Excelでインシデント管理する方法|メリット・デメリットも解説

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  • Excelは初期費用が抑えられる上にカスタマイズもでき、柔軟なインシデント管理が可能
  • Excelは複数人への共有が難しく、システム破損のリスクもあるため注意が必要である
  • インシデント管理を行うには、対応状況を確認できるインシデント管理ツールがおすすめ

インシデント管理をExcelで行うことで、コストや教育にかかる時間を削減できますが、さまざまなデメリットも存在します。本記事では、Excelでインシデント管理を行う方法や、Excelの代わりにインシデント管理で使えるおすすめのツールなどを解説しています。

目次

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  1. インシデント管理とは
  2. Excelでインシデント管理を行う方法
  3. Excelでインシデント管理を行うメリット
  4. Excelでインシデント管理を行うデメリット
  5. インシデント管理を行うならインシデント管理ツールがおすすめ
  6. インシデント管理ツールの選び方
  7. まとめ

インシデント管理とは

インシデント管理とは、ITシステムやサービスの運用において、異常や障害などの問題(インシデント)を迅速に復旧するためのプロセスです。システムの異常や障害の原因をスピーディーに特定することで、業務への支障を最小限に抑えられます。

インシデント管理には、インシデントの検知・分析・復旧・報告などの目的があり、検知後の分析により原因を特定し、再発を防止します。再発防止によってシステムの可用性を維持し、ビジネスへの影響を最小限に留めるのもインシデント管理を行う目的の1つです。

サービスを提供する際は、インシデントが発生した場合に迅速に対応するために、インシデント管理の体制を整えておくことが重要です。Excelやスプレッドシートなどの表計算ソフトによる管理やツールを使った管理を行い、効率よくインシデント管理を行いましょう。

インシデント管理の流れ

インシデント管理は、以下の流れで行われます。

  1. インシデントの発見
  2. インシデントの状況把握・分析
  3. 過去を参考に解決案を立案
  4. 解決案の実行
  5. 解決・共有

インシデントの発見はユーザーからの報告だけでなく、管理ツールのアラートによっても発見できます。解決したインシデントは、今後再発しないよう発生した経緯なども含めて共有しましょう。

Excelでインシデント管理を行う方法

インシデント管理は、Excelを使って行うことができます。Excelでインシデント管理を行う際は、「重要度・優先度・起票日・起票者・タイトル・内容・完了日」の項目が必要です。重要度はインシデントがビジネスに与える影響の度合いを指します。

優先度はインシデントの緊急度、起票日と起票者はインシデントが報告された日と報告した人物のことです。タイトルにはインシデントの概要、内容はインシデントの詳細、完了日は解決できた日を入力します。

これらの項目を入力することでインシデントの状況を把握でき、迅速かつ適切な対応が可能になります。また、Excelでインシデント管理を行う際は、テンプレートを活用しましょう

テンプレートには必要な項目がすでに入力されているため、管理表を一から作成する手間が省けます。

Excelでインシデント管理を行うメリット

インシデント管理をExcelで行うメリットとしては、コストを抑えて管理できる点が挙げられます。また、教育に要する時間を削減できたり、自社に適したカスタマイズができたりする点もメリットです。以下で、詳しいメリットを解説します。

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コストを抑えて管理できる

Excelでインシデント管理を行うと、コストを抑えて管理できます。ツールの導入や運用を行う場合、導入費用やランニングコストが新たに発生しますが、Excelは導入済みの企業が多く、新たにシステムなどを導入する必要がありません

また、Excelでインシデント管理を行う場合、手作業で入力や分析を行います。そのため、ツールの保守点検などの人件費を抑えられるのもメリットです。初期費用や運用コスト、人件費を抑えるだけでインシデント管理にかかる費用を大きく削減できます。

教育に要する時間を削減できる

Excelでインシデント管理を行うメリットとして、教育に要する時間を削減できる点が挙げられます。初めて使うシステムやツールの場合は教育期間が必要ですが、Excelは扱いに慣れている人も多いです。

そのため、インシデント管理のやり方や入力方法を短時間で覚えやすく、教育に要する時間を大きく削減できます。基本的な操作がわかれば、Excelによるインシデント管理の方法を覚えるまでに長い時間はかかりません。

また、Excelは直感的に操作できるため、教育にかかる負担が少ないのもメリットです。教育時間を削減することで、教育コストも削減できます。

自社に合ったカスタマイズが可能

Excelでのインシデント管理は、自社に適したカスタマイズができる点もメリットです。柔軟にカスタマイズできることで、効率的にインシデント管理が行なえます。Excelは表計算ソフトであり、独自のルールや条件に合わせたカスタマイズが可能です。

そのため、自社のニーズに合わせたインシデント管理を行うことができます。数式を入れることで入力の手間を省けるため、自社の管理方法に合わせたカスタマイズを施し、効率の良いインシデント管理を行いましょう。

ただし、Excelは専門的なインシデント管理ツールと比べると、機能や性能に制限があります。そのため、インシデントの種類や規模によっては、専門的なツールの導入が適しているケースもあります。自社の規模や希望に合わせ、適切なものを選びましょう。

Excelでインシデント管理を行うデメリット

Excelでのインシデント管理には多くのメリットがある一方で、共有が難しいなどのデメリットもあります。また、履歴を追えなかったり、バックアップに手間がかかったりする点もデメリットです。ここでは、Excelでインシデント管理を行うデメリットを解説します。

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共有が難しい

Excelを使ったインシデント管理は、共有が難しいという課題があります。単体ファイルで管理するExcelは、複数人で同時編集することができません。複数人でインシデント情報を共有する場合は、ファイルのバージョン管理や権限設定などの手間がかかります。

また、Excelはリアルタイムで更新されないため、すぐに最新の情報を共有できない点もデメリットです。クラウド型のシステムのようにインターネット上で管理しているわけではないため、一度保存してからファイルを送信したり共有したりする必要があります。

履歴を追えない

Excelでのインシデント管理は、履歴を追えない場合があります。Excelは単体ファイルで管理するため、履歴を追いにくいのがデメリットです。編集履歴が出なかったり、リアルタイムで更新されなかったりするため、過去の履歴を追うことはできません。

そのため、インシデントが発生した際の対応の履歴が不完全になる可能性があります。履歴を把握できないことで、原因を特定しづらい点にも注意が必要です。原因を特定できなければ再発防止にも繋げられず、結果としてインシデント管理の効果が薄まります。

属人化しやすい

複雑な処理やマクロを組み込んだインシデント管理表を作成した場合、Excelスキルを持った人員しかメンテナンスを行えず、属人化しやすいです。Excel自体は多くの人が触ったことがあるツールですが、高度な関数などを組めるスキルを持たない人も少なくありません。

そのため、Excelで作成したインシデント管理台帳にマクロが組み込まれている場合、入念な引き継ぎ作業がないまま作成者が退職すると、メンテナンスが行えなくなります

ファイル破損のリスクがある

Excelでのインシデント管理においては、ファイル破損のリスクがあるのもデメリットの1つです。Excelはデータ量が多いとファイルが重くなる傾向にあり、保存できなかったり編集中に破損したりする可能性があります。

特に、インシデント情報が多い場合はファイル破損のリスクが高くなるため注意が必要です。また、マクロやアドオンを導入すると、ファイル破損のリスクが高くなることがあります。あわせて、誤操作による破損にも注意しなければなりません。

バックアップに手間がかかる

Excelでインシデント管理を行う際のデメリットとしては、バックアップに手間がかかる点も挙げられます。Excelは単体ファイルで管理されているため、基本的にバックアップを手作業で行わなければなりません。

バックアップの自動化も難しいため、手間がかかります。また、データ量が多いとバックアップを取得するのに長い時間を要します。データの破損に備えてこまめにバックアップを取るとなると、大きな負担となる可能性があります。

あわせて、誤操作によってバックアップが失われる可能性があることも視野に入れなければなりません。Excelでのインシデント管理には多くのデメリットがあるため、メリットとあわせて検討しましょう。

インシデント管理を行うならインシデント管理ツールがおすすめ

インシデント管理を効率よく行いたい場合は、インシデント管理ツールの導入がおすすめです。システムやセキュリティで発生した問題を適切に管理できるだけでなく、内容の保存や原因の究明にも役立ちます。

インシデント管理ツールはその名の通りインシデント管理に使われるツールであり、インシデントの登録や管理・対応状況の可視化・レポート作成・分析・改善など多くの機能を備えています

データ破損のリスクが少なく、セキュリティもしっかりしているため、安全にインシデント管理を行なえます。また、機能が豊富に用意されており、効率よく情報を管理できるのも大きなメリットです。

インシデント管理ツールの選び方

インシデント管理ツールには多くの種類があるため、自社に適したものを選ぶことが大切です。ツールのタイプや提供形態などをチェックしながら、自社の希望に合ったインシデント管理ツールを選びましょう。

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ツールのタイプを確認

インシデント管理ツールのタイプは、問い合わせ管理タイプとプロジェクト管理タイプの2種類に分けられます。以下で、それぞれの特徴を確認しましょう。

問い合わせ管理タイプ

問い合わせ管理タイプのインシデント管理ツールとは、社内外からの問い合わせを管理する機能に特化したインシデント管理ツールです。問い合わせの登録・管理ができるほか、対応状況の可視化やレポート作成なども行えます。

問い合わせ管理タイプのインシデント管理ツールは、問い合わせの登録・管理に特化しているため、インシデント管理ツールの中でも最もシンプルな機能構成です。導入・運用が容易にできるため、ITリソースの少ない企業でも導入しやすいタイプです。

プロジェクト管理タイプ

プロジェクト管理タイプのインシデント管理ツールとは、プロジェクトで発生するインシデントを管理する機能に特化したインシデント管理ツールです。インシデントの登録・管理ができるのはもちろん、タスクやスケジュールの管理も行えます。

プロジェクトで発生するインシデントに特化しているため、やや複雑な機能構成です。プロジェクト管理と連携すれば、より効率よく業務を進められます。インシデント管理だけでなく、業務全体の管理をスムーズに行いたい企業におすすめです。

ITILに準拠しているか

インシデント管理ツールを選ぶ際は、ITILに準拠しているか確認しましょう。ITILとは、ITサービスマネジメントに関するフレームワークであり、インシデント管理もそのプロセスの1つです。

ITILに準拠したインシデント管理ツールは、ITILのベストプラクティスを適用した機能やサービスを提供しています。ITILに準拠したツールを導入すると、ITサービスの品質向上や業務の効率化、ガバナンスの強化など多くのメリットが得られます。

提供形態を確認

インシデント管理ツールを選ぶ際は、提供形態も確認しましょう。提供形態には、オンプレミス型とクラウド型があり、それぞれ特徴が異なります。以下を参考にしながら、自社に適したツールを選びましょう。

オンプレミス型

オンプレミス型のインシデント管理ツールとは、自社のサーバーやネットワーク環境にインシデント管理システムを構築する形態です。自社の環境にあわせたカスタマイズが可能ですが、導入コストが高額になる可能性がある点に注意しなければなりません。

また、運用や保守には大きな手間やコストがかかります。しかし、初期費用や運用コストはかかるものの、自社に合ったインシデント管理が行なえます。また、セキュリティ面も充実しており、安心して使えるのも大きなメリットです。

オンプレミス型のインシデント管理ツールは、自社のサーバーやネットワーク環境に構築するため、外部からのアクセスや不正アクセスを防ぐことができます。

クラウド型

クラウド型のインシデント管理ツールとは、インターネット上で提供されるインシデント管理システムです。インターネット上で提供されるため、導入や運用・保守が容易にできるほか、初期費用を抑えて導入できます。

ただし、カスタマイズの自由度が低い点がデメリットです。セキュリティについては、要件を満たしているか事前に確認しましょう。クラウド型のインシデント管理ツールは、初期費用を抑えたい企業には特におすすめです。

メンテナンス・カスタマイズがしやすいか

インシデント管理ツールを選ぶ際には、メンテナンスやカスタマイズのしやすさにも注目しましょう。インシデント管理は企業規模や業態によって活用方法が異なるため、カスタマイズ性に欠けると扱いにくくなる可能性があります。

自社の希望に沿ってカスタマイズできるツールを選びましょう。また、メンテナンスのしやすいツールであれば、問題が発生した際の対処もスムーズに行えます。効率的にインシデント管理を行うために、メンテナンスやカスタマイズのしやすさに注目しましょう。

まとめ

Excelでのインシデント管理にはコスト削減や教育に要する時間の削減など、多くのメリットがあります。また、自社の要望や規模などに合わせ、自由にカスタマイズしながらインシデント管理を行えるのもメリットです。

しかし、規模の大きい企業や専門的な管理を要する場合には、インシデント管理ツールを導入したほうが効率よく管理できる可能性があります。インシデント管理ツールにもさまざまな種類があるため、本記事を参考に自社に合ったものを選びましょう。

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