経費精算とは?精算できる費用や経費精算のやり方を詳しく解説

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  • 経費精算とは、交通費や宿泊費など従業員が業務を行う上で支払った経費を払い戻すこと
  • 消耗品費や旅費交通費などは経費精算可能だが、法人税やスーツなどは精算できない
  • 業務を効率化するには、経費精算に関するルールの策定や経費精算システムの導入が有効

経費精算とは、交通費や宿泊費など従業員が業務を行う上で支払った経費を精算し、払い戻すことを言います。本記事では、経費精算の種類や流れ、経費精算できる費用とできない費用、経費精算業務を効率化するための方法について解説しています。

目次

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  1. 経費精算とは
  2. 経費精算の種類
  3. 精算できる費用とできない費用とは
  4. 経費精算のやり方・流れ
  5. 経費精算業務を効率化するには
  6. まとめ

経費精算とは

経費精算とは、交通費や宿泊費・会議費など、従業員が業務を行う上で支払った経費を払い戻すことをいいます。経費精算をするためには、経費申請書と領収書などの憑依書類の提出が必要です。

経費精算の一般的な流れは、経費代金を立替えた従業員が経費申請書を提出します。その後、申請書の内容に誤りがないか、上司や経理担当などが確認し、申請書と内容が承認されれば、従業員に払い戻されるという流れが経費精算の一連のフローです。

経費精算は、事業に必要な経費なのかを証明するための非常に重要な処理なので、適切に行わなくてはなりません

経費とは

経費とは、事業で使用するための費用のことをいいます。財務会計における用語の「経常費用(けいじょうひよう)」を省略して、経費と呼ばれています。

会社の財務会計では、収益から費用を差し引いて利益を計算します。経費は費用の一部なので、収益から経費を差し引くことができます

つまり、課税対象となる所得金額を減らすことができるため、事業税や所得税などの節税対策になります。ただし、経費として計上できるものとできないものがあるので注意が必要です。

たとえば、出張で利用する際の新幹線代やホテル代は事業に必要な費用なので、経費となります。「事業の運営に関わるかどうか」が経費になるかならないかの判断基準となるため、経費計上の際は注意しましょう。

経費と費用の違い

経費と費用は似た意味がありますが、支出の範囲に違いがあります。費用とは、会社が支出したすべての支出を表していて、範囲が広いのが特徴です。具体的には、人件費・材料費・減価償却費など、さまざまなものがあります。

一方で、経費は事業に使用するための費用を表していて、売上に直接結びつくものや、事業を行う上で必要なものなどが経費としての判断基準となります。簡単にまとめると、費用の中に経費が含まれるというイメージです。

経費精算の種類

経費精算には、大きく分けて小口精算・交通費精算・旅費精算の3種類があります。ここからは、それぞれの経費精算について解説します。

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経費精算の種類

  1. 小口精算
  2. 交通費精算
  3. 旅費精算

小口精算

小口精算とは、少額の経費を社内の小口現金で精算する処理のことです。小口現金とは、電車代や駐車場など細々とした経費の支払いに使われる少額の現金を指し、部署や店舗ごとに管理している企業が多い傾向にあります。

小口精算は、本社などの経理部に出向く手間を減らすことができるのがメリットです。ただし、小口現金の残高に差異がないかどうか、毎日チェックする必要があります。

交通費精算

交通費精算とは、公共交通機関の料金やタクシー代など、通勤や営業の訪問先などの移動にかかった交通費を精算する処理のことです。領収書などの証明する書類がない場合でも、交通ルートや運賃などを申請することで、交通費として精算できる場合もあります。

申請の方法は企業によって異なり、「最短ルートの料金のみ支払う」などのルールが定められている場合もあります。事前に自社の交通費のルールについて確認しておきましょう。

旅費精算

旅費精算とは、遠方への出張の際に移動や宿泊などでかかった費用を精算する処理のことです。具体的には、出張先への新幹線代・飛行機代などの交通費や、出張先でのホテル代・食事代などが挙げられます。

旅費に関しては、各企業でルールや金額の上限などが設定される場合があります。飛行機や新幹線などを伴う出張の場合は、比較的大きな金額となるため、振込などで精算されることもあります。

精算できる費用とできない費用とは

経費には、精算できる費用とできない費用があります。経費として計上できると思って購入しても、実はできなかったというミスを防ぐために、どのような支払いが経費として認められるのか、確認しましょう。

精算できる経費

基本的に業務に必要な費用は経費として認められ、精算が可能です。ここからは、精算できる経費を具体的に解説します。

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消耗品費

消耗品費とは、事務用品や日用品などの日々使用することで消耗するものを購入した際の費用です。国税庁では、使用可能期間が1年未満で、取得価格が10万円未満のものと定義しています。

ただし、「少額減価償却資産の特例」の対象となる中小企業は、30万未満の減価償却資産の取得価格も経費計上できる場合があります。

具体的には、コピー用紙・プリンターのインクカートリッジ・文房具・トイレットペーパーなどが挙げられます。オフィスチェアや棚などといった備品でも、10万円に満たない場合は、消耗品費として経費計上することが可能です。

旅費交通費

旅費交通費とは、遠方への出張などでかかった交通費や宿泊費などに支払った費用です。旅費交通費は、大きく分けて出張費・海外渡航費・転勤費用の3種類があります。

出張費とは、出張先への新幹線代・航空券代・宿泊費・食事代出張手当などが挙げられます。これらの費用は、原則出張先でかかった費用のみが支給対象です。

海外渡航費は、海外出張などの際にかかる移動費や宿泊代・出張手当などが挙げられます。同伴する家族などの渡航費用は、通訳などの業務に必要な同伴と認められない限り、同伴する家族にかかる費用は旅費交通費として認められません。

転勤費用とは、転勤のために会社が負担する引っ越し費用です。転勤時の引っ越し費用・敷金・礼金・仲介手数料などを会社が負担してくれる場合があります。転勤費用の負担の範囲は、就業規則などで定められている場合が多いため、事前に確認しておきましょう。

新聞図書費

新聞図書費とは、事業に必要な書籍や雑誌、新聞を購入する費用です。事業のために必要な知識を勉強するための書籍や雑誌、来客したお客様用の雑誌などを新聞図書費として計上できます。

また、紙媒体に限らず、電子書籍や雑誌のサブスクリプションの購読料なども新聞図書費に該当します。ただし、事業に必要ない書籍などは経費計上できないため、しっかりと線引きをしましょう。

研修費

研修費とは、講習やセミナーなど業務内容に関わる研修を行うための費用です。また、業務内容に関係する免許や資格などを、従業員に取得させる費用も研修費に該当します。

他にも研修で必要になった食事代や宿泊費も研修費として計上できます。ただし、会社によって旅費交通費で処理する場合もあるため、自社の仕訳方法に合わせましょう

飲食接待費

飲食接待費とは、取引先などの接待でかかる飲食代などの費用です。得意先や仕入れ先など、事業の関係者に対する接待や接待時のお土産代が該当します。

飲食接待費の具体例としては、取引先を従業員が接待した場合の飲食代、取引先との飲食後の飲食店でのお土産代などの費用が挙げられます。

そのため、社内で行う食事や飲み会などの飲食費や、取引先などとのゴルフや観劇などの催事費用は、飲食接待費には該当しません。社内の飲み会は福利厚生費、お中元やお歳暮などは接待交際費などとして、別の方法で経費計上を行うので注意しましょう。

飲食接待費は、領収書などの保管が必要で、特定の事項を帳簿書類に記載しなければなりません。具体的には、参加した得意先・参加した人数・飲食の日付・その飲食店の名称と所在地などを記載する必要があります。

福利厚生費

福利厚生費とは、企業が従業員のために利用する費用です。事業に直接関係ないものもありますが、従業員同士のコミュニケーションの円滑化やモチベーションアップなどのために使用できる経費です。

福利厚生費の具体例としては、慰労会や忘年会などのイベントの費用、健康診断の費用、従業員家族の慶弔見舞金などが挙げられます。

ただし、福利厚生費には要件があり、費用のすべてが経費として認められるわけではありません。支出する金額が高すぎないこと、現物給付でないこと、特定の従業員だけでなく、すべての従業員が利用できなければならないことなどが条件となります。

会議費

会議費とは、業務に必要な会議や打ち合わせにかかる費用です。社内の従業員のみで行う会議と、取引先など社外の人を含めて行われる場合の2種類があります。

具体的に計上できるものとして、会議場の費用や、プロジェクターやマイクのレンタル料、お茶やお弁当などの飲食代が挙げられます。

会議費の費用は、1人あたり5,000円が限度となります。これを超える場合は接待交際費として処理を行うので、注意しましょう。

交際費

交際費とは、取引先や仕入れ先などとの付き合いや交渉のために支払う費用です。取引先とスムーズな関係性を築くための接待費用は、厳密にいうと交際費ではありません。

しかし、交際費と接待費の区別が難しいことから、接待交際費としてまとめて処理する場合も多いです。

交際費の具体的な例としては、接待ゴルフの費用、取引先へのお中元やお歳暮、取引先へのご祝儀や香典費用、交流会などの参加費が挙げられます。前述で解説した「飲食接待費」とそれ以外の交際費で分けて考えると分かりやすいでしょう。

通信費

通信費とは、電話料金やインターネット料金、郵送代や切手・宅配便などの費用です。ただし、はがきや封筒などは消耗品費に分類され、電報は交際費となります。

また、個人事業主の場合、自宅と事業用で同じ契約を行っていることもあるでしょう。その場合は、自宅部分と事業部分で家事按分を行い、事業用の費用のみを計上しましょう。

精算できない経費

経費精算で注意したいのが、法人税や法人住民税など精算できない費用もあるということです。ここからは、経費精算ができない費用について解説します。

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精算できない経費

  1. 法人税・法人住民税
  2. 衣類

法人税・法人住民税

法人税・法人住民税は、費用として計上を行いますが、経費としては精算できません。なぜなら、法人税などの事業税は会社の所得に課せられる税金だからです。

また、個人事業主も所得税・住民税は、経費として精算できません。一般の人は、年間所得に対する所得税や住民税を支払っています。企業や個人事業主も同じような納税義務があり、経費精算は認められていません

衣類

スーツなどの衣類も、経費精算できない可能性があります。理由としては、プライベートで使用する機会も多いため、仕事用とプライベート用の線引きが難しいためです。

営業職や事務職など、毎日スーツを着て業務を行う場合は、スーツ代を経費として認められるケースがあります。ただし、スーツといっても値段やデザインは幅広いため、金額の上限・スーツの色など、企業によって規定が定められていることがほとんどです。

また、制服・作業服などの衣類は、業務に必要な衣類となるため、福利厚生費または消耗品費などで経費計上されます。

経費精算のやり方・流れ

ここからは、実際の経費精算のやり方・流れについて解説します。具体的な流れがイメージできないという方は、ぜひ参考にしてみてください。

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従業員が立替払いを行う

旅費交通費や交際費などの経費は、従業員が先に代金を立替払いを行う場合があります。立替払いとは、従業員が会社の費用を立て替えることをいいます。

従業員は立替払いを行ったら、会社から立替金を受け取るために、速やかに経費精算の申請を行わなければなりません。会計の都合上、月末は経理担当者が特に忙しくなるため、次に出社した日など早めに申請を行いましょう。

領収書をもらう・保管

経費の支払いを行ったら、必ず領収書をもらいましょう。経費として代金を支払った日付・場所(お店)・対象のものが何かが分かれば、レシートなどでも構いません。

領収書は、税務調査時に必要な取引の事実を確認するための証憑書類となります。申請が完了するまでは大切に保管しましょう。

経費精算書を作成する

社内ルールに従い、経費精算書を作成しましょう。精算書は、領収書の情報を基に、日付・支払先・勘定科目・内容・金額・担当者など、誤りがないように記入を行います。

本社と支店がある場合など、経理担当者に届くまで時間がかかる場合は、経費精算が承認されるまでに時間がかかる場合があります。そのため、差し戻しなどで払い戻しが遅れないように、2人体制などでダブルチェックを行うと良いでしょう。

経費精算書とは

経費精算書とは、経費の精算をするために必要な書類を指します。経費申請に決まった書式はなく、会社が独自に作成したフォーマットを活用しても、エクセルなどのテンプレートを活用しても問題ありません。しかし、社内では共通のフォーマットを使用しましょう。

経費精算書が適切に記載されており、上司・経理担当者などの承認を得ることができれば、経費申請が受理され、金銭の払い戻しを受けることができます。

経費申請のやり方もさまざまな方法があり、紙媒体で行う企業や、経費精算システムなどを使ってWeb上で経費申請を行っている企業もあります。

経費精算書の種類

経費精算書は主に3つに分類され、それぞれ経費の内容や用途によって使い分けが必要です。

  1. 仮払経費申告書:金額や使用目的が不明確な段階で事前に従業員に現金を渡す際に使用
  2. 仮払経費精算書:仮払の過不足を精算する際に使用
  3. 出張旅費精算書・旅費精算書:出張や社員旅行にかかった費用を採算する際に使用

先の2つはセットで使用されるもので、仮払経費申告書で事前に申告をしたら、経費の内容や金額が明確になった段階で仮払経費精算書を提出して精算する必要があります。どちらか1つだけ使用することはないと覚えておきましょう。

上長に承認を得る

経費精算書の記入ができたら、領収書と共に上長などに承認を得ます。内容に不備があれば、差し戻しや修正が必要になるため、不備がないことを入念に確認してから確認してもらいましょう。

上長が申請書を見ただけでは必要な経費か判断できない場合は、詳細を尋ねられることもあるため、答えられるようにしておきましょう。各企業の申請書の形式によって異なる場合もありますが、承認が通れば上長の押印をもらうという流れが多い傾向にあります。

経理に提出・承認

上長の承認後は、次は経理担当者へ提出します。本社などが別の場所にある場合は、週末や月末にまとめて精算のためにオフィスに行くこともあります。

申請書の記入内容に不備がないか、経費として認められるのか、上長からの承認が得られているかの確認などが行われます。経理担当者は、会社全体の経費精算を行っているため、できる限り速やかに経費精算を行うようにしましょう。

特に月をまたぐ経費は処理が大変な場合もあるため、月末付近に立替払いをした際は十分注意しましょう。また、経費精算は1ヶ月以内に行うなど、社内でルール化されている場合もあるので、事前に確認が必要です。

従業員に払い戻しが行われる

経理担当者の承認を得ることができたら、従業員に払い戻しが行われます。払い戻しは、その場で現金で行われる場合と、次の給料日などに振込で対応する場合などがあります。

申請をする従業員に関わる一般的なフローは以上です。会社によって、ルールや申請の仕方が違う場合もありますが、必要な書類・申請・承認・払い戻しの流れなどは、ほとんど変わりません。

出納帳に記録する

経費精算の最後に、経理担当には出納帳に記録を残す作業があります。ただし、出納帳に記録を残さなければならないのは、小口現金で経費精算が行われた場合のみです。

振り込みで精算が行われる場合は出納帳への記録は不要なので、最後のこの作業は会社によって要否が異なります。

経費精算業務を効率化するには

経費精算は、従業員が立替を行い、申請書の記入・承認・払い戻しなど、非常に手間がかかる業務です。しかし、経費精算業務を効率化する方法があります。ここからは、経費精算業務を効率化する方法について解説します。

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経費精算や経費精算書の書き方に関するルールを決める

経費精算は、経費精算の手順や経費精算書の書き方に関するルールを決めることで、業務が効率化できます。なぜなら、経費精算や書き方のルールが定まっていないと、やり方が分からず時間がかかる上に、記入ミスが増える可能性があるからです。

マニュアルなどを作成し、経費精算書の書き方が分かれば、参考にしながらスムーズに記入することができます。また、勘定科目が分からないという従業員も多いため、よく使う費用の勘定科目などが明記してあると、記入の際につまづくことも少なくなるでしょう。

さらに、差し戻しなどの手間を減らすためには、2重チェックなどのルール化も必要でしょう。経費精算においての課題を明確にし、それを改善できるようなルールを作ることが効率化するポイントです。

エクセルや紙から経費精算アプリやシステムに移行する

経費精算業務をエクセルや紙媒体を使用している企業は、経費精算アプリやシステムに移行する方法もおすすめです。エクセルや紙で申請する際は、申請書の記入・承認などの工程が多く、記入ミスなどのヒューマンエラーが起こりやすいのが課題です。

また、上長や経理担当者など最後の承認が下りるまで時間がかかるため、実際に従業員へ経費の払い戻しが行われるのが遅い場合もあります。領収書と申請書を手渡しで承認に回すことになるため、途中で紛失するというトラブルも起こりえます。

一方、経費精算アプリやシステムは、システム上で申請書の作成、承認者の承認などができるシステムです。エクセルや紙で管理する方法と違って、Web上で承認申請などができるため、経費精算の業務効率化が図れます

また、領収書の読み取り機能などもあり、申請作業の負担が軽減できます。会計システムなどとも連携ができ、自動仕訳などもできるため、経理担当者の業務の負担を大幅に効率化できるでしょう。

英語対応のシステムなら外国籍の従業員がいても業務に支障をきたすこともないため、経費精算業務を効率化したい企業やグローバルな企業は、ぜひ経費精算アプリやシステムの導入を検討してみてください。

まとめ

経費精算とは、交通費や宿泊費・会議費など従業員が業務を行う上で支払った経費を払い戻すことをいいます。経費精算ができる費用は、交際費や旅費交通費など多岐に渡ります。

経費は、適切に処理を行えば、法人税や所得税の負担を軽減できます。ただし、法人税や法人住民税など経費精算できない費用もあるため注意が必要です。

誤った経費精算を行うと、税務調査で引っかかる可能性もあるので、経費精算できる費用について確認しておきましょう。また、紙やエクセルなどで経費精算をする際、ヒューマンエラーが起こりやすかったり、紛失などのリスクがあったりするのが課題です。

このような課題改善や、経費精算業務を効率化するためには、経費精算のルールを決めたり、経費精算アプリやシステムに移行することがおすすめです。

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