WBSとは?メリットやガントチャートとの併用、作成手順も解説

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  • WBSとは、プロジェクトの作業を細かく分解して構造化する管理手法のこと
  • WBSを作成すれば、やるべき作業が明確になりスケジュールを立てやすくなる
  • WBSを作成する際は不明確な作業を作らないようにし、工数は正確に見積もる

WBSとは、プロジェクトの作業を細かく分解して構造化する管理手法です。WBSによりやるべき作業が明確になり、スケジュールを立てやすくなります。この記事ではWBSの概要やガントチャートとの違い、メリット、作成手順や注意したいポイントなどを解説します。

目次

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  1. WBSとは
  2. WBSの種類
  3. WBSのメリット
  4. WBSの作成手順
  5. WBSを作成する際の注意点
  6. WBSを有効活用するための4つのポイント
  7. まとめ

WBSとは

WBS(Work Breakdown Structure)は、プロジェクト全体を小さく分割し、タスクや作業を整理する方法です。細分化した作業をまとめた進捗管理表そのものを指すこともあり、「作業分解構造図」とも呼ばれます。WBSによって、複雑なプロジェクトの管理が容易になります。

プロジェクト全体の作業を大きく分け、そこから細かなタスクに細分化していきます。これにより、プロジェクト成功に必要な全作業が把握でき、タスク洗い出しの漏れを防ぎます。

WBSの目的

WBSは、プロジェクトを完遂するためのタスクを正確に把握し、進捗管理を適切に行うことを目的として使用されます。

WBSを導入しないプロジェクトはタスク漏れが起きやすい上にスケジュール通りの進行が困難なため、期日に間に合わず失敗という結果になりやすいです。

そのため、細かなタスクの把握が難しい大規模なプロジェクトほど、WBSがもたらす効果が大きいと言えます。

ガントチャートとの違い

ガントチャートとは、プロジェクト管理において段取りやタスクを項目別に詳細にまとめた表です。プロジェクトの進行状況を時間軸に沿って表示し、各タスクや活動の期間、担当者などの項目を一目で把握できます。

違いを簡単にまとめると、ガントチャートは「タスクを時間にマッピングするツール」で、WBSは「プロジェクトを小さなタスクに分割し整理するツール」です。

精度の高いガントチャートを作成するためには、WBSがプロジェクトの分解とスケジュールの基盤として役立ちます。そのためガントチャート作成の下準備として、またプロジェクト管理を効率的に行うために組み合わせて使用されることがよくあります。

\ガントチャートとの違いを詳しく解説/

WBSとガントチャートの違いとは?メリットや作り方を詳しく解説

プロジェクトの進捗管理において重要な役割を担うWBSとガントチャートですが、書き出す内容が似ていることもあり、両者の違いはわかりにくいです。本記事では、WBSとガントチャートの違いやそれぞれのメリット、作成手順などを詳しく解説しています。

WBSの種類

WBS(Work Breakdown Structure)は、プロジェクト管理において非常に重要なツールであり、成果物型とプロセス型の2つに分類されます。それぞれについて以下に解説します。

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成果物型 作業分解構造図

成果物型作業分解構造図は、プロジェクトの主要な成果物(製品、サービス、ソフトウェアなど)に焦点を当ててタスクを分割する方法です。プロジェクトの成功はこれらの成果物が適切に達成されることです。

例えば、Webサイトを作るプロジェクトの場合、最終的な目標はWebサイトの完成です。成果物型のWBSでは、そのWebサイトを作るために必要なステップや作業を考え、それらを細かく分けてリストアップします。

それぞれのステップを段階的に進めて、最終的にWebサイトを完成させて達成となります。この方法はプロジェクトの進捗を把握しやすくし、目標の達成をサポートします。しかし、すべてのプロジェクトに適しているわけではありません。

特に、一連のプロセスや手順を重視するプロジェクトには適していないことがあるため、成果物型のWBSが適しているか検討した上で活用しましょう。

プロセス型 作業分解構造図

プロセス型 作業分解構造図は、プロジェクトを進める際に、タスクをプロセスやフェーズに分割して整理する方法です。

プロジェクト全体を大きなパズルのピースに見立てて、それぞれのパズルピースに何をするかを書き出すことで、プロジェクトが段階的に進行し、各ステップが整理されます。

この方法を使うことで、プロジェクトの進行状況を把握しやすくなり、品質やリスク管理も容易になります。しかし、過度に詳細に分解しすぎると、管理が複雑になる可能性があるため、適切な詳細度のバランスを保つ必要があります。

WBSのメリット

WBSを利用することは、組織にとって多くのメリットをもたらします。ここからは、そのメリットに注目し、詳しく解説します。

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やるべき作業が明確になる

タスクを構造図に整理することにより、プロジェクトメンバーは何をすべきかが非常に明確になります。

WBSは、プロジェクト全体が小さなタスクや作業に詳細に分割され、階層的に整理されるため、各従業員は自分が担当する具体的なタスク、それぞれの役割と責任を理解しやすくします。

スケジュールが組めるようになる

WBSを使用すると、タスクや作業を詳細に洗い出せるため、プロジェクト全体を明確に把握できます。この詳細な洗い出しは、プロジェクトのスケジュールを立てる際に便利です。

具体的には、WBSによってプロジェクトが小さなタスクに分割され、各タスクの所要時間や順番がわかりやすくなります。

この情報を活用して、各タスクの開始と終了時期を計画し、スケジュールを作成できます。また、タスクの優先順位や調整も容易に行えます。

役割分担ができる

WBSを使用すると、プロジェクト内の各タスクが非常に明確になり、どのメンバーがどのタスクを担当するかが一目でわかります。そのため、プロジェクト全体の役割分担がスムーズに行えます。

さらに、WBSに記載されたタスクは見落としや未着手を防げるため、プロジェクトが計画通りに進行します。タスクが明示されることで、何が必要かが明確になり、プロジェクトの成功に向けた方針を簡単に立てることができます。

プロジェクトメンバーは、各タスクに集中し、自分の役割を遂行することができ、プロジェクト全体がスムーズに進みます。

工数を見積もりやすくなる

プロジェクト内のタスクや作業が詳細に分解されることで、各タスクが明確になり、簡単に工数を見積もることができます。

例えば、Webサイトを制作するプロジェクトでWBSを使って、「デザインの作成」「コンテンツの執筆」「プログラミング」「テスト」といったタスクに分解します。

それぞれのタスクに所要時間を設定し、全体の工数を計算します。このようにWBSを使うことで、プロジェクト全体の工数を見積もりやすくなり、スケジュールを正確に計画することができます。

進捗管理が容易になる

プロジェクト全体がどれだけ進行しているかを迅速に確認できるため、プロジェクトの進捗状況をリアルタイムで把握できます。

未完了のタスクに早急に対処し、適切な対策や調整を行うことができます。結果として、スケジュールの遅れを最小限に抑えることが可能です。

また、WBSによって各タスクが詳細に整理され、プロジェクトメンバーは自身の担当するタスクとその進行状況を明確に把握できます。誰が何を担当するかが明確であるため、プロジェクト全体の調整が円滑に進むでしょう。

計画の全体像を共有し効率的に作業できる

プロジェクトの全体像を明確に把握できることで、誰がいつまでに何をすべきか、計画の全体像を共有し効率的に作業することができます。

この情報をもとに、プロジェクトメンバーは各タスクや作業の詳細な内容と納期を把握し、プロジェクトの進捗を効果的に管理できます。

また、WBSは各タスクや作業や順序も示すこともできるため、前工程と後工程を調整しやすくなり、プロジェクト全体の効率性を高めます

プロジェクトメンバー間のコミュニケーションも円滑に行えるため、タスクの重複や遅延対策としても効果的です。全体像が明確なので、各メンバーは自身の役割と責任を理解しやすくなります。

WBSの作成手順

WBSの作成は、プロジェクトを段階的に分割し、詳細なタスクや作業を整理するための重要なステップです。このプロセスを効果的に進めるための手順について解説していきます。

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必要な作業を洗い出す

まず、プロジェクトを進行するには、ますます多くのタスクや作業を洗い出す必要があります。ただし、細分化しすぎないように注意が必要です。

作業を過度に細かく分割すると、管理が煩雑になり、逆に効率が悪化することがあります。適切な詳細度でタスクをリストアップし、プロジェクト全体を効果的に管理しましょう。

作業の順序を決める

次に、洗い出した作業の順序を決めましょう。作業が正しい順番で進行すると、遅れや待ち時間を最小限に抑えることができます。

また、特に重要な作業やリスクの高い作業を最初に行うことで、プロジェクト全体のリスクを減少させることができます。さらに、プロジェクトをスタートする段階でリスクに取り組むことで、後で発生するかもしれない問題や遅れを予防できます

作業を構造化する

作業工程に従って、各タスクを構造化していきます。作業を構造化する際に大切なのは、各タスクをできるだけ明確にし、何を達成すべきかを明らかにすることです。

構造化が曖昧だと、プロジェクトの進行が混乱しやすくなり、メンバー間のコミュニケーションも難しくなります。各タスクが明確な目標を持ち、その成果物や納品物が何であるかを理解することが非常に重要です。

期日を設定する

構造化された作業すべてに対し、個別に期日を設定しましょう。最終期日のみが設定されている場合、どの程度のスピード感で作業を進めなければいけないのかが掴めず、急ぎすぎるあまり質の低下が起きる可能性があります。

反対に、最終期日に間に合わないことも起こり得ます。質を落とさず、かつ最終期日に間に合う最適なペースでプロジェクトを進めるには、作業ごとに期日を設定するのが効果的です。
想定外のトラブルが起きることも踏まえながら、多少の余裕をもった期日設定を行うのが理想です。

担当者を割り当てる

構造化したタスクに、担当者を割り当てましょう。その際は、各タスクに適した担当者を割り当てることが重要です。

担当者のスキルや経験がタスクの要求に適しているか確認しましょう。適性のある人材を選ぶことで、作業の効率と品質を向上させることができます。

WBSを作成する際の注意点

WBS(Work Breakdown Structure)を作成する際には、いくつかの重要なポイントに注意することが大切です。これらのポイントを把握することは、WBSを作成するうえで重要なステップです。以下では、WBSの作成時に注意すべきポイントを解説していきます。

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不明確なタスクを作らない

不明確なタスクは工数の見積もりが難しくなり、プロジェクト全体の進行に混乱を招く可能性があります。

例えば、あるタスクが「Webサイトの改善」という一般的な表現であれば、そのタスクの具体的な内容や範囲が不明確です。そのため、どの部分を改善するのか、どのような改善を行うのかといった作業内容も曖昧になってしまいます。

その結果、そのタスクにかかる工数を正確に見積もることが難しくなります。WBSを作成する際には各タスクの内容をできるだけ具体的にし、何を達成すべきかを明確にしておくことが重要です。

工数は正確に見積もる

計画を立てる際、通常はスケジュールにある程度の余裕を取り入れるのが一般的です。しかし、タスク単位で管理する場合、余裕を過度に持たせすぎると、実際に必要な工数が過剰に見積もられる可能性があることに注意する必要があります。

そのため、タスクごとに必要な工数を適切に見積もり、プロジェクトの進行に応じてスケジュールを柔軟に調整することが重要です。

WBSを有効活用するための4つのポイント

作成したWBSを今後もより有効的に活用していくために、以下の4つのポイントをおさえましょう。WBSはプロジェクト管理を効率化するためのツールですが、ツール自体の精度が高まることで、プロジェクトの成功率やマネジメントも向上が図れます。

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マインドマップで事前に思考を「見える化」

WBS作成の際、【1.必要な作業を洗い出す】ではマインドマップの活用も有効です。プロジェクトの計画策定ではあらゆる事項の考慮が必要な上に、チームメンバーが多いほど発案や意見も多くなります。

事前にマインドマップを活用することで、事項を洗い出し整理できます。問題点や関係性も客観的に読み取れ、WBSそのものの精度を高められます

リカバリーを想定し余裕を持たせたWBSを作成

WBSを作成し作業に移ったものの、予期せぬトラブルが発生したり、作業の漏れに気付くことも少なくないでしょう。そのような予想外の事態にも対応するため、余白を持たせることは非常に重要です。

プロジェクトが進行して初めて気付くことがあったり、初期段階では把握できない事項も存在します。WBS作成の事前準備段階から、俯瞰して必要事項を洗い出していきましょう。

プロジェクトタイプにあわせた「標準WBS」の作成

WBSはプロジェクト管理において有効的なツールですが、新プロジェクトのたびに1からWBSを考えて作るのは、非常に時間と手間がかかります。そこで有効なのが、プロジェクトタイプに応じた「標準WBS」の作成です。

過去のプロジェクトで成果があったWBSは、次のプロジェクトにおいても精度が高く有効的で、回数を重ねるごとに改良も重ねていけます。精度の高いWBSが標準となれば、進捗管理やタスク整理も高い水準で成果を出せるでしょう。

プロジェクト管理ツールの導入

プロジェクト管理ツールは、プロジェクト全体を効率的に管理するための機能を提供します。WBSをゼロから作成するのは手間がかかる作業ですが、プロジェクト管理ツールを利用すると、WBSの作成が簡単になります。

それは、多くのプロジェクト管理ツールには、WBSの作成をサポートするテンプレートが提供されているからです。

これらのテンプレートは、プロジェクトの特定のニーズに合わせてカスタマイズでき、タスクの洗い出しや階層構造の設定など、WBSの作成プロセスをスムーズに進めることができます。

プロジェクト管理ツールとは?メリットやデメリットについても解説

プロジェクト管理ツールとは、スケジュールやタスク管理といった、プロジェクトの進行を効率化してくれるツールです。本記事では、プロジェクト管理ツールについて、機能やメリット・デメリット、導入する際の注意点などを詳しく解説しています。

まとめ

WBS(Work Breakdown Structure)は、プロジェクト管理に役立つツールです。プロジェクトを大きなパズルに例えると、WBSはそのパズルを小さなピースに分解し、どのピースが何を担当し、どのように組み立てるかを詳細に計画する方法がWBSです。

プロジェクトの進行においてWBSの作成は重要なステップで、プロジェクト管理ツールを導入することで効率的に行えます。このツールを使うと、タスクや作業を階層的に整理し、全体像を見やすく可視化できます。

また、進捗状況をリアルタイムで追跡し、必要な場合に修正できるため、プロジェクトのコントロールが向上します。WBSを作成する際は、プロジェクト管理ツールを活用しましょう。

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