PCログによる勤怠管理とは|PCログの取得方法や活用の注意点

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  • PCログとは、コンピュータの利用状況やデータ通信履歴などを記録したものである
  • PCログの取得方法には、手動によるものとシステムを使ったものがある
  • 勤怠管理システムでPCログを取得するメリットはあるが、対応しているシステムは少ない

PCログを活用することは、勤怠状況を把握することに役立ちます。本記事では、PCログについてその取得方法や、PCログを勤怠管理に活用する際の注意点の他、勤怠管理システムの導入によるPCログ取得のメリット・デメリットも解説します。

目次

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  1. PCログの意味を再確認
  2. PCログによる勤怠管理の有効性
  3. PCログを活用した勤怠管理でできること
  4. PCログの取得方法
  5. 勤怠管理システムでPCログを取得するメリット
  6. 勤怠管理システムでPCログを取得するデメリット
  7. PCログを勤怠管理に活用する際の注意点
  8. まとめ

PCログの意味を再確認

PCログは、パソコンの使用状況や、活動履歴を記録したデータのことです。ログインやログアウト、ファイルの作成や編集、Webサイトの閲覧履歴などが確認できます。

PCログは、セキュリティや監査の目的で活用されますが、近年では、勤怠管理にも使用されています。従業員の労働時間と、PCの稼働時間を比較することで、労働時間の虚偽申告を抑止することができます。

PCログの活用は、適切な管理が重要であり、終業時にPCの電源を切るなどの社内ルールを徹底する必要があります。

PCログによる勤怠管理の有効性

「パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録すること」と厚生労働省のガイドラインにも記述があるように、PCログを活用することにより、従業員の労働時間や、作業内容を正確に把握することが可能となります。これにより、労働基準法や労働契約に基づいた適切な労働条件を提供し、また、過重労働や違法な長時間労働の予防にも役立ちます。

正確な勤怠管理を行うことは、企業の法的な義務を果たし、従業員の権利保護や、健康経営の実現にもつながる大切な取り組みです。労働時間を正しく把握することは、企業の義務と捉え、PCログなどの機能を活用し、勤怠管理を行いましょう

参考:労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン | 厚生労働省

勤怠管理を正しく行わなかった場合のリスク

勤怠管理業務への意識が低く、労働環境の改善が進まなければ、従業員の負担が過大となり、ブラック企業と見なされたり、社会的信頼の低下などのリスクが生じます。

また、企業の経営にも深刻なダメージを与える可能性があるので、適切な勤怠管理が必要となります。ここでは「法律違反の可能性」「コンプライアンス意識の低下」の2つの観点から、勤怠管理を正しく行わなかった場合のリスクについて解説します。

法律違反の可能性

勤怠管理を正しく行わなわず、労働時間を正確に把握しなければ、労働基準法に違反する可能性があります。正確な労働時間の把握は、労働者の権利保護や、労働条件の適正化に関わります。

法律では、最低賃金の適用や、時間外労働の制限、休憩時間の確保などが定められており、これらを遵守するためには、正確な労働時間の把握が必要です。労働時間の適切な管理を怠ると、労働基準法違反による法的なリスクや、労働者とのトラブルの可能性が生じます。

参考:労働基準法 | e-Gov法令検索

コンプライアンス意識の低下

正確な勤怠管理を怠ると、従業員や管理者が勤怠情報を改ざんするリスクが生じる可能性があります。勤怠情報の改ざんは不正行為となり、労働基準法や企業の規則に違反します。初めは小さな不正でも、のちに企業全体の労働実態との乖離を引き起こしかねません。

このような行為は、信頼性や透明性の欠如を招き、コンプライアンス意識を低下させます。また、モチベーションの低下や、離職率上昇といった問題に繋がりかねません。正確な勤怠管理は、組織のコンプライアンスを浸透させ、公正な労働環境の構築に不可欠です。

PCログを活用した勤怠管理でできること

PCログは、従業員の作業時間や業務内容を正確に把握することで、勤怠管理に活用することが可能です。ここでは、PCログと勤怠管理の活用について解説します。

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PCログを活用した勤怠管理でできること

  1. 正確な労働時間の把握
  2. 打刻忘れや虚偽の打刻申告に対応

正確な労働時間の把握

PCログを勤怠管理に活用することで、従業員の労働時間を正確に把握できます。自己申告に頼るのではなく、PCの電源オン・オフの操作履歴を基に実働時間を算出するため、客観的で信頼性の高いデータを得ることができます。

これにより、労働時間の虚偽申告や改ざんを防ぎ、正確な給与計算や労働条件の遵守が可能となります。従業員も公平な勤務状況が保たれることを実感し、労働環境への信頼が高まるでしょう。

打刻忘れや虚偽の打刻申告に対応

PCログを勤怠管理に活用することで、従業員の打刻忘れや虚偽の打刻申告に対応でき、実際の労働時間と勤怠記録との乖離を防げます。PCの電源オン・オフの操作履歴を基にして、勤務時間を正確に把握できるため、従業員の実働時間を確実に把握できます。

打刻ミスや意図的な申告の際も、PCログのデータを参考に、補完することができます。これにより、正確な労働時間の管理が可能となり、適切な給与計算や労働条件の遵守が確保されます。

PCログの取得方法

PCログを取得するためには、専用のソフトウェアやシステムを使用します。従業員のPCにログ収集用のツールをインストールし、PCの電源オン・オフや操作履歴を、自動的に記録します。ここでは、ログ収集の方法について3つを解説します。

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手動で収集

pcには通常、電源オン・オフの操作ログが備えられているので、従業員のpcを一台づつ手動でチェックすれば、ログ収集は可能です。しかし、手動でのPCログの収集は労力がかかり、従業員の数が多い場合や、日々の確認が必要な場合には非現実的です。

手動でのPCログの収集は、主に異常対応や特定の問題解決に活用されるべきであり、通常の勤怠管理には適していません。

Windows10、11での取得方法

Windows10や11のパソコンであれば、下記の手順でログが確認できます。

  1. スタートメニューの検索ボックスで「Event Viewer」を検索、もしくはWindowsマークを右クリックしてイベントビューアーを選択
  2. 左サイドバーの「Windowsログ」をダブルクリック、「システム」を選択
  3. 「システム」を右クリックで「現在のログをフィルタ」を選択
  4. ポップアップ画面の「イベントソース」で「Power-Troubleshooter」を選択し「OK」をクリック

Windows7、8での取得方法

  1. スタートメニュー内の「コンピューター」を右クリック
  2. 「管理」を選択
  3. 「コンピューターの管理」内の「イベントビューアー」を選択
  4. 「Windowsログ」内の「システム」をクリック
  5. 右クリックで「すべてのイベントを名前をつけて保存」を選択

Macでの取得方法

Macの場合は以下の手順で、コンピュータが開かれた直近の時間を確認できます。

  1. Spotlightアイコンをクリックし「Console」を検索して開く
  2. 左サイドバーの「kernel.log」をクリック、サイドバーが表示されない場合は「ログリストを表示する」をクリックして「/private/var/log」を開く
  3. 検索バーで「Wake reason: EC.LidOpen」を検索

ログ管理システムを使って収集

ログ管理システムを活用することで、従業員のパソコン上での操作ログを効率的に収集できます。ログ管理システムは、自動的にログを取得し、集計・分析を行うため、手動での確認作業やログの改ざんのリスクを軽減します

勤怠管理システムを使って収集

勤怠管理システムは、従業員の労働時間を自動的に管理するためのシステムであり、PCログの取得機能を備えたものも存在します。既存の勤怠管理システムが、PCログの取得が可能であれば、そのまま取得することをおすすめします。

既存の勤怠管理システムが、PCログと連携不可の場合は、新しく勤怠管理システムを導入するか、既存の勤怠管理システムと、ログ管理システムを併用することが選択肢となります。

ログ管理システムが搭載された勤怠管理システムを利用することで、勤怠管理システムの多彩な機能と連携して勤怠管理が行えるため、より正確な労働時間を算出できます。勤怠管理システムとログ管理システムの連携は、信頼性と効率性の向上につながります

勤怠管理システムでPCログを取得するメリット

勤怠管理システムで、PCログを利用するメリットは、数多くあります。ここでは、勤怠管理システムとPCログを連携するメリットについて、3つの項目に分けて解説します。

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勤怠管理システムでPCログを取得するメリット

  1. サービス残業の抑止
  2. 勤務状況の見える化
  3. 打刻時間の改ざん防止

サービス残業の抑止

勤怠管理システムでPCログを利用することで、サービス残業の抑止に効果があります。PCログによって、従業員の労働時間を正確に把握し、適切な労働時間管理が可能となります。

労働時間が適正に管理されることで、労働者の健康やワークライフバランスが向上し、モチベーションがアップするという効果も期待できます。従業員が働きやすい環境で業務に取り組めることは、生産性向上や労働力の定着にもつながります。

勤務状況の見える化

勤怠管理システムでPCログを利用することで、勤務状況の見える化が可能です。例えば、テレワークや在宅勤務の場合、従業員のPCログから作業開始・終了時間やアクティビティが把握でき、自己申告以外の方法で労働時間の記録がかないます。

これにより、従業員の実労働時間や作業の進捗状況を可視化し、管理者はリモートでも従業員の勤務状況を把握できます。テレワークや在宅勤務などの勤務形態においても、効果的な勤務管理が実現できます。

打刻時間の改ざん防止

勤怠管理システムでのPCログの利用は、打刻時間の改ざん防止に効果があります。PCログは、従業員のパソコン上での操作履歴を記録するため、正確な作業開始・終了時間が把握できます。

従業員は、自身のパソコンで作業開始や終了を行い、そのログが勤怠管理システムに自動的に反映されます。これにより、手動での打刻ミスや虚偽の打刻申告が防止され、正確な勤務時間が記録されます

打刻時間の改ざんが防止されることで、公平性と正確性のある勤怠管理が実現され、勤怠記録との乖離もなくなります。

勤怠管理システムでPCログを取得するデメリット

勤怠管理システムで、PCログを利用するメリットは、数多くありますが、デメリットもあります。ここでは、勤怠管理システムで、PCログを取得するデメリットを4つ解説します。

自社のニーズとメリット・デメリットを比較して、勤怠管理システムでのPCログの導入を検討しましょう。

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PCログ取得に対応した勤怠管理システムが少ない

勤怠管理システムで、PCログを取得するデメリットとして、PCログ取得に対応した勤怠管理システムが少ないという点が挙げられます。現在、PCログの取得機能を備えた勤怠管理システムは限られており、導入や切り替えには注意が必要です。

企業が利用している既存の勤怠管理システムが、PCログ取得に対応していない場合、新たなシステムを導入する必要があり、別途費用が必要となります。

Macに対応したシステムが少ない

勤怠管理システムでPCログを取得するデメリットとして、Macに対応したシステムが少ないという点も挙げられます。従業員がMacを使用している場合、既存の勤怠管理システムがMacに対応していないことが多く、別途新たなシステムを導入する必要が生じます。

出社時間と労働時間の区別が必要

勤怠管理システムで、PCログを取得するデメリットとして、出社時間と実際の労働時間の区別が、必要である点が挙げられます。PCログは、従業員のパソコンの操作履歴を記録しますが、出社時間と実際の労働時間は必ずしもイコールではありません。

例えば、パソコンの起動やログイン時間は、出社時間に含まれる場合もありますが、その間に実際に業務を開始していない場合もあります。このため、PCログだけを頼りに勤怠管理を行うと、正確な労働時間を把握することが難しくなります。

スリープモードに対応していない可能性

勤怠管理システムで、PCログを利用するデメリットとして、PCがスリープモードに入った場合、ログの収集が停止する可能性があります。スリープモードでは、パソコンの動作が一時的に停止し、ログの記録も中断されることがあります。

このため、PCログだけに頼るのではなく、他の手段や情報を組み合わせて、勤怠管理を行うことが重要です。従業員に対してスリープモードの利用方法や、PCログ収集の制約について周知することも大切です。

PCログを勤怠管理に活用する際の注意点

PCログは、勤怠管理に活用するには利便性の高いツールですが、注意点としては、勤怠管理として利用する際は、PCログだけに頼るべきではありません

PCログは、従業員の操作履歴を記録するものであり、労働時間や勤務内容との直接的な関連性が限定的です。PCログだけでは、作業中の実際の労働時間や休憩時間、業務の進捗状況などは把握しづらく、正確な勤怠情報を得ることが難しい場合があります。

従って、PCログを補完するために、他の手段や機能との組み合わせが必要です。総合的な勤怠情報を得るためには、複数の情報源を継続的に監視・分析し、従業員とのコミュニケーションを図ることも重要です。

まとめ

勤怠管理に、PCログを活用することは有効です。PCログを勤怠管理に活用すると、従業員の作業開始・終了時間や休憩時間の把握が可能です。勤怠管理を正確に行うことで、労働基準法などの法令遵守に繋がり、従業員のコンプライアンス意識も向上します。

また、サービス残業の抑止や打刻時間の改ざん防止も検知でき、労働時間の適正化や、過重労働の抑制に役立ちます。PCログの活用により、効率的な勤怠管理と業務改善が実現でき、ひいては、組織の生産性の向上にも繋がります。

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