オンラインストレージを上手に運用するには?運用時のポイントを解説

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  • オンラインストレージにはメリットも多いが、デメリットもある
  • オンラインストレージを選定する際は、セキュリティ性などをよく確認する
  • オンラインストレージを効果的に運用するためには、使い方のルールを定めることが重要

オンラインストレージは、インターネット上にファイルを保存できるサービスです。ファイルサーバーと比べて運用の手間がかからないため、多くの企業に利用されています。本記事では、オンラインストレージを効果的に運用するためのポイントなどを解説します。

目次

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  1. オンラインストレージを効果的に運用しよう
  2. オンラインストレージのメリット
  3. オンラインストレージのデメリット
  4. オンラインストレージの導入前に検討すべきこと
  5. オンラインストレージを運用する際のポイント
  6. まとめ

オンラインストレージを効果的に運用しよう

オンラインストレージ(クラウドストレージ)は、インターネット上にファイルを保存するサービスです。従来のファイルサーバーよりも手軽で、管理や運用の手間が少ないため、多くの企業で利用されています。

例えば、大容量のデータや重要な文書、画像、動画などを安全に保存し、必要なときにどこからでもアクセスできます。本記事では、オンラインストレージを効果的に運用するためのポイントなどを解説します。

オンラインストレージとは?メリット・デメリットと選び方を解説

オンラインストレージとは、ローカルのHDDなどの記憶容量にデータを保存せずに、インターネット上のストレージにデータを保存するサービスのことです。本記事ではオンラインストレージの仕組みや使い方、メリット・デメリット、選び方について解説します。

オンラインストレージのメリット

オンラインストレージには、場所を選ばずアクセスできることや、メンテナンス・保守の手間がかからないなど多くのメリットがあります。ここでは、オンラインストレージの利用によるメリットについて詳しく解説します。

場所を選ばずアクセスできる

オンラインストレージに保存されたファイルは、インターネットにアクセスできるデバイスがあればどこからでも利用できます。そのため、テレワーク中や出張先でもファイルにアクセスし、必要な情報を確認・編集することが可能です。

また、複数のデバイスで同じファイルにアクセスできるため、PCやタブレット、スマートフォンなど、さまざまなデバイスを使って作業する際にも便利です。多様な働き方に対応しやすく、従業員が柔軟な勤務形態を選択できる環境を整えられます

メンテナンス・保守の手間がかからない

オンラインストレージサービスでは、サーバーのメンテナンスや保守作業をサービス提供会社が行ってくれます。そのため、サーバーの管理にかかる時間や労力の大幅な軽減が可能です。

サーバーの運用やトラブル対応などの手間がかからず、業務に集中しやすいです。さらに、オンラインストレージでは容量の増減も簡単に行えます。サーバーを増設・減少させるような作業は不要であり、容易に容量の調整が可能です。

業務の変化やニーズの変化に応じて、柔軟にストレージ容量を調整できます。

ファイルの共有が簡単になる

従来の方法では、ファイルをメールで送ったり、USBドライブを持ち運んだりする必要がありました。しかし、オンラインストレージを使えば、ファイルをアップロードするだけで誰でも簡単にアクセスが可能です。

社内・社外を含め、場所や時間を問わずファイルにアクセスできるため、業務の効率が大幅に向上します。 また、オンラインストレージでは、複数の人が同時にファイルを編集できる共同編集機能も搭載されています。

例えば、複数の人が同じドキュメントを編集している場合でも、リアルタイムでの更新が可能です。さらに、過去のバージョンを簡単に参照できるため、作業の進捗管理や修正がしやすくなります。

BCP対策ができる

BCP対策は、企業が緊急事態時に事業を継続できるようにするための計画です。オンラインストレージの利用によって、BCP対策を強化できます。

従来のファイル保存方法では、紙の書類やサーバー内のデータがオフィス内に保存されているため、災害などの緊急事態が発生するとアクセスできなくなるリスクがあります。

しかし、オンラインストレージの活用により、インターネット接続があればどこからでもデータにアクセスできます。そのため、BCP対策として重要なデータや文書を安全かつ効果的に保管しつつ、必要な場合に素早くアクセスすることが可能です。

オンラインストレージのデメリット

オンラインストレージは便利なツールである一方、さまざまなリスクを考慮しなければなりません。ここでは、注意すべきデメリットについて詳しく解説します。

セキュリティリスクがある

オンラインストレージの利用には、セキュリティリスクがつきものです。インターネット上でデータを保管して複数人で情報を共有するため、ハッキングや不正アクセスの標的となる可能性があります。

また、セキュリティ対策が不十分な場合、外部からの攻撃やウイルス感染のリスクも考えられます。情報漏洩や不正アクセスは、企業や個人にとって大きな被害をもたらす可能性が高いです。

そのため、オンラインストレージを利用する際には、適切なセキュリティ対策を講じることが重要です。

通信環境に依存する

オンラインストレージはインターネットを介して、ファイルの保存・取得・共有を行うサービスです。その特性により、通信環境が悪いとスムーズな利用が困難になります。

インターネット接続がない場合、クラウド上のファイルにアクセスして閲覧・編集ができず、出張先や地下、電波の悪い場所では業務に支障をきたすケースが考えられます。

また、アップロード・ダウンロード速度の遅さによって、ファイルのやり取りに時間がかかる点もデメリットです。特に、モバイル通信の場合は、通信容量の消費による通信制限にも注意しなければなりません。

障害発生時の対応はベンダー任せになる

オンラインストレージの利用では、障害発生時の対応がベンダー任せになります。通常、オンラインストレージの運用や保守はベンダーが担当するため、何らかの障害が発生した場合、企業や個人は自社で直接対応できません

障害の原因が何であれ、修復や復旧はベンダーに委ねられるため、対応が遅れる可能性があります。オンラインストレージを利用する際には、ベンダーの信頼性や対応力を考慮しましょう。

カスタマイズ性が低い

通常、オンラインストレージの料金プランには、利用できる機能が決まっています。基本的に、自社のニーズや要件に合わせて独自のカスタマイズを行うことはできません

オンラインストレージを導入する際には、事前に自社が必要な機能や要件を把握し、適切なプランを選択しましょう。特定の機能やカスタマイズが必要な場合は、ベンダーとの相談やカスタム開発の検討が必要となります。

オンラインストレージの導入前に検討すべきこと

オンラインストレージの導入では、利便性やコストだけでなく、自社の業務環境とリスク要因を総合的に判断することが重要です。ここでは、導入前に押さえておくべき具体的な検討ポイントを解説します。

既存システムとの連携の可否

オンラインストレージは単体で完結するサービスではなく、業務システムやコミュニケーションツールと連携させることで真価を発揮します。

例えば、社内で使用しているグループウェアや顧客管理システム、プロジェクト管理ツールなどと連携できるかにより、日々の業務効率を大きく左右します。

そのため、事前にAPI連携や統合の可否を確認し、自社で求められるワークフローに適したサービスであるかを見極めるのが大切です。

社内のITリテラシー

オンラインストレージを導入する前に、従業員がどれほどITツールを理解しているか、適切に活用できるかの検討が必要です。たとえ高機能で利便性の高いサービスを選んだとしても、扱う人のスキルや知識が伴っていない場合、十分な効果を発揮できません。

現場での混乱や情報漏洩といった問題に発展させないためにも、導入前の段階から従業員のITリテラシーを把握し、必要に応じて社内研修またはマニュアル整備に関する準備を整えましょう

なお、従業員のITスキルには個人差があることから、一律の指導ではなく、習熟度に応じた段階的な教育プログラムの構築が有効です。

オンラインストレージを運用する際のポイント

オンラインストレージを効果的に運用するためには、いくつかの重要なポイントを押さえる必要があります。ここでは、データの安全性や効率性を確保するために、運用時に留意すべきポイントを解説します。

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自社に合ったサービスを選ぶ

オンラインストレージを運用する際に最も重要なポイントは、自社に合ったサービスを選ぶことです。以下では、数多くのオプションから、最適な選択をするために重視すべきポイントについて解説します。

保存容量と料金設定

オンラインストレージを選ぶ際は、保存容量と料金設定を慎重に検討する必要があります。それぞれのサービスやプランでは、提供される容量や料金体系が異なるため、将来的なニーズも考慮しながら選択することが重要です。

現在のデータ量だけでなく、今後の成長や拡大に伴って必要となる容量も見据えて、適切なプランを選択しましょう。また、料金体系について、予算内で必要な容量を確保できるかどうかも比較すべきポイントです。

これらの要素を考慮しながら、自社に最適なオンラインストレージサービスを選択しましょう。

機能と操作性

サービスやプロバイダーは、提供される機能や操作性に差があります。自社のニーズに合った機能や使いやすさを確認するためには、無料トライアルなどの活用がおすすめです。

無料トライアルの利用により、実際にサービスを試しながら操作性や必要な機能が備わっているかどうかを確認できます。また、使い勝手やUIも重要な要素であるため、実際に操作して直感的に扱いやすいかどうかもチェックしましょう。

セキュリティ性の高いサービスを選ぶ

サービスやプロバイダーは、セキュリティ対策について異なるアプローチを取っているため、注意が必要です。

特に、クラウドストレージはインターネット経由で接続されることが多く、セキュリティ対策が不十分な場合や使用方法を誤ると、不正アクセスなどの情報漏洩リスクが発生します。

そのため、セキュリティ機能やプライバシー保護措置が備わっているかどうかを確認し、信頼性の高いサービスを選びましょう。セキュリティに関する情報を事前に理解して、安全性を確保することが大切です。

以下では、具体的に確認したいポイントを解説します。

認証機能

認証機能は、システムやアカウントへのアクセスを許可する前にユーザーの正当性を検証する機能であり、不正アクセスや情報漏洩を防ぐために欠かせません。例えば、2段階認証が強力な認証手段の1つです。

これは、パスワードと共に追加の確認要素(SMSコードや認証アプリによるコード)を入力し、アカウントへのアクセスを許可するものです。二段階認証を採用すれば、不正アクセスやパスワード漏洩からアカウントを守ることができます。

さらに、生体認証(指紋認証や顔認証)も安全性の高い認証手段として利用されています。生体認証は、ユーザー固有の生体情報を使用して認証を行うため、パスワードのように忘れられたり盗まれたりするリスクが少なく、高いセキュリティ性を持ち合わせています。

複数の認証手段を組み合わせることで、より堅牢なセキュリティ体制を構築することが可能です。

アクセス制限機能

アクセス制限は、許可されていない人からの不正なアクセスを制限するための機能であり、データの機密性やセキュリティの確保において欠かせません。例えば、ユーザーベースのアクセス制御があります。

この機能では、特定のユーザーまたはグループに対して、ファイルやフォルダへのアクセス権限を設定できます。さらに、細かなアクセス制限が設定できるサービスでは、読み取り専用や編集権限のみなど、アクセス権限をさまざまなレベルで設定可能です。

ログ管理機能

ログ管理機能は、誰が・いつ・どのような操作を行ったのかなどの情報を記録し、後から確認や分析ができるようにする機能です。

ログを記録することで、システムやデータへの不正アクセスや操作が行われた際に、いつ・どのような操作が行われたかを詳細に把握できます。これにより、セキュリティ上の問題を早期に発見して対処可能になります。

また、ログを分析することで、問題発生時にシステムの異常やエラーの原因を特定し、適切かつ迅速な対処を行えます。

ファイルや通信の暗号化

ファイルや通信の暗号化は、元のデジタルデータを特定のアルゴリズムを用いて別の文字列のデータに変換し、外部から解読できないようにします。暗号化は、データの機密性を保護し、情報漏洩や不正アクセスからデータを守るために重要です。

例えば、ファイルや通信が暗号化されていない場合、不正な第三者がそのデータにアクセスして内容を閲覧したり改ざんしたりするリスクが高まります。

しかし、暗号化を施せば、仮にデータが外部から盗み見られても、その内容を理解することは非常に困難です。ファイルや通信の暗号化は、セキュリティ性の高いオンラインストレージサービスを選ぶ際に確認すべきポイントです。

監視や障害対応の体制

オンラインストレージサービスを選ぶ際には、ベンダーがサーバーの監視、障害対応などのセキュリティ対策をどの程度行っているかを確かめましょう。それにより、サービスの稼働状況や異常なアクセスを検知し、早期に対処可能な体制が整っているかを把握できます。

障害が発生した際には迅速な対応が求められるため、対応時の体制やサポートの品質を比較し、信頼性の高いサービスを選ぶのがおすすめです。適切な障害対応の体制が整っていることにより、サービスを安心して利用できます。

使い方のルールを定める

オンラインストレージの運用では、使い方のルールを定めて周知することも大切です。どのようなファイルをアップロードできるかに加え、フォルダの構成、ファイル名の付け方、バックアップの頻度・範囲などのルールを文書としてまとめましょう。

業務に関連するルールを容易に確認できれば、ミスや誤解を減らすことが可能です。以下では、設定すべきルールの例を解説します。

フォルダの構成

フォルダ構成のルールは、データを効率的に管理して、必要な情報を迅速に見つけるために役立ちます。例えば、業務に関連するフォルダを部門やプロジェクトごとに分類し、それぞれのフォルダに関連する文書やデータの整理が挙げられます。

さらに、フォルダ名や階層の命名規則を統一すれば、検索性を高めることが可能です。具体的でわかりやすい命名方法を採用することで、必要なフォルダやファイルを素早く特定できるようになります。

結果として、作業効率が向上し、ユーザーのストレスも軽減されるでしょう。

ファイル名の付け方

ファイル名の付け方を統一すれば、必要な情報を簡単に見つけることができます。例えば、ファイル名には以下のような情報を含めるのが効果的です。

日付やプロジェクト名などの基本的な情報をファイル名に含め、特定のファイルを識別しやすくします。次に、ファイルの種類やバージョンなど、追加情報を付け加えれば、さらにファイルを整理しやすくなります。

また、ファイル名には使用できる文字や文字数に制限があるため、簡潔でわかりやすい名前を付けることも大切です。

例えば、「2024年4月21日_プロジェクト名_ver1」のような形式でファイル名を付けることで、どのファイルがどのプロジェクトのものか、またどのバージョンかが一目でわかります。

バックアップの頻度・範囲

データのバックアップは、重要な情報を失わないために欠かせません。バックアップの頻度を定めることで、定期的に変更されるデータや重要な情報を保護できます。

バックアップの範囲も重要であり、すべてのデータをバックアップするのではなく、重要なデータや必要なデータのみを対象にすると効率的です。その結果、バックアップの手間や負担を軽減しつつ、必要な情報を確実に保護できます。

バックアップの頻度と範囲を適切に設定すれば、データの損失や災害に備えられます。重要な情報を安全に保護するために、効果的なバックアップを実行しましょう。

権限の設定基準や承認プロセス

オンラインストレージを運用する際、権限の設定基準や承認プロセスを決めておきましょう。閲覧や編集などの権限を明確に設定することで、データの保護や機密情報の管理を効果的に行えます

ファイルの削除などの重要な操作についても、承認プロセスがあれば不正な操作を防ぐことが可能です。なお、定めた権限設定基準や承認プロセスは定期的に見直す必要があります。

業務状況や役割の変化に応じて、権限設定や承認プロセスを適宜更新することで、データのセキュリティの維持が可能です。

アクセス環境の制限

公共Wi-Fiや共有端末は、セキュリティリスクが高まる可能性があります。公共Wi-Fiは一般にセキュリティが脆弱であり、データが傍受されるリスクが高いです。

また、共有端末では他のユーザーが使用した状態であるため、個人のデータが漏洩する危険性を持ち合わせています。これらの環境では、個人情報や機密データの取り扱いは避けるべきです。

セキュリティ上のリスクを最小限に抑えるためには、安全なネットワーク環境を利用することが重要です。自宅やオフィスなど、信頼できるプライベートネットワークを使用し、セキュリティ対策が十分な端末からアクセスしましょう。

複雑なルールを採用しない

ルール設定は重要ですが、複雑すぎると効率を下げてしまう可能性があります。複雑なルールは誤解やミスを招きやすく、管理や運用が煩雑になることで業務効率が低下する恐れがあります。

また、複雑なルールが増えると、適用や変更にかかる時間と手間も増えます。そのため、ルールは簡潔にまとめ、実践的なガイドラインとして提供することで、自然にルールを遵守しやすくなります。

パスワードの設定や管理を厳重にする

パスワードの設定や管理は、オンラインストレージを運用する際に非常に重要です。適切なパスワード設定により、不正アクセスや情報漏洩を防ぐことができます。

一般的な単語や簡単な数字の組み合わせは避け、大文字小文字や記号を含む複雑なパスワードを設定しましょう。また、パスワードを定期的に変更し、他のサービスと同じパスワードを使わないようにすることも大切です。

その他、パスワードの管理も慎重に行う必要があります。パスワードをメモしたり他人と共有したりしないようにして、安全な場所に保管しましょう。

まとめ

オンラインストレージは、インターネット上にファイルを保存できる便利なサービスです。手軽に利用できるため、多くの企業が活用していますが、利用する際にはメリットとデメリットへの理解が大切です。

利点としては、手軽さや運用の手間が少ないことが挙げられます。オンラインストレージを利用することで、サーバーの保守やデータのバックアップなどの手間が省けます。一方、セキュリティリスクや障害時の対応がベンダーに委ねられるなどのデメリットも存在します。

また、障害が発生した際には自社で直接対応できず、ベンダーに依存することになるため、さまざまなポイントを把握し、適切な対策を講じることが重要です。オンラインストレージを運用する際は、本記事で紹介したポイントを押さえて適切に活用しましょう。

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