消込とは?作業の流れや効率的に行う方法などをわかりやすく解説

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  • 消込とは、売掛金や買掛金の支払いが行われた際に、債権・債務を消していく作業である
  • 消込作業は、企業規模が大きくなればなるほど、入金・出金数が増えて作業が複雑化する
  • 債権管理システムなどのシステムの導入で、消込作業の自動化や経営状況の把握ができる

消込とは、売掛金や買掛金の支払いが行われた際に、債権・債務を消していく作業のことです。消込作業を手作業で行うと、作業の属人化や人為的ミスが起こりやすいなどの課題もあります。本記事では、消込作業の流れや効率的に行う方法を解説します。

目次

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  1. 消込の意味とは
  2. 消込と仕訳・照合との違い
  3. 消込作業を行う流れ
  4. 消込作業には課題もある
  5. 消込作業を効率的に行う方法
  6. まとめ

消込の意味とは

消込とは、取引において発生する売掛金や買掛金等の債権・債務の残高を確認して消していく作業のことです。取引が行われる際、入出金情報と請求情報を突合し、帳簿に記載された売掛金・買掛金を消していきます。

入出金情報を確認し、売掛金が回収できているか、買掛金の支払いは完了しているのか、正しい金額で取引できているかといった点をチェックします。

また、消込は英語で「payment application」という表記になります。近年、外国人労働者が増えていることやグローバル対応において、英語表記が多くなっているのも特徴です。

消込と仕訳・照合との違い

経理業務では「消込」「仕訳」「照合」という言葉がよく使われますが、それぞれの意味は異なります。仕訳は、発生した取引を会計帳簿に記録する作業であり、売上と仕入、入金と支払いなどの取引を正しく勘定科目に振り分けることを指します。

照合は、取引内容と帳簿、あるいは外部の証憑を突き合わせて正確性を確認する工程です。一方、消込は入金や支払いの事実を請求書と債権・債務と対応付け、未収金・未払金を整理する作業となります。

仕訳と照合が記録や確認の意味を持つのに対し、消込は残高を整理して正確な債権・債務管理を行う点が大きな違いです。これらを正しく区別することで、経理業務の全体像を理解しやすくなります。

具体例で見る違い

例えば、A社がB社に商品を販売し、10万円の請求書を発行した場合を考えます。仕訳では、請求書の発行時点で「売掛金10万円/売上10万円」と帳簿に記録され、取引の発生を会計上に残すことになります。

その後、入金があった際に銀行の取引明細や入金通知と請求書の金額、取引先名などを突き合わせて正しいかを確認するのが照合です。そして、入金が確認できた時点で、どの請求に対応するのかを明確にし、売掛金を消し込むのが消込です。

一連の流れにより、未収金の解消に加えて帳簿上の債権が正確に反映されます。仕訳・照合・消込は似ているように見えても役割が異なるため、それぞれの工程を順序立てて行うことが正しい会計処理には不可欠です。

消込作業を行う流れ

消込作業は、売掛金や買掛金等の掛取引の情報と実際の入出金情報の突き合わせを行っていく作業です。入金消込と支払消込でそれぞれ業務フローが異なります。この章では、消込作業の流れについて解説していきます。

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消込作業を行う流れ

  1. 入金消込の場合
  2. 支払消込の場合

入金消込の場合

入金消込とは、売掛金と入金情報を突合し、債権の残高を消し込んでいく作業を行うことです。例えば自社商品を取引先に10万円で売った場合、まずは売上が発生したタイミングで、売掛金を計上する仕訳処理を行います。借方に売掛金、貸方に売上で計上します。

借方金額貸方金額
売掛金100,000円売上100,000円

売掛金の仕訳処理後、実際に入金があった際に消込作業を行います。入金金額と会計帳簿上の売掛金の額が一致しているかを確認します。エラーがなければ、会計帳簿にある売掛金を消去することで消込作業が完了します。

借方金額貸方金額
普通預金100,000円売掛金100,000円

支払消込の場合

支払消込についても、売掛金同様に処理していきます。例えば取引先の企業から20万円の商品を購入した場合、まずは借方に仕入、貸方に買掛金の勘定科目で仕訳処理を行います。

借方金額貸方金額
仕入200,000円買掛金200,000円

取引先への支払いが完了したら、出金情報と突合します。エラーがなければ、下記のように仕訳処理を実行し、支払消込が完了します。

借方金額貸方金額
買掛金200,000円普通預金200,000円

消込作業には課題もある

消込作業は、経理業務の中でも重要度が高い業務です。加えて、消込作業は煩雑な業務でもあり、いくつかの課題があります。この章では、消込作業の課題について詳細を解説していきます。

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企業規模に応じて作業が複雑になる

消込作業は、企業規模が大きくなるほど複雑になり、業務にかかる工数や経理担当者の負担が大きくなります。企業規模が大きくなると、取引先の企業数が増え、消込作業の業務ボリュームも増えてしまいます。

また、取引先が増えることによって、個別に対応する案件も増えてきます。個別対応が必要な取引先が増えてしまうと、経理担当者の負担が大きくなり、人為的なミスが発生しやすくなってしまうリスクがあります。

人為的ミスの発生

消込作業は、担当者が手作業で行うことが多く、人為的なミスが発生しやすいです。請求書や支払金額を担当者が目視で確認するため、どれだけ慎重に業務に取り組んでも一定の割合でエラーが発生してしまいます。

特に、月末月初は経理担当者の業務スケジュールがタイトになることから、業務品質が低下してしまう場合も考えられます。消込作業でミスが発生すると、取引先に迷惑をかけてしまい、信頼を失ってしまうリスクもあるため注意が必要です。

誤差が生じすい

消込作業を行う際、会計帳簿上の金額と実際の入出金額に誤差が生じやすいといった課題があります。誤差が生じやすい理由としては、振込手数料・消費税計算・まとめての入金等の様々な理由があります。

実際に帳簿上の売掛金・買掛金と入出金の誤差が発生してしまうと、原因を特定しないと消込作業を完了することができません。誤差の原因を特定するには工数がかかるため、他の経理業務が滞ってしまうリスクもあります。

作業の属人化

消込作業は、経理担当者の経験やスキルによって習熟度が変わってくるため、業務負担が特定の人に集中したり属人化したりする傾向があります。

例えば、「この振込人名義は、●●社からの入金」というように、経験がある社員であれば細かい点に気付くことができます。また、消込作業は正確性に加えて業務スピードも問われます。そのため、ベテラン社員に消込作業を一任しがちです。

しかし、消込作業が属人化してしまうと、担当者が不在の際に業務が滞ってしまう可能性があります。また、担当者が異動・退職するとなると、業務の継続性を担保できなくなるだけでなく、後任者への引き継ぎにコストがかかってしまう点もデメリットと言えます。

消込作業を効率的に行う方法

消込作業にはさまざまな課題があり、効率的に行う際にはいくつかの方法が挙げられます。ここでは、消込作業を効率的に行う方法について解説します。

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Excelを活用

効率的に消込作業を行うには、Excelを活用する方法があります。Excelはすでに業務で利用している企業も多く、活用しやすいのがメリットです。

関数を組んだり、フィルタなどの機能を活用することで、自社の業務実態にカスタマイズできます。一方、Excelで消込作業を行う場合、売掛金・買掛金と入出金額に相違があるかを目視で確認しなければなりません。

そのため、ヒューマンエラーが発生しやすい点には注意が必要です。

決済代行サービスに委託

決済代行サービスを利用し、消込業務の負担を軽減させる方法もあります。決済代行サービスは決済に関する業務を委託できるため、消込作業自体の丸投げが可能です。

消込作業を中心に、請求業務や経費精算等の経理業務は月末に集中することが多く、担当者の業務負担が大きくなってしまいます。決済代行サービスを利用すれば、月末にリソースを確保することが可能です。

ただし、決済代行サービスを導入する場合、入金先が自社ではなく代行会社になるため、取引先への説明が必要になります。また、消込業務を外注する際にはコストもかかります。

システムを導入

債権管理システムや会計ソフトの消込機能を活用して、消込作業の工数削減を実現するといった方法もあります。システムと入出金情報を連携すれば、自動での消込が可能です。消込作業の自動化により、ヒューマンエラーの防止にもつながります。

一方、システムを導入する場合、導入に伴うコストがかかります。また、システム導入に際して既存の業務フローを変更しなければならず、導入・運用に手間とコストがかかる点には注意が必要です。

入金消込の機能があるシステムには、以下のようなものが挙げられます。

債権管理システム

債権管理システムとは、売上と入金の突合・消込、残高の把握などを自動化・効率化するツールです。手作業で行われていたExcelや紙による入力、目視による確認作業を大幅に削減できます。

導入することにより、未入金残高の可視化や、未回収の売掛金照合、催促メールの自動送信など、入金消込に関する作業の効率化が見込めます。

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会計システム(会計ソフト)

会計システムは、企業の会計業務全般をカバーするシステムです。仕訳機能や入金消込機能なども備わっています。機能が豊富であるため、消込作業だけでなく、多くの経理業務・会計業務の効率化にも期待できます。

また、さまざまなデータの一元管理によって財務状況の改善などにもつながります。

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請求書発行システム

請求書を電子的に発行・管理する請求書発行システムにも、入金消込機能が備わっている場合があります。請求書の発行だけでなく、入金状況の確認や消込、催促なども行うことが可能です。

債権管理システムや会計システムと同じような入金管理機能が使えるものだと、関連業務を大幅に効率化できるでしょう。

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まとめ

消込業務は、売掛金や買掛金と入出金情報を突合し、債権・債務を消し込んでいく作業です。手作業で消込業務を行うと人為的ミスが起こりやすくなったり、業務が属人化してしまったりする課題があります。

また、企業規模の拡大や取引先の増加に合わせて消込作業の業務量も増え、担当者の業務負担が大きくなってしまいます。消込作業を効率化するためにはいくつかの方法がありますが、システム導入で効率化を図る方法がおすすめです。

各システム導入によって消込作業を自動化でき、他システムとの連携で周辺業務の効率化も図れます。

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