コールセンターにAIを導入するメリット|活用方法・注意点も解説

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  • コールセンターにおける課題には、離職率の高さによる人手不足の慢性化などがある
  • コールセンターにAIチャットシステムを導入すると、営業時間外でも顧客対応が可能
  • コールセンターにAIを導入する際は、トラブル時の対応・責任の所在などを明確にする

コールセンターにおける課題には、人手不足や営業時間外には対応できないなどが挙げられます。そのような課題の解決には、AI搭載のシステムの導入がおすすめです。本記事では、コールセンターにおけるAIの活用方法や、AIを導入するメリット・注意点などを解説します。

目次

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  1. コールセンターにもAIの導入がおすすめ
  2. コールセンターにおける課題
  3. コールセンターにおけるAIシステムの活用方法
  4. コールセンターにAIを導入するメリット
  5. コールセンターにAIを導入する際の注意点
  6. まとめ

コールセンターにもAIの導入がおすすめ

AIとは「Artificial Intelligence」の略語であり、人が行うような知的な活動をプログラムで再現したシステムのことを指します。近年では自動運転や機器の制御、スマートスピーカーをはじめとした音声認識など、各業界でAIが活用されています。

コールセンターにおいても、AIは応対品質のばらつきや人手不足といった課題を解決する手段となります。具体的には、AIチャットボットによる自動回答や音声認識によるテキスト化、AIによる感情分析など、コールセンターの業務にもAIが活用されています。

コールセンターにおける課題

コールセンター業務は、顧客との窓口となる企業の重要な業務の1つです。しかし、従来のコールセンター業務はさまざまな課題を抱えており、顧客満足度向上や業務効率化の妨げとなっています。ここからは、コールセンター業務が抱える主な課題を解説します。

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離職率の高さによる慢性的な人手不足

コールセンターが抱える課題として、まず挙げられるのは慢性的な人手不足です。コールセンターには、顧客から日々さまざまな問い合わせがあり、オペレーターにはきめ細やかな対応が求められます。

そして、中にはきつい口調でオペレーターに対してクレームを入れる方もいます。このような職場環境であることから、オペレーターは精神的なストレスを溜め込みやすく、離職率が高い傾向にあります。

その結果、コールセンターは人手を補充しても定着率が低く、慢性的な人手不足状態に陥りやすく、オペレーターの入れ替わりが激しくなり応答品質の維持が難しいのが課題です

応対品質の標準化・高品質化が困難

コールセンターでは、定着率の低さによって新人のオペレーターに対する教育が標準化できず、応対品質の標準化が難しい課題があります。そして、オペレーターごとに応対品質にばらつきが生まれ、全体的な高品質化が困難であることも挙げられます。

オペレーターごとに応対品質に差があると、顧客からのクレームが増加し、自社に対する評価も低下しやすくなります。よって、継続日数や個々のモチベーションなどに左右されない応対品質の標準化が求められます。

優秀なオペレーターの育成が難しい

優秀なオペレーターの育成が難しいという点も、コールセンターが抱える課題です。新人社員を育成する際、自社の提供するサービス内容やビジネスマナーなどの教育には、少なくとも3ヶ月は要すると言われています。

そして、コールセンターは優秀なオペレータの育成が難しい環境にあります。それは、コールセンターにおけるオペレーター業務の離職率が高い傾向にあり、研修をしっかり行ったとしても早期に退職する社員が多く、研修の効果を得にくい環境だからです

また、優秀なオペレーターを育成するには、時間とコストもかかります。しかし、コールセンターの優秀なオペレーターが不足しているままでいると、一定の応答品質を満たせず、顧客からのクレームが増える可能性が高くなります。

営業時間外の対応ができない

通常のコールセンターでは、営業時間外の対応ができません。コールセンターに24時間の対応を求める顧客も多いですが、人手不足や人件費削減のために、24時間対応のコールセンターを設けていない企業が多いです。

ただし、コールセンターに営業時間を設けると、販売機会の損失が起こりえます。企業が定めた対応時間内で問い合わせができる方ばかりではないため、営業時間内に対応できないと、顧客と接触するせっかくの機会を逃がしてしまいます

コールセンターにおけるAIシステムの活用方法

コールセンターは、慢性的な人手不足、優秀なオペレーターの育成が難しい、営業時間外の対応ができないなどの課題を抱えています。しかし、AIはコールセンターの課題を解決する手段となる技術です。ここからは、コールセンターにおけるAIの活用方法を解説します。

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AIチャットボットによる自動応答

AIチャットボットシステムとは、質問に対して自動返答ができるプログラムのことです。AIチャットボットは、顧客の音声情報やテキストでの質問に対して、事前に用意してある回答から最適な答えを選び、自動で回答を行う仕組みになっています。

AIチャットボットを導入すると、コールセンターは顧客満足度向上とオペレーターの業務負担軽減につなげられます。また、コールセンターにAIチャットボットが設置されていれば、自らチャットボットに質問し、問題を自己解決しようとする顧客が増えます。

これにより、商品やサービスの不明点における自己解決率が高まり、コールセンターへの入電数が減少します。なお、AIチャットボットによる自動応答は、24時間365日稼働させることも可能です。

IVRによる対応窓口の自動振り分け

IVRとは、事前に用意した音声案内により、顧客を要件に応じた窓口へと振り分ける自動音声応答システムのことです。従来から利用されているIVRとAIを連携させることで、問い合わせに対してより高度な対応ができるようになります。

AI技術と連携させたIVRは、合成音声による対話と会話が可能で、顧客からの問い合わせにAIが対応することもできます。そのため、よくある質問に対してはIVRのAIが対応し、複雑な問い合わせには、オペレーターが対応するといったこともできます

また、簡単な質問にはAIが対応するため、オペレーターが直接問い合わせに回答する件数を減少させ、業務の負担を大幅に軽減できます。そして、AIと連携したIVRにはオペレーターの偏りを正す機能もあり、業務の効率化に寄与します。

ボイスボットによる自動顧客対応

ボイスボットとは、AIを搭載した自動音声応答システムのことで、電話の音声を音声認識と自然言語解析で処理し、問い合わせに対してAIが音声で応答する仕組みになっていますボイスボットを活用すれば、応対の省略化によって業務の効率化を実現できます

ボイスボットでは、運送業の集荷受付、飲食店やホテルの予約といった複雑な問い合わせにも対応可能なため、オペレーターが対応する問い合わせ件数の減少につながります。

また、ボイスボットをコールセンターに導入すると、顧客の利便性と満足度の向上にも期待できるでしょう。24時間365日稼働可能なボイスボットシステムを設置しておけば、利用者は都合に合わせていつでも問い合わせができるようになります。

AI音声認識によるテキスト化

AI音声認識とは、人の言葉や声をAIが解析し、テキスト化して出力するシステムのことです。AI音声認識を利用すれば、顧客とオペレーターの会話をリアルタイムでテキスト化できるようになります。

音声認識によるテキスト化は、コールセンターに応対品質向上と業務効率化をもたらします。AI音声認識を顧客管理システムと連携させれば、顧客とオペレーターの会話をテキスト化した情報から、顧客管理情報を呼び出して画面に表示することも可能です。

また、AI音声認識をFAQやトークスクリプトと接続し、商品やサービスの関連ページを表示することもできるため、オペレーターの対応時間を短縮できます。この機能を活用すれば、質問内容を音声認識でテキスト化し、応対履歴を自動登録することも可能です。

AIによる感情分析

AIによる感情分析とは、話し手の声色・声の大きさ・抑揚などをAIが解析し、対話相手の感情を読み取る技術のことを言います。コールセンターに感情分析の技術を導入すると、顧客満足度を向上させられるでしょう。

AIによる感情分析には、会話の中で感情の動きを読み取り、顧客の感情を視覚的に把握できるインジケーターが搭載されています

そして、顧客がストレスや不快感を感じている場合は、オペレーター・SV・品質担当者にアラートを表示する機能を搭載しているものもあります。

これにより、ストレスや不快感を強く感じている顧客には上席の者が対応するなど、不快感を極力軽減できるような応対が可能になります。また、AIによる感情分析では、オペレーターの声から感情を分析し、ストレスチェックをするといったこともできます。

コールセンターにAIを導入するメリット

AI技術はさまざまな企業で活用されており、コールセンターにおいても、AI技術を導入する企業は増加しています。ここからは、コールセンターにAIを導入するメリットを解説します。

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オペレーターの負担と人件費の削減

コールセンターにAIを導入すると、オペレーターの負担軽減と人件費の削減につながります。オペレーターは各々の問い合わせに電話で応対しつつ、顧客情報やマニュアルを確認しながら、顧客が納得できる回答をしなくてはなりません。

しかし、AIを搭載したチャットボットやボイスボットを活用すれば、オペレーターの応対件数を減らし、音声データのテキスト化やAIによる感情分析などのアシスタント機能も利用できます。

簡単な問い合わせをAIに任せることで、コールセンターの人員削減が可能であり、コスト削減にもつながります。また、オペレーターの業務をAIがサポートする体制を充実させれば、新人教育の期間を短くし、オペレーターの研修にかかる教育コストも削減できます。

サービスの質と顧客満足度の向上

コールセンターにAIを導入してサービスの質を高めることで、顧客満足度の向上を図れます。例えば、オペレーターの業務をサポートするアシスタント機能やIVRの振り分け機能などを活用し、それぞれの問い合わせにスムーズな対応が可能になります。

そして、24時間365日対応のAIが実装されたチャットボットやボイスボットを設置すれば、顧客は都合の良い時間に問い合わせができるようになり、利便性も高められます

BCP対策で災害時にも対応できる

コールセンターへのAI導入は、BCP対策にもつながります。BCPとは、大災害・テロ・システム障害などが発生した場合の被害を最小限に留め、事業継続や事業を早期復旧させるための方法や手段を定めた計画のことです。

事前にコールセンターにAIを導入していると、災害やシステム障害時における問い合わせに対して、自動回答できます。よって、問い合わせが殺到してコールセンターの機能がパンクするといった事態を防止できます

さらに、AIは問い合わせ内容をテキスト化し、メールで送信することもできるため、災害やシステム障害時はリモートワークでオペレーターが業務を行うこともできるでしょう

応対品質の均一化と情報共有の円滑化

コールセンターにAIを導入することで、応対品質の均一化にも期待できます。コールセンターのオペレーターは離職率が高く、経験やスキルで応対にバラつきが生じやすく、数多くの問い合わせに忙殺されるオペレーター間の情報共有をスムーズに行いづらいです。

しかし、AIを導入すればオペレーターの業務をサポートするアシスタント機能が利用できるため、応対品質を高められるでしょう。そして、顧客との会話内容を音声認識と自然言語処理システムで処理し、質問内容に関する資料を即座に表示できます。

オペレーターはマニュアルが必要なときにも瞬時に表示でき、対応品質や時間の個人差を縮められます。また、AIでコールセンター内に検索システムやFAQシステムを整備しておけば、オペレーターの情報共有を円滑化することも可能です。

コールセンターにAIを導入する際の注意点

AI技術は、オペレーターの負担軽減や応対品質の向上など、大きなメリットをコールセンターにもたらしますが、導入に際しては注意したいポイントもあります。ここからは、コールセンターにAI技術を導入する際の注意点を解説します。

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AIによる認識や分析の精度向上に時間がかかる

音声認識や自然言語処理など、AIに実装される認識機能や認識機能を用いた分析の精度を向上させるためには、ある程度の時間がかかります。AIは、導入すればすぐに精度の高い回答を行えたり、収集したデータを正確に分析できたりするシステムではありません。

つまり、AIを利用する際には、事前にデータを登録して学習させておく必要があり、AIを運用しながらデータを蓄積していくことで、認識や分析の精度を向上させていきます。したがって、AIが精度の高い認識や分析ができるようになるまでには、一定の時間が必要です。

AIを導入する範囲を決めておく

AIをコールセンターに導入する際には、AIを導入する範囲を決めておく必要があります。コールセンターにAIを導入する際は、どの部署・どの業務に課題があるのかを事前に洗い出し、どのように改善したいのかを明確にしましょう。

AIを導入する範囲や業務を設定しておけば、機能不足のシステムを導入してしまう、オーバースペックのAIシステムを導入して、予定よりも費用がかかってしまうなどの失敗を防げます

AIだけですべての業務はカバーできない

AIは学習能力が高く、人間と同じような対応を実行することができますが、人間のような柔軟な対応はできない特徴もあります。つまり、プログラムとしてAIに学習する内容以外は、人間が対応しなければなりません。

そのため、コールセンター業務においても、すべての業務をAIでカバーすることはできず、主に人間のオペレーターの補佐として考える必要があります。AIの得意な部分をしっかりと理解し、効果的な運用をすることが重要です。

トラブル時の対応・責任の所在を決めておく

コールセンターにAIを導入する際は、トラブル時の対応と責任の所在を決めておく必要があります。なぜなら、AIは万能ではなく、チャットボットやボイスボットが問い合わせに対して、間違った回答を提示することがゼロではないからです。

したがって、AIがトラブルを起こした際、自社が責任を持って対応するのか、コールセンターやサービス提供事業者に責任があるとして対応を任せるのか、対応や責任の所在を明確にしておく必要があります

まとめ

コールセンターは、離職率の高さによる人手不足や、優秀なオペレーターの育成が難しいといった課題を抱えています。有人のコールセンターは、人手不足や人件費などの理由で、営業時間外の問い合わせに対応できないところも多いです。

AIは、このような課題を抱えるコールセンターにも活用できる技術です。AIチャットボット・AIと連携させたIVRシステム・ボイスボット・AI音声認識を使ったテキスト化・AIによる感情分析などを活用し、コールセンターの業務を大幅に効率化できます

コールセンターにAIを導入すると、オペレーターの業務負担軽減・人件費の削減・顧客満足度の向上などのメリットを享受できます。AIは、BCP対策やオペレーターの応対品質の均一化にも貢献する優れた技術であるため、積極的な利用を推進します。

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