DX推進のステップとは?進め方と手順を6段階で解説
Check!
- DXは現状把握から始める
- ツール選定は優先順位の後
- KPIと見直しで定着させる
DXを進めたいと思っても、「何から始めるのか」「どの順番で進めるのか」が曖昧なままでは、ツール導入だけで止まりやすくなります。DX推進では、現状把握、経営課題との接続、優先順位付け、小さな実行、効果測定、定着の流れをそろえることが重要です。本記事では、経済産業省やIPAの公的資料を踏まえ、個人事業主・中小企業・中堅企業でも使いやすいDX推進のステップを6段階で整理します。
おすすめ記事
目次
開く
閉じる
開く
閉じる
DX推進ステップの全体像|最初に順番をそろえる
DX推進は、デジタルツールを入れる作業だけではありません。経済産業省のデジタルガバナンス・コードでは、DXを経営ビジョンやビジネスモデル、戦略、体制、成果指標と結び付けて進める考え方が示されています。つまり、最初に決めるべきことは「どのツールを使うか」ではなく、「どの経営課題を、どの業務や顧客価値の変化につなげるか」です。
この記事では、DX推進を6つのステップに分けます。全体の進め方を広く確認したい場合は、先にDX推進の進め方(全体ロードマップ)を確認すると、本記事のステップが位置付けやすくなります。
ステップ前の準備|現状把握と経営ビジョンの確認
DXの最初の準備は、自社の現状と目指す姿の差を見える化することです。IPAのDX推進指標は、DXに向けた現状や課題の認識を共有し、アクションにつなげるための自己診断として位置付けられています。自社の状態が曖昧なままでは、担当者ごとに「DX」の意味がずれ、施策が分散しやすくなります。
個人事業主であれば、請求・予約・顧客管理など日々の業務から始めます。中小企業では、部門間で重複している入力作業や属人化した承認フローを洗い出します。中堅・大企業では、事業部門、DX部門、IT部門、経営企画部門の認識をそろえ、経営ビジョンと連動するテーマを選ぶことが重要です。現状把握を深める場合は、DXアセスメントでステップを確認する流れが有効です。
DX推進の6ステップ|小さく始めて定着させる手順
DX推進は、最初から全社一斉に進めるよりも、経営課題に近いテーマを選び、検証しながら広げるほうが進めやすくなります。ここでは、実務で使いやすい6つのステップに分けて整理します。
- 現状を把握する:業務フロー、使っているシステム、データの保管場所、手作業が多い工程を洗い出します。
- 経営課題と結び付ける:売上拡大、顧客対応の改善、業務時間の削減、品質向上など、DXで解きたい課題を言語化します。
- 優先順位を決める:業務への影響が大きく、実行しやすいテーマから始めます。コストだけでなく、現場の受け入れやデータ整備の状態も確認します。
- 小さく試す:一部の部署、商品、顧客接点に範囲を絞り、短い期間で試行します。最初の目的は大きな成果ではなく、仮説を検証することです。
- 標準化して広げる:うまくいった手順、入力ルール、権限、教育方法を整理し、他部門でも使える形にします。
- KPIを見直し定着させる:施策の結果を確認し、次の改善に反映します。定着後も、業務環境や顧客ニーズに合わせて見直します。
この6ステップは一度で終わるものではありません。小さな改善を重ね、効果が見えたテーマを次の業務へ広げる循環として運用します。
優先順位の決め方|業務影響と実行難度で選ぶ
DXでよくある失敗は、課題より先にツールを選んでしまうことです。ツール導入は手段であり、優先順位を決める前に進めると、現場で使われない、データが連携できない、効果を測れないといった問題が起こりやすくなります。
優先順位は「業務への影響」と「実行難度」の2軸で考えると整理しやすくなります。短期で始めるなら、影響が大きく実行難度が低い領域を選びます。一方、基幹システム刷新や全社データ基盤の整備などは影響が大きくても難度が高いため、段階的な計画と体制づくりが必要です。具体的なサービス選定に進む段階では、DXツールの選び方(ステップ別)を参照してください。
つまずきやすいポイント|課題を先回りして設計する
DX推進が止まりやすいのは、技術そのものよりも、目的・体制・運用が曖昧な場合です。特に、現場を巻き込まないまま進める、KPIを決めずに始める、導入後の教育を後回しにする、といった状態は注意が必要です。
| つまずきやすい点 | 起こりやすい理由 | 対策 |
|---|---|---|
| 目的が曖昧 | 「DXをすること」が目的化している | 経営課題・顧客価値・業務課題のいずれに効かせるかを決める |
| 現場で使われない | 現場の業務フローや入力負荷を確認していない | 試行段階から利用者を巻き込み、操作・権限・教育を設計する |
| データがつながらない | 部門ごとに形式や保管場所が異なる | 入力ルール、データ項目、連携範囲を先に決める |
| 成果が見えない | KPIや比較対象がない | 作業時間、処理件数、問い合わせ対応、顧客接点など測れる指標を設定する |
| 一度きりで終わる | 見直しの会議体や責任者が決まっていない | 月次・四半期などの振り返り周期を決める |
課題の整理をより詳しく行う場合は、DXの課題と推進ステップの関係をあわせて確認すると、ステップごとの注意点を整理しやすくなります。
ステップを継続運用する方法|KPI・体制・見直し
DXは、施策を公開した時点やツールを導入した時点で完了するものではありません。経済産業省のデジタルガバナンス・コード3.0でも、成果指標の設定やDX戦略の見直し、ステークホルダーとの対話が柱として示されています。導入後は、KPIと体制を持ち、改善を続けることが必要です。
KPIは、売上や利益だけでなく、業務時間、入力回数、処理リードタイム、問い合わせ対応時間、顧客満足度、データ活用率など、施策の目的に合うものを選びます。成果が出た施策は事例として整理し、次の部門や業務へ展開します。自社に近い進め方を確認したい場合は、DX事例でステップを確認するのも有効です。
よくある質問(FAQ)
Q. DXは何から始めればよいですか?
A. まずは現状把握から始めます。業務フロー、データの保管場所、手作業が多い工程、顧客対応で詰まっている部分を洗い出し、経営課題と結び付けます。
Q. DX推進のステップは何段階で考えるとよいですか?
A. 本記事では、現状把握、課題整理、優先順位付け、小規模実行、展開、KPI見直しの6段階で整理しています。自社の規模や体制に合わせて粒度を調整します。
Q. ツール選定はどの段階で行うべきですか?
A. 課題と優先順位が決まった後に行うのが基本です。ツールを先に選ぶと、現場の業務やデータ設計と合わない可能性があります。
Q. 中小企業でもDX推進ステップは必要ですか?
A. 必要です。ただし、大規模な全社変革から始める必要はありません。請求、受発注、顧客管理、在庫管理など、効果を確認しやすい業務から小さく始める方法があります。
Q. DXが進まない場合はどこを見直すべきですか?
A. 目的、責任者、現場の利用負荷、データの整備状況、KPIの有無を確認します。特に、導入後の教育と見直し周期がない場合は定着しにくくなります。
まとめ|今日からできる3つのこと
DX推進のステップは、ツール導入の順番ではなく、経営課題を業務とデータの変化につなげるための手順です。今日から着手するなら、次の3つを行うと進めやすくなります。
- 現状の業務フローとデータの所在を洗い出す
- 業務影響と実行難度で、最初に試すテーマを1つ選ぶ
- KPI、担当者、見直しのタイミングを決めて小さく始める
関連記事
参考文献
- 経済産業省「産業界のデジタルトランスフォーメーション(DX)」2026年、https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/dx/dx.html、取得日:2026年6月5日
- 経済産業省「デジタルガバナンス・コード2.0」2022年、https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/dgc/dgc2.pdf、取得日:2026年6月5日
- 経済産業省「デジタルガバナンス・コード3.0 ~DX経営による企業価値向上に向けて~」2024年、https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/dgc/dgc3.0.pdf、取得日:2026年6月5日
- 経済産業省「『DX推進指標』を改訂しました」2026年、https://www.meti.go.jp/press/2025/02/20260213001/20260213001.html、取得日:2026年6月5日
- 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「DX推進指標のご案内」2026年、https://www.ipa.go.jp/digital/dx-suishin/about.html、取得日:2026年6月5日
この記事に興味を持った方におすすめ