OJTでマニュアル作成が必要な理由とは?作り方のポイントも解説

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  • OJTとは、業務に取り組みながら必要なスキルや知識を身につけていく教育手法のこと
  • OJTマニュアルは、新入社員の不安解消や指導者の負担軽減のために必要である
  • OJTマニュアル作成時は目的や対象者を明確にし、未経験者でも理解できる内容にする

OJTとは、業務に取り組みながら必要なスキルや知識を身につけていく教育手法のことです。効果的にOJTを実施していくにあたっては、OJTマニュアルの作成が推奨されます。この記事では、OJTにおけるマニュアル作成の重要性や作り方のポイントを解説します。

目次

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  1. OJTマニュアルを作成しよう
  2. OJTでマニュアルが必要な理由
  3. OJTマニュアルの種類
  4. 学習者用業務マニュアルに含める項目の例
  5. OJTマニュアルの作り方
  6. OJTマニュアル作成時のポイント
  7. まとめ

OJTマニュアルを作成しよう

業務マニュアルは、業務に関する情報や手順などをまとめたものです。このマニュアルによって、経験の有無に関わらず、誰が作業を行っても一定の品質を保つことができるメリットがあります。OJTにおいても、マニュアルの作成がおすすめです。

OJTマニュアルには、実務を行う際に必要な手順やポイント、良い例や悪い例、よくある問題とその対処法などが記載されます。この記事では、OJTにおけるマニュアル作成の重要性や作り方のポイントを解説します。

マニュアル作成とは?メリット・デメリット、ツールの選び方を解説

マニュアルを作成することで、教育コストを削減し、業務の効率化や属人化防止に効果的です。またマニュアル作成ツールを導入することで、マニュアル作成に関する課題の解決に役立ちます。本記事では、マニュアル作成の手順やマニュアル作成ツールの選び方などを解説しています。

そもそもOJTとは

OJTとは、「On the Job Training」の略語です。これは、新入社員や後輩が上司や先輩から計画的に、知識やスキルを学ぶトレーニング方法です。通常の研修やマニュアルでは得られない実践的な経験を通じて、必要な能力を身につけることができます。

この方法では、実際の業務に即した具体的な状況や課題に直面しながら学ぶことで、より効果的にスキルを習得できるとされています。つまり、現場での実践を通じて学ぶことで、より実践的なスキルや知識を身につけることができます。

OJTのメリット

OJTでは、座学では得られない実践的な知識やスキルを、実際の業務に即した形で学ぶことができます。上司や先輩からの指導を受けながら、実際の業務に取り組むことで、実地に基づいた教育が可能です。

また、OJTではトレーナーとの1対1で指導が行われるため、新人の個性や強みを理解しやすく、適切な指導が行えます。このように、OJTは実践的な経験を通じてスキルを習得し、個別に適した指導を受けることができるため、効果的な学びの場となります。

OJTのデメリット

OJTのデメリットとして、体系的な教育には向かないという点が挙げられます。OJTは日々の業務を中心に教育を行うため、企業全体の広い視野で理解する機会が限られてしまう可能性があります。

また、OJTでは実際の職場の上司や先輩が新人の教育を担当するため、現場において教育コストがかかる場合もあります。新人の教育が中心になりすぎて、他の重要な業務や企業全体の戦略的な視点を見失う恐れがあります。

そのため、OJTを実施する際には、教育のバランスを保ちつつ、体系的な教育や企業全体の理解を促す工夫が必要です。

OJTでマニュアルが必要な理由

OJTでマニュアルが必要となる理由には、新入社員の不安を解消したり、教育を均一にしたりなど、さまざまです。ここからは、OJTでマニュアルが必要な理由について解説します。

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新入社員の不安を解消するため

OJTでマニュアルが必要な理由の一つは、新入社員の不安を解消するためです。OJTマニュアルがない場合、新入社員は仕事の流れを把握するのが難しく、自己学習を進めることが困難になります。

マニュアルがあれば、新入社員は自身の進捗状況を確認でき、業務に自信を持つことができます。また、マニュアルには業務の手順やポリシー、よくある問題への対処方法などが記載されており、課題にどのように対処すればよいかを理解するのに役立ちます。

このように、OJTマニュアルは新入社員が円滑に業務に取り組むためのサポートツールとして重要です。

新入社員の教育を均一化するため

マニュアルがあれば、指導する側も指導を受ける側も常に正しい業務を行えるようになります。新入社員はマニュアルを参照することで、一貫した教育を受けることができ、業務に対する理解度やスキルの向上が均一化されます。

また、業務の引き継ぎを行う場合も、マニュアルに基づいて行われるため、引き継ぐ業務内容が一貫性を持ちます。これにより、新入社員が適切な指導を受け、業務の効率的な引き継ぎが可能となります。

指導者の負担を減らすため

OJTでマニュアルが必要な理由は、指導者の負担を減らすためです。マニュアルを作成することで、会社全体の業務の進め方が標準化され、指導者が同じ内容を繰り返し説明する手間が省けます。これにより、指導者はより効率的に新人に指導することができます。

また、マニュアルは新人教育時の教科書として機能し、新人が自己学習できるようにサポートします。指導者が新人教育に十分な時間を割けない場合でも、マニュアルを活用することで、従業員自身が業務内容を理解し、適切に作業を進めることができます。

OJTマニュアルの種類

OJTマニュアルには、指導者用と学習者用の2種類があります。ここからは、それぞれの種類の概要や内容について、詳しく解説します。

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指導者用マニュアル

指導者用のOJTマニュアルは、OJTでの教育活動を効果的に進めるためのマニュアルです。このマニュアルには、指導者が学習者に対してどのようなアプローチを取るべきか、どのような情報を伝えるべきかなどが記載されています。

たとえば、育成の目標や学習者が達成すべき合格基準など、育成のゴールと目安が明確に示されます。指導者が明確なガイドラインに従って行動することで、学習者の育成がより効果的に行われ、組織全体の生産性向上につながります。

学習者用マニュアル

学習者用マニュアルは、学習者が業務に必要な知識やスキルを習得しやすくするためのマニュアルです。学習者用マニュアルは、全体マニュアル業務マニュアルの2種類に分けられます。以下では、それぞれの種類について詳しく解説します。

全体マニュアル

全体マニュアルは、学習者が企業や組織全体を理解するための基本的な情報をまとめたものです。これには、企業の理念やビジネスマナー、組織の構造や役割分担、業務フローなどが含まれます。

つまり、企業が何を目指し、どのような価値観を持っているのか、社内外での振る舞い方やコミュニケーションの仕方、部署や役職の配置、そして業務の流れや手順などが記載されています。

全体マニュアルは、学習者が組織全体を俯瞰し、自身の役割を理解し、仕事を円滑に進めるための必須の情報源となります。

業務マニュアル

業務マニュアルは、具体的な業務に関する手順や重要なポイント、注意事項などをまとめたものです。学習者はこのマニュアルを参照することで、自身の担当業務に関する知識やスキルを効率的に獲得し、業務の品質や効率を向上させることができます。

組織全体で同じ手順や方法が実施されることで、業務遂行における安定性や信頼性が高まります。次項では、業務マニュアルの具体的な内容や項目について詳しく解説します。

学習者用業務マニュアルに含める項目の例

学習用業務マニュアルに含まれる項目には、業界や業務内容によって異なる場合がありますが、一般的に以下のような項目が含まれることがあります。ここからは、学習者用業務マニュアルに含まれることが多い項目の例について詳しく解説します。

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接客に関する項目

接客に関する項目は、衣料品店や飲食料品店、化粧品店など様々な店舗で重要視される業務であり、顧客との円滑なコミュニケーションを築く上で欠かせません。

具体的な項目としては、接客の流れ、顧客からの受け答え、そして良い接客をするための接客のポイントなどが挙げられます。これらの項目は、学習者が実際の接客業務を行う際に役立ちます。

適切な接客スキルを身に付けることで、顧客満足度を高めるだけでなく、自身の業務効率や店舗の売り上げ向上にも貢献します。

清掃に関する項目

清掃に関する項目は、店舗や施設の清潔さを保つために重要な業務です。この項目では、たとえば、どの部分から始めてどの順番で掃除を進めるか、各部分の適切な掃除方法などを指示します。

また、清掃の合格基準や目安は、清掃の品質を確保するために必要な基準を定めます。これにより、清掃が十分に行われたかどうかを客観的に判断することができます。

商品提供に関する項目

商品提供に関する項目は、店舗や施設での業務において非常に重要です。この項目では、学習者が顧客に商品を提供する際の基本的な手順やポイント、および注意すべき事項を理解することが求められます。

商品提供の基本的な手順としては、顧客からの注文を受け取り、商品を準備し、適切な形で提供することが挙げられます。ポイントとしては、商品提供の際に顧客のニーズや要望を理解し、丁寧な接客を心掛けることが重要です。

顧客の満足度を高めるためには、笑顔での対応や迅速なサービスが求められます。また、注意すべき事項には、食品の提供時に衛生面や安全面に配慮することが挙げられます。

食品提供時には清潔な状態を保ち、食中毒や事故のリスクを最小限に抑えるために、適切な衛生管理や安全対策が必要です。

レジ操作に関する項目

レジ操作に関する項目では、レジ操作の基本的な手順や注意点、そしてトラブル時の対処方法などを記載します。たとえば、レジの起動方法や商品登録手順、割引やキャンセルの処理方法、おつりの計算などが挙げられます。

レジの操作は精密な作業であり、誤りがあると顧客の不満や混乱を招く可能性があります。そのため、マニュアルには丁寧な説明と具体的な例が含まれるべきです。さらに、異常時の対処法やトラブルシューティングの手順も重要です。

これらの情報を学習者が理解し、実践することで、スムーズなレジ操作が可能となり、顧客サービスの向上につながります。

クレーム対応に関する項目

クレーム対応のOJTマニュアルでは、さまざまな状況やパターンに対する対応方法を記載することが重要です。学習者が実際のクレームに遭遇した際に、的確に対応できるよう可能な限り多くの事例を含めることが求められます。

たとえば、クレームの内容や原因を正確に把握するための質問方法や、適切な謝罪の表現、解決策の提案方法などが挙げられます。さらに、クレーム対応時のマナーや心構え、感情的な対応を避けるためのコミュニケーションのポイントも重要です。

このように、クレーム対応のOJTマニュアルは、事例の豊富さと分かりやすい解説によって、学習者が自信を持ってクレームに対応できるようサポートします。

OJTマニュアルの作り方

OJTマニュアルを作成する際は、以下のような流れに沿って行うことで、効果的なOJTマニュアルを作ることができます。ここからは、OJTマニュアルの作り方について詳しく解説します。

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目的・対象者の設定

OJTマニュアルの作成において、まずはそのマニュアルがなぜ必要なのかを明確にすることが重要です。マニュアルの目的は、新入社員の教育や業務効率の向上など、特定の目標や課題に対処するために存在します。次に、対象者を明確に定めます。

対象者を明確に定めることは、マニュアルを使用する人々が誰であり、どのような内容を学ぶ必要があるのかを理解することです。たとえば、新入社員や特定の部署の従業員などが対象となります。

目的と対象者を設定することで、マニュアルの内容やアプローチを適切に選択できます。

情報の収集・整理

次に設定した項目に必要な情報を収集し、整理します。これは、マニュアルが分かりやすく、使いやすいようにするために欠かせない作業です。情報が整理されていないと、マニュアルを理解するのが難しくなり、混乱を招く可能性があります。

教材としてのマニュアルは、学習者が理解しやすいように構成することが重要です。これによって、学習者が効果的に情報を吸収し、業務を適切に実行できるようになります。

素案の作成

素案では、全体の枠組みや流れを意識して、マニュアルの基本的な構造を作ります。各項目のタイトルや内容の大まかなアウトラインを考えることが主な目的です。

また、テンプレートを利用する方法もあります。テンプレートを使用すると、マニュアル作成が効率化され、一貫性のあるフォーマットを保つことができます。素案を作成する際には、マニュアル全体の流れや必要な内容を見据えることが重要です。

学習者が理解しやすく、効果的な教育が行われるように配慮しましょう。素案をしっかりと作成することで、後の段階でのマニュアル作成がスムーズに進み、高品質な教材が完成します。

内容の精査

素案が完成したら、マニュアルに漏れがないか、誤字脱字がないか、情報の揺れがないかなどを徹底的にチェックします。漏れや誤りがあると、学習者が正しい情報を得られず、効果的な教育が行われない可能性があります。

また、情報の揺れがあると、学習者に混乱を招く原因になります。内容の精査では、細かな部分まで注意深く確認し、マニュアル全体が正確かつ一貫性のあるものになるよう努めることが重要です。

チェックリストや校閲ツールを活用して、可能な限りミスを見逃さないようにしましょう。精査が完了したら、次の段階に進む準備が整います。

フィードバック収集・改善

OJTマニュアルを作成した後、フィードバックの収集と改善を行いましょう。フィードバックを受け取る際には、複数の人にマニュアルを見てもらうことが重要です。

さまざまな立場や経験を持つ人々の意見を取り入れることで、マニュアルの内容や表現方法に関する洞察を得ることができます。フィードバックを受け取ったら分析して、必要に応じてマニュアルを改善しましょう。

このようにして、より使いやすく、有益なOJTマニュアルを完成させることができます。

OJTマニュアル作成時のポイント

OJTマニュアルを作成する際は、いくつかのポイントに注意することで、効果的なマニュアルを作ることができます。ここからは、そのポイントに注目して詳しく解説します。

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未経験者でも理解できる内容にする

OJTマニュアルを作成する際の重要なポイントは、未経験者でも理解しやすい内容にすることです。そのためには、専門用語や業界特有の言葉をできるだけ避けたり、使用する場合は必ず注釈を付けたりすることが大切です。

未経験者は、業界の専門知識や用語を持っていない可能性が高いため、専門用語を使用すると理解が難しくなります。使用する場合は注釈を入れることで、その用語の意味や背景を説明し、読者が理解しやすくなります。

画像・イラストを盛り込む

OJTマニュアルを作成する際、画像やイラストを盛り込むことで視覚的にわかりやすくなります。たとえば、作業手順や手法を説明する際には、その手順を図解やイラストで示すことで、手順がわかりやすくなります。

また、複雑な概念や構造を説明する際には、図表やチャートを使用することで、情報を整理しやすくなります。これらの視覚的な要素は、言葉だけでは伝えにくい情報を補完し、読者にとってマニュアルを理解しやすくします。

そのため、OJTマニュアル作成時には、適切な場面で画像やイラストを活用して、読者が迷うことなく業務を理解できるよう配慮しましょう。

学習者の意見も反映する

学習者からの意見を取り入れることで、マニュアルの使いやすさや理解しやすさを向上させることができます。学習者に直接マニュアルを使用してもらい、フィードバックを積極的に収集します。

その際には、マニュアルの理解のしやすさや説明の明確さ、必要な情報の充実度などについて意見を求めましょう。収集した意見を検討し、改善点や追加すべき内容をマニュアルに反映させることで、より使いやすいマニュアルを作成することができます。

学習者が自分たちの声を反映させたマニュアルを使うことで、自身の学習効果も向上し、より効果的な教育ができるでしょう。

動画マニュアルの作成も検討する

OJTマニュアルを作成する際に、動画マニュアルの作成も検討しましょう。動画マニュアルはテキストや画像よりも視覚的でわかりやすいため、学習効果を高めることができます。

たとえば、実際の業務手順や操作方法を実演することで、学習者はより具体的に理解できます。また、動画は何度も視聴できるため、学習者が自分のペースで繰り返し学習することができ、理解を深めることが可能です。

そのため、OJTマニュアルの作成には動画マニュアルを取り入れることで、学習効果を最大限に高めることができます。

学習者とのコミュニケーションを怠らない

OJTマニュアルがあるからといって、学習者との直接的なコミュニケーションを怠るべきではありません。学習者とのコミュニケーションを怠ると、マニュアルの内容を理解しているかどうかを正確に把握できません。

また、学習者へのヒアリングはコミュニケーションをとる機会にもなります。学習者の不安や疑問を直接聞くことで、理解度や課題を把握し、適切なサポートや説明を提供することができます。

まとめ

OJTマニュアルは、業務に関する情報や手順などをまとめたドキュメントです。OJTは業務に取り組みながら、スキルや知識を身につける教育手法であり、効果的な実施のためにOJTマニュアルの作成が推奨されます。

学習用業務マニュアルには、業界や業務内容に応じて異なる項目が含まれます。マニュアル作成時には、専門用語の避け方や視覚的な要素の導入、学習者のフィードバックの取り入れなどのポイントに留意することが重要です。

本記事で紹介したポイントを考慮し、効果的なOJTマニュアルを作成しましょう。

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