MAツールとは?機能やメリット・デメリットと選び方を解説

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  • MAツールとは、マーケティング活動を可視化し自動化できるツールを指す
  • MAは、見込み顧客の獲得から顧客管理などマーケティングに伴う作業を効率化する
  • MAの活用には、買い手の購買行動の変化など時代に合わせた戦略立てが重要

MA(マーケティングオートメーション)ツールとは、マーケティング活動を可視化して自動化するツールを指します。本記事では、マーケティングに伴う作業を効率化できるMAの主な機能やシステム導入によるメリット・デメリット、導入の際に選ぶポイントを解説します。

目次

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  1. MA(マーケティングオートメーション)ツールとは
  2. 「MA」「SFA」「CRM」との違い
  3. MAツールで何ができる?必要とされる理由
  4. 「BtoB」と「BtoC」でのMAの違い
  5. MA(マーケティングオートメーション)ツールの機能
  6. MAツール導入のメリット
  7. MAツール導入のデメリット
  8. MAツールを選ぶ際のポイント
  9. MAツールを上手に活用するポイント
  10. まとめ

MA(マーケティングオートメーション)ツールとは

MAツールとは、マーケティングに関する複雑な作業を自動化して、効率よく進めていくために使われるシステムの総称です。今まで人の手を使って行ってきた作業を自動で進めてくれるため、人件費を削減したり作業時間を短縮したりできます。

また、MAツールはマーケティングの効果を最大化させることも期待できるでしょう。アクセス解析や管理ができるツールも多く存在しており、自社に合うツールを取り入れることで、より効果的なマーケティング施策を行えるようになります。

MAツールでできること

MAツールは顧客の開拓や獲得、育成から商談までのフェーズを担うツールの総称です。見込み顧客の獲得から始まり、育成を経て商談へと進みます。MAツールが主に担うフェーズは、以下の3つです。

  1. リードジェネレーション
  2. リードナーチャリング
  3. リードクオリフィケーション

リードとは見込み顧客を意味する言葉で、リードジェネレーションは見込み顧客を獲得するための活動です。まずは、リードジェネレーションにより、自社の商品やサービスに興味関心を持っているユーザーを絞り込みます。

次に、顧客育成を意味するリードナーチャリングにより、見込み顧客に適切なアプローチを行いながら購買意欲を高めます。さらに、見込み顧客の中でも商談に進めそうなユーザーを選別するリードクオリフィケーションを行い、商談に繋げるまでがMAツールの役割です。

このように、MAツールは見込み顧客の獲得から育成、商談に繋げるまでの一連の流れを担います。上手く活用すれば効率よく見込み顧客を獲得でき、リピーターにも繋げられるでしょう。

「MA」「SFA」「CRM」との違い

MAと似た言葉に「SFA」や「CRM」がありますが、それぞれ意味が異なります。ここでは、それぞれの違いとともに概要を見ていきましょう。

SFA(営業支援システム)とは

SFAは営業支援システムと呼ばれ、商談のスタート以降に用いられるものです。営業を支援するためのシステムで、顧客リストの作成や見積書などの書類作成からクロージングまでの一連の流れ、商談後のフォローアップに必要な作業をシステム化して行います。

つまり、SFAはMAツールを使って獲得した見込み顧客に対し、営業を行う際に使われるシステムです。見込み顧客から契約を取る部分を担うため、売上に直結します。また、見込み顧客だけでなく既存顧客のフォローアップも担っているのが特徴です。

CRM(顧客管理システム)とは

CRMは顧客管理システムのことで、MAやSFAより後に行われる顧客管理の部分を担うシステムです。MAは見込み顧客を獲得し、育成して顧客へと繋げる部分までが目的でした。

一方でCRMは、MAやSFAを経て顧客となったユーザーに対し、良好な関係を継続して築いていくために使用するシステムです。新規の顧客や見込み顧客ではなく、すでに顧客として自社の商品やサービスを利用している既存顧客に関わる支援をメインに行います。

「MA」「SFA」「CRM」との違い

MA・SFA・CRMはそれぞれ顧客やリピーターの獲得には欠かせないシステムですが、目的や担う部分が大きく異なります。流れとしてはMAで見込み顧客の発掘や育成、振り分けなどを行ったあと、SFAを使って営業をかけます。

さらに、営業で獲得した顧客の管理、取引の進捗状況の確認などを行うのがCRMの役割です。このように、3つのシステムは見込み顧客の発掘からリピーターの獲得、アップセルやクロスセルなど売上の向上まで、それぞれの異なる部分を担っています。

どのシステムもマーケティングに関わる重要なものですが、混同しないように注意しましょう。顧客獲得の流れが進んで行くごとに、MA・SFA・CRMを順番に活用していくと覚えておくと混同せずに済みます。

MAツールで何ができる?必要とされる理由

MAツールはマーケティングを円滑に進めていくために、欠かせないツールの1つです。時代による変化が進んでいく中、効率よく顧客を獲得するためにもMAツールを上手く活用していきましょう。

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時代による情報収集や購買方法の変化

インターネットの普及が進む中で、Webサイトや口コミなどを通じて情報収集をするユーザーは年々増加しています。顧客は直接店舗に行かなくてもスマホやパソコンがあれば簡単に情報収集できるため、企業側も顧客のニーズに合う方法で発信しなければなりません。

店舗のみの宣伝や発信となると、ネット上で情報を集めているユーザーには一切届かず、顧客獲得のチャンスを逃してしまうでしょう。そのため、企業側もオウンドメディアやSNSなどを介し、見込み顧客とのコミュニケーションを取る必要があります。

さまざまなチャネルを用意し、顧客ニーズに合わせたタイミングで発信をしていくことで、新規顧客の開拓にも繋げられます。1つのチャネルではなく、複数のチャネルを用意すると、より広範囲の見込み顧客を狙うこともできるでしょう。

チャネルとは

チャネルとは、マーケティング用語で集客するための媒体を指します。Webサイトや広告、キャンペーンなど顧客を獲得するための経路がチャネルです。

人の手だけでは限界がある

マーケティングは今まで人の手で全て行われてきましたが、人手不足が深刻化する現代では人の手だけでは限界があります。しかし、人の手で全てを担うことができない中でも、それぞれの顧客に合わせたアプローチが必要です。

そのような状況の中、MAツールがあれば少人数の担当者でも一人ひとりに合わせたアプローチが行えます。購入や契約の見込みがある顧客を選別し、それぞれのニーズに合ったアプローチを行えるのがMAツールの強みです。

「BtoB」と「BtoC」でのMAの違い

企業形態には大きく分けてBtoBとBtoCがあり、BtoBは企業同士の取引を指します。一方で、BtoCは消費者向けの商品やサービスを提供している企業です。それぞれの企業でMAの活用方法が異なるので、以下で詳しく見ていきましょう。

BtoBBtoC
顧客企業一般消費者
アプローチ期間長い(数ヶ月~数年)短い(即日~数日)
マーケティング戦略継続的なコミュニケーションにより信頼を得る短期的な繰り返しのアプローチで購買意欲を高める
購入の決め手合理性や実用性感情や好み
MAの活用方法・顧客情報を注視しながらホットリードを見極める
・商談の創出を狙う
・顧客それぞれに合わせた1to1マーケティングを行う
・顧客情報の選別をする

「BtoB」でのMA活用方法

BtoB企業においては、企業相手のマーケティング戦略となるため、継続的なアプローチが必要です。1回のアプローチで購入や契約を決める担当者はほとんどいないため、複数回に渡ってコミュニケーションを取りながら信頼を高めていきましょう。

まずは、MAを活用することでテレアポや飛び込み営業を卒業し、自社の商品やサービスに興味のあるユーザーに絞ってアプローチを行います。MAツールを使えばセミナーや説明会への参加履歴なども分かり、興味の度合いを可視化できるでしょう。

過去にセミナーへの参加などアクションのあったユーザーを絞り、メール配信などで呼びかけをしていくことで、より興味関心の強いホットリードを見極められます。購買意欲の高いホットリードであれば、営業をした際の反応にも期待できます。

「BtoC」でのMA活用方法

狭い門を長期的に攻めるBtoBとは異なり、BtoCでは幅広い見込み顧客への短期的なアプローチが必要です。また、一般消費者は購買や契約までの期間が短く、好みや感情で商品を選ぶ傾向があります。

BtoCにおいては、MAツールを使って複数のチャネルを使った情報配信を行います。企業のホームページやオウンドメディアはもちろん、SNSやアプリなどを通じて幅広く情報を配信し、より多くのユーザーにアプローチしましょう。

特にメールやアプリのプッシュ通知など個人に向けた配信は、1to1マーケティングが有効です。MAツールを使って各ユーザーの好みやWeb上の行動をチェックし、それぞれにあわせた内容のメッセージを送ることで、より高い効果が期待できます。

MA(マーケティングオートメーション)ツールの機能

MAツールには、顧客管理やメール配信など多くの機能があり、目的にあわせた使い方をする必要があります。それぞれの機能の詳細を知って、マーケティング活動に役立てましょう。

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機能名機能詳細
顧客管理機能顧客の情報を一元管理できる機能
SFA/CRM連携機能外部のシステムと連携可能な機能
Webページ作成機能LPなどのWebページや問い合わせフォームの作成ができる機能
メール配信機能見込み顧客の興味関心に応じたメールを配信する機能
シナリオ設計機能MAツールで自動化するルール(シナリオ)を作成・設定できる機能
アクセス解析・トラッキング機能サイトの滞在時間・流入経路・直帰率などを計測する機能
営業担当者への通知機能ユーザーや見込み顧客が特定の行動をした際に担当者に通知が届く機能
データ管理・分析機能収集した顧客データの管理と分析を行うための機能

顧客管理機能

顧客管理機能では、基本的な顧客情報の一元管理が可能です。また、その他にもリストを作成する機能や確度を数値で表すスコアリング機能などがあります。以下では、見込み顧客作成機能とスコアリング機能について詳しく解説します。

見込み顧客作成機能

顧客管理機能では、複数のデータを一ヶ所に集めて管理し、必要なときに必要な情報を取り出しやすくします。名刺や企業名などの基本情報から、資料請求をして貰った際の情報などをまとめて管理できるのが特徴です。

また、見込み顧客リストの作成機能も利用でき、顧客へと育成していく際に役立ちます。リスト作成により見込み顧客の情報が一目で分かり、過去のイベント参加状況やWebサイトの来訪履歴などを加味しながら最適なアプローチが行えるでしょう。

スコアリング機能

スコアリング機能では、見込み顧客の確度を数値で把握可能です。確度とは確かな度合いを意味する言葉で、マーケティングにおいては契約や購入まで至る可能性を指します。確度が分かれば最適なアプローチがしやすくなり、より効果的な施策が行えるでしょう。

一定の点数を越えたらメールを配信するなど、細かな設定ができるツールもあります。このように、顧客管理機能は見込み顧客を管理するだけに留まらず、リスト化やスコアリングを行えることで、見込み顧客を顧客へと繋げやすくしてくれる便利な機能です。

SFA/CRM連携機能

MAツールは単体で活用するのはもちろん、SFAやCRMなどのシステムと連携して使うことで、より高い効果を発揮できます。見込み顧客の獲得から既存顧客のアフターフォローまでの一連の流れを同じシステム内で行えるため、効率的なマーケティング活動が可能です。

使用するMAツールごとに連携できるシステムやツールが異なるため、自社ですでに使用しているものがある場合には、サービス連携に対応しているかどうか確認しておきましょう。

Webページ作成機能

Webページ作成機能では、基本的なWebページやLP(ランディングページ)、問い合わせフォームなどを簡単に作成可能です。Webページの作成にはHTMLやCSSなどのコーディング知識が必要ですが、知識なしで作成できるMAツールも多く存在します。

ドラッグ&ドロップなどの直感的な操作で作成できるツールもあり、専門知識のない担当者にとっては非常に便利です。ただし、テンプレのようなスタイルになってしまうケースもあるため、自社らしさが出しにくい点には注意しましょう。

メール配信機能

メール配信機能では、MAツールの顧客管理機能で管理している見込み顧客に対し、最適なメールを配信できます。設定した条件ごとにメールを配信できるセグメント配信では、見込み顧客の状況や行動にあわせたメール配信により、効果的なアプローチが可能です。

例えば、サイトへの訪問履歴が複数回あり、買い物かごに商品が入ったままの状態のユーザーに対しては、商品がかごに残っている旨を伝えるメールを配信します。また、メールの開封率を計測できるHTMLメールを配信できるMAツールもあります。

シナリオ設計(キャンペーン管理)機能

シナリオ設計では、MAツールで自動化している部分のシナリオを作成・設定できます。例えば、メール配信機能にて配信したメールに対して、見込み顧客が行ったアクションに応じてアプローチを分岐させることが可能です。

開封すらしなかったユーザーに対しては配信を停止し、開封したものの動きがなかったユーザーには時間をあけて再度メールを配信します。また、メールを開封してアクションをしたユーザーに対しては、新商品やセミナーの案内を配信すると効果的です。

このように、契約や購入までのシナリオを設計しながらアプローチすることで、より高い効果が期待できます。

アクセス解析・トラッキング機能

MAにおいては、Webサイトでユーザーが取った行動を分析することも重要です。MAツールにあるアクセス解析やトラッキング機能では、Webサイトを訪れたユーザーの離脱や回遊などを追跡し、解析してくれます。

Webサイトの滞在時間・流入経路・直帰率などを計測できるほか、IPアドレスやCookie解析などにより、該当のサイトにアクセスした個人や企業などを特定できるのが特徴です。

自社のサービスや商品にどれくらい興味があるか、どの商品に興味があるのかを知ることができれば、マーケティングに大きく役立ちます。興味のある商品に関する情報をメールで送信したり、積極的なアプローチを行ったりしてCVへと繋げていきましょう。

営業担当者への通知機能

営業担当者への通知機能では、ユーザーが特定の行動をした際に担当者に通知が届きます。アラート機能などとも呼ばれており、サイトの訪問やアクションなど特定の行動をした際、担当者に通知することでCVの獲得を見逃さないようにする機能です。

通知タイミングについてはツール内で変更できるので、自社の方針にあわせた内容を設定しましょう。例えば、商品の詳細をクリックした際やかごに入ったままになっている際に通知が来るように設定すると、見込み顧客を見逃さずに済みます。

データ管理・分析機能

データ管理・分析機能は、収集した顧客データの管理と分析ができる機能です。顧客ごとのデータを管理し、分析することで1to1マーケティングへと繋げていきます。一人ひとりにあわせたアプローチをするためには、データの分析が欠かせません。

それぞれの見込み顧客がどの商品に興味を示しているのか、どんな行動を取っているのかを分析しながら、最適なアプローチを行いましょう。また、分析したデータを活用してKPI(重要業績評価指標)を設定することもできます。

MAツール導入のメリット

データの管理や分析、アプローチまでを一括で行えるMAツールには、業務の効率化やミスの低減など多くのメリットが存在します。

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業務を効率化できる

MAツールを活用すると、今まで人の手で行っていた部分を自動化できるため、業務を効率化できます。特に、データの管理や分析に関しては人の手で行うより速く、正確に行えるのが大きなメリットです。

定型業務を効率化するとスピーディーに仕事を進められるのはもちろん、マーケティングの精度やパフォーマンスも向上します。特定の業務に関する情報を担当者しか把握していない属人化を防げるのもMAツール導入のメリットです。

人的ミスを防ぐことができる

顧客の管理や分析、メールの配信などを手作業で行う場合は人的ミスが起こってしまう可能性がありますが、MAツールを導入して自動化するとミスを未然に防げます。人的ミスが頻繁に起こると、見込み顧客からの信頼を失いかねません。

特にメール配信などは手作業で行う企業が多く、小さなミスが頻繁に起こりやすい部分です。正確な作業を行うためにも、MAツールを導入してミスを最小限に抑えましょう。

見込み顧客を取り逃がさない

顧客管理やアクセス解析などにより、見込み顧客の行動を常に把握しておくと、チャンスを逃さず最適なタイミングでのアプローチが可能です。例えば、サイトを訪れて回遊しているユーザーは興味を持っている状態ですが、離脱して時間が経過すると興味は薄れます。

MAツールを導入すれば、ユーザーが最も興味関心を持っているタイミングでアプローチができ、購入や契約に結び付けられるでしょう。また、配信メールに対する反応も加味しながらアプローチすれば、より高い効果が得られます。

顧客と良好な関係を築ける

MAツールで顧客の情報を管理・分析しておくと、顧客のニーズを把握できるようになります。よって、より効果的なタイミングでアプローチできるのがメリットです。

タイミング悪くメール配信を行うと、それだけで嫌悪感を示すユーザーもいます。闇雲にアプローチをすると顧客との関係が悪くなる可能性もありますが、MAツールを導入して顧客の行動やニーズを把握すると、良好な関係を築けるようになるでしょう。

マーケティング戦略が立てやすい

MAツールでデータの管理・分析を行うと、KPI(重要業績評価指標)を設定しやすくなります。収集したデータを元にKPIを設定してPDCAサイクルを回すなど、マーケティング戦略を立てやすくなるのも大きなメリットです。

PDCAサイクルは、Plan(計画)・Do(実行)・Check(測定・評価)・Action(対策・改善)の4つのプロセスを循環させることを指します。

受注率が向上する

MAツールでは見込み顧客をリスト化して管理できるため、広告やメール配信などのアプローチに対して反応があったユーザーを絞り込むことができます。広告やメール配信で購買意欲を高めた見込み顧客は、商談や購入までの時間を削減できる可能性があるでしょう。

事前のアプローチによって良い反応が得られている見込み顧客は、その後のアプローチへの反応にも期待できます。そのような顧客に対して積極的にアプローチを行えば、余計な時間を使わずにCVを獲得できます。

MAツール導入のデメリット

MAツールの導入には数多くのメリットがある一方で、運用が難しく人的リソースが必要、コストがかかるなどのデメリットもあります。メリット・デメリットの双方を理解した上で、導入を検討してみてください。

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人的リソースが必要

MAツールの導入をしても全ての工程を自動化できるわけではなく、コンテンツやシナリオの作成など人の手が必要な部分も出てきます。そのため、自動化できない部分に対しては、ある程度の人的リソースが必要です。

また、何かトラブルがあった際に対応できるように準備しておく必要があります。どんなトラブルが起こり得るかを仮定し、対処方法を事前に確認しておきましょう。トラブルへの対処については、マニュアル化するなどして共有しておくと便利です。

運用が難しい

MAツールは非常に便利なツールですが、多機能なので専任者がいなければ運用は難しいでしょう。マーケティングの知識があるだけでなく、ツールの運用方法を理解している人物を専任者に設定し、運用に専念できる環境を作るのがおすすめです。

また、企業の規模にもよりますが、トラブルに備えて専任者は複数選出しておきましょう。社内に最適な人員がいない場合には、外部委託する方法もあります。マーケティングに強い人材を紹介してくれるサービスもあるので、あわせて参考にしてみてください。

システム導入にはコストがかかる

MAツールの導入には初期費用や維持費がかかるため、予算のない企業にはおすすめできません。月々の利用料がかかるのはもちろんですが、初期費用として数十万円前後を設定しているツールも多くあります。

また、MAツールには主にクラウド型とオンプレミス型があり、特にオンプレミス型は費用が高い傾向です。サーバーの用意やソフトのインストールが不要なクラウド型に比べ、自社で用意する必要のあるオンプレミス型は初期費用が高額になります。

ある程度のリード数を確保していないと効果を感じられない

MAツールは、すでにある程度のリード数を獲得している場合に効果を得られるものです。そのため、ゼロからの状態で運用を始めたり、数少ないリード数で導入を検討したりするのはおすすめできません。

見込み顧客の情報が一定数確保できており、解析や分析をするためのデータが整ってから運用をスタートさせましょう。まだ、情報が確保できていない場合には運用の前段階として、準備段階を設ける必要があります。

効果が出るまである程度の時間がかかる

MAツールは導入後、すぐに効果が得られるわけではありません。今までに得たデータを管理・分析した上で運用を行い、改善を繰り返していく必要があるため、中長期的な運用が必要になる点もデメリットです。

PDCAなどの運用計画を元に進めていき、結果を元に分析をしてより良い計画を立てていきましょう。また、営業チームとマーケティングチームでPDCAを共有し、円滑に進めていけるような工夫をすることも重要なポイントです。

すぐに効果が出ないからと言って焦り、運用をストップしてしまうと計画通りに進まなくなってしまいます。悪循環に陥らないためにも、効果が出るまでの期間を加味した上で運用をスタートさせてください。

セキュリティリスクがある

MAツールは顧客の管理をするため、どうしても個人情報の入力が必要です。セキュリティに関してはツールそのものに備わっている可能性が高いですが、情報漏洩やヒューマンエラーのリスクがないとは言い切れません。

情報の管理体制を徹底するのはもちろん、自社のセキュリティ面も再度見直す必要があるでしょう。ツール内のセキュリティに頼りすぎず、自社で使っているセキュリティとあわせて見直すようにしてください。

MAツールを選ぶ際のポイント

MAツールにはさまざまな種類があり、自社に合ったものを選ぶ必要があります。ここでは、以下の7つのポイントに分けて詳しい選び方を見ていきましょう。

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自社サービスに合ったスペック・機能かどうか

まずは、自社の扱うサービスや商品に合うスペックかどうかを確認しましょう。ここでは、BtoBとBtoCに分けて解説します。

BtoBの場合

BtoBの場合は見込み顧客の検討期間が長く、リードの数が少ないのが特徴です。そのため、BtoB企業においては見込み顧客とのコミュニケーション履歴が可視化でき、継続的なアプローチができるツールを選びましょう。

特に、シナリオ設計機能の充実したツールはBtoB企業におすすめです。それぞれの見込み顧客にあわせたアプローチがしやすく、段階を踏んでメール配信やセミナーの案内などを行えます。

BtoB企業では、すでにWebサイトやLPを作成しているケースが多く、Webサイト作成機能よりもシナリオ設計機能や顧客の管理機能が充実しているツールを選ぶのがおすすめです。自社で不足している部分を補い、活用できるツールを選んでみてください。

BtoCの場合

BtoC企業では見込み顧客の数が非常に多く、検討期間が短い傾向にあるため、短期的なアプローチを行えるMAツールを選ぶのがおすすめです。継続的なアプローチではなく、幅広い見込み顧客に対して多くのコンテンツを提供することが重要視されます。

よって、BtoC企業では多くの顧客情報を管理できる機能があり、SNS・広告など複数のチャネルと連携できるMAツールを選びましょう。多機能すぎても使いこなせないので、自社に必要な機能が揃っていて使いやすいものを選んでください。

同じ業種・企業で導入されているか

各MAツールのホームページなどを見ると、導入実績が複数掲載されています。ツールを選ぶ際は導入実績をよく確認しながら、自社と同じ業種の企業が扱っているかどうか確認してみてください。

近い業種の企業や、営業スタイルの似ている企業が多く活用しているほど、自社に適したツールと判断できる指標になります。導入実績を見れば、どのような業種に向いているツールなのかが分かるので、ぜひ参考にしてみましょう。

自社の成長フェーズに合っているか

MAツールは扱いが難しく、専門的な知識も必要になります。そのため、自社の成長フェーズに合わないものを選んでしまうと、使いこなせないまま時間だけが過ぎて行ってしまうでしょう。社内のリソースなども確認した上で、自社に合うものを選んでください。

また、マーケティング習熟度によっても必要な機能が異なります。どの程度の機能や効果を望んでいるのか、自社の専任者にどの程度の知識があるのかによって、ツールを選び分けましょう。

自社の課題に適しているか

自社の課題に適したMAツールを選定するためには、まず自社の課題を明確にする必要があります。自社のマーケティング活動を振り返り、現状の施策や得られた成果を把握することで、自社の課題が明確に見えてくるでしょう。

また、明確にした課題は各部門で共有することも重要です。MAツールの導入は、意思決定やシステム構築、実際に運用を行う部門が異なるケースも少なくありません。各部門ごとに異なる課題を持つため、それらを共有して現場の状況に適したツールを選びましょう。

SFA/CRMと連携できるか

MAツールは、SFAやCRMと連携することで顧客管理が一元化され、より使いやすくなります。現在、使っているシステムがある場合には、希望のMAツールと自社で使用するシステムが連携できるかどうか確認しておきましょう。

まだ使っていない場合でも、今後SFAやCRMを導入する予定がある場合には必ず確認してください。ツールによって連携のしやすさが異なるため、SFAやCRMと上手く連携できるかどうかは、MAツールを選ぶ上で重要なポイントになります。

従業員が使いやすいか

MAツールを導入する際は、従業員の使いやすさにも注目しましょう。実際に使う授業員が使いにくいと、導入しても最大限の効果が得られません。中には、無料のトライアルを設けているツールもあるので、導入前に検討してみてください。

見た目だけでは使い心地は分からないので、実際に使ってみることが大切です。トライアル期間を設ければ、従業員もスムーズに導入できるでしょう。

また、MAツールがモバイル媒体に対応しているかどうかも重要なポイントです。スマホやタブレットなどで閲覧できれば、外出先でも作業がしやすくなります。パソコンのみ対応の場合、手軽さに欠けることに注意してください。

セキュリティ対策やサポート体制は手厚いか

MAツールでは個人情報を扱うため、セキュリティ対策が欠かせません。ロック機能やアクセス制限のほか、プライバシーマークの取得についても確認しておきましょう。

また、ツールのサポート体制についても事前に確認しておくのがおすすめです。運用中にトラブルが生じた際、どのようなサポートが受けられるのか、サポートの受付時間はいつなのかなど細かくチェックしてみてください。

中には、ベンダーのサポート体制が整っており、休日や夜間も対応してくれるツールもあります。不安な場合には、24時間365日サポートに対応しているツールを選びましょう。

費用対効果に見合う価格か

MAツールの導入期間は数ヶ月から数年以上の長期間になる可能性が高く、初期費用は5~20万円程度が相場です。規模の大きいツールでは、100万円以上の初期費用がかかるケースも珍しくありません。

もちろん、初期費用だけでなくランニングコストが継続的にかかることも覚えておきましょう。初期費用とランニングコストの両方を見据え、費用対効果を考えて検討する必要があります。

MAツールを上手に活用するポイント

MAツールは導入したからといって必ず効果が出るわけではなく、効果的な運用体制を整えることも大切です。体制を整えた上で運用をスタートできるように、以下のポイントに注意しながら準備をしてみてください。

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自社の課題や導入目的を明確にする

見込み顧客の獲得を意味するリードジェネレーション、顧客育成を意味するリードナーチャリング、顧客選別を意味するリードクオリフィケーションを自動化できるMAツールを最大限活用するなら、先に自社の課題を明確にする必要があります。

導入前の段階として、自社には何が必要なのか、どんな目的でMAツールを導入するのかを明確にしましょう。どの部分を強化したいのかを明確にし、どんなツールが適しているのか分析してみてください。

ペルソナの設定やカスタマージャーニー設計をする

自社のサービスや商品の抽象的な利用者像を意味するペルソナは、初期段階で設定しておくべきものです。どんな人物に対してアプローチを行うのかを明確にしておけば、マーケティングも進めやすくなります。

また、購入までの道筋を意味するカスタマージャーニーもあわせて設計しておくと、KPIやゴール地点を決めることができます。先にゴールを決めておくことで、MAツールを活用したマーケティングが円滑に進められるでしょう。

ある程度のコンテンツを用意する

MAツールの活用には、コンテンツの準備が欠かせません。メール配信や自社サイトのアクセス解析などを行うことで見込み顧客の獲得を目指すため、分析に必要なコンテンツが不足していると満足いく結果が得られません。

他部署と連携して導入・運用する

MAツールはマーケティングから営業にかけて使用するものなので、営業チームとマーケティングチームで連携する必要があります。大部分がマーケティングチームの担当になりますが、連携することでよりスムーズに顧客の獲得ができるようになるでしょう。

スモールスタートを切る

MAツールはスタート地点から最大限活用することは難しいため、スモールスタートを切るのがおすすめです。最初は小さくスタートし、PDCAサイクルを繰り返しながら、徐々に拡大させていく方法もあります。

最初から最大限の活用をしようとするよりリスクも少なく、様子を見ながら運用の環境を整えていけるのがメリットです。

PDCAサイクルを回す

前述した通り、MAツールの運用ではPDCAサイクルを回すことが重要です。PDCAサイクルでは思ったような結果が出なかった場合にも分析を行い、改善を繰り返していきましょう。

MAツールでできないことも理解しておく

MAツールは、マーケティング活動を自動化して業務効率化に繋げられる有用なツールですが、MAツールを導入したら必ず成果を得られるわけではありません。MAツールの効果は、ユーザーの設計をもとにした業務自動化や施策のサポートにとどまります。

そのため、MAツールで成果を出すためには、ユーザーが自社の課題を分析して効果的な設計を行うことが必要不可欠です。MAツールに頼りきりにならず、MAツールでできることとできないことを区別した運用体制の構築が重要になります。

まとめ

MAツールには業務の効率化や人的ミスの低減など多くのメリットがある一方で、運用が難しくコストがかかるなどのデメリットもあります。失敗しないためには、自社に合うMAツールをしっかりと選ぶ必要があるでしょう。予算や使い勝手の良さを加味しながら、自社の方針に合うツールを選定してみてください。また、運用の際は目的やペルソナを明確にし、スモールスタートを切るのがおすすめです。MAツールを上手く活用し、マーケティング業務の効率化に繋げていきましょう。

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