給与前払いサービスの注意点・デメリットとは?導入時のポイントも解説
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- 給与前払いサービスは従業員にとってメリットが大きいが導入する企業には負担もある
- 給与前払いサービスはコストの発生だけでなく、法律違反のリスクもあるため注意する
- 給与前払いサービスの導入では、勤怠管理システムなどと連携できるかを確認する
給与前払いサービスは従業員にとってメリットが大きいサービスですが、導入する企業には負担もあるため注意が必要です。本記事では、給与前払いサービスの利用を検討している企業向けに、注意点・デメリットや導入時に気を付けたいポイントを解説します。
給与前払いサービスとは

給与前払いサービスは、従業員が給与支給日前に資金を得られるサービスです。企業はサービス提供者と提携して、従業員に給与を事前に支給します。
これにより、従業員は急な支出に対応しやすくなり、企業は従業員の生活の安定度を向上させながら業務の効率性を保つことができます。
給与前払いサービスによっては利用手数料が発生するものの、比較的導入が容易であり、給与の事務処理を効率化できるのがメリットです。
給与前払いサービスのタイプ
給与前払いサービスには「立替払いタイプ」と「自社払いタイプ」の2種類があります。それぞれのタイプごとに費用が異なるため、自社のニーズに合わせて活用しましょう。
立替払いタイプ
立替払いタイプは、給与サービス会社が従業員に前払いする給与を立て替えます。そのため、前払い費用の準備が不要で、企業側の金銭面の負担は少なく済みます。
給与前払いサービスによっては、システムの利用料も無料で提供しているため、企業の負担を減らしたい場合におすすめです。一方、従業員の手数料負担が大きくなる点に注意しましょう。
自社払いタイプ
自社払いタイプは、給与サービス会社を利用せずに、従業員へ前払いする給与を自社で用意するタイプです。立替払いタイプに比べて、前払いする給与を準備する必要があるため企業負担は増えますが、従業員の手数料負担は小さくなります。

給与前払いサービス・システムとは?メリット・デメリットなどを解説
給与前払いサービス・システムとは、従業員が給与日を待たずに、希望のタイミングで給与を受け取れるサービスです。本記事では、給与前払いサービス・システムをよく知らない方のために、メリット・デメリットや選び方を解説しています。
給与前払いサービスは違法か
給与前払いサービス自体は違法になりませんが、給与前払いサービスを謳った給与ファクタリングなどの高金利な貸し付けは違法です。給与ファクタリングとは、従業員が受け取る給与を債権としてファクタリング会社に売却し、給料日よりも早く現金化するサービスです。
原則として、給与ファクタリング業者は貸金業者登録が必要ですが、貸金業者登録をせずに高金利の貸し付けをした際は違法になります。そもそも、給与前払いサービスと給与ファクタリングは全く別のサービスのため、利用の際は注意が必要です。

給与前払いサービスは違法?法律上の問題や違法業者の見分け方を解説
給与前払いサービスとは、従業員が希望するタイミングで給与を受け取れるサービスです。金融庁の見解から原則違法ではありませんが、法律に違反しているケースも考えられます。本記事では、給与前払いサービスの法律上の問題を中心に、見極める方法などを解説します。

給与ファクタリングとは?仕組みやリスク、悪徳業者の見分け方を解説
給与ファクタリングとは、給与を債権として買い取ってもらい、給料日よりも前に現金を受け取る手法を指します。しかし、給与ファクタリング業者の中には、悪徳業者も存在するため、利用には注意が必要です。本記事では、給与ファクタリングの仕組みやリスクなどを解説します。
給与前払いサービスの注意点・デメリット

給与前払いサービスは便利である反面、注意点やデメリットも存在します。ここでは、給与前払いサービスの注意点・デメリットについて解説します。
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給与前払いサービスの注意点・デメリット
手数料が発生する
給与前払いサービスは、利用に際して手数料が発生するのがデメリットです。急な資金ニーズに応えるための便利な手段ですが、サービスの利用にはシステム手数料や振込手数料など、一定の費用がかかります。
手数料の割合が高い場合や頻繁に利用する場合には、コストが蓄積しやすくなります。給与前払いサービスを利用する際には、手数料の影響を検討し、適切なバランスを図ることが大切です。
システム利用料
給与前払いサービスの利用で発生する手数料の1つが、システム利用料です。従量課金部分は、定率型と定額型に分類されます。システム利用料はサービスを提供している会社のほとんどが設定しているもので、料金はサービスによって異なるのが一般的です。
また、多くのサービスが設定しているシステム利用料には、基本料金と従量課金が含まれます。基本料金は定額の月額利用料で、従量課金はサービスの利用申請額や利用回数によって課金される手数料です。
振込手数料
振込手数料は、給与受取口座へ前払い金を振り込む際に発生する手数料です。振込手数料の金額は銀行やサービスによって異なり、サービスを利用するごとに振込手数料が発生し、利用回数が多いほど負担額がかさみます。
なお、給与振込先として登録している銀行口座以外に、アプリや指定銀行口座を利用した場合、条件をクリアすることで振込手数料が無料になる場合もあります。そのため、利用するサービスがどのような手数料設定を採用しているのか確認しましょう。

給与前払いサービスの手数料とは?種類や相場、注意点などを解説
給与前払いサービスとは、給料日よりも前に従業員が希望するタイミングで給与を受け取れるサービスのことです。給与前払いサービスの利用には、一般的にシステム手数料と銀行振込手数料が発生します。本記事では、給与前払いサービスの手数料の相場や注意点を解説します。
勤怠管理システムを連携させる必要がある
給与前払いサービスは、勤怠管理システムとの連携が求められます。従業員の勤怠情報は給与計算に関わるため、正確な前払い額を算出するためにはリアルタイムでのデータ更新が必要です。
連携ができない場合、給与前払いサービスは適切な情報を取得できず、誤った支払いが発生する可能性があります。勤怠管理システムとの連携が難しい場合や未導入であれば、柔軟に対応可能なシステムを導入し、給与前払いサービスとの統合を検討しましょう。
「労使協定」の締結が必要な場合がある
給与前払いの利用時に、手数料を給与から天引きすると「全額払いの原則」に違反する可能性があります。これを回避するためには、「労使協定」の締結が必要です。労使協定によって手数料天引きが妥当とされると、法的リスクを軽減できます。
ただし、労使協定の内容が適切かどうかは、弁護士の確認が必要です。協定が不十分な場合、法的なトラブルや従業員からの反発が生じる可能性があります。労使協定の作成や運用においては、専門家の意見を取り入れることが重要です。
賃金支払いの5原則も確認
給与や賃金を支払う際には、労働基準法第24条に基づき 「賃金支払いの5原則」 を守らなければいけません。「賃金支払いの5原則」は、以下のとおりです。
- 通貨払いの原則
- 直接払いの原則
- 全額払いの原則
- 毎月1回以上払いの原則
- 一定期日払いの原則
万が一、5原則に違反した場合は行政指導や罰則の対象になる恐れがあります。従業員が安心した環境で働き、確実に給与や賃金を受け取れるようにするためにも事前に確認しておきましょう。
参考:労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)|e-GOV 法令検索
利用者ごとに注意点が異なる
給与前払いサービスの注意点は、企業と従業員で異なります。企業側は制度として運用する立場にあるため、コスト管理や社内規程との整合性、法令面への配慮が求められます。
一方、従業員側は利用頻度や手数料の影響によって、実際の手取り額と生活設計に影響が出る点に注意が必要です。どちらか一方の視点だけで判断すると、トラブルや誤解が生じやすくなるため、利用者ごとの注意点を理解したうえで制度を導入・利用しましょう。
企業側が注意すべき点
給与前払いサービスは、企業が制度として導入・運用するため、管理面や法令面での注意が必要です。例えば、手数料をどちらが負担するかによって人件費や福利厚生費の扱いが変わります。
仮に、給与計算や勤怠管理との連携ミスが発生すると、支給額の誤り・事務負担の増加につながります。また、就業規則や給与規程との整合性が取れていない場合、従業員とのトラブルに発展する可能性もあります。
制度として導入する以上、運用ルールを明確にして、社内で統一して取り扱うことが重要です。
従業員側が注意すべき点
従業員にとって給与前払いサービスは利便性が高いですが、利用方法によっては生活設計に影響を及ぼす点に注意が必要です。頻繁に利用すると、次回の給与支給額が少なくなり、資金繰りが不安定になる可能性があります。
そして、手数料が差し引かれる場合、実際の受取額が想定より少なくなる点も理解しておきましょう。前払いはあくまで「働いた分の給与を早く受け取る仕組み」であり、追加収入ではないことを認識したうえで、計画的に利用することが大切です。
給与前払いサービス導入時に気をつけたいポイント

給与前払いサービスを導入する際には、いくつかのポイントに留意しましょう。以下のようなポイントを検討しながらサービスを導入し、従業員と企業の双方にとって安心できる環境を築くことが大切です。
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給与前払いサービス導入時に気をつけたいポイント
従業員の利用する金融機関に対応しているか
給与前払いサービスの導入では、従業員が利用する金融機関とサービスが適合しているかどうかを確かめることが大事です。従業員が利用する銀行や口座がサービス非対応の場合、サービスの導入が無意味になってしまいます。
給与前払いサービスを検討する際には、従業員の利用が想定される金融機関とサービス提供者が連携しているかを確認しましょう。全従業員にとって実用的かつ便利なサービスであることが重要です。
既存の勤怠管理システムとの連携可否をチェック
給与前払いサービスを導入する際は、既存の勤怠管理システムと連携できるかどうかを確認しておきましょう。特に、給与の前払いを行うためには、勤怠情報と正確に連動する必要があります。
連携がスムーズに行えない場合、手動でデータを入力する手間がかかり、ミスや遅延も生じやすいです。導入前にシステム同士の連携がスムーズに行えるかを確認し、適切な対策を講じることで、サービスの円滑な運用と従業員への利便性の提供を実現できます。
十分に利用される見込みがあるか
企業は従業員の実際のニーズを確認し、導入前に適切な調査を行うことが大切です。従業員に利用されることで、給与前払いサービスの導入効果を感じられるため、戦略的かつ実効的な導入が求められます。
企業は、従業員の実際のニーズや給与前払いサービスに対する関心を詳細に把握し、利用者が見込まれる範囲でサービスを提供しましょう。従業員にとって有益なサービスを提供することで、企業はコストの最適化も図れます。
貸金業登録をしているか
給与前払いサービスを導入する際は、業者が貸金業登録を遵守しているかを確認しましょう。貸金業登録は法的な要件であり、登録がない場合は悪徳業者の可能性が高いです。
未登録の業者は法的な問題につながり、高額な手数料や違約金の請求、企業と従業員の双方に悪影響を及ぼす可能性があります。サービス業者が貸金業登録を怠ると法に違反し、契約違反や法的トラブルにも発展します。
給与前払いサービスを導入する際は、業者が貸金業登録をしていることを確かめ、法的に正当かつ信頼性のあるサービスを選ぶのが不可欠です。それにより、従業員と企業の双方にとって安全かつ信頼性のある環境を構築できます。
まとめ

給与前払いサービスは、給与日よりも前に従業員が給与を受け取ることができるサービスですが、手数料や利用料といった費用が発生します。また、勤怠管理システムとの連携が必要であり、従業員の利用する金融機関にサービスが対応しているかの確認が求められます。
さらに、「労使協定」が必要な場合もあり、適切な契約内容とするのが重要です。導入時には、従業員の利用する金融機関の対応や連携の可否、利用見込みの確認、提供業者が貸金業登録を遵守しているかも確認しましょう。
これらのポイントを考慮することで、従業員と企業の双方にとって安定的で信頼性のある給与前払いサービスを導入できます。本記事を参考にしながら、給与前払いサービスの注意点を適切に理解してサービス導入を検討しましょう。
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