車両管理にGPSは必要?社用車にGPSを搭載するメリットを解説

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  • 定員が11人以上の車両1台、もしくは5台以上の車両の保有で社用車管理が義務になる
  • 社用車管理を行うことで、従業員の私的利用を防止し、ガソリン代の削減に繋がる
  • 社用車管理を行う際は、安全運転管理者の選任と届出をしないと、罰金等のリスクがある

企業で保有している社用車の台数によって、車両管理は義務化されます。社用車管理は、事故リスクの防止や売上の向上などのために重要な業務です。本記事では、社用車管理の業務内容や社用車管理をする際のポイント・注意点などを解説しています。

目次

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  1. 社用車とは
  2. 社用車管理の業務内容
  3. 社用車管理を行うメリット
  4. 社用車管理の際は安全運転管理者の選任が必要
  5. 社用車管理を行う際のポイント
  6. まとめ

社用車とは

社用車とは、企業が業務上で使用する車両のことです。購入により社用車を保有する場合もあれば、リース契約やレンタカーなどを使用する場合もあります。社用車は業務におけるさまざまな目的で使用され、企業が管理を行うという特徴があります。

社用車の設置は、取引先企業への訪問や荷物の運搬などの利便性を向上させます。また、輸送料や交通費を削減できるというメリットも得られます。企業が社用車を使用する際は、安全性や利用条件などに注意し、適切な車両管理を心がけましょう。

社用車の種類

社用車は、用途や目的に応じていくつかの種類に分類されます。ここでは、営業車・商用車・役員車の3つを取り上げ、それぞれの概要について解説します。

営業車

営業車とは、企業の営業活動に使用される車両のことです。営業車は主に営業担当者による企業訪問などに使用され、サンプル品やパンフレットなどの運搬にも用いられます。取引先の目に触れるため、企業名やロゴなどを入れ、プロモーションに使用する場合もあります。

なお、タクシーやトラック運送などの自動車運送業者が事業に使用する車も、営業車と呼ばれます。

商用車

商用車とは、ビジネスにおいて使用されるさまざまな車両の総称です。そのため、社用車や営業車も商用車に含まれる場合があります。一般的には、貨物輸送を行うトラックやバンに加え、旅客輸送に使用するタクシーやバスなどに対して用いられます。

また、土木建築業界で使用されるダンプカー・ショベルカー・ミキサー車なども商用車に該当します。救急車をはじめとする特殊車両も社用車に分類されるため、さまざまな自動車が含まれるのが特徴です。

役員車

役員車とは、会社役員が使用する社用車のことです。役員車は役員の移動や企業における重要人物の送迎などに用いられるため、営業車よりもラグジュアリーな車種が選択される傾向があります。

役員車は企業イメージに影響を及ぼすため、取引先との関係性や利用目的に応じて適切な選択が求められます。また、役員自らが運転した場合の事故リスクを回避するため、役員車専属の運転手を採用している企業も多いです。

社用車管理とは

社用車管理とは、企業が所有する社用車に対して適切な管理を行うことです。その業務内容は多岐にわたり、車両・ドライバー情報の管理や運転日報の作成、車両の定期的な点検、事故発生時の対応、運行管理などがあります。

業務範囲や管理内容の膨大さから、適切な管理に多くの時間と手間を要することが課題です。また、社用車管理においては、一定の条件に基づき運転日報の作成が法律で義務付けられているなど、法的な面でも注意点があり、適切な管理が求められています。

参考:道路交通法施行規則|e–Gov法令検索

一定台数の車両を保有している場合、社用車管理は義務である

企業が一定台数の車両を保有している場合、安全運転管理者の選任および社用車管理の義務が発生します。社用車管理義務が発生する条件としては、乗車定員が11名以上の自動車を1台以上、またはその他の自動車を5台以上保有した場合と定められています。

この基準は企業全体に対してではなく、事業所単位で適用されます。そのため、複数の事業所に社用車を設置している場合は、それぞれの拠点における社用車の台数によって判断を行う点に注意が必要です。

参考:安全運転管理者制度の概要|警察庁

参考:道路交通法施行規則|e–Gov法令検索

社用車管理の業務内容

社用車管理の業務内容は、主に車両の管理・ドライバーの管理・運行管理の3点です。ここでは、それぞれの業務内容について項目ごとに解説します。

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社用車管理の業務内容

  1. 車両の管理
  2. ドライバーの管理
  3. 運行管理

車両の管理

社用車管理においては、車両に関連する管理やメンテナンスが不可欠です。社用車の管理が不十分だと、労災事故やコンプライアンス違反などのリスクが発生するため、適切な管理を行いましょう。

社用車の車両管理では、車両管理台帳の作成や車両管理規定の管理などの業務が発生します。また、自賠責保険をはじめとする各種保険への加入や更新の手続きに加え、車検の更新なども行う必要があります。

車両管理業務では、車両本体の状態を正確に把握し、車両台数や使用状況を管理することが重要です。さらに、定期的な点検を実施し、従業員の安全管理に努めましょう。

参考:道路交通法施行規則|e–Gov法令検索

ドライバーの管理

社用車管理には、ドライバーの管理も含まれます。運転者台帳の作成や社用車の使用許可の管理に加え、ドライバーの運転免許証の期限切れをチェックしたり、安全運転教育の実施などを行います。

ドライバー管理を適切に行えていないと、業務上の事故が発生した際、会社側の管理責任を問われる場合があります。運転に慣れた従業員であっても、定期的な確認・教育を実施し、人的な事故の防止に繋げましょう。

運行管理

運行管理とは、社用車を使用するスケジュールや、利用状況などを取りまとめる業務です。どの社用車がどれくらい使用されているかを把握し、稼働率の調整を行います。また、限られた台数の社用車を無駄なく使用するために、運行計画の作成を行う場合もあります。

適切な運行管理を行うことで、社用車の不正利用を監視し、迅速な対策をとることができます。また、社用車の過不足を把握し、適切な社用車の台数を把握できる効果も得られます。

社用車管理を行うメリット

社用車管理によってさまざまなメリットが得られます。車両トラブルによる事故や私的利用を防止するほか、営業売上の向上などに繋がる場合もあります。ここでは、社用車管理によるメリットについて解説します。

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車両トラブルによる事故リスクの回避

適切な車両管理によって車両が安全な状態に保たれるため、車両トラブルによる事故のリスクを回避できるというメリットが得られます。社用車による車両事故は企業の社会的な信用を低下させ、従業員自身が怪我をしてしまう恐れもあるため、車両管理を徹底しましょう。

車両トラブルは定期的な点検により事前に防止することができ、事故が起こってから修理する場合に比べてコストも抑えられる場合が多いです。乗車前に簡単な点検を実施するよう、従業員にも周知しておくのが望ましいでしょう。

社用車を使用する従業員は単独で運転を行うことも多く、直接の指導ができない場合がほとんどです。そのため、事故を回避するためには、運転技術以外の部分を最適化しておく必要があります。

従業員の私的利用の防止

車両管理が不十分だと、どの社用車を、いつ・誰が・何の目的で使用したかを把握することが難しくなります。これにより、社用車の利用状況が曖昧になり、私的利用が発生するリスクが高まります。

車両管理によってこれらの情報を正確に把握することで、私的利用が難しくなります。私的利用によって車両の消耗やガソリン代などのコストがかかるため、私的利用を防ぐことでコストを削減できるというメリットもあります。

企業によっては営業車などの私的利用を容認しているケースもありますが、その場合も利用状況はきちんと把握しておくことが望ましいです。社用車の私的利用を禁止する場合は規定を設置し、従業員への情報共有を行いましょう。

営業売上の向上に繋がる

社用車を営業に使用する際は、社用車管理によって営業売上の向上が見込めます。適切な営業ルートの作成・共有によって移動効率が上がり、より重要な業務に時間を使うことが可能です。

また、社用車の走行ルートを従業員に任せている場合、担当者によって業務のばらつきが生まれます。社用車管理の一環として、適宜ルートの見直しを実施しましょう。

社用車管理の際は安全運転管理者の選任が必要

社用車管理を行う際は、安全運転管理者の選任が必要です。安全運転管理者を選任しなかった場合には罰金などのリスクもあるため、安全運転管理者の選任条件を確認し、適切な対応を行いましょう。ここでは、安全運転管理者について項目ごとに解説します。

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安全運転管理者とは

一定の台数の社用車を保有する企業においては、安全運転管理者の選任が義務付けられています。また、安全運転管理者の業務として、企業における安全運転の方針策定や状況の把握を行うほか、安全運転を行うための指導などが定められています。

企業における社用車の保有台数が20台以上の場合は、安全運転管理者に加えて、副安全管理者の設置が必要です。さらに、社用車の台数が40台を超過した場合、20台ごとに1人の副安全管理者を選任しなければなりません。

参考:安全運転管理者制度の概要|警察庁

安全運転管理者の選任条件

安全運転管理者を選任する際は、「20歳以上かつ自動車の運転管理に関する2年以上の実務経験を有する」という条件を満たす必要があります。また、以下の欠格事項に該当する場合は選任できない場合もあるので、内容を確認の上、選出を行いましょう。

  1. 過去2年以内に都道府県公安委員会による安全運転管理者等の解任命令を受けた者
  2. 酒気帯び運転・麻薬等運転をはじめとする各種違反行為から2年経過していない者
  3. 酒気帯び運転・麻薬等運転をはじめとする違反を下命・容認してから2年経過していない者

参考:安全運転管理者制度の概要|警察庁

安全運転管理者の選任・届出をしなかった場合のリスク

安全運転管理者・副責任者を選任した際は、選任した日から15日以内に都道府県公安委員会への届出が必要です。また、安全運転管理者・副責任者の選任や届出を行わなかった場合には、道路交通法に基づき50万円以下の罰金が課せられるというリスクがあります。

また、選出された安全運転管理者・副責任者が一定の違反行為を行なった場合や、公安委員会によって職責を果たしていないと判断された場合には、解任される場合があります。

一度解任されると、その後2年間は安全運転管理者・副責任者に選任することができないため、注意が必要です。

参考:安全管理者等の選任義務|安全運転管理者等法定講習|警視庁

社用車管理を行う際のポイント

社用車管理を行う際は、車両管理規定や車両管理台帳の作成が求められます。管理においてはさまざまな業務が必要となるため、車両管理システムの導入も効果的です。ここでは、社用車管理を行う際のポイントについて解説します。

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車両管理規程の作成

車両管理規定とは、従業員が社用車を利用する際のルールを定めた規定のことです。車両管理規定には、安全運転のための管理体制や安全運転管理者の選任、使用者責任の範囲など、さまざまな項目を記載する必要があります。

車両管理規定は、社用車のルールを定める上で重要な規定です。車両管理規定の設置により、安全運転管理の体制が明確になります。また、従業員が事故を起こした際の損害賠償の範囲を定義し、賠償のリスクを回避する効果が得られます。

車両管理台帳の作成

車両管理台帳とは、社用車の管理を行うためのさまざまな情報を記載した台帳のことです。法的に定められた書式はありませんが、一般的には車両を特定するための車種・色・ナンバーなどの情報に加え、車両本体の状態や、加入保険の内容などが記載されます。

車両管理台帳の作成によって、車両の状態を正確に把握し、必要な対策に繋げることができます。また、点検や修理に必要な予算の策定や、点検スケジュールの最適化などが可能になります。

車両管理台帳とは?作成のメリットや記載する項目、作成方法などを解説

車両管理台帳とは、企業が使用する車両の使用状況や保険を管理するための台帳です。車両管理台帳の作成で、コストの削減にも繋がります。本記事では、車両管理台帳の必要性や作成するメリット、車両管理システムの選び方などを解説しています。

車両管理責任者の決定

車両管理責任者の決定は法律で定められたものではないため、前述した安全運転管理者とは異なる役職です。車両管理責任者は、主に車検やオイル交換、メンテナンスのタイミングなど、車両が安全に使用できるように保つ役割を担います。

車両管理責任者の決定は任意ですが、適切な社用車の管理のためには担当者を決めることをお勧めします。企業によっては、安全運転管理者が兼任して担当しているケースも見られます。

車両管理システムの導入

車両管理システム(社用車管理システム)とは、社用車のさまざまな情報を一元管理し、社用車管理の効率化を支援するためのツールです。

車両管理システムの導入によって、社用車の状態を適切に把握し、ドライバー管理やコスト削減などの業務をスムーズに行えるというメリットが得られます。

社用車管理にはさまざまな業務が含まれるため、多くの手間と時間を要し、紙や表計算ソフトなどによる管理が困難なケースが多く見られます。車両管理システムでは、車両管理に必要な情報を集約できるため、正確で効率的な社用車管理が実現します。

車両管理システムとは?機能やメリット・デメリットを解説!

車両管理システムとは、企業が保有する社用車の管理ができるシステムです。営業車や技術車、他にも業種によって社用車を保有している企業は多くあります。この記事では、車両管理システムの機能やメリット・デメリット、選び方などを解説していきます。

まとめ

企業が社用車を使用する際は、保有台数に応じて車両管理義務が発生します。社用車管理の業務内容には車両の管理・ドライバーの管理・運行管理などが含まれており、適切な管理によって事故の回避やコスト削減などの効果が得られます。

社用車管理の実施にあたっては、安全運転管理者の選任が必要です。保有する社用車の台数が多い場合は、さらに副責任者の選出が求められます。安全運転管理者・副責任者の選任には一定の条件が定められているため、適切な選任を行いましょう。

社用車管理においては、車両管理規定や車両管理台帳の作成が必要です。これらの業務は重要なものですが、管理方法が複雑で負担となる場合もあります。車両管理システムの導入により、正確で適切な社用車管理を目指しましょう。

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