データベースとは?役割・種類などの基本を初心者にわかりやすく解説

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  • データベースの役割は、データの編集や抽出を簡略化し、データの共有を可能にすること
  • データベースの種類としては、階層型・ネットワーク型・リレーショナル型が存在する
  • 主なデータベース管理システムとして、MySQLやOracle Databaseなどが挙げられる

データベースとは、コンピュータ上で集積・整理されたデータの集まりのことです。データベースには、階層型・ネットワーク型・リレーショナル型といった種類があります。本記事では、データベースの基本や代表的なデータベース管理システム、役立つ資格などについて解説します。

目次

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  1. 初心者向けに解説|データベースとは
  2. データベースの役割
  3. データベースの種類
  4. データベース管理における課題
  5. データベース管理システム(DBMS)とは
  6. 主なデータベース管理システム
  7. データベースに関する資格
  8. まとめ

初心者向けに解説|データベースとは

データベースとは、膨大な情報を整理して効率的に管理できるデータの集まりのことです。紙の辞典や図鑑のように情報を体系的にまとめたものもデータベースに含まれますが、現在一般的に使われるのはコンピューター上に保存された電子的なデータベースです。

身近な例としてはExcel(エクセル)があります。Excelでは顧客の名前・住所、連絡先、取引内容、取引日などを表形式で整理でき、検索や抽出も可能です。つまり、Excelはデータベースの基本的な考え方を理解するためのイメージとして役立ちます。

ただし、Excelは複数ユーザーによる同時編集や大量データの効率的な管理、整合性の保証には向いていません。これらは本格的なデータベース管理システム(DBMS)が提供する機能です。

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データベースとファイル管理の違い

ExcelやCSVといった単純なファイル管理でもデータを扱うことはできますが、データ量が増えると管理が難しくなり、重複や入力ミスが起きやすくなります。また、複数人で同時に編集すると整合性が崩れるリスクがあります。

一方、DBMSを使ったデータベースは、トランザクション管理や排他制御などの仕組みによって、複数ユーザーが同時にアクセスしても整合性を保ちながらデータ操作ができます

Excelは学習用のイメージとして便利ですが、実務で求められる正確なデータ管理にはDBMSが不可欠です。

データベースの基本構造

データベースは、表形式の「テーブル」を基本単位として構成されます。テーブルは「行」と「列」で成り立ち、1行が1件のデータ、1列がデータの属性(氏名・住所・電話番号など)を表すのが基本です。

例えば、社員情報を管理するテーブルでは、1行が1人の社員のデータを示し、列には氏名・部署・入社日・メールアドレスなどの情報が入ります。

さらに、複数のテーブルを組み合わせることで、社員の給与情報やプロジェクト参加状況などの関連データを効率良く管理できます。このように、テーブル構造はデータの整理・検索・更新をシンプルにするための基盤です。

「Excelの表を拡張して、大量データを安全に管理できる仕組み」とイメージすると理解しやすいでしょう。

データベースを学ぶメリット

データベースを学ぶことで、データを効率的に整理・活用できるようになります。例えば、顧客情報の検索や売上データの集計を短時間で正確に行えるだけでなく、複雑な条件での抽出や分析も可能です。

また、データベースの仕組みを理解すると、日常的に使用するアプリやWebサービスの仕組みが見えるようになり、IT全般の理解が深まります。現在では、オンラインショップの在庫管理や注文履歴の追跡、銀行の口座情報管理などでも基盤として動作しています。

将来的にITエンジニアやIT関連の職種を目指す場合はもちろん、営業・事務・マーケティングなどデータを扱う仕事でも役立つ知識です。

データベースの役割

データベースの役割は、膨大なデータの編集や抽出を簡略化し、データの共有を可能にすることです。Excelでは作業の簡略化が難しく、同時に複数人の作業もできません。また、データ数が多くなると不安定になる場合もあります。

その点、本格的なデータベースの導入は、今まで蓄積してきたデータを構造的に管理でき、検索・抽出など手間のかかる作業の効率化が図れます。自動化される部分も多く、ヒューマンエラーの防止やデータ損壊防止、不正アクセス対策の強化にもつながります。

そして、データベースに蓄えられたデータは一括管理され、複数の人が同時にアクセスして閲覧や入力・検索などを行うことが可能です。誰もがデータを扱えることによって業務の属人化防止につながり、新人が先輩の業務を参考にできるなど、社員教育にも役立ちます。

データベースの種類

主なデータベースには、「階層型データベース」「ネットワーク型データベース」「リレーショナル型データベース」の3種類があり、それぞれ異なるメリット・デメリットを持ち合わせています。ここでは、各データベースの概要について解説します。

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階層型データベース

階層型データベースではデータのことをノードと呼び、親ノードの下にいくつかの子ノードを作り、そこから孫ノードを作っていき、データは組織図のようなツリー形状の構造になります

親ノードと子ノードは「1対複数」の関係で、目的のデータ(ノード)まで辿り着くルートは1本しかありません。その点、階層型データベースでは素早い検索が可能です。

なお、子ノードの中には2つの親ノードを持つものがあります。例えば、製造部と開発部(親ノード)を兼任する人のデータ(子ノード)は、2つの部に同じ人のデータ登録が必要です。このように、同じデータを複数登録することをデータの冗長性といいます。

ネットワーク型データベース

ネットワーク型データベースは、階層型データベースのデメリットであるデータの冗長性を解決するデータベースで、子ノードが複数の親ノードを持っています。親ノードと子ノードは複数対複数の関係で、目的のデータに辿り着くルートは複数となります。

例えば、製造部と開発部を兼任する人のデータは製造部にも開発部にも紐付けられているため、保存するデータは1つだけで済み、データの冗長性は解決されます。しかし、データの扱いに柔軟性がなく、目的のデータへのアクセスにはデータ構造の理解が必要です。

リレーショナル型データベース

リレーショナル型データベース(RDB)は、Excelのような表形式で各種データを管理する方法で、現在最も利用されているデータベースです。フィールド(列)とレコード(行)で構成されたテーブルでデータは管理されています。

リレーショナルデータベースでは、複数のテーブルを組み合わせて、目的に合った新たなテーブルの作成が可能です。特徴としては、柔軟性が高くて複雑に関連した情報も整理しやすいデータベースですが、情報量が多いと処理速度が落ちるというデメリットもあります。

また、リレーショナル型データベース(RDB)は、データの「一貫性が高い」のも大きなメリットです。この場合における「一貫性が高い」の意味は、常に最新データが参照できるということです。

データベース管理における課題

企業では4大経営資源の1つである「情報」の重要性が増し、企業の収益の向上と事業の継続には欠かせないものとなっています。その情報を一元管理しているのがデータベースであり、膨大な量のデータ管理は企業における重要な業務です。

ここでは、データベース管理における課題を解説します。

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セキュリティ対策とメンテナンス

企業の重要なデータが大量に保管されているデータベースには、セキュリティ対策やメンテナンス、パフォーマンスに関わる課題があります。特に、自社にデータベースサーバーを置く場合には、セキュリティ対策やメンテナンスも自社で行わなければなりません。

最近ではクラウド型のデータベースサーバーによって、導入コストを抑えながらセキュリティ対策やメンテナンスも提供するものもあります。しかし、パフォーマンスの向上がしやすい反面、ベンダー側に一任することで生じるリスクにも注意が必要です。

データベースの操作・連携が困難

データベースに関する技術の進歩は凄まじいものがあり、煩雑するデータ管理がしやすくなる一方で、操作性が困難になることが課題です。特に、使用する年齢層が高い状況下であるほど、担当者のみが操作できるような環境になってしまっていることも多いです。

さらに、データベースに関するシステムだけでなく、業務に関わる他のシステムとの連携性や操作性によって、利用者の負担が増加している可能性もあります。そのため、自社の環境や利用者に適したデータ管理システムの選定が重要です。

データベース管理システム(DBMS)とは

データベースはデータの集合体で、一般的にデータベース管理システム(DBMS)を使って制御します。データベース上のデータを利用するユーザーやアプリは、DBMSを通してデータベースにアクセスし、データの作成・整理・取得・更新などを行います。

データベース管理システムには「RDBMS」と「NoSQL」の2種類があり、自社に適合したものを選ぶことが大切です。ここでは、2種類のDBMSを初心者でもわかりやすく解説します。

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データベース管理システム(DBMS)とは

  1. RDBMS
  2. NoSQL

RDBMS

RDBMSは日本語では「リレーショナルデータベース管理システム」と呼ばれ、SQLと呼ばれるデータベース言語を使ってレーショナルデータベースを管理するシステムです。現在では、多くの企業で採用されているデータベース管理システムです。

下の表は、主なRDBMSのメリットとデメリットです。

メリット/デメリット内容
メリット・SQLにより複雑で高度な検索・集計などが可能
・データの一貫性が担保される
デメリット・データ量が増えると処理速度が遅くなる
・拡張性がない(1台のサーバーで管理)

SQLとは

SQLとは、「エスキューエル」と呼ばれるデータベース言語で、数あるデータベース言語の中でも、最も普及率の高い言語です。SQLはリレーショナルデータベースを制御するための言語で、RDBMSはSQLからの命令を受けてデータを制御します。

SQLはさまざまなプログラミング言語と相性が良く、言語の習得も比較的容易な言語です。また、SQLは国際標準化機構(ISO)で標準化されたIT業界共通の言語との認識もあり、これからデータベース言語を学習する場合でも、手が付けやすくておすすめの言語です。

NoSQL

NoSQLとは、データベースの制御にSQLを使用しないシステムで、リレーショナルデータベース(RDB)以外のすべてのデータベース管理システムを指します。データ量が多くなっても処理速度が低下しないため、ビッグデータを扱う企業から注目されています。

NoSQLは、RDBMSのデメリットを改善するために開発されたデータベース管理システムであることから、それぞれのメリットやデメリットは大きく異なります。下記にNoSQLの主なメリットとデメリットをまとめます。

メリット/デメリット内容
メリット・データ量が増加しても処理速度が低下しない
・非構造化データにも対応できる
・拡張性がある(サーバーの分散管理ができる)
デメリット・データの一貫性が担保されない
・高度な検索には不向き
・機能が少ない

主なデータベース管理システム

世界で使われている主なデータベース管理システムには、さまざまな種類があります。ここでは、主な2つのデータベース管理システムについて概要を解説します。

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RDBMSに該当するデータベース管理システム

数あるRDBMS(リレーショナルデータベース管理システム)の中から代表的なMySQL・Oracle Database・SQL Serverについて、できる限りわかりやすく解説します。

MySQL

MySQLとは1995年に発売されたRDBMSで、その後に所有者や管理者の変更を経て現在はオラクル(Oracle)社が管理やサポートを行っています。ソースコードが無償公開されており、誰でも自由に改変・再配布が可能なオープンソースのデータベース管理システムです。

MySQLはクライアントサーバーモデルを採用しています。クライアントサーバーモデルは、利用者のPC(クライアント)にプログラムをインストールし、ネットワーク上のデータベースサーバーにアクセスするモデルです。

クライアントサーバーモデルでは、サーバーへの負荷が分散されることで処理速度が早くなったり、トラブル時の原因追及がしやすくなったりするメリットがあります。一方、運用・管理が複雑で、セキュリティ対策のコストがかかるのがデメリットです。

参考:SQL

Oracle Database

Oracle Databaseは、MySQLを管理しているオラクル社が1979年に商用としてリリースした、世界で初となるRDBMSです。SQL・XML・JSONなどのさまざまな言語に対応し、柔軟性・拡張性の高いアプリの作成ができます

Oracle Databaseは堅牢性が高く、サーバー停止のリスクが抑えられるRDBMSです。また、対応するプラットフォームが多く、異なるプラットフォーム間のデータ移行が容易なのもメリットです。ただし、製品自体が高額であるというデメリットもあります。

参考:OracleDatabase

SQL Server

SQL Serverは、Windowsを提供するマイクロソフト(Microsoft)社が開発したRDBMSで、正式名称はMicrosoft SQL Serverです。Windowsやマイクロソフトの開発言語との相性が抜群で、WindowsユーザーにおすすめのRDBMSです。

SQL Serverは、SQL Server Management Studioという、直感で操作できるデータベース管理ツールを搭載しています。このツールの利用で、ほとんどのデータベース制御がマウス操作のみで行えます

有料ではありますが、Oracle Databaseと比べてコストを抑えた導入が可能です。ただし、SQL Serverは、一般のSQLに比べクセが強く、使うには慣れが必要です。

さらに、数年周期でバージョンが変わり、更新によって弊害が発生する場合があるため、更新する前に弊害を洗い出してから更新を行うのが安全です。

参考:SQL Server|Microsoft

NoSQLに該当するデータベース管理システム

リレーショナル型データベース(RDB)以外のデータベースを管理するNoSQLの中から、代表的なMongo DB・HBase・Cassandraについて、できる限りわかりやすく解説します。

Mongo DB

MongoDBは、MongoDB社が2007年に開発した、オープンソースで提供されているドキュメント指向型データベースです。ドキュメント指向型のデータベースとは、ドキュメント形式でデータ管理するデータベース管理システムです。

1つのドキュメントに1つのデータを書き込み、各ドキュメントに異なる形式のデータの書き込みも可能で、階層構造をはじめさまざまなデータ構造に対応できます。現在利用されているNoSQLの中でも大変人気の高いデータベース管理システムです。

MongoDBはデータをメインメモリで処理するため、処理速度が速いのが大きな特徴です。そして、データを複数のサーバーに分割保存して負荷を分散させて処理能力を高めることも可能です。しかし、データの一貫性を担保できないというデメリットもあります。

参考:Mongo DB

HBase

HBaseはPowerset社が、自然言語処理とビッグデータの処理のために設計した NoSQLの中でも代表的なオープンソースのデータベース管理システムです。HBaseはHadoopの分散ファイルシステム(HDFS)上に構築されているデータベース管理システムです。

HDFSなので、データを複数のサーバーに分割保存して拡張性を高めたり、高速処理化したりすることが容易なシステムです。なお、複雑な条件での検索は苦手で導入コストが比較的高めです。

参考:Apache HBase

Cassandra

Cassandraは、Facebook社が2007年に開発した分散型のデータベース管理システムです。

データモデルはGoogleのBigtableを参考に、分散システムはAmazonのDynamoDBを参考にして設計されています。

テーブルにデータを格納し、RDBMSで用いられるSQLによく似たCQLという言語を利用してデータ制御をするため、リレーショナル型データベースを使っているような操作感であるものの、テーブル間のリレーションはできません

Cassandraでは大量のデータを高速処理できることや、一部のノードがダウンしてもサーバーは停止しないなどのメリットがあります。一方、複雑な集計や検索が苦手で、データの整合性の担保が不確実です。整合性をある程度担保するには、調節が必要となります。

参考:Apache Cassandra

データベースに関する資格

データベースの構築にはさまざまな専門的知識や技術を要します。そのため、データベースに関する資格を取得してその適確性を証明することも可能です。ここでは、データベースに関する資格について解説します。

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ORACLE MASTER

ORACLE MASTERは、日本オラクル社が運営するOracle Databaseを扱うための認定資格です。以前は日本国内限定の資格でしたが、現在では世界共通基準の資格となっています。Oracle Databaseの扱い方以外にも、RDBの仕組みやSQLの基礎学習としても役立ちます。

ORACLE MASTERにはグレードが設定され、初級者用から順番にBronze・Silver・Gold・Platinumとなっています。初めに受験できるのはBronzeかSilverであり、それ以降は下位の資格を持っていることが条件です。

参考:ORACLE MASTER Portal|Oracle

データベーススペシャリスト試験

データベーススペシャリストは、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が主催している国家資格です。IPAはさまざまな情報処理技術者試験を主催していますが、データベーススペシャリスト試験は難易度が高く、合格率は毎年14〜17%程度です。

高度な知識やスキルを持つデータベースエンジニアであることを証明する資格で、受験にはデータベース作成の技術やデータベースの基盤提供能力など高レベルな能力が必要です。

参考:データベーススペシャリスト試験|IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

応用情報技術者試験

応用情報技術者試験もIPAが実施している国家試験で、「情報処理技術者試験」の一区分となっています。情報処理技術者試験にはレベル1〜レベル4があり、応用情報技術者試験は「レベル3」に該当します。

「テクノロジ系」「マネジメント系」「ストラテジ系」の3分野から出題され、データベースの知識も求められるのが特徴です。高度な知識と応用スキルが問われる難解な試験ですが、取得することで幅広いIT知識が身に付き、ITエンジニアの就職・転職にも有利です。

参考:応用情報技術者試験|IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

まとめ

データベースとは、コンピュータ上で集積・整理されたデータの集まりのことで、階層型・ネットワーク型・リレーショナル型などの種類があります。これらのデータベースは、データベース管理システムを使って活用するのが一般的です。

データベース管理システムには、RDBを管理するRDBMSや、それ以外のデータベースを管理するNoSQLがあります。データベースの管理には専門的な知識と技術が必要であるため、初心者の方が体系的に学習するには、まずWebサイトや本で学ぶのがおすすめです。

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