目標管理の必要性・目的とは?導入時の注意点やポイントも解説

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  • 目標管理とは、組織・社員の目標を定め、達成までの管理・評価を行う制度のこと
  • 目標管理は、企業理念の浸透や社員のモチベーション向上などのために必要とされている
  • 目標管理を導入する際は、適度な難易度の目標設定や達成基準の明確化が重要である

目標管理とは、組織・社員の目標を定めて達成までの管理・評価を行う制度のことです。社員のモチベーション向上や人材育成などを目的とし、多くの企業が導入しています。本記事では、目標管理の必要性や導入時の注意点・ポイントをわかりやすく解説します。

目次

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  1. 目標管理とは
  2. 目標管理の必要性・目的
  3. 目標管理を導入する際のポイント
  4. 目標管理を導入する際の注意点
  5. まとめ

目標管理とは

目標管理とは、設定された目標を効果的に達成するために、計画的かつ継続的に進捗を評価・管理することです。提唱者のピーター・ドラッカーにより、MBO(Management by Objectives)と呼ばれ、マネジメントの概念として定着しています。

ドラッカーによると、目標は具体的かつ測定可能でなければならず、MBOでは各個人が自身の目標を設定して組織の大きな目標と整合させます。

そして、定期的な進捗評価とフィードバックを行い、戦略や計画を調整しながら、継続的な改善を行うことが重要であるとしています。

目標管理は、社員が自ら目標にコミットすることで個人のやりがいやモチベーションを高め、組織全体のパフォーマンスを向上するために重要な取り組みです。

MBO(目標管理制度)とは?メリット・デメリットや導入時のポイントも解説

MBOとは「Management by Objectives」の略であり、目標管理方法の1つです。MBOは、社員のモチベーション向上や企業の目標達成の実現性アップにも繋がります。この記事では、MBOのメリット・デメリットや導入時のポイントなどを解説します。

目標管理の必要性・目的

目標管理は、社員が目標を自ら管理できるようにしたり、企業理念を浸透させたりする上で有効です。ここでは、目標管理の必要性・目的について解説します。

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社員が自らの目標を管理できるようになる

目標管理により、各社員が自ら目標を設定して進捗を自己管理できるようになります。社員は目標に対する責任感を持ち、達成に向けて取り組む意識が高まるでしょう。また、自己成長の機会を見出し、業務で主体性を発揮しやすくなります。

さらに、組織全体では各社員の能力や意欲が最大限に引き出され、業績向上や新たなイノベーションの創出につながりやすくなります。

このように目標管理は従来の一方向的な指導ではなく、協力と自律のバランスを取り、組織と社員の共同成長を促進できる効果的な手段となっています。

社員のモチベーション・スキル向上のため

目標管理の重要な目的は、社員のモチベーションとスキルを向上させることです。目標が人事評価の基準となることにより、成果に対する報酬や昇進が期待できるため、個人のモチベーションが向上します。

そして、目標設定は個人が持つ能力の向上にもつながります。目標達成には新たな知識の獲得が求められるため、自己成長を促進する効果があります。社員が意欲を持って挑戦することで、自身のスキルを高めることができるでしょう。

企業の理念や目標を浸透させるため

目標管理によって、企業の理念や目標を浸透させることができます。企業の理念は抽象的であることも多く、日常的には意識されにくいですが、目標管理によって理念や目標を具体的に理解しやすくなります。

各社員が自身の目標を設定し、それらが企業の方針と一致するようにすることで、個人の活動が組織の目標と調和し、理念に結びつけられるでしょう。そして、社員が企業全体の目標やビジョンに沿って動けていることを実感でき、モチベーション向上にも繋がります。

人事評価の参考値として活用できる

従来の人事評価では主観的な要素が大きく、客観的な評価が難しいことがありました。しかし、目標管理によって評価基準が明確になり、測定可能な参考値として活用することができます。

目標管理では、各社員が自らの目標を設定して進捗を定期的に評価することで、具体的な成果が明示されます。その結果、人事評価がより公正で客観的なものとなり、社員は自分の仕事に対する評価基準を理解しやすくなります。

強みと課題を把握して人材育成につなげる

目標管理は、社内の人材育成にもつながります。各社員が自らの目標を設定し、進捗をモニタリングすることによって、具体的なスキル・能力が向上します。

さらに、目標管理は自己評価や成果の振り返りを促すため、個人の強みや課題を把握する機会を作り出すことができます。新たなスキルアップやキャリアプランを提供することで、社内全体の人材育成が可能になるでしょう。

目標管理を導入する際のポイント

目標管理を導入する際には、企業目標を浸透させることや、定期的なフィードバックを行うことなどが重要です。ここでは、目標管理を導入する際のポイントについて解説します。

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社員に企業目標を納得してもらう

目標管理を導入するには、まず企業の目標を共有し、社員に納得してもらう必要があります。組織全体で共有される明確な目標がなければ、個々の目標を組織戦略と連動させることは困難です。

組織の目標が不透明であると、社員の目標に対する理解やモチベーションが低下し、目標管理の十分な効果は得られません。そこで、組織の目標を共有することにより、社員が組織のビジョンや方針を理解し、自身の仕事がどう組織の成功に貢献しているかが把握できます。

企業の目標に共感・納得した社員は、自身の目標を企業の大局的なビジョンに合わせやすくなるでしょう。その結果、目標管理は組織と個人の一体感を高め、効果的な成果を生みだすことができます。

具体的かつ明確な目標を設ける

目標管理を効果的に導入するためには、具体的かつ数値的に測定可能な目標を設定することが重要です。具体的な数値が目標に関連付けられることで、進捗や成果を明確に評価しつつ、課題や改善点を即座に把握することができます。

明確な数値を設定することで、社員は目的達成に向けた具体的なアクションプランを策定できるでしょう。これにより、社員は目標達成への途中経過を容易に把握しながら、モチベーションを維持することも可能です。

社員の主体性に重点を置く

社員個人の目標設定を行う際には、会社や上司からの意見を押し通すのではなく、どのような社員として活躍したいのか、社員の主体性に重点を置くようにしましょう。

目標設定では、事前に一人ひとりと面談などを行い、上司や同僚からのフィードバックを行うことが大切です。フィードバックの内容を基に、企業理念などと照らし合わせながら最終的な目標設定を行うことで、社員のモチベーションを維持できるでしょう。

定期的なフィードバック・目標修正を行う

目標管理を成功させるためには、定期的なフィードバックと目標の修正を行うことが重要です。定期的なフィードバックによって進捗状況を把握でき、社員の努力を評価する機会にもなります。その結果、成果への認識が向上し、モチベーションが維持されます。

また、必要に応じて目標の修正も検討しましょう。市場の変化やプロジェクトの進捗、個人の成長に合わない目標を固定し続けていると、モチベーションの低下や業績悪化につながる可能性があります。四半期ごとや月ごとなどの頻度を定め、適宜目標を見直しましょう。

目標管理シートを活用する

目標管理を導入する際は、目標管理シートの活用がおすすめです。目標管理シートとは、各社員が設定した目標や進捗を一元的にまとめた記録です。通常は表形式となり、具体的な目標・期限・進捗状況・達成度などを記載します。

目標管理シートを活用することで、組織は個々の目標状況を効率的に把握できます。そして、社員は自身の進捗をシンプルかつ明確に可視化することが可能です。また、目標管理シートはコミュニケーションを促進するため、協力体制の向上にも繋がります。

さらに、目標の具体性や測定可能性を確認しやすくし、進捗のモニタリングやフィードバックを円滑に行うことができます。

目標管理ツールを導入する

目標管理ツールとは、目標の設定・進捗の追跡・フィードバックの提供などを効率的に管理し、目標達成までを効果的に支援できるツールです。

目標管理ツールでは、目標の設定や進捗の可視化を容易に行えるため、チーム全体が目標を共有し、リアルタイムで進捗を把握することが可能です。また、通知機能やリマインダーを活用して、期限と重要なイベントを把握し、タスクの優先順位付けをサポートします。

さらに、目標管理ツールの導入により、目標管理の効率化とコミュニケーションの向上につながります。組織全体での協力関係が強化されることで、目標達成までの道筋が明確化され、生産性とモチベーション向上にも効果が期待できるでしょう。

ただし目標管理ツールには様々なタイプや機能があるため、以下のような点をチェックし、自社に合ったものを導入することが重要です。

目標管理ツールとは?メリット・デメリット、機能や選び方も解説

目標管理ツールとは、社内で設定している目標や進捗状況を管理・評価できるツールです。社員のモチベーション向上や業務効率化に繋がるとされ、多くの企業で導入しています。この記事では目標管理ツールのメリット・デメリットや機能、選び方を解説します。

自社の目標管理手法に対応しているか

目標管理ツールを導入する際には、自社で採用している目標管理手法に対応しているかを確認します。目標管理手法には、上述のMBOの他、OKRがあります。

目標管理手法詳細
MBO
(Management by Objectives)
上司と部下が協力して設定した長期的な目標の達成度を評価する
OKR
(Objectives and Key Results)
達成がやや困難な挑戦的な目標を掲げ、その進捗を定期的に評価する

どちらにも対応しているツールもあれば、片方のみ対応しているツールもあります。また、既存の目標管理シートがある場合は、そのデータを連携できると便利です。無料トライアルが利用できるツールも多いため、操作性やUIの見やすさなどと併せて確認してみましょう。

機能の過不足はないか

目標管理ツールには、様々な機能を持つものがあります。以下は基本的な機能の例です。

  1. 目標管理・設定
  2. 進捗管理
  3. 人材情報の管理・分析
  4. 人事評価
  5. 労務管理

上記の他、メッセージ機能や社員の適性検査、プロジェクト管理機能などを備えたツールもあります。必要な機能の有無はもちろんのこと、不要な機能が多くないかも確認すべきです。

例えば、すでにビジネスチャットを使っているなら、チャット機能がある目標管理ツールは必要ないでしょう。余計な機能を省くことで、コスト的にも最適な製品を選ぶことができます。

使いやすさ・操作性を確認

従業員が使いやすいかどうかも重要なポイントです。目標を入力しづらい、進捗を確認しづらいといった製品では、活用するモチベーションが下がり、現場に浸透しません。管理画面の見やすさや操作性を確認し、長く使い続けられるツールを選びましょう。

無料トライアルで複数の製品の使い勝手や操作の難易度を比較することで、導入の失敗リスクを大幅に減らし、費用対効果を高めることができます。

目標管理を導入する際の注意点

目標管理を導入する際には、適切な難易度の設定や管理者に負担をかけないための対策が必要です。ここでは、目標管理を導入する際の注意点について解説します。

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難易度の高い目標を設定しない

目標管理を導入する際は、目標の難易度を適切に設定することが重要です。高すぎる目標は達成が難しくなり、社員のモチベーション低下やストレスの原因となります。そして、業務の品質や効率が悪化する原因ともなり得ます。

反対に、目標が低すぎると社員の成長や挑戦意欲が抑制され、モチベーションの低下や業績の停滞が生じてしまいます。よって、目標は高すぎても低すぎても良くありません。適度な難易度の目標設定を行うことで、達成できなかった場合の原因も突き止めやすくなります。

結果だけで判断しないようにする

目標管理の最終的な目的は企業の利益に結びつけることですが、設定した目標を達成できなかったからといって、結果だけで評価を行わないようにしましょう。もちろん結果も大事ですが、目標達成に向けてどのような取り組みを行ったのかが非常に重要です。

したがって、目標達成までに設定した期間に合わせて、これまでの良い点・悪い点をすべて洗い出し、次の目標管理につなげていきます。その際、上司からのフィードバックを踏まえて、どのようにしたら良いのかを提示し、より良い成果に結びつけるようにしましょう。

中長期的な目標達成への評価も検討する

目標管理の導入に際しては、単に短期的な目標だけでなく、中長期的な目標の評価も検討することが重要です。短期目標は日常業務やプロジェクトの進捗に焦点を当てますが、中長期的な目標は、組織の成長や戦略的な目標に対する進捗を測定します。

中長期的な目標の評価においては、具体的な基準や測定方法を明確に定めることが重要です。進捗を評価する指標やタイムフレームを確立し、目標に対する期待値を共有することで、組織全体が同じ方向を向きながら、中長期的な成果に向けて協力関係を築けます。

管理者の負担を軽減する対策も考慮する

目標管理を導入する際には、管理者の負担を軽減する対策も考慮しましょう。社員一人ひとりを評価する作業には時間と労力がかかるため、負担を減らすためには、作業の明確化やツールの導入が必要です。

目標設定や進捗のトラッキングを効率的に行うため、専用ツールやシステムを導入することで、管理者が簡単に情報を取得できるようになります。

また、目標設定においては、社員との対話や共同作業を重視し、目標の設定や進捗管理を共有することで、管理者が直接的な介入が必要なケースを減らせます。その結果、管理者はより戦略的なアプローチに集中でき、組織全体の成果向上に貢献することが可能です。

目標管理自体を目的にしないようにする

目標管理を導入する際は、目標管理自体が目的になってしまわないように注意しましょう。特に目標設定に慣れていない社員は目標の達成よりも単に管理のみに焦点を当てがちですが、目標管理は1つの手段であり、真の目的は組織の成果向上や個人の成長です。

社員が目標の設定・管理に重点を置くと、目的から逸脱して形式的な作業となりかねません。そこで、目標管理の目的と意義を明確に伝え、社員に目標達成の価値や意味を理解させることが必要です。

目標達成に固執してしまう可能性がある

目標管理を活用する際は、目標達成に固執しすぎないように注意が必要です。組織や個人が目標に焦点を合わせることは重要ですが、それだけに固執しすぎると、目標達成以外の業務が疎かになってしまう可能性があります。

目標達成に追われるがあまり、他の業務が犠牲になってしまうと、組織全体の健全な機能が損なわれる恐れがあります。あくまで目標は全体の方向性を示すものであり、他の業務との調和が欠かせません。

したがって、組織や個人が達成すべき目標を確立する際には、他の業務や戦略とのバランスを考えることが重要です。また、柔軟性を持ちつつ、状況や環境の変化に適応できるよう、目標の修正や再評価の仕組みを整えるようにしましょう。

まとめ

目標管理は、組織が個々の目標を設定して全体の戦略に結びつける過程です。社員が自己の目標を明確にし、組織のビジョンに貢献することで、組織の成果と個人の成長が促進されます。

また、目標管理は目標達成に向けた方針の明確化、社員のモチベーションや業績の向上などに期待できます。効率的な目標管理を行うには、目標管理ツールがおすすめです。具体的で透明な目標設定と進捗追跡ができ、組織全体の方針と個人の目標を一元的に結びつけます。

さらに、リアルタイムな情報共有とフィードバックを行うことで協力体制を築き、業績の向上に繋げられます。本記事を参考に適切な目標管理を導入し、組織の成長と社員の満足度向上を目指しましょう。

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