文書管理台帳とは?目的や作り方、作成時に注意したいポイントも解説

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  • 文書管理台帳とは、企業が所有するさまざまな書類の情報を記載しておくための台帳
  • 文書管理台帳の作成は業務効率化に繋がり、法令遵守や税務調査にも対応できる
  • 文書管理台帳を作成する際は紙やExcelよりも文書管理システムを利用するのがおすすめ

文書管理台帳とは、企業が所有するさまざまな書類の概要や情報を記載しておくための台帳です。文書管理台帳の作成は業務効率化に繋がり、法令遵守や税務調査にも対応できます。この記事では文書管理台帳を作成する目的や作り方、作成時の注意点などを解説します。

目次

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  1. 文書管理台帳とは
  2. 文書管理台帳を作成する目的
  3. 文書管理台帳の作り方
  4. 文書管理台帳を作成する際の注意点
  5. 文書管理台帳作成には文書管理システムがおすすめ
  6. まとめ

文書管理台帳とは

文書管理台帳とは、企業が保有するさまざまな書類の概要や、情報を記載しておくための台帳です。電子データ保存法の施行により、文書の電子化が進む昨今では、文書ファイルの管理は、より重要性が高まっています。

文書管理台帳を作成することで、目的の文書の検索がしやすくなり、業務の効率化が実現します。文書管理台帳の形式は、紙やExcel(エクセル)で管理する方法のほかに、文書管理システムを活用する方法があります。

文書管理台帳を作成する目的

文書管理台帳を作成する目的は、大きく分けて4つあります。法令遵守や業務効率化などが挙げられますが、目的を理解したうえで、適切な管理をしなければなりません。ここでは、文書管理台帳を作成する目的について、具体的に解説します。

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法令を遵守するため

文書管理台帳は、法令遵守にも役立ちます。企業で取り扱う重要書類には、法律で保存期間の定めがあるものが多いです。文書管理台帳には、文書ごとに保存期間が記載されているため、法定保存文書を適切に管理できます。

法令保存文書には、保存すべき期間が定められており、文書によって保存期間が1年・3年・5年・7年・10年と異なっているため、適切な管理が求められます。よって、文書管理台帳で保存期間を管理することにより、法令を遵守した保存を行えます。

参考:国税庁標準文書保存期間基準(保存期間表)|国税庁

業務効率化のため

文書管理台帳を作成する目的として、業務効率化が挙げられます。台帳があれば、必要とする文書の保存場所が明確になるため、検索性が高まります。検索する時間や手間が大幅に短縮されるため、業務が効率化されます。

また、文書検索の時間が短縮することにより、他の業務に充てる時間を確保できるため、生産性の向上にも繋がります。さらに、保存期間の定めがある文書も台帳の一覧で確認することで、適切な管理が可能です。

不測の事態に備えるため

文書管理台帳は、不測の事態に備えるためにも必要不可欠です。たとえば、災害・事件などのさまざまなトラブルに巻き込まれた際、そのトラブルを解決するために特定の必要書類を用意しなければならない場合があります。

文書管理台帳があれば、目的の書類の迅速な準備が可能です。裁判所などで事実を証明するための、自衛を目的とした特許関係・バイタルレコードなどの文書や、不測の事態にさらされた場合に対応するための文書は、分かりやすく管理すると良いでしょう。

税務調査に対応するため

税務調査が入った場合、帳簿類や台帳、信憑書類などさまざまな書類の提出を求められます。調査にかかる日数は一般的に1~2日程度と言われていますが、業務の時間を割く必要があるため、できるだけ調査にかかる日程を抑えたいものです。

また、税務調査で確認を求められる書類は、速やかに提出しなければなりません。提出に手間取ったり、破棄してしまったりした場合、不利になる可能性もあります。よって、文書管理台帳があれば、税務調査に対応するための書類をすぐに取り出せます

文書管理台帳の作り方

文書管理台帳は、以下のようなステップで作成します。まずは文書を分類することから始め、台帳に必要な項目を決めたら、管理形式を選び実際に台帳に記載していく、といった手順を踏むとスムーズに作成可能です。

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1. 文書を分類する

まずは、文書の分類から始めます。分類は、以下の3つを基本とします。自社で保管している文書を洗い出し、現状を把握しながら分類しましょう。部署ごとに属人化している文書も漏れなく整備しなければなりません。

基本として分類する3つの書類の概要は以下の通りです。

文書の種類概要
法定保存文書法律で保存期間の定めがある書類
共有文書社内外での共有を前提した書類
完了文書すでに完了した書類

2. 記載項目を決める

文書管理台帳を作成する際は、記載する項目を決める手順があります。文書管理台帳は、検索性を高めることが目的です。そのため、記載する項目は、検索のしやすさに重点を置いて決めるのがポイントです。

たとえば、以下のような項目を記載すると良いでしょう。

  1. 文書名
  2. フォルダ名
  3. 文書の概要
  4. 閲覧権限
  5. 作成部署
  6. 作成者
  7. 作成日
  8. 担当部署
  9. 保管期間
  10. 保管場所
  11. 備考

3. 管理形式を選ぶ

記載する項目が決まったら、文書管理台帳を管理する形式を決めます。管理する形式は、文書の数や会社の規模によって決めると良いでしょう。文書の数が少ない小規模事業者の場合は、PCを必要としないため、管理が簡単な紙ベースでの管理方法がおすすめです。

紙で文書管理台帳を作成する場合、紙に直接項目を記入して、種類別にファイリングを行います。IT機器に苦手意識のある社員がいる場合にも有効です。また、紙よりも効率的に文書管理を行いたい場合は、Excelを活用して文書管理台帳を作成できます。

Excelの場合は、インターネット上にテンプレートが多く存在するため、活用すると容易に文書管理台帳が作成可能です。また、自作でフォーマットを作成する場合、マクロやハイパーリンクを活用すると、一部の作業を自動化できます。

文書管理台帳を作成する際の注意点

文書管理台帳を作成する際は、いくつかの注意すべきポイントがあります。検索性を高めるために表記を統一したり、情報漏洩リスクに備えてセキュリティ対策を行ったり、作成する際は、これらの事項にも注意しなければなりません。

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表記を統一する

文書管理台帳を作成する際は、すべての文書において、表記を統一する必要があります。さまざまな表記が混在すると、検索性が低下するため、文書管理台帳の意味がなくなります。よって、表記の統一は業務効率化を左右する重要な要素となります。

表記を統一させるには、文書のタイトルや種別、フォーマットの表記ルールを策定する必要があります。表記ルールはマニュアルなどを作成し、従業員に周知して、表記統一の徹底を図りましょう

セキュリティ対策を行う

企業で取り扱う文書は、機密性の高いものも多く存在します。よって、外部に情報が流出しないように、セキュリティ対策を行う必要があります。紙で管理する場合は、機密性の度合いによって保管場所や持ち出しの履歴を管理し、保全意識を高めるよう周知しましょう。

また、電子文書の場合は、ファイルのコピーや外部流出のリスクが非常に高いです。そのため、文書ごとにアクセス制限をかけたり、閲覧範囲を狭くしたりするなどして、情報漏洩のリスクに備える対策を行う必要があります。

ISO規格に適合させる

ISO規格とは、ある製品やサービスに対して設けられた国際的な品質の基準のことです。スイスのジュネーブに本部を置く非政府機関のISO( International Organization for Standardization・国際標準化機構)により制定されています。

文書管理に関係するISO規格には、「ISO9001」などがあり、これは品質マネジメントシステムに関する国際規格です。「ISO9001」の要求事項を満たし取得することで、国際基準レベルの品質の証明となり、顧客との信頼関係に繋がります。

参考:ISO 9001:2015|ISO

定期的にメンテナンスを行う

文書管理台帳は一度作成したら終わりではなく、定期的にメンテナンスを行い、最新の状況に更新していく必要があります。不必要になった文書は破棄し、文書の置き場所を変更した場合は反映させるなど、組織の動きに合わせて情報を最適化するためです。

紙やExcelで管理している場合、このようなメンテナンスに多くの手間と時間を割いているケースも多いですが、文書管理システムでは、保存期間を自動で管理できるなど、メンテナンスを簡易化できます。

文書管理台帳作成には文書管理システムがおすすめ

文書管理台帳を効率的に作成するなら、文書管理システムの導入がおすすめです。文書管理システムとは、社内の文書を電子化し、文書のセキュリティ保護や検索性を高める機能を搭載したシステムです。

上述の紙やExcelによる管理よりも優れています。特に大量の文書を保有する企業におすすめです。文書管理システムは、検索性の高さが特徴であり、目的の文書をスムーズに探し出すことができます。

また、セキュリティ面でも文書の暗号化やアクセス制限など、万全な対策が施されています。 

文書管理システムとは?主な機能や導入の際の比較ポイントも解説

文書管理システムは、企業にある資料や文書をデジタル化し、効率良く管理するためのサービスです。この記事では、文書管理システムの主な機能、システム導入によるメリット・デメリットだけでなく、導入の際の比較ポイントなどについても詳しく解説していきます。

まとめ

文書管理台帳は、企業内に存在するさまざまな文書を管理するための台帳です。文書管理台帳を作成することで、業務効率化や法令遵守などにも対応ができます。また、万が一不測の事態が起きた場合でも、解決するための書類を迅速に取り出せるため、自衛に繋がります。

文書管理台帳を作成する際は、紙やExcelを活用した方法があります。Excelは、テンプレートを活用できるほか、マクロなどの機能を活かして一部作業の自動化も可能です。しかし、紙やExcelでの管理は大量の文書を扱う企業には向きません。

文書が多い企業には、文書管理システムの導入をおすすめします。文書管理システムは、文書の検索性が高く、セキュリティ対策も万全です。自社に合った文書管理システムを選定し、効率的かつ、安全に文書管理を行いましょう。

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