カスタマーサクセスとカスタマーサポートの違い|目的やKPIを比較

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  • カスタマーサクセスとカスタマーサポートは、目的・業務内容・KPIなどが異なる
  • カスタマーサクセスは顧客と長期的に関わるが、カスタマーサポートは単発的である
  • カスタマーサポートがカスタマーサクセスを担うと解約率増加のリスクがある

カスタマーサクセスとカスタマーサポートは混同されることが多いですが、目的・業務内容・KPI・必要なスキル・顧客との関わり方など異なる点が多々あります。この記事では、カスタマーサクセスとカスタマーサポートの違い、注意点を解説します。

目次

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  1. カスタマーサクセスとカスタマーサポートの違い
  2. カスタマーサクセスとカスタマーサポートの比較
  3. カスタマーサクセス・カスタマーサポートに関する注意点
  4. まとめ

カスタマーサクセスとカスタマーサポートの違い

顧客をサポートする言葉として、「カスタマーサクセス」と「カスタマーサポート」の2つがあります。カスタマーサクセスは、顧客が提供された製品やサービスを最大限に活用し、その価値を最大化することに重きを置いています。

一方、カスタマーサポートは、顧客が製品やサービスに関する問題や疑問を解決することに焦点を当てています。それぞれ、顧客に対するサービスの異なる側面を指しており、似て非なるものとして位置づけられています。

そこで本記事では、カスタマーサクセスとカスタマーサポートの違いや、比較のポイント、注意点などについて分かりやすく解説します。

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カスタマーサクセスとカスタマーサポートの違い

  1. カスタマーサクセスとは
  2. カスタマーサポートとは

カスタマーサクセスとは

カスタマーサクセスは、顧客が購入した製品やサービスを充分に活用し、その価値を最大限に引き出して使用することを支援します。いわば顧客に対して能動的なサービスを行うことによって、顧客に成功体験を与え、長期的に良好な関係を築くことを目的としています。

また、顧客との継続的なコミュニケーションを通じてフィードバックを収集し、問題解決や改善に努め、それに基づいてサービスや製品を提供します。これによって、顧客のリピート購入などに結びつけ、自社ブランドの愛好者を増やすことを目指します。

カスタマーサクセスの実施は、顧客満足度の向上に加えて、企業の収益性向上や競争力の強化にも繋がります。さらに、従来の顧客サポートやアフターセールスサービスの枠を超えて、顧客に対するより積極的で継続的なサービスを提供します。

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カスタマーサポートとは

カスタマーサポートは、顧客が製品やサービスを利用して問題や疑問を抱えた際に、その解決やサポートを提供するための仕組みや活動を指します。これによって、顧客が製品やサービスを円滑に利用することを目的としています。

具体的には、顧客からの問い合わせや疑問点などに対して、電話、メール、チャット、ソーシャルメディアなどさまざまな手段で回答・対応します。これには技術的なサポート、製品の使い方、問題発生などに関する多岐にわたる質問が含まれます。

カスタマーサポートは、企業や組織にとって顧客へのサービスに対する重要な要素です。丁寧で迅速なサポートは顧客満足度を向上させ、自社製品へのリピーターや愛好者を増やすことにも繋がります。

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カスタマーサクセスとカスタマーサポートの比較

カスタマーサクセスとカスタマーサポートは目的や内容など、目指すところが違っています。ここからは、両者をさらに深く比較するために、以下のそれぞれの項目について詳しく解説します。

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目的

カスタマーサポートとカスタマーサクセスは、どちらも顧客の満足度向上を目的としている点では共通していますが、以下のような違いがあります。

カスタマーサクセスは、顧客が製品やサービスの価値を最大限に認識し、満足度を得ることを目的とします。そのため、顧客の目標達成や成果向上に焦点を当て、積極的・能動的にサポートを働きかけます。

一方、カスタマーサポートは、顧客が製品やサービスを使用する際に生じる問題や疑問に対処し、解決策を提供することを主な目的としています。具体的には、技術的なサポートやトラブルシューティングなどが含まれ、問い合わせなどの発生時点で受動的に対応します。

業務内容

カスタマーサクセスの主な業務内容は、顧客に対して製品やサービスの最適な利用方法を提供し、顧客が製品の持つ価値を充分に活用できるようにサポートすることです。また、顧客の情報を管理し、そのニーズや目標を理解して成功に向けてプランや戦略を策定します。

顧客と定期的にコミュニケーションをとり、潜在的な課題や改善の余地を見つけ出し、顧客のビジネスに対して将来に向けた戦略立案などの支援も行います。

カスタマーサポートの主な業務内容は、顧客の製品やサービスにおける問い合わせに対して、回答などの対応を行うことです。これには、技術的なサポート、製品の使い方に関する質問、トラブルシューティング、クレーム対応などが含まれます。

組織内での位置付け

カスタマーサクセスは、顧客の製品やサービスに対して、その価値を最大限に活かすように積極的にサポートするプロフィットセンター(収益部門)として位置づけられます。

また、顧客のビジネス目標を理解し、将来の課題やニーズに備えて主動的なサポートを提供します。その取り組みによって自社の収益を増加させる部門にもなります。

カスタマーサポートは、収益を出さずコストだけが発生する部門であることから、コストセンター(費用部門)と位置付けられます。これは、製品やサービスの問題解決、技術的なサポート、顧客からの問い合わせに対応することを主な目的であるためです。

KPI

KPI(Key Performance Indicator)は、企業や組織が目標や戦略の達成度合いを評価するための指標です。KPIによる指標は、業績や成果を定量的に測定し、企業や組織のビジネスの健全性や進捗を把握するのに役立ちます。

カスタマーサクセスのKPIの設定は、顧客が提供されたサービスや製品に対する満足度を定量的に把握し、サービスの質を確認することを目的とする場合が多いです。例としては、アップセル・クロスセル率、解約率、顧客生涯価値などが挙げられます。

カスタマーサポートのKPIの設定は、顧客の問題や質問に対する解決件数や対応時間を測定し、速やかな問題解決を確保し、顧客満足度を向上させることが目的です。具体的には、問題解決の件数、解決までにかかった時間、応答率、ワンストップ処理率などです。

KPIの例
カスタマーサクセスアップセル・クロスセル率解約率売上継続率顧客生涯価値
カスタマーサポート解決件数対応時間応答率ワンストップ処理率

担当者の支援の姿勢

カスタマーサクセスは、積極的で能動的なサポートを提供します。対してカスタマーサポートは、主に既存の問題に対処するための受動的なアプローチを指します。

まず、カスタマーサクセスにおける担当者の姿勢としては、顧客と積極的にコミュニケーションをとり、顧客が直面する潜在的な課題やニーズを予測します。また、顧客のビジネス目標に焦点を当て、その達成に向けて戦略的なサポートを前向きに提供します。

カスタマーサポートの担当者の姿勢は、主に顧客からの問い合わせやトラブルが発生した時に対応するため、受動的になります。既存の技術的な問題解決や製品の不具合に対して、迅速かつ適切に対処します。

必要なスキル

カスタマーサクセスとカスタマーサポートは、どちらもコミュニケーション能力が求められます。カスタマーサクセスは顧客のビジネス目標を理解し、それに基づいて戦略的なアプローチを提供するため、戦略的な思考やスキルが求められます。

また、顧客と定期的にコミュニケーションをとり、顧客の業界やビジネスに関する理解が必要であり、ビジネス洞察力が重要です。さらに、潜在的な問題やニーズを予測するために将来を見越したコミュニケーション能力が求められます。

カスタマーサポートは主に問題解決に焦点を当てるため、迅速かつ効果的に問題を解決できるスキルが必要です。そのため、製品やサービスに関する技術的な深い理解が必要であり、テクニカルスキルが求められます。

顧客と関わる期間

カスタマーサクセスは、顧客との長期的なパートナーシップを構築することに焦点を当てます。そのため、顧客のビジネスニーズに合わせて追加の価値を提供し、アップセルやクロスセルを通じて、長期的な収益を拡大することを目指します。

カスタマーサポートは、主に顧客が製品やサービスを利用する際に生じる単発的な問題や疑問に対応し、問題解決のサポートを行います。そのため、特定の問題が発生した際に短期的かつ効率的に対応することが求められます。

導入が推奨される企業

カスタマーサポートは、企業の商品・製品やサービスに対するサポートを行うため、多くの企業で導入されています。商品やサービスを提供する企業は、積極的な導入をおすすめします。

一方、カスタマーサクセスは顧客が定期的な支払いを行い、それに応じて定期的なサービスや製品を提供するサブスクリプションサービスを行っている企業やSaaS企業などに導入が推奨されます。

サブスクリプションビジネスを行う企業は、顧客が定期的に支払いを行うため、継続率が重要です。カスタマーサクセスは、顧客がサービスを満足して継続的に利用するための戦略を策定し、サポートします。そのため、長期的な顧客関係が築かれ、継続率が向上します。

カスタマーサクセス・カスタマーサポートに関する注意点

企業や組織がカスタマーサクセスやカスタマーサポートに対応する場合には、いくつかの注意点があります。ここでは、カスタマーサクセス・カスタマーサポートに関する注意点として、以下の項目について解説します。

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カスタマーサポートがカスタマーサクセスを担うことはできない

カスタマーサクセスは、長期的なパートナーシップの構築を目指し、顧客との継続的な関係を築くことを重視します。これに対して、カスタマーサポートは一過性の問題解決が主な役割であり、顧客との長期的な関係構築は直接の目的ではありません。

また、カスタマーサクセスは顧客と協力して戦略的なビジョンや計画を策定し、その実行を支援します。一方で、カスタマーサポートは通常、顧客からの問い合わせや個別の問題解決などのサポートが中心です。

これらの違いにより、カスタマーサポートがカスタマーサクセスを担うことは難しくなります。カスタマーサポートはカスタマーサクセスの一部となりますが、その役割や目的が異なるため、カスタマーサクセスの代替にはなりません。

企業の成長にはどちらも必要

カスタマーサポートは、問題点や疑問点の解決やトラブルシューティングに焦点を当て、顧客が製品やサービスを円滑に利用できるようにサポートします。この適切で迅速なサポートにより、顧客満足度の向上に繋がります。

カスタマーサクセスは、積極的なアプローチによって、顧客が成功するための長期的な戦略を立てます。顧客の成功を最大化し、達成したい目標に焦点を当てることで、顧客はサービスに継続的に価値を見出し、長期にわたって利用し続ける可能性が高まります。

このように、カスタマーサポートとカスタマーサクセスは目的や特徴が違います。企業の成長のためには、顧客に対する両者のバランスが取れたアプローチが必要です。

まとめ

カスタマーサクセスとカスタマーサポートは、両方とも企業が成功するためには不可欠な要素です。カスタマーサクセスは、将来を見越したアプローチを通じて顧客と深い関係を築き、成功に導く役割を果たします。

一方、カスタマーサポートは、製品の技術的な問題解決や早急なサポートが主な焦点になります。顧客からの問い合わせや疑問、トラブルに対応して、迅速に対応することにより、顧客満足度を向上させます。

カスタマーサクセスとカスタマーサポート双方の違いを理解して適切に導入し、自社ビジネスの成長や成功を目指しましょう。

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