オンプレミス型とクラウド型のチャットボットの特徴・違いとは?

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  • チャットボットには、大きく分けてオンプレミス型とクラウド型、2つのタイプがある
  • オンプレミス型は自社にサーバーを設置して運用するものであり、カスタマイズ性が高い
  • クラウド型は低コストで導入しやすく、社外からもアクセス・利用できるのがメリット

チャットボットには、自社でサーバーを設置するオンプレミス型と、低コストで気軽に導入できるクラウド型があります。本記事では、オンプレミス型・クラウド型のチャットボットの特徴、それぞれのメリット・デメリット、どのような企業におすすめかなどを解説します。

目次

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  1. チャットボットとは
  2. オンプレミス型のチャットボット
  3. クラウド型のチャットボット
  4. オンプレミス型・クラウド型の比較表
  5. オンプレミス型とクラウド型を比較する際のポイント
  6. セルフサービス型とサポート付き型
  7. その他のチャットボット選定ポイント
  8. まとめ

チャットボットとは

チャットボットは、「自然会話プログラム」とも呼ばれ、利用するユーザーとコンピュータープログラムがテキストベースで自動的に対話をすることができるツールです。

テキスト・音声・チャットなどを介してやり取りし、情報提供・質問応答・タスクの実行など、さまざまなタスクを自動化することができます。最近では、AIと自然言語処理技術の進歩により、ビジネスや顧客サービスでも利用されています。

チャットボットには、主にオンプレミス型とクラウド型の2種類があります。どちらのタイプのチャットボットを選択するかは、企業ごとのニーズや予算、求めるセキュリティ性能などによって検討する必要があります。

チャットボットとは?導入のメリット・デメリットと機能について解説

チャットボットとは、チャット(会話)とボット(ロボット)を組み合わせた言葉で自動会話プログラムのことを指します。チャットボットにはAI型や非AI型の技術の違いがあります。この記事では、チャットボットの技術や機能についてメリット・デメリットを交えて解説します。

オンプレミス型のチャットボット

オンプレミス型のチャットボットは、企業や組織が自社のデータセンターやインフラ内で構築・管理するタイプのチャットボットです。セキュリティ面が高い傾向にある一方、導入・運用コストが高いことも挙げられます。

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オンプレミス型のメリット

オンプレミス型のチャットボットは、組織内でデータとシステムのセキュリティを直接管理できるため、高いセキュリティを確保できます。企業のデータが組織内に留まることにより、外部からの不正アクセスやデータ漏洩のリスクを最小限に抑えることができます。

特に、機密情報や個人データを取り扱う場合、セキュリティの整備は最優先事項ですが、オンプレミス型のチャットボットはこれらの要件に柔軟に対応できます。

さらに、オンプレミス型のチャットボットを利用することで、データのバックアップ、レプリケーション、アクセス制御などを独自に設定し、自社のニーズに合わせてカスタマイズできます。

このように、オンプレミス型のチャットボットなら、セキュリティと柔軟性を両立させながら効果的なチャットボットの運用が可能です。

オンプレミス型のデメリット

オンプレミス型のチャットボットを導入する際は、ハードウェア・ソフトウェア・保守・セキュリティ対策などに高い初期コストがかかります。

また、専門知識を持つスタッフやシステム管理者を用意しなければなりません。すなわち、適切な訓練を受けたスタッフを確保し、システムの継続的な監視とメンテナンスを行う必要があるため、人件費や時間的なコストが増加する可能性が高まります。

オンプレミス型のチャットボットがおすすめなケース

オンプレミス型は、セキュリティが最優先事項である企業に適しています。また、企業が独自のカスタマイズや拡張を行いたい場合に有利です。

クラウド型のサービスではカスタマイズの限界があることがありますが、自社環境であれば制約が少なく、ニーズに合わせた開発も行えます。

以上のように、オンプレミス型のチャットボットは、データセキュリティと管理の観点から優れた選択肢である一方、その導入コストと運用の難しさには注意が必要です。

クラウド型のチャットボット

クラウド型のチャットボットは、クラウドプロバイダーが提供するサーバー上で動作します。そのため、スケーラビリティが高く、比較的簡単な導入でリソースの柔軟な割り当てが実現します。

多くの場合、APIを介して他のシステムやプラットフォームと連携できます。これは、企業の既存のシステムやデータベースとの統合を容易にし、チャットボットの機能を拡張するために役立ちます。

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クラウド型のメリット

まず、クラウド型チャットボットはインフラのセットアップが不要です。つまり、オンプレミス型のようにサーバーやネットワークを用意する手間がかからず、迅速な利用が可能です。

また、クラウド型はビジネスが成長し、従業員が急増した場合でも対応可能であることから、新しいプロジェクトやビジネスをスタートさせる際にも、時間とコストを節約できます。

クラウド型のチャットボットは従量課金制を採用していることが多く、必要なリソースのみを支払うことにより、コストを最適化できます。

クラウド型のデメリット

クラウド型は外部のプロバイダーがデータを管理するため、セキュリティに関する懸念が生じることがあります。

特に、機密性の高いデータを扱う場合には注意が必要です。そのため、プロバイダーが適切なセキュリティ対策を講じているか、データの保護に関する規制を遵守しているかを確認することが重要です。

また、利用の際には必ずインターネット接続できていなければなりません。したがって、場合によっては、インターネット接続が不安定な場所での使用が制約される可能性があるため、利用環境にも留意するべきです。

クラウド型のチャットボットがおすすめなケース

クラウド型のチャットボットは、中小企業や新興企業にとって非常に魅力的です。高いスケーラビリティと柔軟性を提供し、低い初期コストで導入できます。また、プロジェクトの試験的な導入においてもクラウド型のチャットボットが有用です。

特に、中小規模のビジネスや新規プロジェクトにおいて、迅速な展開・柔軟性・コスト効率の面で優れた選択肢となります。組織やプロジェクトの要件に応じて、適切なチャットボットの導入を検討することが重要です。

オンプレミス型・クラウド型の比較表

オンプレミス型ではハードウェアやソフトウェアの購入、保守などにかかる固定費用が発生します。対して、クラウド型は使用した分だけ料金が発生するため、効率的な経費管理が可能です。以下に、オンプレミス型とクラウド型を比較した表を掲載します。

オンプレミス型クラウド型
初期費用数百万円~数万円~
ランニングコスト数十万円~数万円~
導入にかかる期間1か月~1週間~
カスタマイズ性カスタマイズ可能カスタマイズには不向き
メンテナンス・保守作業自社で行う必要があるベンダーが対応
セキュリティ自社で行う必要があるベンダーが対応

オンプレミス型とクラウド型を比較する際のポイント

オンプレミス型・クラウド型の比較表を踏まえて、どちらのタイプが自社に適しているかを判断するために、それぞれのおすすめな特徴・ケースを解説します。

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  • オンプレミス型がおすすめなケース
  • クラウド型がおすすめなケース

オンプレミス型がおすすめなケース

オンプレミス型のチャットボットは、初期費用が大きく発生するのが特徴であり、カスタマイズ性に優れていることから、社内独自の規定にも対応しやすくなります。その他の特徴・ケースを挙げると以下の通りです。

  1. 導入から時間をかけて効果を高めたい
  2. すでに専門的な知識をもった人材がいる
  3. セキュリティ対策も自社内で行いたい

ツールの操作性を高めて柔軟な対応をしやすくし、ユーザーの満足度向上も加味して考えるなら、オンプレミス型がおすすめです。

クラウド型がおすすめなケース

クラウド型のチャットボットは導入費用を抑えることができ、小規模な企業にも導入しやすいでしょう。そして、見積りから運用開始までが素早く実現するため、運用を急ぐ場合にもおすすめです。その他の特徴・ケースを挙げると以下の通りです。

  1. トラブル発生時の対応を一任したい
  2. メンテナンスにかけるリソースがない
  3. 社外からでも利用できるようにしたい

オンプレミス型では基本的に社内のみでの運用となりますが、クラウド型であれば外出先からも利用することが可能です。そのため、働き方改革やテレワークにも対応しながら、スマートフォン・タブレットでの利用も考えるといった場合にも適しています

セルフサービス型とサポート付き型

チャットボットを展開する際には、オンプレミス型とクラウド型という2つの一般的な分類がありますが、実はこの2つの分類以外にも、さらに深い観点からの分類ができます。以下では、セルフサービス型とサポート付き型の2種類についても詳しく解説します。

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セルフサービス型とサポート付き型

  1. セルフサービス型
  2. サポート付き型

セルフサービス型

セルフサービス型のチャットボットは、ユーザーが自分のニーズに合わせて情報を検索し、タスクを実行するのに役立つタイプのボットです。ユーザーは対話形式でボットと対話し、自分の問題やニーズに対する回答や解決策を受け取ることができます。

たとえば、銀行のWebサイトで口座残高を確認したり、航空券予約サービスでフライトを変更したりする際、セルフサービス型のチャットボットはユーザーの質問に素早く答え、手続きをスムーズに案内します。

その結果、ユーザーが自分のニーズに合わせて情報を得たりタスクを実行したりできるため、効果的なコミュニケーションとサポートを提供する手段として活用できます。

サポート付き型

サポート付き型のチャットボットは、ユーザーの問題を理解し、適切な解決策や情報を提供します。ユーザーが質問や問題を入力すると、ボットはそれに適切に応答し、必要なサポートを提供します。

また、サポート付き型のチャットボットは必要に応じて、解決しない問題を人間のカスタマーサポート担当者につなげることもできます。たとえば、製品のトラブルシューティング、サービスの購入方法に関する情報提供、カスタマーサポートへの接続などです。

このサポートは24時間体制で利用可能であるため、ユーザーはいつでもサポートを受けることができます。

その他のチャットボット選定ポイント

チャットボットを選ぶ際、提供形態だけでなくいくつかの重要なポイントに注意を払うことが不可欠です。これらの要因は、チャットボットの成功と効果的な運用に直接影響を与えます。以下では、選択時に考慮すべきいくつかのポイントを解説します。

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AI搭載型かシナリオ型か

チャットボットは、AI搭載型とシナリオ型の2つの主要なカテゴリに分かれます。AI搭載型のチャットボットは学習機能を搭載し、自然な対話でユーザーの質問に対応できます。

一方、シナリオ型のチャットボットは、あらかじめ定義されたスクリプトに従って対話を行います。そのため、選択肢や制約がある場合にはシナリオ型が適しています。どちらが最適かは、ニーズと目的によります。

AI搭載型メリットAIは学習能力を持つため、対話から学び、時間とともに精度が向上
デメリット導入にはコストがかかる
シナリオ型メリット簡単に導入できる
デメリット自由な質問や要求をすると対応できない

必要な機能を備えているか

チャットボットを選定する際、必要な機能を評価することで、プロジェクトやビジネスの要件に最適なチャットボットを選ぶことができます。

たとえば、有人対応への切り替え機能があるかどうかは重要なポイントです。時にはユーザーが人間のサポートを必要とするケースもあるため、スムーズな切り替えができることが求められます。

また、マルチチャネル対応が可能かどうかも検討すべきでしょう。ユーザーは日頃からさまざまなプラットフォームやデバイスを使用していることから、チャットボットでもこれらに適応できることが重要です。

チャットボットをどこに設置するか

チャットボットをWebサイト、モバイルアプリ、ソーシャルメディア、カスタマーサポートプラットフォームなど、どこに設置するかを決定します。選択肢は多様であり、ビジネスの目標や顧客ニーズに応じて最適な設置場所を選びましょう。

外部ツールとの連携は可能か

チャットボットが既存のシステムや外部ツールと連携できるかどうかを確認しましょう。ERP、CRM、データベースなど他のビジネスツールとのシームレスな連携は、プロセスの自動化やデータの活用に役立ちます。

たとえば、企業がERPシステムを使用して在庫管理や注文処理を行っていると仮定しましょう。

この際、チャットボットがERPシステムと連携できると、顧客が製品を注文した際に、チャットボットが注文情報をERPシステムに自動的に送信し、在庫数を更新できます。

このように、外部ツールとの連携により、業務効率が向上し、ヒューマンエラーを減少させることができます。

対応言語をチェック

対応言語の重要性は、ビジネスの国際展開や多様なユーザーベースを考える際に非常に高まります。異なる国や地域で活動する際、ユーザーが快適にコミュニケーションを取るためには、その国や地域の言語に対応したコミュニケーションが必要です。

たとえば、日本の企業が海外市場に進出する場合、現地の言語に対応したチャットボットを導入することで、現地のユーザーと円滑なコミュニケーションを図ることができます。

これは、顧客サポートや製品情報提供、サービスの説明など、ビジネスの多くの側面で重要となります。

まとめ

チャットボットは、顧客対応や業務効率化において非常に重要なツールです。さまざまな提供形態が用意されているため、ニーズに合わせた導入を行いましょう。

チャットボットの選定ポイントとしては、AI搭載型とシナリオ型の選択、必要な機能の評価、設置場所の検討、外部ツールとの連携、対応言語の確認が重要です。

また、対応言語の豊富さは国際展開やグローバル市場への進出に必要となるでしょう。これらの要素を総合的に考慮し、適切なチャットボット戦略を策定することが、現代のビジネス環境において成功するために重要です。

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