法人カードとは?種類や利用するメリット・選び方などを解説

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  • 法人カードとは、会社や個人事業主などの法人向けに発行するクレジットカードである
  • 法人カードは、企業の規模に応じてビジネスカードとコーポレートカードの2種類がある
  • 法人カードの利用で、従業員の私的な支払いとの区別や資金繰りに余裕ができる

法人カードとは、会社や個人事業主などの法人向けに発行するクレジットカードのことです。法人カードの年会費は経費計上でき、経理業務の効率化にも繋がります。本記事では、法人カードと個人カードの違いや、利用するメリット・注意点などを解説しています。

目次

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  1. 法人カードとは
  2. 法人カードの種類
  3. 法人カードを利用するメリット
  4. 法人カードのデメリット
  5. 法人カードを利用する際のポイント
  6. 法人カードの主な審査項目
  7. 法人カードを選ぶ際のポイント
  8. まとめ

法人カードとは

法人カードは、個人の生活費用を支払うためのクレジットカードとは異なり、企業名義で発行されるクレジットカードです。企業や法人がビジネス活動において支出や経費を管理するために活用されます。

法人カードの年会費は経費計上ができ、経理業務の効率化にも繋がるといったメリットがあります。本記事では、法人カードと個人カードの違いや、利用するメリット・注意点などを解説しています。

法人カードと個人カードの違い

個人カードとは、個人が日常生活や個人的な支出に使用するクレジットカードのことを指します。個人カードと法人カードは、両方ともクレジットカードですが、用途と管理方法においていくつかの違いがあります。

以下の表にそれぞれの違いをまとめました。

法人カード個人カード
企業・法人契約者個人
法人口座引き落とし口座個人口座
法人、法人の代表者、個人事業主本人審査対象個人
なしキャッシング機能あり
ビジネス向け付帯サービス個人向け

法人カードの種類

法人カードは、ビジネスの規模やニーズに合わせてさまざまな種類の法人カードが提供されており、それぞれ特定のメリットや機能を持っています。ここでは、さまざまな法人カードの種類とその特徴について解説します。

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ビジネスカード

ビジネスカードは、法人用のクレジットカードで企業の名前で発行され、通常は会社の従業員が利用します。このカードは、主に個人事業主や従業員が20人以下の中小企業で利用がおすすめの法人カードです。

ビジネスカードのメリット

ビジネスカードを利用することで、経費管理の手間が削減され、簡単になります。従業員は、出張費や仕入れ代金、経費などをクレジットカードで支払うことができ、紙の領収書や請求書の取り扱いが不要になります。

また、企業は支出をリアルタイムで把握でき、予算内に収めるのが容易になります。さらに、ビジネスカードには企業向けの特典やポイント、割引が提供されているため、コストの削減にもつながります。

ビジネスカードのデメリット

ビジネスカードには、年会費がかかることがあります。この年会費は、カードの特典やサービスを提供するための費用で、企業によって異なります。年会費がかかる場合、その負担を企業が負担するか、従業員に負担させるかを検討する必要があります。

また、ビジネスカードの利用限度額は、一般的に低めです。そのため、大規模な支出や急な支払いには利用できないことがあります。

限度額を超えて支出を行うと、追加料金や制裁金が発生する可能性があります。そのため、ビジネスカードの利用時には限度額を注意深く監視し、予算に合わせて支出を調整する必要があります。

コーポレートカード

コーポレートカードは、法人用のクレジットカードで企業の名前で発行され、通常は会社の従業員が利用します。主に大企業におすすめのカードで、発行できるカード枚数や利用限度額が多いのが特徴です。

コーポレートカードのメリット

コーポレートカードは高い利用枠を持っています。これは、大規模な支出や急な支払いに対応するのに非常に便利です。

また、カードを使用することで経費管理が効率的に行うことができ、領収書や請求書の整理が簡素化されます。そのため、経理業務の効率化が図られ、手間と時間を節約できます。

さらに、コーポレートカードには、企業向けの特典や報酬プログラムが付いていることがあります。たとえば、航空券の割引やホテルの特典、キャッシュバックなどがあり、これらの特典を利用することで、コスト削減や企業の付加価値の向上が期待できます。

コーポレートカードのデメリット

コーポレートカードは、リボや分割払いに対応しているものが少ないです。通常の個人用クレジットカードでは、リボ払いや分割払いなどの柔軟な支払いオプションが利用できますが、コーポレートカードではこれらのオプションがない場合があります。

これは、企業の支出を管理しやすくするために、一括払いが主流とされているためです。大きな支出を一度にまとめて支払う必要があるため、一部の企業にとっては負担になることがあります。

特に、予算に余裕がない場合や急な支出が必要な際には制約を感じることがあるでしょう。

法人カードを利用するメリット

個人カードと法人カードを分けることは、さまざまなメリットを提供します。ここからは、法人カードを利用するメリットについて具体的に解説します。

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経理業務の効率化

法人カードを使用することで、経費の管理が簡単になります。従業員は法人カードを使って支出を行うため、領収書を取りまとめる必要がありません。紙の領収書の整理や経費報告書の作成が不要になり、経理部門の負担が軽減されます。

さらに、従業員は自身の資金を使って支払う必要がないため、経費支出に関するストレスが軽減されます。また、経理担当者も小口現金の管理や精算の手間を省くことができ、業務の効率が向上します。

年会費を経費計上できる

法人カードの年会費を経費計上することにより、支出が経費として認識されるため、課税対象の利益が減少し、法人税の節約につながります。企業は収益を最大化し、コストを最小限に抑えることが経営上の重要な目標ですが、年会費の経費計上はその一環となります。

また、年会費を経費として計上することで、経理業務が簡素化されます。領収書や請求書の取り扱いを省くことができるため、手間と時間を節約できます。

公私の区別が可能

法人カードを利用することで、個人カードとの公私の支出が明確に区別されるため、財務管理が明確になります。企業と個人の経済活動が分離されるため、経理業務がスムーズに行え、財務報告や監査においても問題が少なくなります。

また、税務上でも重要な役割を果たします。公私の支出が混同されないため、課税対象や節税の機会を見逃すことがありません。経費計上や税金申告においてもトラブルを回避しやすくなります。

つまり、法人カードを利用することで公私の区別が明確になり、企業と従業員の双方にとって利益をもたらす重要なメリットと言えます。

資金繰りに余裕ができる

法人カードを利用することで、急な支出に対応しやすくなります。たとえば、突然の出張費や事業に必要な購入に対して、カードを利用すれば即座に支払いが可能です。

また、法人カードの支払いは通常、月末に一括請求されることが多いです。そのため、従業員がカードを利用しても、支出が即座に銀行口座から引き落とされないため、資金を一時的に確保する必要がありません。

企業は資金を適切に運用でき、予算計画に余裕を持たせることができます。

法人カードのデメリット

法人カードはメリットだけでなく、デメリットもあります。法人カードの利用を検討する際は、以下のような点に考慮することが重要です。ここからは、法人カードのデメリットについて解説します。

キャッシング機能を利用できない場合が多い

多くの個人カードで利用できるキャッシング機能ですが、法人カードでは付帯されていないことが多いです。これは、カード会社が資金を回収できなくなるリスクを回避するためといった理由があります。

キャッシング機能を利用すると、企業は返済を行う必要があります。しかし、経営状況の悪化や倒産などによって、返済が滞る可能性もあります。もし企業が返済をできなくなると、カード会社が損失を負担しなければなりません。

そのため、法人カードでキャッシング機能を利用したい場合は、事前にキャッシング機能が付帯されているかを十分に確認しましょう。

分割払い・リボ払いができない場合がある

法人カードは、一括払いのみの決済方法が基本であり、分割払いやリボ払いができないことがあります。ある程度規模が大きい企業の場合、比較的潤沢な資金を保有しているため、分割払いやリボ払いは必要ないとされていることが理由として挙げられます。

そのため、特に収入が安定しない起業したばかりの企業などは注意しましょう。また、出張や高額な備品の購入には、まとまった資金を準備する必要があります。これらの点に考慮して、法人カードの利用を検討することが重要です。

法人カードを利用する際のポイント

法人カードを利用する際は、いくつかの抑えておくべきポイントがあります。以下では、そのポイントについて解説します。

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不正利用などをチェックする体制を整える

法人カードは企業の財務取引に関わる重要なツールですが、誤った使用や不正利用が行われないようにするために注意が必要です。

まず、法人カードを利用する従業員に対して、カードの適切な使用方法や方針を明確に伝えましょう。どのような支出が許可され、どのような支出が許可されていないかを理解させることが不正利用の防止につながります。

また、カードの利用明細や請求書を定期的に審査し、不審な取引や怪しい支出がないかを確認しましょう。不正な取引が発見された場合、早急に対処する方法を設けることが必要です。

ポイントの利用に関する社内ルールを作る

法人カードを利用する際、カードにはポイントが付与されることがあります。これらのポイントを正確に管理して社内で公平に利用するために、社内でポイントの利用に関する明確なルールを策定し、利用先に関しても指針を設けましょう。

例えば、社員旅行や福利厚生の支援、会社イベントの賞品などにポイントを活用できるかどうかを明確にします。これは、ポイントを無駄にせず、企業の利益に貢献できるようにするためです。

また、ポイントの管理は慎重に行う必要があります。ポイントの有効期限や蓄積方法などを確認して期限切れを防ぎ、最大限の価値を得るために適切にポイントを活用しましょう。

カードの使い回しに注意が必要

法人カードは、特定の目的やプロジェクトに関連付けられて発行されることがあります。つまり、異なる用途のために複数のカードが発行されることがあります。

従業員が誤って別のプロジェクトや目的に関連付けられたカードを使用すると、混乱や誤解が生じ、利用停止などの問題が発生する可能性があります。

法人カードの使い回しは避け、明確な用途に基づいて利用することが大切です。誤ったカードの使用は混乱を招き、利用停止などの問題につながりかねません。法人カードを利用する際は、細心の注意を払って問題を未然に防ぎましょう。

法人カードの主な審査項目

法人カードを申し込む際、審査が行われます。この審査は、法人や企業がカードを安全に利用できるかどうかを判断するために重要です。審査の結果によって、カードの発行や利用条件が決まります。ここからは、その主な審査項目について紹介します。

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企業の経営実績

法人カードの審査では、企業の経営実績が非常に重要です。経営実績は、カード会社が法人や企業の信用度を判断する際に注目するポイントです。

企業の経営実績とは、その会社が過去数年間にどれだけの収益を上げ、利益を得てきたかを指します。安定的な収益と利益を示すことは、カードの返済能力を証明する大切な要素です。

さらに、信用履歴も評価対象です。過去の借入や債務返済において信用が保たれているかどうかが確認されます。信用が高いほどカードの審査に通りやすくなります。

事業の財務状況

事業の財務状況では、企業の財務健全性が評価され、企業の資産と負債のバランスが見られます。健全な経営を示すためには、資産が負債を上回ることが求められます。また、過去の収益と利益を示す財務諸表が提出され、企業の経済的な安定性が評価されます。

さらに、負債返済能力も重要な要素であり、企業は借入金や請求書を返済する能力を示す必要があります。財務状況が負債返済に適していることが審査において評価されます。

代表者の信用情報

代表者の信用情報は、法人カードを申し込む企業の代表者や経営者の信用履歴や信用スコアを評価する項目です。代表者が過去に個人の財務取引や借り入れにおいてどのように信用を築いてきたかを示します。

信用情報は信用スコアとして表れ、過去の借入や返済履歴、滞納の有無、借入金額などを総合的に評価します。高い信用スコアを持つ代表者は、法人カードの審査において有利に評価されます。

代表者の信用情報は、法人カードの審査において企業の信用性と結びつきます。代表者に十分な信頼性があれば、企業も信頼性が高いと判断されます。また、代表者以外の重要な幹部や役員の信用情報も考慮される場合があるため、企業全体の信用状況の管理が重要です。

個人与信

個人与信は、主に代表者や経営幹部の信用情報を指します。信用情報は信用スコアとして示され、過去の個人の財務取引や借り入れ履歴、返済履歴、滞納の有無、借入金額などが総合的に評価されます。

高い信用スコアを持つ代表者や役員は、法人カードの審査において有利に評価され、審査通過の可能性が高まります。

企業の信用性は、代表者や役員の信用情報によって一部決まるため、信用情報の健全性は法人カードの審査において非常に重要です。法人カードを申し込む際には、代表者や役員が自身の信用情報を確認し、必要に応じて改善する努力をすることが大切です。

法人カードを選ぶ際のポイント

現在では、さまざまな法人カードが提供されており、その中から自社に適したカードを選ぶ必要があります。ここからは、法人カードを選ぶ際のポイントについて解説します。

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年会費を確認

法人カードを選ぶ際のポイントとして、まず年会費に注意が必要です。法人カードは個人向けカードとは異なり、年会費がかかることが一般的です。

この年会費は、法人カードの利用に関する基本的な費用の一部として支払うもので、カード会社によって異なる金額や支払い方法が設定されています。

年会費は法人カードの種類や提供される特典によって異なるため、法人カードを選ぶ際には、企業の予算や利用目的に合った年会費プランを選ぶことが大切です。

カード利用枠はどれくらいか

法人カードを選ぶ際は、自社の規模に適したカードの利用枠があるかどうか確認しましょう。企業の規模によって、カードの利用枠に必要な額が異なるため、自社のビジネスニーズに合った利用枠を持つ法人カードを選ぶことが重要です。

小規模な企業や個人事業主にとっては、利用枠が低い法人カードでも十分な場合があります。一方、大規模な企業や多くの従業員が利用する場合には、高い利用枠が必要となることがあります。

利用枠が不足すると、ビジネス活動に支障をきたす可能性があるため、注意が必要です。

付帯サービスの内容を確認

法人カードには、特典やサービスが付帯していることがあります。これらの特典やサービスが多く使い勝手の良いものであれば、年会費が多少高額であっても結果的に得することがあります。

たとえば、一部の法人カードには、国内外のラウンジ利用や旅行保険、ショッピング特典、ポイントプログラムなどが付いています。これらのサービスを活用すれば、出張や旅行時に快適な空間の利用や、お得に会社の備品を購入できます。

ただし、年会費が高い法人カードを選ぶ場合は、これらの特典やサービスの価値を評価し、費用対効果を確認することが大切です。特典やサービスを活用しない場合や、他の法人カードよりもメリットが少ない場合は、高額な年会費の支払いが無駄になるリスクがあります。

追加発行枚数を確認

企業は成長する過程で、従業員の数や支出が増加することがあります。その際に、従業員ごとに法人カードを発行し、経費の管理や支払いを効率化することが一般的です。

しかし、すべての法人カードが無制限に発行できるわけではありません。一部の法人カードでは、発行できるカードの枚数に制限がある場合もあります。そのため、自社の成長を見越して、将来的に新しい従業員にも法人カードを発行できるかどうかを確認しましょう。

まとめ

法人カードは、企業が経費の管理を効率的に行うためのクレジットカードです。通常、会社の名前で発行され、従業員が利用します。法人カードを利用することで、領収書の整理や経費報告書の作成が不要になり、経理部門の負担が軽減され業務の効率化が図れます。

また、年会費を経費計上できるため、節税にも効果的です。一方で、キャッシング機能や分割払い・リボ払いが利用できない場合が多い点に注意しましょう。

法人カードを選ぶ際には、本記事を参考に年会費や利用枠、付帯サービス、将来の拡張可能性などを検討し、自社のニーズに合ったカードを選びましょう。経費の効率化をすることで、ビジネスの成長を後押しすることができます。

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