IVR(音声自動応答システム)とは?メリット・デメリットと選び方を解説

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  • IVRとは、顧客からの電話に音声応答システムが自動で対応してくれるシステム
  • IVRの導入で人件費の削減や顧客満足度の向上に期待できる
  • IVRを導入する際は、導入費用などのデメリットも考えたうえで選ぶことが重要

IVRとは、コンピューターによる音声自動応答システムのことです。営業時間外も顧客に応対することができ、コールセンターや宅配便の再配達など幅広い場面で活用されています。本記事では、 IVRシステム導入のメリット・デメリット、選び方のポイントなどを解説します。

目次

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  1. IVR(音声自動応答システム)とは
  2. IVRシステムの種類
  3. AI自動音声応答とは
  4. IVRの機能
  5. IVRシステムの用途と利用場面
  6. IVRシステムの導入メリット
  7. IVRシステムの導入デメリット
  8. IVRシステムを選ぶ際のポイント
  9. まとめ

IVR(音声自動応答システム)とは

IVRは、音声自動応答システムを指します。これまではIVR専用の装置を導入する必要がありましたが、最近ではクラウド化が普及し、必ずしも装置の導入が必要ではなくなりました。

スマホやPCにアプリをインストールしたり、ブラウザから簡単に操作したりできるため、中小企業や個人事業主など、比較的小規模の企業でも導入が浸透しています。

24時間365日対応が可能となって顧客満足度が向上し、必要最小限の電話だけを受けられる・業務の効率化につながる点が人気の理由といえます。

IVRの仕組み

IVRは顧客からの問い合わせに対して、人による電話応答をシステムで自動対応させる仕組みです。具体的には、顧客による電話での発話やプッシュ操作によって得られた情報を基に、あらかじめ準備しておいた音声ガイダンスを利用して自動応答させます。

一般的には、人が行う電話応答業務の中で、高度な対応をする必要がない着信をIVRに代行させる仕組みです。これにより、コールセンターでは業務の効率化や経費削減のメリットが得られます。

IVRの仕組みを理解したコールセンターにおいて、受付窓口やコールセンターの一時受付、業務時間外の対応、契約内容の確認受付、あふれ呼、放棄呼対策などで幅広く活用されています。

IVRシステムの種類

IVRは、クラウド型・オンプレミス型・ビジュアル型の3種類に分かれています。それぞれの特徴を把握して、自社に合った種類のIVRを導入しましょう。

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クラウド型

クラウド型は、自社内に専用装置を設置する必要がなく、 ネット回線を通じてIVRサービスを受けられます。 中小企業でも多数採用されており、コールセンターではクラウド型IVRが過半数を占めています。

利用開始までがスピーディーな点に加え、インターネット環境があればどこからでも利用でき、初期費用が抑えられることなどがメリットです。ただし、長期間運用すると維持費の面で高くなるリスクがあります。

さらに、個々のクラウドサービスでセキュリティ対策は施されていますが、不特定多数の人が利用するインターネット経由となるため、オンプレミス型よりセキュリティが脆弱であることもデメリットです。

オンプレミス型

オンプレミス型IVRは、自社内にIVR用の機器を設置するタイプです。社内で管理している顧客情報と連携がしやすく、保有している電話番号をそのまま活用できるのがメリットです。

しかし、環境構築に数ヶ月以上の日数がかかることや、保守管理義務が発生するなどの課題もあります。初期費用が高額で、数百万円以上の経費が必要となるため、大企業向けのIVRといえるでしょう。

ビジュアル型

ビジュアル型IVRとは、電話の自動応答ではなく、スマホなどの画面で自動応答するシステムです。一般的なIVRでは、音声ガイダンスに沿って電話機のボタンをプッシュしますが、ビジュアル型では、画面でメニューを選択する仕組みになっています。

音声IVRのように音声ガイダンスが終了するまで聞く必要がなく、直観的に操作しやすいため、多くのユーザーにとって使いやすいシステムであることがメリットです。

その反面、開発コストがかかったり、利用の際には専用のアプリをインストールしたりしなければなりません。

AI自動音声応答とは

AI自動音声応答とは、従来のIVRのように「番号を押して選択する」方式ではなく、人工知能による音声認識や自然言語処理を活用し、顧客と自然な会話を実現するシステムです。ここでは、AI自動音声応答について解説します。

従来のIVRとの違い

従来のIVRは「◯番を押してください」というプッシュ操作型が中心であり、顧客はガイダンスに従って番号を選択する必要がありました。一方、AI自動音声応答は会話型で、顧客が自分の言葉で問い合わせを行うとAIが意図を理解し、適切な対応を返します

例えば、「予約を変更したい」と話せば、そのまま関連する処理や案内につながるため、利便性が大幅に向上します。企業側も、対応時間やオペレーターの負担を軽減できるという点が大きなメリットです。

自然言語処理による会話対応

AI自動音声応答の最大の特長は、自然言語処理技術を活用して顧客の発話を正確に理解し、文脈に応じた応対が可能なことです。従来型のシステムでは特定のキーワードにしか反応できず、少し言い回しを変えただけで認識されないことも多くありました。

しかし、AIは「注文をキャンセルしたい」「支払いについて聞きたい」といった異なる表現を解析し、共通する意図を見抜くことができます。

また、会話の流れを記録して次の発話に反映することができるため、やり取りがより人間らしく、途中で情報を繰り返す必要がありません。このように、自然言語処理を用いた会話対応は、問い合わせ解決のスピードと顧客からの信頼性を高める重要な要素となっています。

IVRの機能

IVRは自動音声による受け答えを行い、ガイダンスや着信の振り分けなどが行えるシステムです。ITの進歩によって使い方が多様化し、IVRにはさまざまな機能が搭載されています。ここでは、実際にIVRでどのようなことが行えるのか、各機能について解説します。

機能名機能詳細
音声ガイダンス機能着信した電話に対して自動音声案内を流す
着信フローの作成着信時のフローを簡単に設定できる
電話転送機能着信した電話が目的別に転送される
SNSでの自動応答機能着信した電話番号宛にSMSを送信できる

音声ガイダンス機能

着信した電話宛てに自動音声案内を流す機能です。例えば、営業時間外に着信した電話に対して、電話受付時間の案内や緊急対応についての案内、資料請求の提案などを行えます。

これにより、営業時間外の対応も含めれば24時365日の電話対応が可能なため、利用顧客の満足度を向上させることができます。また、電話回線が混雑しているときは、新たにかけ直してもらうように自動音声で依頼するといった使い方も可能です。

着信フローの作成

IVRでは、電話をかけた顧客が目的に合わせて番号を選択できるようになっています。この番号分岐機能は、シナリオ分岐・着信フローなどとも呼ばれており、IVRの設定メニューなどで作成が可能です。

音声ガイダンスが顧客の目的の部署へスムーズに誘導してくれるため、一人ひとりの対応にかかる手間と時間を削減できます。なお、IVRツールには、着信フローを自由に選択できるタイプと、あらかじめ着信フローが制約されているタイプがあります。

電話転送機能

電話転送機能とは、会社・事務所などの固定電話回線に着信した通話、着信を試みようとした通話を指定した固定電話や、iPhone・スマホなどの携帯端末に転送する機能です。

会社の固定電話に着信した電話を携帯電話で受け取れるようになることで、外出中の社員に通話をつないだり、在宅勤務でも電話業務を行えたりします。

その結果、外出中での対応不備や電話の取次ぎ不良によってトラブルが発生するのを回避し、さまざまなケースに柔軟な対応が可能です。

SMSでの自動応答機能

自動応答機能は、顧客からの着信時に記録された携帯電話番号に対して、SMS(ショートメール)を送信する機能です。例えば、お店の予約時に日時や地図情報が送信されます。

また、URLなど音声だけでは伝えにくい情報もSMSであれば正確に伝えられ、顧客をWebサイトなどへスムーズに誘導できます。

電話のコールが混雑した際、時間外呼・あふれ呼・Webサイト誘導を希望する顧客などに対して、自動応答によってSMSを送信し、URLの画面タップ操作で特定のサイトへと誘導してくれます。

IVRシステムの用途と利用場面

IVRの導入によってオペレーターの負担を軽減できるため、業務の効率化や人件費の削減が可能です。また、顧客の電話がつながるまでの待ち時間を短縮し、営業時間外であっても対応できることから、利用顧客の満足度向上にもつながります。

ここでは、IVRの利用場面と用途について詳しく解説します。

利用場面用途
企業のコールセンター問い合わせ内容ごとに適切な窓口へ振り分ける
病院・クリニック診察予約やワクチンに関する電話を自動で対応
宿泊・ホテル施設宿泊予約や予約変更の電話を自動で対応
宅配業者荷物の再配達依頼をボタン操作で受付
災害情報の発信災害情報の提供や安否情報を自動音声で伝達

企業のコールセンター

IVRは顧客に対して、「予約に関するお問い合わせは1を」「契約に関するお問い合わせは2を〜」など、プッシュボタンによる操作を促します。これにより、問い合わせ内容ごとに適切な窓口へ振り分けるのが最も一般的な活用例です。

振り分けられた問い合わせ内容を分類したうえで、人による対応でなくても解決できるものは何種類かの方法で自動対応ができます。また、24時間対応で効率的な返答が可能です。

顧客への発信にも利用可能

IVRでは、顧客リストなどを基に自動で電話をかけることも可能です。例えば、企業のコールセンターでは、商品やサービスの宣伝・キャンペーンの告知にIVRの自動発信機能を使用しています。

自動音声で広範囲に向けた営業が可能になることで、営業活動における業務の効率化やリソースの削減が見込めます。さらに、応答した顧客の情報を収集することもでき、その後の営業活動にも役立ちます。

病院・クリニック

医療・看護の現場においては、診療中の多忙な時間帯に電話の対応に追われ、来院している患者を待たせしてしまうといった課題が生じやすいです。人の対応が必要な電話以外はIVRの自動応対にすることで、スタッフの負担軽減や患者対応の効率化に役立ちます。

また、IVRでは診療日・診療時間の設定ができるため、診療時間内と診療時間外で自動音声の内容を自由に変更できます。電話内容は着信履歴から確認できるため、診療時間外の電話は翌日に折り返すといった設定も可能です。

そして、よくある問い合わせには、あらかじめ設定した自動音声テキストの読み上げで対応を自動化したり、着信した電話番号宛てにSMSで回答を送信したりすることで、人による電話対応を減らして業務を効率化できます。

宿泊・ホテル施設

IVRは、旅館やホテルなどの宿泊施設における電話予約の受付でも活用ができます。電話予約では、従業員が手動で顧客情報を入力し、顧客に再度予約内容の確認が必要です。

しかし、IVRを導入すれば、自動音声案内に従って顧客自身に情報を入力してもらい、音声で予約内容を確認してもらえます。

例えば、電話予約の際、顧客が自動音声案内に従って予約情報(滞在日程・宿泊人数・宿泊プラン・連絡先)を入力します。情報入力が終了すると確認メッセージが流れ、顧客は入力情報を確認できます。

‍IVRを導入することで、予約受付業務の効率改善につながり、自動音声ガイドによって顧客情報の入力ミスや漏れが少なくなるため、正確な情報を得ることが可能です。顧客にとっても、短い待ち時間でスムーズに予約手続きを完了できます。

宅配業者

多くの人に利用経験があるものとしては、宅配便の再配達受付サービスが挙げられます。留守中に荷物を受け取れなかった場合、専用ダイヤルへ電話をかけ、荷物の問い合わせ番号と再配達の希望日時を入力すれば、再配達の依頼が自動で行えます。

利用者側は配達担当者とのやり取りが不要なため気軽に電話でき、宅配業者側は電話の応対や配達担当者へ連絡する手間が省けるのが大きなメリットです。

災害情報の発信

IVRは、地域の災害情報の発信にも活用されています。突然の大雨・台風・地震といった災害が発生すると、各地方公共団体の問い合わせ窓口が混み合い、対応が困難な状況に追い込まれることがあります。

しかし、IVRを導入していれば、災害情報の発信を自動化できるため、24時間対応が可能です。電話回線がつながれば情報を得られることから、停電のときでも利用できる可能性が高く、災害時に重要な情報伝達手段となります。

IVRシステムの導入メリット

オペレーターが不足していると、問い合わせの対応に時間がかかり、顧客に余計なストレスを与えてしまうこともあります。IVRの導入で、人材不足でもスムーズな対応が可能となるため、顧客と企業の両者にとってメリットが大きいです。

ここでは、IVRを導入するメリットについて詳しく解説します。

顧客カスタマー担当者経営者
・情報漏洩リスクの低減・業務を効率化できる・コスト削減ができる
・待ち時間が少なくなる・顧客満足度の向上につながる

【顧客側】情報漏洩リスクの低減

IVRは、オペレーター対応に比べてセキュリティ性が高いです。電話番号・住所・生年月日などの個人情報、住民票コード・口座番号といった機密情報をオペレーターに知らせる必要がないため、情報流出のリスクを低減できます。

また、オペレーターの聞き間違いや入力ミスによるトラブルも防ぎつつ、スムーズに安心して使用できるのもメリットです。

【顧客側】待ち時間が少なくなる

IVRは、契約内容の変更や予約など、顧客からの問い合わせを目的に応じて振り分けることができます。オペレーターの対応が必要ないものは自動応答で解決できるため、顧客の待ち時間の短縮が可能です。

さらに、オペレーターが電話に出られない場合は、折り返し電話の案内が流れる場合があります。顧客は電話をつないだままオペレーターにつながるのを待つ必要がなくなり、顧客満足度の向上に期待できます。

【カスタマー担当者】業務を効率化できる

顧客からの問い合わせ内容次第では、すべての対応を自動化できるため、対応するオペレーターの負担軽減が可能です。これにより、オペレーターが少なくても対応できるようになり、人手不足の解決にも役立ちます

また、よくある問い合わせなどにIVRを対応させることで、業務効率の改善もできます。

オペレーターの負担が軽減する

IVRを導入することで、問い合わせ内容によって応答を自動化できるため、人が対応すべき電話応対数が減り、オペレーターの負担が軽減されます。その結果、優先度の高い案件へ効率的にリソースを割り振ることが可能です。

さらに、電話をかけた際にすぐに自動で受付してくれる、用件ごとに適切なオペレーターにつながり、たらい回しや同じ説明をする手間が省ける、問い合わせ時間の短縮ができるなど、利用者側にとってもメリットが大きいです。

案内ミスなどを防げる

利用者からの電話の中には、オペレーター対応が不要な問い合わせがあります。例えば、解約・退会の届出やイベントへの参加申込みなどは、前もってIVRで自動対応を設定しておけば、利用者側のボタン操作だけで処理ができます。

人による対応・自動対応を選別するシステムを設定しておけば、オペレーターの作業負担が軽くなるだけでなく、聞き間違いによるミスや案内ミスを未然に防ぐことが可能です。

【カスタマー担当者】顧客満足度向上につながる

IVRの導入により、利用者側はスムーズに担当者へつないでもらうことができます。保留時間が短縮されることで、利用顧客の満足度向上につながりやすいです。

問い合わせをした利用者にとって最も不愉快なのは、電話のたらい回しを受けることです。IVRを導入すれば、担当者へスムーズに顧客情報・問い合わせ内容が転送されるため、利用者の不満は解消され、顧客満足度を高められます。

応答率が上がる

顧客一人ひとりに対し、いつでもオペレーターがすぐに対応できるのが理想ですが、人手不足が深刻な企業においては実現が難しいでしょう。IVRの場合、簡単な問い合わせならシステムが対応できるため、対応可能な案件が増えて応答率が上がります

また、従業員は顧客と直接話す場面が減り、精神的なストレスの軽減が見込めます。さらに、顧客側は待たされることなく簡単に問題を解決でき、安心して利用しやすいです。

スムーズに折り返しの電話ができる

IVRの中には、留守番電話に似た機能を持つ製品があります。オペレーターが対応できなかった着信や営業時間外の着信の場合に、折り返し連絡する旨を自動音声で伝えることができます。

こういったスムーズな顧客対応の提供により、顧客満足度や顧客推奨度の改善につなげることが可能です。

営業時間外でも自動音声で応対できる

IVRの導入により、24時間365日応対が可能になります。電話応対のために人を雇用すると人件費がかかり、電話代行サービスの利用においても、土日祝日や深夜早朝には割増料金が発生しやすいです。

しかし、IVRシステムであれば、24時間の電話対応でも月額数千円といった低コストで抑えられます。顧客によっては、深夜早朝など、営業時間外でないと時間が取れず、なかなか電話ができないといったケースも考えられます。

IVRであれば、営業時間外の問い合わせにも対応でき、電話の未着信を防ぐことが可能です。

【経営者】コスト削減ができる

IVRの導入によって対応時間や処理速度が向上し、社内業務の効率化を図れます。多数の問い合わせにもスムーズに対応できるため、顧客満足度の改善、従業員による業務の手間削減にもつなげられます

その結果、人件費・研修費用・オフィスの光熱費などの経費削減が可能です。また、IVRは24時間受付可能であり、着信情報や顧客の入力情報の登録・処理が迅速に行えるため、オペレーターでの処理より効率的かつコストも抑えられます。

人件費などのコスト削減ができる

企業規模に関わらず、問い合わせが多いサービスや商品の場合、スタッフの数を増やす必要があります。しかし、コスト面から人材の確保が難しい企業も多く、課題の解決に向けたIVRの導入が有効です。

IVRは多数の問い合わせがあっても、問い合わせ内容によって自動化できるため、限られたオペレーター数でも対応が可能になります。多くの人員を必要とせず、経費の大幅な削減に期待できます

IVRシステムの導入デメリット

IVRを導入することで多くのメリットが得られる反面、リスクも把握しておかないと導入時にデメリットが生じる可能性もあります。ここでは、代表的なデメリットを解説します。

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顧客にストレスを与えるリスクがある

顧客にとっての必要な情報が自動音声の終わり際に読み上げられる場合は、最後まで音声を聞かないと次の段階に進めません。顧客はなかなか答えにたどり着けず、ストレスを感じることもあるでしょう。対策としては、簡潔な音声ガイダンスの作成が不可欠です。

また、音声の読み上げスピードやリズムも細かく調整する必要があります。そして、ボタンの押し間違いなどの対策として、ガイダンス中にボタンの入力ができるようにしたり、ボタンプッシュの分岐数を可能な限り少なくしたりすることも大切です。

初期費用や維持費などコストがかかる

IVRの導入では、初期費用と月々の維持費がかかります。導入するシステムの種類や規模によって異なりますが、初期費用は10万円〜50万円程度、維持費は2万円〜が相場です。

特に、大きな費用がかかるのは、ビジュアル型のIVRを導入する場合です。ビジュアルIVRの導入費用は、コスト削減できる分を超える支出が発生するケースもあるため、導入前には費用対効果をよくシミュレーションしておく必要があります。

IVRシステムを選ぶ際のポイント

種類や導入形態が異なるさまざまなサービスが用意されているIVRは、費用面だけを捉えて選定の基準にするのではなく、用途に対応した適切なサービスの選定が重要です。ここでは、IVRシステム選定時のポイントを解説します。

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自社の目的と合っているか

IVRを導入する際は、自社が求める機能が搭載されているか確認しましょう。IVRの提供会社は多数あるため、基本動作・録音・注文受付など、IVRの機能が自社において必要とするシステムに適合しているか確かめる必要があります。

自社に適合しないIVRを導入すると、効率的な利用が難しくなり、新たな機能の追加費用が発生します。また、機能が限定されているIVRは安価で利用可能ですが、他の機能が使用できず使い勝手が悪いケースも考えられるため、自社の求める機能を明確にしましょう

ユーザーが利用しやすいガイダンスを設定できるか

IVRを導入する場合の注意点は、 自動音声ガイダンスの内容がわかりやすかどうかです。自動音声ガイダンスによるセリフの言い表し方がわかりづらいと、顧客がどのような操作をすればいいのか迷ってしまい、不満を抱きかねません。

顧客がシステムを操作する際に迷わないようにするため、操作がしやすく、音声ガイダンスが理解しやすいシステムを選ぶことが大切です。

他のシステムと連携できるか

コンタクトセンターなどにおいて、すでに稼働しているシステムとうまく連携できるかどうかも、事前に確認が必要です。CRMシステム・チャット・FAQなどとの連携機能が充実した製品であれば、利便性と効果がさらに高まります。

例えば、ビジュアルIVRでの操作履歴をCRMに記録できれば、オペレーターに接続された場合に質の高い対応が可能です。既存のシステムと相性のいい製品を選ぶことが、IVRの有効活用につながります。

サポート体制が充実しているか

IVRのサポート体制も重要な選択肢の1つです。仮に、導入後のサポート体制が確立されていない場合、故障や不具合などのトラブル時に困窮してしまいます。レスポンスが悪かったり、回答が遅かったりするIVRは、緊急の際に活用できません。

サービスに限定したサポートが受けられるケース、操作方法も含め利用方法の提案までしてくれるケースなど、各会社の特性があります。なお、サポートは24時間365日受けられないことも多いため、必ず営業時間・休日のサポート体制も確認しておきましょう。

費用対効果が見合っているか

IVRの料金体系は、主に初期費用・月額費用・オプション費用で構成されます。オンプレミス型であれば、保守・修理も自社で行う必要があるため、これに伴う費用も発生します。機能性が豊富であったり利用人数が増加したりするほど、費用が高くなるのが一般的です。

企業がIVRを導入する際には、実質的な費用だけで比較するのではなく、自社にとって費用対効果が高いシステムの選定が求められます。自社が求める要件を明確にし、最適な料金プランが用意されたシステムを選定しましょう。

導入から運用までの期間は間に合うか

IVRシステムの導入から運用までに要する期間は、システムごとに異なります。運用開始までの期限が決まっている場合は、導入から運用までの期間を逆算して考えましょう。

オンプレミス型は環境構築に時間がかかりますが、クラウド型は比較的迅速に導入できます。ただし、すぐに使用できるIVRシステムは、自社で設定しなければならない項目が多いことも想定されます。

運用開始時期と設定の手間を考慮して、どちらを優先するか検討しましょう。

まとめ

社内にIVRを導入することで、情報漏洩リスクの低減や業務の効率化、顧客満足度の向上、コスト削減などのメリットが得られます。しかし、顧客にストレスを与えるリスクがあったり、初期費用や維持費などのコストがかかったりするデメリットも存在します。

自社の目的と合っているか、ユーザーが利用しやすいガイダンスを設定できるか、他のシステムと連携できるか、サポート体制が充実しているかなどに留意して、適切なIVRを選定・導入し、社内業務の効率化に努めましょう。

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