電子帳票システムとは?機能や選び方、メリット・デメリットを解説

Check!

  • 電子帳票システムとは、請求書や注文書などの帳票の作成・送付を電子化して管理するシステム
  • 電子帳票システムの導入で、作業効率化やセキュリティ対策の強化に期待できる
  • 電子帳票システム導入の際は、フォーマットや機能が自社に合っているか確認する

電子帳票システムとは、請求書や注文書などの帳票の作成・送付を電子化して管理できるシステムです。電子帳簿保存法の改正を背景に広く普及しています。本記事では、電子帳票システムの機能やメリット・デメリット、選び方などを解説します。

目次

開く

閉じる

  1. 電子帳票システムとは
  2. 電子帳票システムの機能
  3. 電子帳票システムのメリット
  4. 電子帳票システムのデメリット
  5. 電子帳票システムの選び方
  6. AIで進化する電子帳票システム
  7. まとめ

電子帳票システムとは

電子帳票システムとは、企業が扱うさまざまな帳票を電子データとして作成・管理するためのシステムを指します。従来、見積書・注文書・請求書・納品書などの帳票は紙を媒体として作成され、郵送やFAXなどで取り交わされていました。

しかし、紙媒体を用いる場合は、印刷や送付の手間がかかるだけでなく、用紙代や送料などの経費も発生し、企業によっては大きな負担となっていました。一方、電子帳票システムの導入で、取引や顧客のデータを基に帳票を電子データとして作成できます。

さらに、帳票の配信や管理もパソコン上で行えるため、帳票作成の効率を上げることが可能です。電子帳票システムは、帳票の作成における課題解決に役立ちます。

電子帳票システムが必要とされている理由

電子帳票システムは、帳票の作成や管理を自動化することで、これまでの手作業で行っていた業務の効率を上げられます

また、ペーパーレスを図ることで、紙代・インク代・封筒代・送料といった経費の削減も期待できます。 その他、電子帳票システムではアクセス制限を設定できるため、紙で管理するより安全性が高くなるのもメリットです。

電子帳簿保存法の改正

昨今、多くの人がスマートフォンを所有し、日常的にインターネットを活用しているため、社会全体がデジタル化しているといえます。そして、新型感染症による在宅勤務の増加やDXの推進によって、業務の様態も大きく変化しています。

こうした状況下で、より多くの事業者が業務のデジタル化を推進し、紙ベースの業務を減らすことを目的として、2022年に電子帳簿保存法が改正されました。その結果、電子帳簿などの保存・スキャナ保存の基本条件が大幅に緩和されています。

さらに、電子取引に関しては電子保存が義務化されました。デジタル化の傾向は、今後も勢いを増すと想定できます。社会の流れに対応するために、事務処理や経理業務の形態を見直し、デジタル化を進めましょう。

参考:電子帳簿保存法の概要|国税庁

ペーパーレス化の推進

電子帳簿保存法改正に伴い、環境問題への配慮やコスト削減に向けたペーパーレス化を目標として、帳票をデータで管理する企業も増えています。電子帳票システムは、紙で帳票を作成・管理する不自由さを解決してくれるシステムです。

電子帳票システムの採用により、ペーパーレス化が図れます。一般的に、帳票は紙での保管が定着していますが、デジタル化によって効率の良い管理が可能です。また、仕事の能率が向上するだけでなく、印紙代の経費削減にもつながります。

セキュリティ対策の強化

社内における紙の帳票管理は文章が改ざんされるリスクが高く、紛失や盗難が発生する恐れもあります。しかし、電子帳票システムでデータ管理を行えば、セキュリティの強化対策が可能です。

例えば、管理権限を与えられる機能を使えば、限られた部署や役職者だけがデータへアクセス可能にしたり、操作に制限を設けたりできます。また、自動バックアップ機能の搭載で、データ紛失や災害など万が一のトラブルが発生しても、帳票データの復旧が可能です。

その他、いつ誰がどのような操作を行ったのか、ログイン情報を細かく収集できるのもポイントです。

電子帳票システムは製造業など多くの業種で導入されている

電子帳簿保存法の改正に続いて、2023年10月にはインボイス制度が新設されました。システムの導入で、業務効率化・セキュリティ強化・電子帳簿保存法・インボイス制度に対応できることから、電子帳票システムは製造業をはじめ、多くの業種で導入されています。

企業は法改正への適切な対処はもちろん、業務効率化や税務手順における負担軽減を検討しなければなりません。そして、これまで完全には達成できなかった社内のペーパーレス化、企業全体としてのDXを一挙に推進する良い機会ともいえます。

参考:インボイス制度の概要|国税庁

電子帳票システムの導入形態

電子帳票システムの導入形態には、クラウド型・オンプレミス型・システム開発の3種類があります。メリット・デメリットを把握したうえで、自社の業務にはどの形態が向いているのかを検討しましょう。

クラウド型

クラウド型とは、オンライン上のサーバーで提供されているサービスを利用するシステムを指します。自社でサーバーを保有する必要がないため、設置スペースが不要で経費が発生せず手軽に利用できます。

クラウド上での管理によって場所を問わずにアクセスでき、データ容量の追加も料金プランの変更だけで可能です。また、スマホやタブレットでも使用でき、外出先でもいつでも最新の情報を確かめられます。

しかし、サービス提供会社側のサーバートラブルの発生や、メンテナンス中は操作できない場合があるのがデメリットです。

メリットデメリット
初期費用を抑制できるオンプレミス型と比較して、セキュリティが脆弱
メンテナンス管理をサービス提供会社に任せられるカスタマイズ性にかける
ネット環境さえあれば何処でも利用できる

オンプレミス型

オンプレミス型とは、サーバーを社内に保有して自社で運用するシステムを指します。クラウド型よりセキュリティが万全なモデルが多く、社内独自のシステムとして機密性を重視したい場合におすすめです。 

また、自社で保有するためサービス提供会社の影響力はありませんが、システム導入の初期費用が高く、管理の維持費やメンテナンスが必要になるのがデメリットです。

メリットデメリット
カスタマイズがしやすい処理ソフトを組み込んだ装置でしか利用できない
セキュリティが高いクラウド型より初期費用が高い
既存システムと自由に融合できる社内での保守管理に負担がかかる
初期費用の発生やメンテナンスの手間が面倒

システム開発

電子帳票システムは、自社に合わせてゼロから開発することも可能です。製造業や小売業など、自社の業務に適したシステムで運用できます。また、機能の過不足がなく、担当者が扱いやすい操作性にできるのも、システム開発ならではのメリットです。

しかし、ゼロからの開発は多大なコストと時間を要します。そして、開発途中にミスやトラブルが起きると、修正業務が発生して運用開始までの期間が伸びたり、自社で開発を行う場合は、専門知識を持った人材が必要になったりします。

メリットデメリット
自社の業務に適したシステムを利用できるコストと時間がかかる
機能の過不足・操作がわかりにくいなどが起こらない開発途中に修正業務が発生すると、
運用開始までの期間が伸びる
自社で開発する場合、専門知識を持った人材が必要

電子帳票システムの機能

社内業務では、請求書や注文書などの一般的な帳票作成をはじめ、状況に応じてさまざまな業務が発生します。電子帳票システムには、それらを正確かつスムーズに処理する機能が不可欠です。ここでは、電子帳票システムの主な機能について解説します。

\気になる項目をクリックで詳細へジャンプ/

機能主な内容
帳票作成請求書や見積書などの帳票をコンピューター上で作成する機能
帳票保存・管理作成や送付をした帳票をデータとして保存する機能
帳票配信紙の帳票より幅広い手段で配信・送付できる機能
電子化紙媒体の帳票をデータ化して保存する機能
出力データとして保存した帳票を紙媒体に印刷できる機能
データ検索データの収集や分析機能
セキュリティ管理権限の付与や操作ログの記録を行う機能

帳票作成

帳票作成は、注文書・請求書などの帳票をパソコン上で能率よく作成できる、電子帳票システムの基本的な機能です。今まで通り一般的な文書ソフトを利用する場合、作成に手間がかかる、レイアウトの制約があるといった点が難点です。

一方、電子帳票システムの場合、社内の業務システムから必要なデータだけをCSV形式などで抜粋したうえで、希望通りのレイアウトと内容で帳票を作成できます。作成された帳票は従業員同士での共有が可能であり、Excel・HTMLなど多様な出力形式も備えています。

帳票保存・管理

従来のように紙で帳票を作成する場合、科目や項目のばらつきによって管理しづらい、保管スペースの確保が必要といった課題があります。

一方、電子帳票システムを活用すれば、紙・電子の区別なく取り込めるため、帳票の一括管理ができるようになります。電子データとして取り込む都合上、保管スペースが不要なのもポイントです。

また、業務システムで出力されたデータのダウンロードを自動的に行ったり、保存期間が過ぎた帳票を自動的に削除したりもできます。さらに、帳票の分類機能では、希望通りの分類も可能です。

帳票配信

紙の帳票を取引先に送付する場合、郵送やFAXなどに限定されていました。電子帳票システムでは、帳票を電子データとして作成・管理するため、紙の帳票より多様な手段で配信・送付ができます。

例えば、メールにURLを添付してダウンロードできるようにしたり、帳票データを添付して発信したりすれば、印刷や同封の手間を省けるため、より迅速な対応が可能です。

また、1通あたり150〜300円程度で依頼できる郵送代行サービス、クラウド型でのFAX送信サービスなども提供されているため、取引先の帳票ルールや要望に沿って柔軟に対応できます。

電子化

電子帳票システムには、紙の帳票をデジタル化して保存する機能も搭載されています。具体的には、スキャナで紙媒体を読み込み、データとして帳票を保存できる構造です。これにより、紙媒体で保存されていた帳票をシステム管理に置換させることもできます。

中には、スキャンした紙媒体に書かれた文字を読み取り、電子データに変換してくれる電子帳票システムも存在します。

出力

電子帳票システムでデジタル化して作成した帳票は、プリンターで紙媒体に出力できます。取引先によっては電子化の対応が確立しておらず、紙媒体以外の帳票を受け付けられないケースも考えられます。

特に、物理的な帳票を作成したいときには出力機能が役立ちます。帳票を紙媒体からデジタルへ、デジタルから紙媒体へと、どちらにも対応できるのが電子帳票システムの大きな特徴です。

データ検索

紙で帳票を管理する場合、必要な帳票を目視・手作業で検索しなければならないため、手間や作業コストがかかります。

一方、電子帳票システムには検索機能が搭載されているため、必要な帳票を素早く発見できます。会社名・勘定科目・年月日・担当者名など、さまざまなキーワードを入力・指定するだけで検索できるため、大幅に関係者の負担を抑えられます。

また、時間短縮につながって他の業務に対応しやすくなります。データの収集や分析が容易に行えることで、今後の戦略を検討したり、課題解決に対処したりする際にも役立つでしょう。

セキュリティ

電子帳票システムでは、情報流出や第三者による悪用を防止するために、高性能なセキュリティ機能を搭載していることが多いです。例えば、管理権限を与えられる機能を使えば、操作に制限をかけて限られた部署や役職者だけがデータにアクセスできます。

また、自動バックアップ機能が搭載されているものでは、データ紛失や災害など万が一のトラブルが発生しても、帳票データの復旧が可能です。さらに、各操作のログイン情報を収集できるのもポイントです。いつ誰がどのような操作を行ったか詳細に調査できるのはもちろん、トラブルの原因を特定する際にも役立ちます。

電子帳票システムのメリット

帳票の電子化は、手書き帳票のデメリットを全面的に解決できる可能性があります。電子帳票システムを導入すれば、より業務効率の向上に期待が持てるでしょう。ここでは、電子帳票システムのメリットについて詳しく解説します。

\気になる項目をクリックで詳細へジャンプ/

作業の効率化

電子帳票システムの導入は、自社の業務システムと連携して帳票を自動で作成・配信可能で、帳票データを一元的または狭いスペースで管理できるなど、業務の効率化につなげられます

郵送の場合、送り状の作成や封入作業が発生しますが、システム上で送付できれば手作業の省略が可能です。また、帳票類の再発行や修正についても、紙媒体のように始めからやり直すことなく手間がかかりません。

コスト削減

電子帳票システムの導入による業務効率の向上で、人件費などの削減効果に期待が持てます。紙の帳票を郵送するには、紙代・インク代・封筒代・郵送代が必要です。

電子帳票システムを導入した場合、各帳票を電子データとして作成・管理できるため、郵送をメール送信に置き換えることで、切手代・印刷コスト・発送コストなどを削減可能です。そして、これまで紙の帳票を収納していたスペースを削減できるメリットもあります。

消失リスクの回避

電子帳票システムでは、システムのサーバー上で帳票を保管・管理するため、紙の帳票のように郵送トラブルや火災などで、帳票の消失・紛失してしまうリスクを回避できます。

電子データはバックアップを行うことによって、データを繰り返し保存可能です。紙の帳票の誤った廃棄が発生した場合も、バックアップ機能で素早く復元できます。

内部統制・セキュリティの強化

帳票を電子化することで、紙の帳票のように紛失や不正持ち出しの予防が可能です。多くの電子帳票システムには、強固なアクセス管理ができる機能が搭載されており、担当者以外の不正操作を防止します。

さらに、閲覧や印刷といった操作のログ情報も保存できるため、トラブル発生時の原因究明や不正利用の対策につながります。また、タイムスタンプを活用することで、改ざんの防止も可能です。

保存期間が過ぎて不要になった帳票を廃棄する場合も、運搬や業者への委託が不要になるため、情報流出対策として役立ちます。

電子帳簿保存法・インボイス制度に対応

電子帳簿保存法(以後、電帳法)とは、申告に利用する帳簿をデジタル的に保存させるための法律を指します。また、インボイス制度とは、売上高1,000万円未満で消費税の納付を放免されている企業や個人へ、消費税を課税する制度です。

電帳法とインボイス制度は税制が異なりますが、どちらも相補的関係にあります。取引における電帳法は受取側の義務であり、インボイス制度は発行側の義務です。

事業者は原則として、電帳法とインボイス制度の両方に同時対応しなければなりません。電帳法とインボイス制度に対応したシステムを導入することで、企業のガバナンス強化や法対応業務の効率化が可能です。

参考:インボイス制度の概要|国税庁

参考:電子帳簿保存法の概要|国税庁

電子帳票システムのデメリット

帳票のデジタル化は会社にとって数多くのメリットをもたらしますが、いくつかのデメリットも存在します。ここでは、電子帳票システムの導入におけるデメリットについて解説します。

\気になる項目をクリックで詳細へジャンプ/

コストがかかる

社内に電子帳票システムを導入する際は、膨大なコストが発生します。例えば、初期費用、仕事を専門的に行う社員の新規雇用、デジタル化に必要なパソコン・ソフトなどの購入、作業場所や機器の保管場所設置など、あらゆる準備が必要です。

導入によって長期的なコスト削減に期待できますが、効果が得られるまでのコストが高いほど、企業経営を圧迫しかねません。導入コスト以上の効果を得るためにも、導入前に予算と費用対効果を十分に比較検討しましょう。

セキュリティに欠陥があると情報漏洩の可能性もある

電子帳簿保存についての条件が緩和されたことにより、デジタル化を検討・導入する企業も増えています。ネットワーク上で機密性の高い情報を管理する特性上、適切なセキュリティ対策が施されたシステムの導入が必要です。

デジタル化された情報は、業務中のインターネット閲覧、メールによるウイルス感染、脆弱なセキュリティへの攻撃などにより、保存された情報の漏洩につながる可能性があります。

対策としては、インターネットへ接続せずに使用できるオンプレミス型の導入もおすすめです。

システムダウンの恐れがある

電子帳票システムを運営しているクラウド業者が倒産したり、災害などでシステムダウンしたりすると、保存データが瞬時に消失してしまうことがあります。それが法律で決められた期間内のデータなら、迅速な復旧が必要です。

また、データの消失まで至らなくても、回線が切れている間は必要なデータにアクセスできなくなり、業務が続けられません。クラウド型の電子帳票システムを利用している場合は、自社内でバックアップを取っておくのがおすすめです。

導入の際に社内教育が必要

初めて電子帳票システムを導入する際、帳票の使用方法が従来と大幅に変化するため、社内教育が必要です。システムのルールや使い方を周知させないと、システムをうまく活用できないばかりか、システムのトラブルにつながる恐れもあります。

帳票の作成・配信・管理に関する段取りをマニュアル化したり、教育・管理担当者を配属したりするなど、使用環境の整備に向けた仕組みづくりが重要です。また、帳票の使用方法をすぐに切り替えるのが難しい場合、定着に時間がかかりそうな場合には、電子帳票システムへの移行を段階的に進めるのも有効な手段です。

電子帳票システムの選び方

電子帳票システムは、システムごとに優れた点が異なります。システム選びでは、自社の帳票フォーマットに適しているか、必要な機能があるかなどを確かめることが大切です。ここでは、電子帳票システムの選び方について解説します。

\気になる項目をクリックで詳細へジャンプ/

自社の帳票フォーマットに合っているか

企業によって帳票のフォーマットは異なります。大半の電子帳票システムは、CSV・エクセル・PDFのフォーマットに対応していますが、それ以外の形式でデータの情報伝達をしている場合、事前に確認しないと導入後に使えない可能性があります。

また、帳票作成の自動化・帳票配信の効率化・帳票保管を行いたいなど、目的に対応した機能が搭載されているかも確認しましょう。

必要な機能があるか

自社の帳票作成を効率化したい場合、ステムの導入目的・利用範囲・必要な機能を把握しておかないと、一部機能しか使わないことによってシステムを使いこなせなかったり、必要な機能が足りず業務を効率化できなかったりする恐れがあります。

例えば、レイアウト調整の自由度が高いか、テンプレートを豊富に備えているシステムであるか、社内システムとのデータ連携機能など、求める機能によってシステムの選択が異なります。

現状の帳票業務に関しての課題を検証し、効率低下の要因となる業務工程に着目して原因の詳細を調べていくと、優先度と合わせて必要な機能を絞り出せるでしょう。

データ処理スピードの早さを確認

会社によっては取引先の数が多く、発行する帳票も増えやすいでしょう。電子帳票システムで大規模なデータを処理するには、それなりの処理スピードが必要です。

例えば、FAXの回線数が少ないシステムであれば、配信完了までに長い時間が必要とされるかもしれません。また、自動で帳票を作成できても、処理能力が低ければ業務がスムーズに進まず、業務に支障をきたします。

処理スピードが早いシステムは高価となるため、自社で扱う帳票の量や業務量を考慮しながらシステムを検討しましょう。

サポート体制を確認

電話・電子メール・チャット・訪問など、電子帳票システムごとに問い合わせ方法は異なります。さらに、サポート体制によって対応の早さにも違いが生じます

社内でシステムの利用人数が多い場合は、システムトラブルが原因で広範囲にわたって業務に悪影響がでることも想定されるため、導入する前に注意深くサポート体制を確認し、安心してシステムを活用できるようにしましょう。

セキュリティ対策を確認

帳票類は各企業の情報が凝縮された重要な書類です。デジタル化で便利になる一方、適切なセキュリティ対策を講じておかないと、情報漏洩や不正利用といった重大なリスクにつながる可能性もあります。

電子帳票の適切なデータ管理をするためには、アクセス制御・ログイン管理などのセキュリティ対策が万全な電子帳票システムを選択しましょう。なお、他社での導入実績も確認しておくと安心です。

また、電子データベースに保存されているファイルを自動的に暗号化するシステムも存在します。そのようなシステムの場合、仮に不正アクセスでデータが消失しても機密情報の流出は防げるでしょう。

JIIMA認証ロゴの有無を確認

JIIMA認証ロゴがある電子帳票システムは電子帳簿保存法に対応しており、法改正にも準拠しています。JIIMAとは、文書情報マネジメントの普及啓発を目的とし、所轄を経済産業省、政策提言を内閣府や国土交通省などに行う公益社団法人です。

JIIMA認証ロゴは、電子帳簿保存法の要件を満たしていると証明するためのマークです。このロゴがあるシステムを選ぶことで、システムが電子帳簿保存法に対応しているかを調べる手間を削減できます。

参考:JIIMA認証制度|JIIMA公式サイト

AIで進化する電子帳票システム

近年はAI技術の発展の影響で、電子調達システムではより高度な機能を備えるようになっています。特に注目されているのは、AI OCRによる読み取り精度の向上や、不正取引・入力ミスを検知するリスク管理機能です。

AI OCRによる読み取り精度の向上

従来のOCRは印刷文字の認識には適していたものの、フォーマットが不揃いな非定型帳票や手書き文字の読み取りには限界がありました。

その点、AIを組み合わせたOCRはディープラーニング技術によって膨大な文字データを学習し、従来まで困難だった読み取り作業でも高精度で処理できるようになっています。

これにより、担当者が1枚ずつ目視確認して修正する手間を削減でき、業務スピードの向上やヒューマンエラーの防止につなげることが可能です。さらに、読み取ったデータは他の業務システムと連携させれば、自動入力にも活用できます。

AIによる不正検知とリスク管理

電子帳票システムにおけるAIの大きな進化が、不正取引や入力ミスを検出するリスク管理機能です。AIは過去の帳票データや取引履歴を学習することで、通常の業務フローから外れた金額・取引パターンを即座に識別できます。

例えば、同一の請求先から短期間に複数の高額請求が発生した場合や、通常の仕入単価から大きく逸脱した金額が記載されている場合、AIが異常値としてアラートを出します。担当者は不正や誤りを確認しやすいため、内部統制の強化・法令遵守の徹底が可能です。

特に、電子帳簿保存法とインボイス制度への対応が求められる中、AIによる自動的な検知と監査補助が、企業のリスクマネジメントとしても欠かせない要素となりつつあります。

まとめ

社内に電子帳票システムを導入することで、業務効率の向上、コスト削減、セキュリティの強化などにつながります。しかし、コストがかかる、情報漏洩の可能性がある、システムダウンが想定される、導入の際に社内教育が必要など、デメリットも存在します。

電子帳票システムを選ぶ基準として、自社の帳票フォーマットに合っているか、必要な機能があるか、データ処理スピードの早さやサポート体制、セキュリティ対策などが挙げられます。各ポイントに留意しながら、電子帳票システムで業務改善を図りましょう。

Share

同じカテゴリの記事を探す

同じタグの記事を探す

同じタグの記事はありません

top