PBXは停電時に使用できる?電源の入切に関する注意点も解説

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  • PBXが停電時に使用できるかどうかは、PBXの導入形態や利用状況によって異なる
  • 停電時にPBXを使用する方法は、メタル回線やIP回線など自社の利用回線ごとに異なる
  • 可能な場合は停電前に機器の電源を切っておき、復旧後は正しい順番で電源を入れ直す

PBXが停電時に使用できるかどうかは、PBXの種類や状況により異なります。自社でどのようなPBXを使っているか確認し、対処法を把握しておきましょう。本記事では、停電時にPBXを使用する方法や、停電が予定されている場合の電源の入切に関する注意点などを解説します。

目次

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  1. PBXは停電時に使用できるか
  2. 停電時にPBXを使用する方法
  3. 停電前・復旧後の電源の入切に注意
  4. まとめ

PBXは停電時に使用できるか

PBXとは、企業内にある電話交換機のことで、内線通話や外線通話を効率化させるシステムです。ただし、PBXが停電時に使えなくなると、企業の業務に支障をきたして大きな損失を招く恐れがあります。そのため、停電時の対応を事前に準備しておくことが重要です。

PBXの導入形態には、社内にPBXを設置するオンプレミス型と、クラウド上の仮想PBXを利用するクラウド型が存在し、停電時の利用方法は導入形態によって異なります。ここでは、2つの導入形態の特徴と停電時の対応について解説します。

PBXとは?メリット・デメリット、機能などをわかりやすく解説

PBXとは、企業内の電話交換機を意味し、複数の電話回線を集約して、内線同士や外線と内線の接続をコントロールするシステムです。PBXには3種類あり、コストやメリットなどが異なります。本記事では、PBXの選び方や種類ごとのメリット・デメリットを解説しています。

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導入パターンの特徴と停電時の対応

  1. オンプレミス型PBXの場合
  2. クラウド型PBXの場合

オンプレミス型PBXの場合

オンプレミス型PBXは、自社に主装置を設置します。そのため、スペースと予算さえあれば、自社内でセキュリティ強化や高性能なシステムの構築などが行え、自由にカスタマイズできるのが大きな特徴です。

ただし、導入時には大きなコストが必要であり、保守費用などのランニングコストも発生する点に留意しましょう。また、オンプレミス型PBXは電話回線を利用していることから、内線・外線ともに利用できます

オンプレミス型PBXは電話回線を利用しているので、内線・外線ともに利用できます。電力供給が必要なビジネスフォンやPBXには別途電力が必要ですが、内蔵バッテリーで一定時間の通話は可能です。

クラウド型PBXの場合

クラウド型のPBXは、インターネットを通してベンダーのPBXにアクセスするため、導入時の工事はほぼ不要となり、コストを大幅に削減できます。また、インターネットに接続できれば、外出先からでも会社の内線に接続可能なため、多くの企業が導入を進めています

クラウド型PBXは、自社のオフィスが停電してもベンダーのPBXは正常に作動しています。しかし、停電時には社内のオフィス電話・ルーター・ハブ・VoIPなどが停止し、インターネットに接続できなくなるため、事実上PBXの利用はできなくなります

なお、ベンダーのPBXはさまざまな対策が施されているため、停止しにくいのも特徴です。電時でもインターネットにつながれば、通常通りにPBXの利用は可能です。対処法としては、モバイルデータ通信や公共Wi-Fiの利用が挙げられます。

クラウドPBXとは?機能やメリット・デメリットなどを解説

クラウドPBXとは、インターネットに接続して利用できるオフィス向け電話システムです。クラウドPBXの導入で、社外からでも会社宛の電話に出られたり、通話料の削減ができたりします。本記事では、クラウドPBXを導入するメリットや選び方などを解説しています。

モバイルデータ通信・公共Wi-Fiは使える場合も

オフィスが停電時でも、携帯電話会社が提供するモバイルデータ通信や公共Wi-Fiが利用できる場合は、クラウドPBXにアクセスして通常通り内線・外線の利用が可能です。そのため、クラウド型PBXをスマートフォンで運用している企業も多くなっています。

これらの観点から、クラウドPBXは災害に強い電話回線」といわれており、災害時の従業員の所在確認や緊急連絡としても活用できます。また、自宅からオフィスの内線・外線が利用できるため、テレワークを含めた働き方の多様化にも適しています。

キャリア回線が混雑する際には冷静な判断で対応

地震などの災害や地域ごとの通信障害が発生した場合、安否確認のためにモバイルデータ通信が多用され、キャリア回線が混雑します。その結果、クラウドPBXも上手く利用できなくなることがあります。

よって、社外でクラウドPBXを使用する際、キャリア回線が混雑していると予想される場合には、公共や家庭のWi-Fiに切り替えることが大切です。停電時を含め、緊急時には冷静な判断での対応も求められます。

停電時にPBXを使用する方法

停電時にPBXを使うための備えは、自社が利用している回線によって異なります。ここでは、メタル回線・INS1500回線・IP回線の3つに分けて、停電時にPBXを使用する方法を解説します。

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メタル回線の場合

メタル回線は、銅線で音声データを伝送する仕組みであり、代表的なのはアナログ回線やデジタル回線です。光回線が登場する以前は、インターネット接続として一般的に利用されていました。

メタル回線は電話回線が電話機への給電を行うため、停電時でも問題なく通話できます。また、PBXには多くの場合バッテリーが搭載されていることから、10分程度の給電なら可能です。

オプションで数時間給電できるバッテリーの搭載も可能で、数時間の停電でも耐えうるカスタマイズも実現します。ただし、FAXは代替バッテリーでないとカバーできない点に注意しましょう。

INS1500回線の場合

INS1500回線とはISDN回線の1つで、光ファイバーを利用したデジタル回線です。PBXから先の電話回線はメタルケーブルが用いられるため、PBXに信号が入る前に、光回線の信号をメタル回線の信号に変換する必要があり、それを行うのがDSUです。

DSUの動作には電力の供給が必要ですが、光回線はメタル回線と違って電力の供給ができません。したがって、停電時にはDSUの動作が停止してPBXに信号が届かなくなり、通話不可能になります。

つまり、停電時にはDSUへの給電が必要です。DSUは直流電源で動作しているため、PBXの直流出力からDSUに給電すれば通話は可能になります。ただし、その分PBXのバッテリーの持続時間が短縮される点には注意が必要です。

IP回線の場合

IP回線とは、インターネット回線を利用した通話回線で、通話にはIP電話を利用します。IP回線では、電力供給が必要なVoIPゲートウェイとONUが使われています。停電時にはIP回線からの電力供給はないため、これらの機器は停止し、通話ができなくなります。

停電時でもIP回線を利用できるようにするためには、無停電電源装置(UPS)で、VoIPゲートウェイとONUに電源を供給する必要があります。しかし、長時間の供給はできないことから、万が一のために停電時でも使える通信手段を用意するのも大切です。

停電前・復旧後の電源の入切に注意

正しく動作していた機器に突然電源供給がなくなると、機器が破損してしまう恐れがあります。また、停電復旧時も適切な手順で再起動させないと、正常に動作しないことが考えられます。ここでは、停電前・復旧後の電源の入切について解説します。

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雷サージによる停電対策をしておく

停電の原因が付近に落ちた雷によるものだった場合、PBXに関わるケーブルのいずれかにショート・断線が発生している可能性があります。特に、多回線を使用するPBXでは雷サージの影響を受けやすく、常に急な停電が発生するリスクも持ち合わせています。

そのため、雷対策を行うのはもちろんのこと、電源の入切を行う際には雷の影響で故障が発生していないかも考慮しましょう。また、経年劣化による断線にも注意し、ケーブルに負荷がかかっている部分がないかの特定を行うなど、事前の停電対策も重要です。

停電前に各機器の電源を切っておく

もし、事前に停電することがわかっている場合や予想できる場合は、停電前に各機器の電源を切っておくのがおすすめです。また、急な停電でバッテリー駆動している場合も駆動している間に機器を正常に終了させることで、機器の破損が防げます。

無停電電源装置(UPS)は、停電した際に機器へ給電を行い、給電能力が下がってくると自動的にシャットダウンソフトを動作させて、機器を正常終了させる機能を備えています。簡単に交換できない機器に接続しておくと、機器の故障を守ることができます。

復旧後は末端装置から電源を入れる

電源復旧時に電源を入れる順番が違うと、機器の破損をはじめ動作に異常が出る場合があります。よって、停電したときには、電源が復旧する前に電源スイッチのある機器はすべてOFF状態にしておくのがおすすめです。

電源の入れ方の基本は、末端装置から入れることです。基本的には、終端装置→ルーター→PBX→無線ルーター→PoEハブなどの機器→パソコンの順で電源を供給していきます。

まとめ

PBXが停電時に使用できるかどうかは、自社のPBXがオンプレミス型かクラウド型かで異なります。自社でどのようなPBXを使っているか確認し、さまざまなトラブル時の対処方法を把握しておくことで、停電時にも正常な業務を続けることができるでしょう。

また、停電時にもPBXを使用できるようにするには、メタル回線・INS1500回線・IP回線など、自社の回線の種類によって異なった対策が必要です。そして、対策だけでなく、停電時に機器を守ること、正常な復旧方法についても認識しておくことが大切です。

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