機械操作方法などはeラーニングで学ぶことができますが、実際に機械操作を体験して習得しなければ危険です。そのため、eラーニングでできる研修はeラーニング上で行い、実技学習が必要な講義は別途行うなどの対策を行いましょう。

すべての研修の会場確保・日程調整を行うのは大変な作業です。実技学習やグループディスカッションなど、オンラインで行うことが難しい講義のみ別途行うと、コストや手間もかかりにくくなります。

独自性が少ない

eラーニングの研修内容は、独自性が少ないのが難点です。なぜなら、eラーニングシステムで用意されている研修内容は一般的な内容であるため、自社に特化した学習をしにくいからです。

自社に合わせて内容を最適化する場合には、自社で教材を作成する必要があります。最近のeラーニングのシステムでは、オリジナル教材の作成が可能なものや内容をカスタマイズできるものもあるため、こうした機能にも注目して選ぶと良いでしょう。

eラーニング導入前に検討・確認しておくべきこと

eラーニングをスムーズに導入するには、検討・確認しておくべきことがあります。eラーニングのシステムはさまざまなシステムがあるため、企業の目的を明確にし、利用しやすいシステムを選ぶことが大切です。

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自社の課題・導入目的を明確にする

eラーニングのシステムを選ぶ前に、自社の課題・導入目的を明確にしましょう。目的や課題が把握できれば、それを解決できるシステムが選びやすくなるためです。

例えば、どの範囲をeラーニングで学習を行うのか、何のために導入するのか、最終的にどうなりたいのかを具体的にします。具体的な目的が明確になれば、ベンダーとの相談もスムーズになり、その条件に合うシステムを絞り込みやすくなるでしょう。

また、運用目的が明確でなければ、導入後に目的が達成できず、コストが無駄になってしまう可能性もあります。導入後に仕組みが形骸化しないように、しっかりとeラーニングの導入目的を明確にしておきましょう。

ユーザーを明確にする

受講するユーザーを明確にすることも重要なポイントです。eラーニングでは、一人ひとりのユーザー情報をIDで管理し、個人の学習履歴を分析したり、教材の選択をしたりすることができます。

そのため、ユーザー情報はeラーニングを利用するにあたり、非常に重要な分析情報源となるのです。ユーザーを明確にすることで、受講者の学習履歴の管理や、教材の選定などがしやすくなります。

まずは、eラーニングで教育を行うのは全社員なのか、特定の部署だけなのか、有資格者のみなのかなど、具体的に教育の対象者を決めましょう。全社員が扱う場合は、誰でも扱いやすい操作性のシステムを導入するなど、ユーザーが明確になるとシステムの選定がしやすくなります

利用するコンテンツを決める

eラーニングは、コンテンツ内容によってどのようなスキル・知識が身に付くかが決まるため、非常に重要な項目です。利用するコンテンツを決める際は、自社の課題や導入目的が達成できるコンテンツを見極めるのがポイントになります。

例えば新入社員を対象とした研修目的でeラーニングを利用する場合、仕事に必要なスキルや基本的なビジネスマナー、知識などを学べるコンテンツを選びます。

また、エンジニアなどのスキルアップの目的としてeラーニングを利用する際は、会社でよく使われる言語などに対応したコンテンツを選ばなければなりません。

このようにシステムによって、コンテンツの内容に差があるため、しっかりと自社の目的に合ったものを選ぶことが大切です。

教材費用を確認する

eラーニングの教材費用は、ベンダーによって違いがあるため教材費用を確認しましょう。教材の費用は、サービス内容やユーザー数によって変わるため、計画的に導入するようにしましょう。

教材は文章だけでなく、画像や動画を取り入れたもの、受講後にテストを取り入れたものなど分かりやすい教材を選ぶのがポイントです。教材のタイプは、動画配信型・アニメーション型・資料配布型・漫画型などさまざまな種類があります。

また、必要とする教材がオプションとなっている場合は、費用が高くなる可能性があるため注意が必要です。システムの中には教材作成の機能が搭載されており、自社で教材を作成した方が低コストで行える場合もあります。

しかし、必要ない機能を導入すると無駄なコストをかけてしまう可能性もあるため、教材コンテンツの使用料金をチェックしておきましょう。

運用体制を整える

eラーニングの利用促進をするためには、運用体制を整える必要があります。初めて自社にeラーニングを導入する場合、多くの従業員にとって初めて利用するツールとなるため、どのように使うのか、何を目的に使うのかを適切に周知しなければなりません

eラーニングをスムーズに導入するためには、専門チームを設置し、トラブルが起きた際に素早く対応できる体制を整えておきましょう。

また、eラーニングを導入する際は、導入準備までサポートしてくれるベンダーを選定するのがおすすめです。導入開始の一定期間は一緒に立ち上げを行ってくれるサービスもあるため、よりスムーズに導入が進めることができるでしょう。

eラーニングの導入手順

eラーニングには社員のスキルアップや業務効率化などのメリットに加え、時代に即した学習方法のため、オンライン学習の際にはあって当たり前のITツールとなっています。しかし、いざ自社で導入となると具体的なイメージが描きにくい方も多いでしょう。

導入計画をより現実的なものにするため、eラーニングの導入手順について段階的に確認していきましょう。

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1.情報を集める

まずは、明確にした課題や目的に沿ったコンテンツ・LMS・費用に関する情報収集を行います。コンテンツやLMSなどのサービス内容、機能が充実していても、コストが高すぎては継続できません。

費用対効果を検討し、自社の目的に沿ったシステムを検討しましょう。クラウド型のサービスでは、無料トライアル期間などを設けているシステムもあるため、一度体験してみると運用後のイメージがつきやすくなります。

2.導入するシステムを決める

情報収集をした中から、導入するシステムの決定を行います。前述の通り、自社のeラーニング導入の課題・目的に沿ったシステムを選ぶことが大切です。

eラーニングのシステムは、大きく分けてクラウド型とオンプレス型の2種類があります。クラウド型はシステムの構築などが必要なく、インターネット上で手軽にログインしてコンテンツを視聴できるため、導入費用を抑えられるのが特徴です。

オンプレミス型は、自社サーバー内にシステムを導入するため、セキュリティ面が優れているのが特徴です。ただし、サーバーやネットワーク機器などを自社で用意する必要があるため、導入費用が多くかかるのがデメリットです。

また、自社でシステム開発をしたい場合は、ハーフスクラッチ開発という手段もあります。ハーフスクラッチ開発とは、既存のシステムの一部を自社でカスタマイズする方法です。

自社ですべてのシステムを開発するより、開発費用と時間を削減することができ、自社の目的や課題に合ったシステムを構築できるのがメリットです。このようにeラーニングのシステムにはさまざまなシステムがあるので、自社の目的にあった最適なツールを選びましょう。

3.ベンダーを決める

導入するシステムが決まったら、ベンダーの選定を行います。ベンダーによって機能・サービス・費用などに違いがあるため、複数のベンダーの製品を比較してみるのがおすすめです。

まずは気になった複数のベンダーに対して、資料請求や問い合わせをしてみましょう。自社の課題・目的が達成できる機能があるのか、ランニングコストはどのくらいなのかなどを比較・検討しましょう。

また、システムが対象の社員にとって使いやすいかや、不具合があった時のサポート体制なども要チェックです。無料トライアルなどで試用できると運用後のイメージがつきやすくなるでしょう。

4.契約・導入準備を進める

ベンダーが決定したら、契約・導入の準備を進めましょう。契約を締結した後に、eラーニングのシステムを導入するための環境を構築していく必要があります。

環境の構築にかかる時間は、どのシステムを利用するかによって異なるため注意が必要です。特に自社サーバー内にシステムを構築するオンプレミス型では、導入に数ヶ月の準備期間が必要になる場合があります。

導入準備をスムーズに進めるためには、導入支援が充実しているベンダーを選ぶことをおすすめします。

ベンダーは数々の会社の導入支援を行っているため、実際にどのように導入を進めていくのか、社内に周知していくのか専門的な知識や経験を持っています。スムーズにシステムを導入でき、素早く社内にを浸透させることが期待できるでしょう。

5.運用を始める

eラーニングのシステムの導入準備が終わったら、実際に運用を始めましょう。運用後は受講生からさまざまな問い合わせなどが来ることが予想されるため、専門チームなどを設置し、サポート体制を整えておく必要があります。

運用後は、自社の目的・課題が達成できているのか分析・改善することも重要です。対象の社員が滞りなく学習が進んでいるのか、利用者に差が出ていないかなど、受講生からフィードバックを収集します。

このようにeラーニング運用後に学習進捗状況や受講データを活用しながら、さらに良い方向に改善していくことで、eラーニングの導入を成功させることができます

eラーニングシステムを導入する際の選定ポイント

eラーニングシステムの導入形態には、主に「パッケージ型」「クラウド型」「オンプレミス型」の3種類があり、自社に適したタイプを選定しなければなりません。ここでは、eラーニングシステムを導入する際の選定ポイントを解説します。

自社に適した提供方法か

eラーニングシステムの提供方法は、主に「パッケージ型」「クラウド型」「オンプレミス型」の3種類です。それぞれに料金形態や特徴が異なるため、違いを理解した上で自社に適したタイプを選ぶ必要があります。

オンプレミス型は、自社でサーバーを設置してシステムを構築する方法であり、高額な費用と長い導入期間が必要になるため、大企業向けの方法です。以下の表で、各提供方法の特徴と費用相場をまとめます。費用相場は機能性や利用人数などにより異なります。

特徴費用
パッケージ型・完成されたソフトをインストールして利用する
・買い切りなのでランニングコストがかからない
・バージョンアップへの対応は新たなソフトを購入する必要がある
10~100万円程度
クラウド型・インターネット上のクラウドサービスを利用する
・費用は抑えられるが、カスタマイズが難しい
・1ユーザーあたり数百~数千円のケースが多く、利用人数によって料金が変動する
月額5~20万円程度
オンプレミス型・自社でサーバーを設置してシステムを構築する
・費用は高額だが、カスタマイズの自由度が高い
100~600万円程度

自社に必要な機能が備わっているか

自社の課題や導入目的とシステムの機能がマッチしていなければ、狙った成果を得られず、投資が無駄となってしまいます。そのため、自社に必要な機能が備わったシステムであるかも重要なポイントです。

例えば、よく活用される機能に「社員の学習状況を確認する機能」「テストなどで習熟度を測る機能」「受講期限を知らせるアラート機能」などがあります。無料トライアル期間があるシステムもあるため、まずは社内の一部の社員で機能性を試してみるといいでしょう。

eラーニングシステムおすすめ8選|選び方と注意点を徹底解説

eラーニングシステムとは、インターネットを活用したオンライン学習システムのことを言います。eラーニングシステムは法人向けから個人向けまで種類が多く、自社に適したものを選ぶのが困難です。本記事では、おすすめのeラーニングシステムやその選び方などを解説します。

まとめ

eラーニングは、研修の質の均一化やコストを削減するなどといったメリットが多い便利なシステムです。上手く活用できれば、人材育成が促進され、社員のスキルアップが行えます。

しかし、インターネット上で手軽に学習できる一方で、自主的に行動しなければいかないためモチベーション維持が難しかったり、実技学習には不向きだったりするなどの課題もあります。

そのため、研修後にテストで理解度を深めたり、別途必要な講義を行ったりなどの工夫が必要になります。導入前に自社の課題や目的を明確にし、あらゆる想定をしておくことが重要となるでしょう。

eラーニングシステムを導入を検討する際は、この記事を参考に情報収集や準備を行いましょう。システムを上手く活用できれば、人材育成や社員研修などがスムーズに行えるようになり、社員のスキルアップやコスト削減などのメリットが実感できるでしょう。

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