メールセキュリティとは?必要な機能や製品選びのポイントを解説

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  • メールセキュリティは、企業がメールの送受信を行う際に必要なセキュリティ対策の1つ
  • メール攻撃は絶えず多様化・複雑化しているため、迅速に対応できる製品が望ましい
  • 自社にとって必要な機能か、見合った種類かなどを確認してから製品を選ぶことが重要

メールセキュリティとは、送受信における外部からのメールを使った攻撃を防ぐための対策です。企業の大切な情報を守るためには必要不可欠な機能です。本記事では、メールセキュリティの必要性や機能、脅威となるリスクの一例や製品を選ぶ際の比較ポイントなどについて解説します。

目次

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  1. メールセキュリティとは
  2. メールの仕組み
  3. メールに潜む情報漏洩リスクの脅威
  4. メールセキュリティ製品の基本的な機能
  5. メールセキュリティ製品を選ぶ際の比較ポイント
  6. まとめ

メールセキュリティとは

メールセキュリティとは、外部からのメールに含まれる攻撃や脅威からパソコンなどの機器を守り、危機を回避することを指します。また、メールセキュリティ機能を搭載した製品・サービスもあります。

業種や業態に関わらず、企業がビジネスをする上でメールの活用は欠かせません。しかし、送信や受信に伴う情報漏洩のリスクが存在するため、メールセキュリティの確立は、どの企業にとっても避けて通れない課題です。

なお、メールによるサイバー攻撃には、多種多様なテクニックが含まれており、絶え間なくそのテクニックは多様化されています。そのため、最新のサイバー攻撃に順応しながら、継続して対応できるメールセキュリティ製品の導入を検討する必要があります。

メールセキュリティの必要性

近年では、メールの受信・送信において、個人情報の流出やメールを利用したサイバー攻撃といった、さまざまなトラブルが頻繁に発生しています。このようなトラブルを防止するためにも、メールセキュリティ対策が重要視されています。

企業が扱うメールには、さまざまな重要情報が記載されています。例えば、メールアドレス・社名・名前などの個人情報や、企業間の取引における機密情報などです。そのため、メールセキュリティ対策は必要不可欠と言えるでしょう。

日頃から、さまざまな企業が業務上で定常的に活用しているメールですが、セキュリティ対策を怠ると、企業の存続にも重大な影響を与える可能性があります。例えば、情報漏洩によって、賠償などの金銭的な損失を生み出すことも考えられます。

メールの仕組み

パソコンやスマートフォンでも、手軽に送受信ができるメールは、基本的にサーバーを通してメールの送受信が行われます。流れとしては、相手にメールを送信する際、メールソフトでメール文書を作成して送信すると、最初に運営する企業のメールサーバーに送られます

その後、メールサーバーが相手のメールアドレスを確認し、相手先のメールサーバーへメールを送信し、相手のメールソフトに受信の通知が届くといった仕組みです。

このメールの送受信における一連の流れの中でも、一度メールを送信してから相手が受信するまでの間に、情報が漏洩したりサイバー攻撃を受けるリスクを秘めています。

メールに潜む情報漏洩リスクの脅威

メールに関わる、企業の信頼性に脅威を与えるリスクとしては、個人情報や営業機密などの情報漏洩・情報流出が挙げられます。仮に、一度でも情報漏洩が発生してしまうと、企業としての信頼性が低下し、賠償金の請求などの金銭的な負担が発生する可能性があります。

さらに、取引停止などによって売上に影響を及ぼすだけでなく、セキュリティの強化促進に合わせた現場スタッフの業務負担の増加につながります。また、企業としての生産性が低下することによる業績不振や、最悪の場合は業務停止する恐れもあります。

そんな情報漏洩は、メールに対する攻撃などに加え、人的操作によるリスクも存在します。ここでは、それぞれの情報漏洩によるリスクを詳しく解説します。

メールに潜む情報漏洩リスクについて

メールには、さまざまな情報漏洩のリスクが秘められています。メールを使って情報を窃取する攻撃テクニックは数多く存在するため、対策を講じる際にはその内容を把握しておく必要があります。以下では、メールに秘められる情報漏洩のリスクについて解説します。

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迷惑メール

主に迷惑メールと呼ばれるものは、スパムメールとフィッシングメールです。スパムメールは、無作為に送信されてくる広告・宣伝メールを指します。受信者が直接的な被害を被ることは多くありませんが、大量に着信すれば受信ボックスの容量を圧迫します。

フィッシングメールは、公式サイトに見せかけた偽サイトに誘導し、ユーザーIDやパスワードなどのアカウント情報・クレジットカード情報などを、意図的に盗み取ろうとする詐欺メールを指します。

企業の例としては、クラウドサービスのアカウント情報を入手して機密情報を盗み取る、あるいは標的型攻撃メールやビジネスメール詐欺のための情報を入手するといった事例が報告されています。

フィッシングメール

フィッシングメールとは、正式な組織に見せかけてメールを送信し、偽サイトのURLに誘導して情報を盗み取る手法を指します。

例えば、金融機関や EC サイトに見せかけた偽サイトに、 ID ・パスワード・口座番号・クレジットカード番号などを入力してしまうと、それらが盗み取られて悪用されます。

メール内容は、有名人になりすましたものや、実際に存在する企業名を無断で使用し、あたかも本物のように緊急性を求めるものが多いです。その緊急性に釣られ、大切な情報を入力してしまうというわけです。

フィッシングメールは、その被害件数が多いのが特徴で、毎年増加傾向が見られます。「パスワードが悪用されている」など、メールの文面で不安を煽り立てて、巧みに偽サイトに誘導するケースも多いため、無意識にURLをクリックしてしまう人が多いです。

標的型攻撃メール

狙いを定めたターゲットに攻撃を企てるのが、標的型攻撃メール(スピアメール)です。不特定多数に狙いを定めるフィッシングメールとは異なり、特定の個人に向けて送信するため、ターゲットに合わせてメールの文面を変えます。

つまり、前もってターゲットの情報を調べた上で文面を作成したり、信頼のある企業のメールアドレスに似せて作ったりします。そのため、ターゲットが気付かずにメールを開いてしまう危険性が非常に高まります。

例えば、標的型攻撃メールが何回か送信されてきて、それらが「本人確認のお願い」や「不正利用の疑い」といった内容だと信頼性が高まるでしょう。そして、最終的にメールを開いてしまうと、情報を盗み取られてしまいます。

マルウェアへの感染

マルウェア(ウイルスやスパイウェアなど、有害な動作を目的に作られたソフト)感染が目的で、メールを送信してくる攻撃方法が存在します。多くの場合、拡張子がEXEのファイルなどを添付してくるため、これらのファイルを開くときは万全の注意を払いましょう。

なお、マルウェアに感染すると、メール情報が盗み取られたり遠隔操作されたりなど、非常に危険です。特に、取引先などからの添付ファイルは、本当にその企業から送信されたメールなのかを、しっかりと照らし合わせて確認するくらい注意した方が良いかもしれません。

一度感染してからでは手遅れのため、取引先とも連携しながら、お互いが送信前に「これからファイルを送ります」といった相互伝達も必要になってくるでしょう。

人的操作によるリスクについて

メールの情報漏洩リスクは、サイバー攻撃だけでなく、送信者の人的な操作ミスによっても発生します。 相手先のメールアドレスを間違える誤送信や、添付ファイルの間違いによる送信は、情報漏洩につながる人的操作ミスの典型的な行為です。

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メールの誤送信

システムやソフトウェアのセキュリティ対策ができていても、人が操作している以上、ヒューマンエラーは避けて通れません。その代表例が、メールの誤送信です。ビジネスメールでは、絶え間なく個人情報や機密情報の送受信が行われています。

普段はメール送信の操作に心掛けていても、相手先のメールアドレスを間違えて送信してしまうこともあるでしょう。こういったメールの誤送信が、機密データや顧客情報の漏洩を誘発し、場合によっては、損害賠償問題や社会的信頼の低下につながる恐れがあります。

添付ファイルの間違い

添付ファイルの間違いも、情報漏洩につながるヒューマンエラーです。大勢の相手先へのメールに、取引に必要のない間違ったファイルを添付してしまうと、機密情報が瞬く間に広がってしまうなど、重大な問題に進展するケースもあります。

ファイルの添付方法は、ファイルの選択方法・ドラッグとドロップなど多数ありますが、どの方法であっても添付ファイルの選択ミスは少なくありません。

故意的な人的操作によるリスク

ヒューマンエラーによる情報漏洩は、必ずしも操作を間違えただけで起こるものだけではありません。機密情報を取り扱う自社の従業員が、故意的に企業の機密情報を漏洩させる危険性もあります。

企業の機密情報は、悪用する界隈の中では高値で取引される場合もあります。そのため、お金欲しさに故意的な情報の流出を行い、不当な利益を得ようとすることも考えられるわけです。こういったリスクや危険性を防ぐためにも、管理者には十分な教育が必要です。

メールセキュリティ製品の基本的な機能

メールセキュリティを搭載する製品は、メールによるサイバー攻撃をブロックすることはもちろん、社内からの情報流出を防ぐ役割もあります。

手作業によるメール管理では、送信相手を間違えたり、注意不足で機密ファイルを添付してしまったりと、ヒューマンエラーによる情報漏洩が続発しています。例えその場合でも、メールセキュリティ製品で対策を講じることができます。

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機能概要
スパム対策ファイルの危険性を検知して、そのメールをブロックする
メール無害化リスクを含んだファイルやURLを無効化する
メール暗号化メールサーバーを通るデータを暗号化して、情報を保護する
誤送信防止機密情報を含んだファイルなどを添付できないように設定する
アンチウイルスウイルスを自動で検知して警告を発する

スパム対策

スパムメールのフィルター設定により、メールを受信する前にサーバー全体でスパムかどうかを自動で判定し、スパムと判定したメールを受信しないようにしてくれます。

しかし、フィルター設定は完璧ではないため、一部のスパムメールを受信してしまう場合もあります。その場合は、メールのユーザー側で、受信拒否や迷惑メールフォルダーへの区分けなどの対策をしなければなりません。

このように、メールサーバー側とユーザー側の両方でスパムメールのフィルター設定をすれば、より高いセキュリティを確保できます。

メール無害化

メールの無害化を行うには、テキストメールに変換・メールに記載されたURLリンクの削除や無効化・添付ファイルの削除などで対策ができます。

具体的には、HTMLメールの中には、悪意のあるURLが埋め込まれている可能性があるため、テキストメールに変換し、URLを無効にします。また、不正なURLリンクが貼られている場合は、URLリンクの削除・全角文字に変換などの操作を行って無効化します。

なお、添付ファイルにマルウェアが組み込まれているケースでは、添付ファイルそのものを削除します。

メール暗号化

無作為にメールを送信すると、悪意のある第三者にメールの内容を盗み取られるリスクがあります。ビジネスでは、個人情報・機密情報・Web会議のURL・パスワードなどを送信するため、盗み取られると非常に深刻な問題へと発展してしまいます。

そこで、メール自体を暗号化して個人情報を保護することで、仮に第三者にメールの内容を覗かれたとしても、解読されることがないため安心です。暗号化としては、SSL・TLS方式が一般であり、SSL証明書をサーバーに導入することで、通信を暗号化できます。

誤送信防止

メールの誤送信は人が操作している以上、ヒューマンエラーは防ぐことができません。

そのため、メールの誤送信防止対策が重要です。例えば、機密情報を含むメールが送信されるとき、注意喚起メッセージをポップアップで表示させることもできます。

毎回ポップアップで表示させるのは面倒に感じますが、メール送信する人に対して、常に意識するようにさせることができます。また、添付ファイルの暗号化も、メールの誤送信防止の1つです。

少しでもヒューマンエラーを減らすためにも、セキュリティシステムでメール誤送信を防止しましょう。

アンチウイルス

受信したメールから危険なウイルスを検知すると、セキュリティが自動で警告を発し、メールを開く前に「このメールは危険な状態にあります」と知らせてくれます。この機能により、メールを開かずに危険性に備えることができます。

ただし、製品によってその検知精度は違い、正しい送信先のメールもウイルスとして検知してしまう場合もあるため、使用しながら設定していく必要があります。

メールセキュリティ製品を選ぶ際の比較ポイント

最近のメールセキュリティ製品は、使いやすい基本機能だけでなく、オプション機能を搭載したものも少なくありません。各製品によって特徴や機能には差があるため、自社が実現したい事柄を把握してから製品を導入する必要があります。

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自社に必要な機能を有したものか

メールセキュリティ製品には多種多様な種類があるため、自社に必要な機能が搭載されているかの確認が必要です。例えば、標的型攻撃に対しては、安全な仮想環境でファイルを開いて内容を確認する、サンドボックスが効果的です。

その他にも、メールを無害化できる機能を持ったセキュリティ製品であれば、ユーザーの負担を減らせます。また、アンチウイルスやアンチスパムなどの対策は、基本機能は大部分の製品に搭載されていますが、検出率などは製品によって異なるため注意しましょう。

製品の種類は自社に合っているか

メールセキュリティ製品の種類は、クラウド型・ゲートウェイ型・エンドポイント型に大別されます。それぞれに特徴があるため、導入する際は自社に適合したモデルの選択が必要不可欠です。

クラウド型

クラウド型は、メールセキュリティソフトをインターネット上で利用できます。メールソフトを使って送受信が行われると、一度はASP(Application Service Provider)を経由するメカニズムになっています。

これにより、自社でメールサーバーを設置・運用する必要がなく、GmailやExchange Onlineとの連携も可能です。そのため、手軽さや低コストである点が大きな特徴と言えます。しかし、拡張性が低く、製品に組み込まれた機能の使用が必須です。

セキュリティ対策は製品によって異なるため、企業は各業務に適した製品を選ぶ必要があります。また、ASPの仕様変更や障害トラブルなどが発生すると、ユーザーにも悪影響が及ぶため、クラウド型の使用には注意が必要です。

メリットデメリット
コストを抑えた対策が可能ランニングコストがかかる
短期間での対策が可能ネットワーク環境やサーバーに障害が発生すると利用できない
負担を軽減しながらの運用が可能移行時、データを移す手間がある

ゲートウェイ型

ゲートウェイ型は、メールサーバーのゲートウェイ上でメールウイルスをチェックするタイプです。インターネットを利用する際に、異なる通信の中継機器として使用されます。

基本的に、自社でメールアドレスのドメインを保有していたり、メールサーバーをすでに使用していたりする企業向けのタイプです。

契約したサービスの情報を元にメールサーバーを設置するだけであり、至って簡単にセキュリティを向上させることができます。しかし、クラウド型よりも拡張性が低いといったデメリットがあります。

メリットデメリット
端末の台数を問わず構成ができるクラウド型より拡張性が低い
簡単にセキュリティの向上ができる導入と運用にかかる費用が高め
自社のサーバーやメールシステムの大幅な改修コストが不要社内におけるネットワークの構築に変更が生じる

エンドポイント型

エンドポイント型は、セキュリティソフトをユーザーのPCにインストールして利用するタイプを指します。クライアント型とも称され、サーバーの専門知識がなくても簡単に利用できます。セキュリティソフトがクライアントのPC上で直接動作する点が大きな特徴です。

例えば、ゲートウェイ型の場合、ゲートウェイ上でメールのチェックをするため、決められたルールに従って悪意のあるメールや誤送信の判断を行います。

対して、エンドポイント型では、クライアントのPC上でセキュリティが機能するため、誤送信の事実などをユーザーに直接促せます。また、誤送信をクライアントが直接確認できるのが大きなセールスポイントとなっています。

しかし、インストールの周知徹底やライセンス管理が難しく、スマートデバイスには対応していないものも多いのがデメリットです。そして、費用面でも高額な傾向にあります。

メリットデメリット
誤送信の理解をユーザーに促せる端末の数次第では費用が高額
サーバーの専門知識が不要インストールの徹底やライセンス管理が難しい
セキュリティソフトが比較的に安い企業の規模に応じてアカウントやID数が必要

無料期間で動作確認ができるか

メールセキュリティ製品を社内へ導入したことで、業務で使用するパソコンが悪影響を受けるケースは少なくありません。そのため、悪影響を防止するためにも、メールセキュリティ製品の導入前に、無料体験版を一度利用してみることをおすすめします。

導入を検討しているメールセキュリティ製品と、業務で使用するパソコンとの相性が悪く、パソコンの処理速度が遅くなっては台無しになってしまいます。そのため、なるべく導入の前に動作の検証を行うようにしましょう。

まとめ

メールセキュリティは、企業の機密情報を外部から守るために必要不可欠なものです。仮に、メールセキュリティを導入しないと、迷惑メール・フィッシングメール・標的型攻撃メール・マルウェアへの感染など、脅威となる攻撃から自身で守らなければなりません。

そこで、メールセキュリティに含まれる、スパム対策・メール無害化・メール暗号化・誤送信防止・アンチウィルスなどの機能を活用し、常に安全な状態を確保しながら、セキュリティ対策を講じるようにしましょう。

また、メールセキュリティ製品を比較する際に考えるべきポイントとして、自社に必要な機能を有したものか・製品の種類は自社に合っているか・無料期間で動作確認ができるかなどに留意して、社内セキュリティの強化に努めましょう。

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