予算管理にERPを用いるメリット|効率的な予算管理について解説

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- 予算管理のプロセスがシンプルでかつ業務ロスがないと、効率的な予算管理が行える
- 予算管理を効率的に行うためには、自社の業務に適したシステムを活用するのがおすすめ
- 比較的安価で導入できるERPを予算管理に用いれば、セキュリティリスクも軽減できる
近年のデータ化の波に合わせて効率的な予算管理を行うために、予算管理システムを導入する企業が増えていますが、特にERPの導入が人気です。本記事では、効率的な予算管理の特徴・予算管理システムの特徴、予算管理にERRがおすすめな理由などについて解説します。
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予算管理にはERPがおすすめ

ERPとは「Enterprise Resource Planning」の頭文字を取った言葉で、日本語にすると「企業資源計画」という意味があります。一般的には、企業における基幹業務を一元管理するためのシステムのことを指します。
ERPは、会計管理・販売管理・人事管理・業務分析などのさまざまな機能を備えており、予算管理のための機能も持っています。予算管理には社内のさまざまな情報を集める必要がありますが、予算管理ツールとしてERPを使えばその作業も楽になります。
そのため、特に多数の部門を持つ企業を中心に、予算管理の役割を担うERPを導入する企業が増加しています。

ERPとは、販売、人事、生産管理などの企業経営の基本となる資源要素を有効活用する考え方です。本記事では、ERPシステムをよく知らない・導入を検討している方に向けて、ERPシステムの種類や選び方、メリット・デメリットを解説しています。
予算管理システムとの違い
予算管理を行えるツールとしては、予算管理システムもあります。予算管理システムは予算管理に特化した機能を持っており、予算管理に必要なデータの収集・分析に加え、予実比較や進捗状況などを一元管理できます。
ERPとの違いは、機能の範囲です。ERPは基幹業務全体をカバーするシステムであるため、その機能は予算管理にとどまりません。事業運営に必要なデータを集約できるため、包括的なデータ活用という面で有効です。
予算管理システムの方がより細かな機能が搭載されている場合もありますが、予算管理にとどまらずシステム化をしたい場合や、1つのツールで完結させたい場合にはERPがおすすめです。もしくは、既存の予算管理システムとERPを連携させることもできます。

予算管理システムとは?機能やメリット・デメリットについて解説!
予算管理システムとは、予算に関するさまざまな業務を効率化させるシステムのことです。この記事では予算管理システムの機能やメリット・デメリットなどについて解説していきます。これから導入を考えている方はぜひ参考にしてみてください。
そもそも予算管理とは

予算管理とは、企業の予算を編成し、目標達成に向けて改善やフィードバックを行う管理業務のことです。予算には売上予算や原価予算など、さまざまな種類があり、具体的な業務には予算編成・予実管理・進捗管理・業績予想などが含まれます。
予算管理は経営状況の把握と今後の計画策定を行うために不可欠な業務です。多くの場合、予算は月単位や年単位で作成され、定期的に予算と実績の比較を行います。これらの作業を繰り返すことで利益目標を達成させるのが目的です。

予算管理は、安定的な経営を行っていく上で重要な管理業務になります。本記事では、予算管理について理解していくために、予算管理の目的や内容、予算管理を行うメリット・デメリットの他、予算管理の流れや予算作成時のポイント、役立つ知識やスキルを解説します。
予算管理は効率的に行うことが重要

予算管理は複雑で手間のかかる業務ではありますが、企業の目標を達成するためには効率的に業務を進めることが重要です。効率的に管理を行えていないと、事業の現状把握と将来の予想が遅れたり、また曖昧になったりする恐れがあります。
以下では、効率的な予算管理とはどのようなものか、特に重要な3つのポイントについて詳しく解説していきます。
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効率的な予算管理の3つの特徴
予算管理のプロセスがシンプルである
予算管理を行う際には、まず予算の目標を設定します。次に、予算に対する達成状況を確認し、必要に応じて目標の再設定や分析などを行います。
予算管理のプロセスが複雑な場合、手続きや承認作業に時間がかかってしまい、本来必要な予算の策定や分析に遅延が発生してしまいます。また、複雑な操作はミスの原因にもなりかねません。
シンプルな予算管理プロセスを導入することで時間的な余裕が生まれ、予算変更や再設定などを行う際も迅速に対応できます。これにより、効率的な予算運用とスムーズな意思決定が可能になります。
具体的な数字が共有されている
予算管理を行う際は、具体的な数字やデータを社内で共有することが不可欠です。客観的な数字を共有することで業務の透明性が向上し、的確な予算配分に繋がります。
具体的な数字から予算目標や実績を定量的に比較することで、課題の早期発見が実現します。また、目標を数値で示すことによって共通の目標を認識しやすくなり、従業員の意識を向上させる効果にも期待できます。
予算管理業務のロスがない
予算管理業務のロスを減らすことで、目標の達成に貢献できます。具体的には、時間のかかる手作業の工程をできる限り削減し、さまざまな業務を自動化させることで時間のロスを最小限に抑える効果が見込めます。
その自動化のために、多くの企業がシステム化を実現しています。それが、冒頭にも述べたERPや予算管理システムの導入です。システムによるペーパーレス化や自動化で時間的なコストを減らし、正確で迅速な予算管理を実現できます。
予算管理をシステム化するメリット

予算管理では、過去データの分析や将来のシミュレーションが不可欠ですが、これらを行うためには多くの情報が必要です。システムの導入によって、予算管理に必要なデータの収集・分析に加え、予実比較や進捗状況などを一元管理できます。
以下では、予算管理をシステム化する具体的なメリットについて、大きく4つのポイントに分けて解説していきます。
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予算管理を効率的に行える予算管理システムの4つのポイント
予算編成を効率化できる
予算編成には社内における多様な数値データが必要となります。システムではこれらのデータを収集・統合し、管理しやすい形に整理することが可能です。これにより、データの再入力や集計などの作業が不要になり、大幅な業務効率化に繋がります。
予算編成では部門ごとの予算を作成する必要がありますが、他部門との連携機能をシステムなら、各部門の必要経費や実績などの情報を自動で取得できます。システム間でデータを共有して検証を行うことで、精度の高い予算編成が実現します。
また、予算編成では必要に応じて見直しや再設定が発生しますが、予算管理システムでは柔軟に予算の修正や変更などを行えます。これらの機能により、常に最新の情報を反映した適切な予算を設定することが可能になります。
正確なプランを立てられる
システムを使用せずに予算管理を行う場合、エクセルなどの表計算ソフトが用いられることが多いです。エクセルで計算を行うためにはデータや計算式の手入力が必要であり、ヒューマンエラーの原因となります。
また、エクセルで予算管理を行うと、データ連携が十分にできずにデータを手作業で再入力する作業が発生します。会社によっては予算管理の各業務に期日を定めている場合もあり、これらの作業による時間的なロスは大きな影響を与えます。
しかし、システムの利用によってこれらのデータ入力作業が不要になり、ヒューマンエラーを防止することができます。予算における数値のミスは広範囲に影響を及ぼし、修正にも時間を要するため、システムによる正確で確実な予算管理は必須であると言えます。
従業員のモチベーションを上げられる
システムの導入により、予算の状況や進捗などの情報共有がスムーズになります。情報共有によって社内の一人ひとりに組織の目標や方針が明確に伝わり、共通認識から従業員の当事者意識を高める効果が得られます。
また、予算管理の情報を共有することで、部門間での交流が活発になる効果も見込めます。目標設定や進捗状況が可視化されることで従業員の帰属意識が高まり、モチベーションの向上に期待できるでしょう。
予算管理業務の属人化を避けられる
予算管理業務の属人化によって業務が一部の担当者に依存すると、担当者の不在時に業務に混乱が起こるリスクがあります。さらに、業務量の偏りやヒューマンエラーの原因にもなり得るため、予算管理業務の透明性を高めることは効率化を図る上で重要なポイントです。
また、予算管理の担当者には、各部門の予算を決定する一定の権限が付与されている場合がありますが、属人化している状態では従業員の不信感を招き、モチベーションの低下にも繋がりかねません。
システムの導入は、これらのリスクを軽減します。システムによって予算データが集約されると、各方面からのアクセスが可能になるため、特定の担当者に依存することなく業務を継続でき、情報の透明性が向上するというメリットがあります。
クラウド型ERPを導入する企業が増えている

ERPには予算管理の機能があり、予算管理業務にERPを活用する企業が多くあることは冒頭でも解説した通りですが、近年では中でも「クラウド型ERP」を導入する企業が増えています。
クラウド型ERP(クラウドERP)とは、ベンダーがクラウド上で提供するERPのシステムにインターネットを通じてアクセスし、利用する形態のERPです。データもクラウド上で管理され、自社内では保有しません。
近年はビジネスにおけるさまざまな領域でクラウド化が進んでいますが、ERPも例外ではなく、従来のオンプレミス型ERPに代わってクラウド型が台頭してきています。

クラウドERPとは、クラウド環境で利用できるERPサービスです。従来、ERPはオンプレミス型が主流でしたが、近年はクラウド化が進んでいます。この記事では、クラウドERPの種類やメリット・デメリット、選定時の比較ポイントなどを解説します。
クラウド型ERPが選ばれる理由
クラウド型ERPが普及し始めているのは、自社サーバーにシステムを構築するオンプレミス型に比べてメリットが大きいと感じる企業が増えているためです。クラウド型は、現代のニーズによりマッチした形態と言えます。以下で詳しく解説します。
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予算管理にクラウド型ERPがおすすめな理由
低コストで導入できる
クラウド型のシステムは初期費用が安く、手軽に導入できるという特徴を備えています。自社サーバーを用意してシステムを構築する必要がないためです。月額、または年額費用はかかりますが、一度に大きな予算を捻出する必要がないことは負担の軽減につながります。
また、近年のクラウド型ERPの普及拡大によって商品の選択肢が増加し、自社に合った規模のものを選べるようになったことで、より低コストでの導入が可能になりました。
ERPは企業規模に応じたさまざまな商品が展開されており、中小企業向けのものは従来のERPに比べて比較的低コストで導入できます。価格面で導入を見送っていた場合でも、比較検討することで自社に合ったものを導入可能です。
経営管理を効率化できる
ERPは予算管理システムよりもカバーできる範囲が広く、データ入力などの重複作業やデータの不整合が発生しにくくなります。また、データの更新や共有をスムーズに行えるため、分析や方針の策定を行いやすくなります。
特にクラウド型ERPは他のクラウド型ツールと連携しやすく、社内でクラウド化を進めている場合はリアルタイムでのデータ連携を実現できるでしょう。
これらの機能によって、全社的なデータの一元管理や意思決定の迅速化が可能になり、経営管理の効率化に繋がります。
さまざまな働き方に対応可能
クラウド型ERPはインターネットを通じてシステムを利用するため、インターネット環境があればどこからでもアクセスできます。在宅勤務やリモートワークにも対応できるため、多様な働き方を導入している企業にも適しています。
オンプレミス型のように社内ネットワークに入る必要がなく、ログインだけでシステムを利用できるため、どこにいてもデータの確認ができ、迅速な意思決定に繋がるのもメリットです。
人的ミスの削減と負担軽減
ERPは既存のシステムやデータとの連携が可能であり、連携作業はシステム側が自動で行うことが多いです。そのため、正確なリアルタイムでのデータを自動で反映することができ、必要とするデータの検索・参照・転記に時間をかける必要がありません。
その結果、人的ミスの削減と担当者の負担軽減に繋がります。また、決算時期における財務会計においても金額の不一致などが起こりにくく、繁忙期の際にも大幅な業務効率化が実現します。
セキュリティが向上する
クラウド型ERPのデータはベンダーが提供するサーバー上で管理されています。ベンダーはセキュリティに関するさまざまな対策を講じており、必要に応じてアップデートを実施することでセキュリティ性を高めています。
ベンダーによってセキュリティの対策は異なりますが、一定の基準を満たしたシステムを選ぶことで安全性を保障することができます。これらの理由により、自社のパソコンにデータを保管している場合と比較して、手間なくセキュリティリスクを軽減できます。

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ERPの導入ステップ

ERPの導入は以下のようなステップで進めていくのがおすすめです。目標の設定・業務の整理・業務変更の通知を踏まえて、正しい順序によるスムーズな導入を目指しましょう。
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ERPの3つの導入ステップ
目標を設定する
ERPの導入効果を最大限に発揮するためには、具体的な目標の設定が必要です。ERPをはじめとする多くのシステムは、機能の豊富さに比例してコストが上がる場合が多いため、自社が本当に必要とする機能を見極めなければなりません。
具体的な目標設定を行うことで不要な機能をふるいにかけることができ、適切なコストパフォーマンスのERPを導入できます。また、導入後の目標達成状況も把握しやすくなります。
業務整理・業務改善を行う
次に、目標を達成するためにはどのような業務改善が必要かを整理しましょう。必要に応じて業務を細分化し、ERPの導入によって改善したい箇所を洗い出すのがポイントです。
ERPに適用できる業務と改善するべき業務を対応させて考えることで、導入後のイメージが明確になります。ERPによる業務改善の効果を最大化させるためにも、あらかじめERPで行える業務や機能を把握しておくのがおすすめです。
業務変更の理解・通知を行う
ERPの導入は、社内全体の業務フローに大きな変化をもたらします。特に、基幹業務を担う担当者に対しては、一時的に業務負荷が増えてしまう場合があります。そのため、実際に導入を行う前に、時間的な余裕を持って関係者に通知を行うことが重要です。
担当者に周知を行い、理解を得ることで導入時の業務変更がスムーズになります。既存業務と導入後の変更点を整理し、関連部署と協力しながら導入を進めていきましょう。
まとめ

予算管理は企業経営において重要な役割を担っています。適切な予算管理を行うことで、目標達成状況の把握や今後の計画策定に役立ちます。予算管理を行う際は、具体的な数字から目標を設定し、シンプルなプロセスで管理を行うことが望まれます。
システムの導入によって予算編成を効率化することで、ヒューマンエラーを防ぐ効果が得られます。また、目標の共有で従業員のモチベーションを向上させ、業務の属人化を回避できます。
近年では、ERPによる予算管理が注目を集めています。特にクラウド型ERPシステムは多様な働き方に対応でき、コスト面・セキュリティ面でも多くのメリットを備えていることから、企業における導入事例が増加しています。
クラウド型ERPシステムの導入によって基幹業務を一元化し、迅速な意思決定を実現できるでしょう。導入の際は目標設定や業務の切り分けを行い、担当者の理解を得た上で業務の効率化を目指してください。
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