チャットボットをナレッジマネジメントに利用しよう|メリットも解説

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  • ナレッジマネジメントにチャットボットを活用することで、業務や人材育成を効率化できる
  • ナレッジマネジメント向けにチャットボットを選ぶ際は操作性やAIの有無などを確認する
  • ナレッジマネジメントを効率化するには、ナレッジマネジメントツールの導入もおすすめ

ナレッジマネジメントには、チャットボットを活用する方法もあります。チャットボットによりナレッジを有効活用できるようになり、生産性を向上させる効果も期待できます。この記事ではチャットボットをナレッジマネジメントに利用するメリットやFAQの作り方などを解説します。

目次

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  1. ナレッジマネジメントにおける課題とは
  2. ナレッジマネジメントにチャットボットを利用するメリット
  3. ナレッジマネジメントにチャットボットを利用するデメリットと対策
  4. ナレッジマネジメントに利用するチャットボットの選び方
  5. ナレッジマネジメントに活用できるチャットボットの作り方
  6. ナレッジマネジメントツールの活用もおすすめ
  7. まとめ

ナレッジマネジメントにおける課題とは

ナレッジマネジメントとは、企業や組織において個人が持つ知見(ナレッジ)を全体に共有して、新たな知見を得たり、創造的な仕事を行ったりする経営手法です。知見には、知識・技術・ノウハウを始め、業務の最善手法やプロジェクトの成功体験なども含まれます。

ナレッジマネジメントは、業務効率化を図れるだけでなく、少ない労働力で生産性を向上させる「働き方改革」に対応しています。メリットが多いため、組織運営において推奨される考え方ですが、実践にあたって情報共有の方法で課題が生じやすい一面もあります。

まずは、ナレッジマネジメントにおいて、よくある課題について解説します。

ナレッジマネジメントとは?意味やメリットをわかりやすく解説

ナレッジマネジメントとは、個人が持つ知識やスキルなどを組織で共有し活用する経営手法です。ナレッジマネジメント導入により、組織力の強化や業務効率化といった効果が期待できます。この記事ではナレッジマネジメントの意味やメリット、実践のステップなどを解説します。

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社員が必要なナレッジにアクセスできていない

ナレッジマネジメントでは、社内ナレッジを資料として作成・管理します。しかし、社内で管理方法が統一されていないと、そのナレッジを必要としている社員が資料を見つけることが困難になります。

その場合、他の社員がナレッジにアクセスできず、業務が非効率的になってしまいます。ナレッジを持つ社員も他の社員からの問い合わせに対応する必要性が増し、そのために時間を消費しなければなりません。

ナレッジマネジメントにおいて管理される資料は、アナログ管理の手間を避けるために、デジタルデータであることが大切です。社内のサーバーやクラウド上にデータを保存する場合もあれば、社内サイトのコンテンツとして掲載される場合も考えられます。

ExcelやWord、ナレッジを管理するための専用ツールを用いるなど管理方法はさまざまです。ただし、いずれの方法においてもフォーマットを統一したり、管理上のルールを定めたりしておかないと、同様の課題が発生するため注意しましょう。

無駄なコストが発生している

社員が必要なナレッジにアクセスできないことは、無駄なコストを発生させることにつながります。ナレッジを持つ社員は、他の社員からのナレッジに関する質問に答えなければいけない場面が増えます。

これによって本来の業務が滞るだけでなく、時間的・人的コストが無駄に発生する可能性も高くなります。また、既に作成されている資料が見つけられないことにより、作成者以外の社員が同じような資料を作成する可能性も考えられます。

これもまた、時間的・人的コストを無駄に発生させてしまいます。さらに、フォーマットや管理ルールがバラバラの状態のまま情報が蓄積されると、情報整理のために時間的・人的コストを割かなければいけません。

ナレッジマネジメントにチャットボットを利用するメリット

社員がナレッジにアクセスできない課題は、さまざまなデメリットが生じるリスクがあります。しかし、この課題はチャットボットの利用で解決できる可能性があります。

チャットボットとは、ユーザーが入力した質問に対応した解答に、テキストベースで自動的に応答する対話型のプログラムです。顧客対応の効率化に期待されることが多いチャットボットですが、ナレッジマネジメントにも有効活用できます。

ここでは、ナレッジマネジメントにチャットボットを利用するメリットを解説します。

チャットボットとは?導入のメリット・デメリットと機能について解説

チャットボットとは、チャット(会話)とボット(ロボット)を組み合わせた言葉で自動会話プログラムのことを指します。チャットボットにはAI型や非AI型の技術の違いがあります。この記事では、チャットボットの技術や機能についてメリット・デメリットを交えて解説します。

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社員の業務効率が向上する

チャットボットにナレッジを共有することにより、社員は簡単に必要な情報にアクセスすることができます。チャットボットに質問するだけで即座に社員の求めるナレッジを提供するため、社員はナレッジを持つ担当者に問い合わせる必要がなくなります。

会社によっては、社員が業務を円滑に進められる環境を整えるバックオフィス部門を設けていることもあります。その場合は、バックオフィスの担当者にとっても、社員からの問い合わせを軽減できる効果があります。

チャットボットを利用することで、情報を探す社員と情報を提供する社員の両方にとって、手間や負担が減り、社内全体で業務効率が向上します。

無駄が減って生産性が向上する

チャットボットの利点は、欲しい情報を得るために質問をするだけで済むことです。蓄積されたナレッジが膨大になるほど、その中から必要な情報を探すのは時間がかかります。

フォーマットや管理ルールが統一されていない場合は、なおさら時間がかかります。さらに、資料が見つけられないことにより、同じような資料を何度も作る可能性があります。

チャットボットを利用することにより、必要な情報を探すのに時間をかけずに済み、資料の重複も避けられます。これによって無駄なコストが減り、業務全体の生産性が向上します。

顧客対応の質が向上する

ナレッジの蓄積は、社内の情報共有だけではなく、顧客対応に活用することもできます。顧客からのよくある問い合わせや、問い合わせに対する最善の対応をナレッジとして蓄積することで、一貫性のある対応を実現することが可能です。

チャットボットによって正確な情報を即座に得られるため、顧客からの質問にもすぐに答えられます。社員によって顧客対応の経験に差があっても、誤った対応や顧客を長い時間待たせることを避けられます。

チャットボットを活用して顧客対応の質が向上することで、顧客満足度の向上にも期待できます。

人材育成の手間を軽減する

蓄積したナレッジは、チャットボットで即座に引き出せることで、社員は簡単に自己学習することができます。企業の人材育成では、知識や経験のある社員が情報提供やトレーニングを行う場面が多くあり、これには多くの時間や手間を要します。

しかし、チャットボットを活用して社員が自発的に学習できるようにすることで、人材育成の手間削減に繋がります。テキストだけではなく、画像や動画などのデータを提供できるものもあり、テキストでは説明が難しい高度な知識や技術を共有することも可能です。

効果的な活用方法として、業務の流れ以外にも、自社で扱う製品やサービスの情報を蓄積することも考えられます。チャットボットからの情報で、新人が製品やサービスについて自発的に学べることにより、教育の手間を軽減できます。

24時間必要な情報にアクセスできる

社員から社員へとナレッジを継承することに依存していると、ナレッジを持つ社員が不在の際に、他の社員がナレッジを得る方法がなくなってしまいます。

また、データとしてナレッジが社内に存在していても、どこにデータがあるのかがわからなければ、結局は担当者に質問せざるを得ません。

ナレッジマネジメントにチャットボットを活用することで、24時間いつでも必要な情報にアクセスが可能になります。チャットボットが必要な情報を提供するため、担当者が不在でも社員は容易にナレッジを得ることができます。

ナレッジマネジメントにチャットボットを利用するデメリットと対策

チャットボットの活用によってメリットを得られる一方で、システム設計や整備などを行う必要があるなどのデメリットもあります。ここからは、チャットボットを利用するデメリットとその対策について解説します。

チャットボットを利用するデメリット

多くのメリットを得られるチャットボットですが、以下のようなデメリットも発生します。チャットボットの利用を検討する際は、これらの点に留意する必要があります。

  1. システム設計・プログラミング・トレーニングデータの整備などが必要
  2. 定期的なメンテナンスで回答の精度を上げる必要がある
  3. 組織全体でナレッジを作成・管理する必要がある
  4. ナレッジの管理やチャットボットの管理に人件費がかかる

特に社内に一定の知識を持った人材がいない場合、チャットボットによっては効果的な運用が難しくなり、失敗に終わるリスクがあります。そのため、これらのデメリットに対して十分な対策をする必要があります。

デメリットへの対策

上記のデメリットへの対応策として、プログラミングの技術がなくても利用できるノーコードツールの利用が考えられます。ノーコードツールの利用によって、プログラミング・環境構築の手間なく、短期間で運用を開始することができます。

ただし、ノーコードツールを利用しても、チャットボットによる回答の精度を上げるためのメンテナンスや、組織全体でナレッジを管理する必要は生じます。

また、チャットボット導入の効果を上げるためには、ナレッジが蓄積されて正確な回答を提供できるようになるまで、ある程度の時間を要します。そのため、長期的な視野で費用対効果を検討する必要があります。

ナレッジマネジメントに利用するチャットボットの選び方

チャットボットで効果的にナレッジの共有を図るためには、自社に合ったチャットボットを選ぶことが大切です。ここでは、ナレッジマネジメントに利用するチャットボットを選ぶ際のポイントを解説します。

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ナレッジマネジメントに利用するチャットボットの選び方

  1. 誰でも簡単に更新できるか
  2. AIの必要性・有無を確認
  3. サポート体制は十分か

誰でも簡単に更新できるか

ナレッジは常に更新することが重要です。業務に求められる知識や技術は、時間が経過することによって変化することを想定しなければいけません。

ナレッジの更新を怠ると、以前は適切だった情報が、業務や企業体制の変化によって不適切な情報になっても気づけないことがあります。不適切な情報に基づいて業務を行った結果、業務の失敗を招いたり、ナレッジの信頼性が損なわれたりなどのデメリットが生じます。

チャットボットの操作が簡単であれば、社員は新しい情報をナレッジに素早く反映できます。これにより、組織全体が積極的にナレッジを更新しやすくなります。ベンダーによってはデモやトライアルを利用できるため、誰でも簡単に更新できるか確認しましょう。

AIの必要性・有無を確認

チャットボットは、予め用意した質問の選択肢を選んでいくシナリオ型と、フリーな文章入力で質問するAI型があります。これらの2つのタイプのメリット・デメリットを把握して、AIの必要性を検討しましょう。

AI型チャットボットのメリット・デメリット

AI型は、自然言語処理によって質問の意図を分析し、適切な回答を提供します。定型的な質問だけでなく、複雑な質問にも答える機会が多い場合は、AIを搭載したチャットボットがおすすめです。

ただし、AIが質問の意図を正確に判断し、その意図に合った回答を提供できるようになるためには、十分な学習データが必要です。しかし、社内のさまざまなナレッジについて、質問をするだけで即座に回答が得られる点で優れています。

シナリオ型チャットボットのメリット・デメリット

シナリオ型はAI非搭載のため機械学習は不要ですが、社内の多岐にわたるナレッジを扱うには不向きな面があります。扱う情報が多くなるほど質問の選択肢が多くなったり、何回も質問を選ぶことで、回答を得るまでに手間や時間がかかったりする注意点もあります。

ただし、シナリオ型はAI型と比較して低コストなため、質問内容が決まっていて、扱う情報の範囲も限定的な場合におすすめです。

サポート体制は十分か

チャットボットのサポート体制が十分であれば、導入から運用が安定するまでの間に、トラブルが発生しても迅速な解決に期待できます。

また、チャットボットの適切な導入・運用にはノウハウと経験が求められます。そのため、操作方法や運用改善のレクチャーなどの支援を行っているチャットボットサービスが推奨されます。

過去に多くの企業を支援した実績があるサービスなら、サポートによってスムーズな導入と効果的な運用ができる可能性が高まります。

ナレッジマネジメントに活用できるチャットボットの作り方

ナレッジマネジメントに有効なチャットボットを作るためには、チャットボットにFAQを登録する作業が欠かせません。FAQとは「よくある質問」のことであり、社員が求める情報をFAQとしてまとめておくことが大切です。

ここでは、ナレッジマネジメントにおいて有用なFAQを作るステップを解説します。

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ナレッジマネジメントに活用できるチャットボットの作り方

  1. 登録する資料の整理
  2. チャットボットの設定
  3. 試験運用
  4. モニタリング・改善

登録する資料の整理

ナレッジマネジメントの理想は、社内のさまざまなナレッジに手軽にアクセスできることです。しかし、最初からチャットボットにすべてのナレッジを資料として登録するのは、膨大な時間がかかり現実的ではありません。不要な資料を用意してしまう可能性もあります。

まずは、チャットボットを導入する目的を明確にし、チャットボットが担当する情報の範囲を明確にしましょう。その範囲の中で、社内の問い合わせが多い内容から優先順位をつけて、少しずつ資料を増やしていくことがポイントです。

チャットボットに登録する資料は、FAQや業務の手順書などさまざまです。そのため、テーマやカテゴリー別に資料の分類や、質問の際に使われるキーワードと資料を関連付けるなど、資料を整理しておくことが重要です。

チャットボットの設定

資料の用意・整理が完了したら、チャットボットに資料を登録します。また、エラーに対するメッセージやセキュリティ対策として、機密情報に関するアクセス権の管理・データの暗号化なども設定しましょう。

一般的には、チャットボットツールそのものにFAQを登録します。ただし、「ナレッジベース」と呼ばれるナレッジを集約したデータベースから、チャットボットが回答を提供する場合もあります。その場合は、ナレッジベースに資料を登録します。

資料の登録方法は、チャットボットツール・連携させるその他のツール・チャットボットを設置するプラットフォームなどによって異なります。以下では、それぞれの目的に応じた登録方法について解説します。

チャットボットの登録方法

一般的には、チャットボットツールそのものにFAQを登録します。ただし、「ナレッジベース」と呼ばれるナレッジを集約したデータベースから、チャットボットが回答を提供する場合もあります。その場合は、ナレッジベースに資料を登録します。

既存の社内サイトにチャットボットを設置する場合は、社内サイトのコンテンツが資料となることもあります。その場合は、チャットボットにコンテンツが掲載されているWebページのURLを登録すると効率的です。

AI型のチャットボットの場合は資料の登録だけでなく、学習データを蓄積させる必要があります。学習データの蓄積により、質問に対して適切に応答する精度を高められます。

試験運用

試験運用を行うことは、社員が求める情報がチャットボットに揃っている状態を目指す上で重要なステップです。試験運用によって、社員が質問した際に、適切な回答を提供できる状態を目指しましょう。

試験運用は、期間と利用者を限定して行います。設定した期間内におけるチャットボットの質問内容を分析し、社員のニーズを満たす上で不足している資料や、わかりにくい回答を特定します。特定した課題に基づき、資料を追加・修正しましょう。

モニタリング・改善

試験運用を行ってチャットボットを本格的に運用を始めても、定期的に活用状況をモニタリングすることが重要です。モニタリングを行って、従業員が使いやすいか・必要な情報を見つけられているかなどを確認し、必要に応じて改善を行いましょう。

モニタリング・改善を繰り返すことで、より従業員が使いやすい環境を整えられ、効果的なナレッジマネジメントに繋がります

ナレッジマネジメントツールの活用もおすすめ

ナレッジマネジメントツールとは、個人のナレッジを組織全体で共有するための専用ツールです。ツールによってファイルの共有や、蓄積したナレッジを分析して新たなナレッジを獲得できるなど、ナレッジマネジメントに便利な機能を提供します。

チャットボットと同様に、ナレッジマネジメントツールは、ナレッジマネジメントを効率化する上でおすすめです。また、ナレッジマネジメントツールとチャットボットの機能を統合させたツールもあります。

ツールを活用することで、属人化の防止・組織内のスキルの底上げ・業務効率化など、さまざまなメリットが得られます。

ナレッジマネジメントツールとは?導入のメリットや選び方を解説

ナレッジマネジメントツールとは、社員が持つ知識や経験などを社内で共有するためのツールです。本記事では、ナレッジマネジメントツールをよく知らない方・導入を検討している方のために、ナレッジマネジメントツールの機能やメリット・デメリット、選び方を解説しています。

まとめ

ナレッジマネジメントは、社員の持つナレッジを会社全体で共有する経営手法です。効率的にナレッジを蓄積し、社内で共有することにより、業務効率化・生産性向上・属人化の回避など、さまざまなメリットを得ることができます。

しかし、ナレッジの管理方法に一貫性がないと、社員が必要な情報を見つけることが困難になります。これにより、問い合わせ・重複する資料の作成などに無駄な時間や人的コストを割かなければなりません。

こうした課題を解決するためには、チャットボットの活用がおすすめです。チャットボットに質問をするだけで、必要な情報を得ることができます。操作性・AIの有無・サポート体制など、自社に合ったチャットボットを選んで、効果的にナレッジを共有してください。

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